起源
イギリスで生まれたソースの一種。イギリス料理では汎用的に使われ、フランス人はイギリス人を揶揄して「百の宗教があるが、1つのソースしかない」と評するという。
タマネギなどの野菜ピュレにモルトビネガーとアンチョビを合わせ、香辛料を加えて発酵させたもの。英国ウスターシャー地方の主婦が、余った食材をスパイスと共に保存していたところ、偶然に出来ていたのが起源と言われている。アンチョビを加えて発酵させているので現代の欧州では数少ない魚醤の一種でもある(古代ローマ帝国で多用されたガルムとは関係がない)。
主にイギリス連邦地域や北米で多用されるが、日本、中国、タイなどにも広まり、各地域の料理には欠かせない調味料となっている(アジアで多用されているのは醤油や魚醤の類似品として受け入れられたためか?)が、日本のウスターソース類は発酵させておらず、英国のオリジナルのウスターソースとは似て非なるものと化している(後述)。
日本のウスターソース類
日本では、単に「ソース」と言えばこのソースのことを指すほど定着しているが、日本のウスターソース類はモルトビネガーもアンチョビも使わない。スパイス控えめで辛みは抑えられている一方、砂糖が多用され甘みが強く、とろみが強くどろっとしているのが特徴。
ウスターソース「類」というのは日本でウスターソースから派生したソースがいくつかあり、それぞれ使い分けられるためで(JAS規格上、濃厚ソース、中濃ソース、(狭義の)ウスターソースの3種に分けられる)、濃厚ソース(とんかつソース)、お好みソース、やきそばソース、たこやきソース、どろソースなどそれぞれの日本料理に特化したソースが販売されている。
また上述の通り、本来ウスターソースは発酵調味料であるが、日本のウスターソース類は生産の効率化のため通常発酵させていない。
余談
名称が中国料理の調味料であるオイスターソースと紛らわしい。製法が異なるにもかかわらず見た目も風味もよく似ており(日本の濃厚・中濃ソースとはかなり異なるが)、相互に代用が可能。中国でもウスターソースが定番の調味料として定着しており、いずれも中華料理によく使われる。
関連タグ
うすた京介:日本の漫画家。家のテーブルにあったウスターソースがペンネームの由来である。