作品解説
作者五十嵐大介が岩手県で自給自足生活を送っていた時の経験を元に描いた漫画作品。
小さな集落で暮らす一人の若い女性の生き方を通して、人と自然の繋がりが描かれている。
監督森淳一、主演橋本愛により『夏』『秋』『冬』『春』の4部作として実写映画化された。
夏・秋編は2014年8月30日、冬・春編は2015年2月14日に公開。
夏・秋編は第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門の審査委員会推薦作品に選出された。
物語
いち子は一度都会に出て男の人と暮らしていたことがあったが自分の居場所を見つけることが出来ず、今はコンビニもネットも無い東北のとある小さな集落・小森で一人で暮らしている。
自分で稲を育て、薪を割り、畑仕事をし、周りの野山で採った季節の食材から毎日の食事を作る。
胡桃ご飯のおにぎり、グミの実のジャム、ばっけ味噌、イワナの南蛮漬け、あけびの皮のサブジ…。
いち子は厳しさも優しさも見せる東北の大自然から四季折々の様々な恵みや「いのち」を貰い、美味しいものを沢山食べて明日を生きるための活力を得ていく。
登場人物
- いち子
主人公。
かつて都会で暮らしていたこともあったが、馴染む事ができずに故郷である小森に帰ってきて、沢と山に囲まれた一軒家で自給自足に近い一人暮らしをしている。
負けず嫌いな性格で、言葉よりも体が感じたことを信じ、何でも自分でやってみないと気がすまない気性の持ち主。しかし、本質的には優柔不断であり、思い切りの悪い一面もある。
集落の人々からは食い意地が張っていると思われているのか、皆があまりやりたがらない合鴨農法に使ったカモの屠殺と解体をよく頼まれる。
ストレスを感じたときは餡子入りおやきや饅頭、アズキのマフィンなどの甘い物を沢山作って食べ解消する。
小森での生活を通じて自分のこれまでの生き方を見つめ直していく。
- ユウ太
いち子の分校時代の後輩の青年。
時間が空くとよくキャンプ場のイワナの養殖所に入り浸っている。
元々はいち子と同様に都会の大学を出て就職したが、自分自身の言葉を持たず食べ物も「他人に殺させておいて、殺し方に文句をつける」ような都会の人々の空虚さと無責任さを嫌い、「他人が作ったものを右から左へ移してるだけで威張り散らしている薄っぺらな人間の言葉を聞かされることにウンザリ」して小森へと帰ってきた。
- キッコ
いち子の幼なじみで親友。
時折、いち子の家に遊びに来ては食事をごちそうになったりしている。
- 福子
五年前に失踪したいち子の母。
調味料のウスターソース(もどき)もパンに塗るヌテラ(もどき)も自分で作ってしまう人物で、いち子の作る料理の殆どは彼女から教わったもの。
いち子に諺の意味や由来をデタラメに教えたり、畑の雑草をほったらかしにしたりとずぼらな印象のある女性に思われていたが、実は非常に丁寧に料理を作っていた。
関連タグ
リトルフォレスト:表記ゆれ