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イギリス料理

いぎりすりょうり

「イギリス料理」は、イギリスを発祥とする料理。
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概要

日本のご飯に近い存在としてジャガイモがあり、ゆでる、焼く、揚げるなど様々な調理法で毎日のように食されている。
パンはできるだけ薄くスライスするのが身上。サンドイッチ用の食パンを思い浮かべると理解しやすい。これをこんがりと焼き、バターやジャムなどをつけて食べる。
肉類は牛や豚、鳥のほかに、ウサギや鹿、カモ、シギなどのジビエも豊富。

調理法はシンプルを持って旨とし、素材の質を重視するのが基本。

現代の「美味しいイギリス料理」

祖先に軍人が多いイギリス貴族は”粗食を旨とせよ”というが、気の利いた上流階級の人々は、ちゃっかりフランス人のコックを雇って舌を楽しませていた。
そして、庶民はどんな時代でも欲望に正直だ。でなければなんでシティがラーメン激戦区になるだろうか。
だからこそ昔から、気取ったホテルのレストランご自慢の、決して注文通りの焼き加減にならないローストビーフなんかより、街中のパブでおっちゃんの店主が腕をふるったパイやシチューのほうがよっぽど美味かったのである。

家庭レベルでは、料理の味は結局主婦の味覚と腕次第である。そして、第二次世界大戦後に生まれた世代は、旧世代に比べ料理や栄養学についても高い関心を持っていた。

何事にもフリーダムな若者たちは食欲だって旺盛で、美味いものには目がない。彼らは街に増え続ける食材や料理店の中から、美味いものを取捨選択するようになっていった。
だからこそ、うちの国の料理はまずいからね、なんて自虐が通るし、この世代が社会の中心となる年齢になったからこそ、食事と健康の関係について真剣に考えられるようになったと言える。

ホームステイで日本の学生を受け入れたり、下宿や小さなホテルで料理を作ってくれるのはこの世代であるため、日本で読んだ書物のイメージから、強制ダイエットを覚悟してホームステイに行ったはずが、毎日のご飯(とビール)が美味しくて太って帰ることになった、という人も珍しくない

そして料理人となった彼らは、他国に負けじと研鑽を積んだ。1990年代からは、高級レストランで腕を磨いた彼らにより「ガストロ(美食、食道楽)・パブ」が次々とオープン。今やイギリス庶民の味覚は大きく向上している。
イギリス料理人たちのもっぱらのテーマは「上質な素材が持つ、本来の美味しさを引き出す調理法」。
これは、かつてのイギリス料理が持っていた美質の復活とも言える。
現代のイギリスでは、日本人の味覚にも通じる、シンプルでありながら深い味わいを持つ料理が、日夜生み出され続けているのである。


かつてのイギリス料理のイメージについて

かつてイギリス料理は世界的にまずいと言われ、とくにヨーロッパではよくネタにされ弄られてきた。

一般論として、外国人の前でその人の国の食文化をけなすのは失礼にあたるのだが、イギリス料理に関してはイギリス人の前でその酷さをネタにすることが許容される。それは、彼らも自国料理がまずいのを自覚しているからであり、自国料理のまずさを自虐的ジョークとして口にするほどである。

大体において、「○○国の料理は不味い」といっても、その国の食習慣に外国人が馴染めないだけであって、「その国の人にとっては美味しい料理」であるという場合が多い。しかし、イギリス料理の不味さはそのようなものとは根本的に異なっていたのだ。

イギリスに長らく在住した経験のある作家、大学教授、有名人らの体験談をまとめると、その調理法には以下のような特徴があった。

  • 1)やたらと食材を加熱しすぎる
食材を加熱するには、様々な方法がある。肉なら焼く。野菜なら茹でる。
各国ではそれぞれに最適な時間があるとされ、その味、風味、歯ごたえの最高の瞬間を引き出すために日々研鑽を重ね、伝承されているのだが。

イギリスでは加熱の時間や引き上げるタイミングを重視しない。肉でも野菜でも委細関係なく適当な大きさに切り、肉ならオーブンに、野菜なら鍋にぶち込む。イギリスの食卓に招かれた場合、そうやって何の味付けもされていない肉や野菜がゴロゴロ出されることはわりとよくあることであり、体験者は閉口する。これらをモソモソとたべるのがイギリス流である。

それだけなら「ただマズイだけ」だが、問題は加熱工程にかける時間である。時間をかけすぎるのである。肉なら、零れ落ちる肉汁を無視して焼き続ける。野菜なら色が抜け、形が崩れる寸前まで茹でる。そうして出来上がったそれらは、栄養価が微塵もない、やけにパサついた無味乾燥の何かである。そしてこれは一般家庭だけでなくプロの領域においてもわりと日常の光景である。某作家が「この国(イギリス)のプロの料理人がなまくらなのだ」と切り捨てるレベルで。

  • 2)テクスチュア(食感)に無頓着
こうして焼き過ぎたり煮過ぎたりすれば当然、食材の食感はめちゃめちゃになる。肉は砂を噛むようであり、野菜は口の中でグズリュッと崩れ吐き出しそうになる……。

イギリスでは日本のように食材の食感や風味を楽しんだり、研究するという文化がない(としか思えない)。そのため最終的には「喰えればいいだろ」レベルの物が平気で客人の食卓に供され、レストランで流通しているのだ。だからこそフィッシュケトル(後述)なんて代物が存在するのである。

  • 3)作法は「たっぷりの塩」
こうして味がなく食感が最悪になり果てた食材で料理は作られる。
イギリスの一般的な人々は家でも外でもこの状況に慣れきっているため、テーブルにはかならず塩の瓶が置かれている。……「これで好きなだけ味をお付けください」という意味だ。
なのでイギリスで料理が運ばれてきたら最初にやることといえば、神への祈りはさておいても盛大に料理に塩を振りかけることである。イギリス在住歴の長い邦人もこの習慣を身に着ける必要がある。
え? 「最初から料理に塩を入れればいいだろう?」 それはイギリス人には禁句である。彼らはこう言い返すだろう。
「個人個人に好きな塩梅がある。これは食の民主主義である!」
「フランスのように調理人が決めた味付けを押し付けないスマートな作法だ」
……言いたいことはわかる。ここは堪えてほしい。
だが時折、悲劇は訪れる。かようにイギリスではプロでもアマでも調理中にさほど塩は使わないのだが、万事にかけていい加減な彼らは、時に塩を入れ過ぎることもある。この時、前述の作法に慣れきった人が、普段通り塩を盛大にふりかけ料理を口に入れた瞬間!
神は言っている。ここで死ぬ定めではないと――。

ただし

かくもイギリス料理はまずい、とセンセイ方はのたまわれる。
しかし彼らの体験談は、実に数十年以上も昔のものという、あまりにも古い情報であり、また、学食など食べた場所が悪かったというケースが多々含まれている
上記のネタ元となっている書籍の出版は1991年2001年であり、当然著者の体験はそれ以前のものである。当時のイギリス滞在記としてはともかくも、すでに情報源としては時代遅れとなっている。
また、「イギリス人の味覚音痴」や「栄養学の欠如」も、しばしば極端な例を面白おかしく取り上げていることに注意しなくてはならない。


なぜ、イギリス料理はまずくなったのか

食文化への無頓着さが災いとなり、近年では肥満の増加が深刻な社会問題にもなってしまったイギリス。
しかし実は、数世紀前の農業地帯での食事は、四季折々の素材を盛り込んだなかなかバラエティ豊かなもので、味付けや調理法にしてもシンプルながら美味であったことが、最近の研究で判明している。

また、イギリスにはカレーシチューなど日本洋食にも大きな影響を与えた、美味しい料理がいくつもあるということも忘れてはいけない。
近世以降のイギリス食には、インド香港など、世界中の多くの地域に植民地を所有していた経緯から、その地域の料理を本国で進化させたものも多い。
実際、英国海軍では本場のインドスパイスを使ったカレー料理が作られており(コックがインド人であった例も)、英国海軍でそれを食した成立して間もない日本海軍がスープカレーを導入したという経緯もある。

では、美味だったはずのイギリス料理がなぜまずくなってしまったのだろうか。
こういった事態の原因には諸説あり、ここではそのいくつかをご紹介する。

悪玉説その1:信仰

イギリスでは国教会やプロテスタントが長らく信仰の主流であった。歴史的経緯はさておき、人々の中では享楽=罪とする考えが根深いといわれる。この考えからは食事すら免れえなかった。

人生と言う限られた時間で、信仰と生産以外に手間をかけるのは罪とされたのである(「美味しい料理をつくる」ことも十分生産的な行為のはずだが、このあたりのことは鑑みられなかったようだ)。ある信仰深きイギリス夫人が「食事に時間をかけるなんて莫迦ゞゝしいわ」と苦虫を潰したような顔で吐き捨てたのを見た人もいる。

食事に関して喜びを感じることは、享楽・快感の一種であって罪なのである。よってどんなに美味しい料理であろうと、不味そうに不愉快そうに、または無関心に食べるのが知識人や貴族の間での正式な作法とされた時代もある。どこぞの食通漫画のように味から産地まで述べるのは下の下の下の下のゲゲゲのゲの下とされたのだ。灰をふりかけてまで味を消す家庭もあったそうな。
その為か、「普段の食事なんて腹が膨れれば十分」「食べる為に生きるのではなく、生きるために食べるのだ」という考えが今でも残ることになってしまった。

だが一方で「ティー」(紅茶とともに軽食を楽しむ風習)には手間と時間を惜しまないのも不思議な話である。「ティー」や「ドリンク」は「手を抜くべきではない」とされており、これに供される軽食やお菓子は美味しく手の込んだ素晴らしいものである。「食事」でないからノーカン……という事なのだろうか。

悪玉説その2:ビートン夫人の料理書

世界的にも有名で、イギリスでも(聖書以外で)もっとも流通し、権威のあるとされる料理本(実際には家政に関する書籍であり、料理はその一部である)。著者はイザベラ・メアリー・ビートン。

彼女の手なるその本は、世に『ビートン夫人の料理本』として知られ、現在でも版が重ねられている大ベストセラーであり、台所を任されたご婦人の必読本となっている。初版は1861年。化石のようなこの本がミレニアムを過ぎ去った現代でも、必携の実用書として未だに読み継がれているのである。中身は当然19世紀のものなので、古い知識や他国では廃れた常識が書き連ねられている。そんな本を元にして21世紀の家政を実行すれば色々間違いも起こるというものである。

悪玉説その3:歴史的経緯

そもそもイギリス本土は気候が寒冷で、水質の悪い痩せた土地であり、食材の多様性も乏しいものであった。
加えて18世紀に起きた産業革命によって、多くの人口が農村から都市部へ(長時間労働に縛られる工場労働者として)流れて行ったことで、それまで各地域に存在していた家庭料理・郷土料理を発展させていく余裕や土壌が破壊されてしまったという背景がある。

その挙句、工業による汚染が蔓延し、衛生面でも問題の多かった当時の都市部で新鮮な食材を得ることは非常に困難であり、食物を加熱殺菌することが奨励された当時の衛生学の啓蒙も相まって、「必要以上に食材を加熱する調理法」が伝統の料理法として普及・定着してしまったという説も唱えられている。
そのほか、牛や豚などの上質な畜肉を、外貨を稼ぐための輸出商品としてしまったため、それまで内容は質素でもそれなりに美味しく食べられた素材が、庶民の口に入らなくなってしまった、という説もある。

イギリスでは以上のような歴史的背景から、素朴ながら素材を活かしたせっかくの料理文化が途絶えてしまった、とされる。

もちろん今では、事情は大きく異なっている。
まず、当たり前だが現代のイギリス人は、食を楽しむことを否定するという、狂信的な呪縛からは解き放たれ、週末や記念日に大枚をはたいて美味しいものを食べることになんのためらいもない。
昨今では食育の重要性が叫ばれ、学校給食の導入にあたって熱い討論が交わされてもいる。
ある小学校では給食をバイキング形式にした結果、パンや肉類などの特定のメニューだけが消費され、野菜を主とした料理は全く見向きもされず廃棄される事態が相次ぎ、物議を醸した事例もある。

国内はもちろん、世界各国から豊富な食材が集まるようになり、移民も積極的に受け入れていた経緯から、中華料理やインド料理、イタリア料理などは本場のシェフが調理している例も多々ある。

特に最近はドーバー海峡を超えて欧州大陸から流入したコックの多くがイギリスで店を開いている。現代の「美味しいイギリス料理」で述べたように、イギリスの料理人たちにも変革が起こった。既に、よほどのことがない限り旅行者がトラップに引っかかることはなくなっている。

忘れた頃にたびたび起こる和食ブームなどに肖ってか、都市圏などには寿司レストランなども数多く出店しており、日本と同様に島国であることから海の幸に恵まれているという好条件も伴い、寿司や刺身などは美味い店も多い。回転焼きなどは30年以上も前に、すでにソーホーに出店して現地の人々が喜んで食べていたし、2010年代にはラーメン戦争が勃発したり
テニス界で、イギリス人として2013年に77年ぶりウィンブルドン優勝。2015年79年ぶりデビスカップ優勝。2016年に2度目のウィンブルドン優勝、五輪連覇そして世界ランキング1位を達成したアンディ・マリーが、体重維持のため隙あらば寿司を貪り食うことで、女王陛下を困惑させている。

代表的なイギリス料理

イングリッシュ・ブレークファスト
薄切りのトースト、シリアル(オートミールもしくはコーンフレーク)、ホットディッシュ(卵料理とベーコンソーセージなどに野菜を添えたものやベークドビーンズ)、フルーツという、盛りだくさんの内容。
古い時代の皮肉の効いたブリティッシュジョークで「おいしいイギリス料理を食べたければ3食、朝食を食べなさい」と言うのも頷ける。ド定番メニューなだけあってハズレが無い。が、場合によっては塩などを使って自分で調味しなくてはならないこともある。

現代ならともかく、20世紀初頭以前では他国の一般家庭では考えられないほどの贅沢な食材(卵やベーコン等)がふんだんに使われていた。つまり、何気にかつての大英帝国の栄華と国力を象徴する一品だったりする。
実際、イギリス以外の欧州の伝統的な大陸式朝食(コンチネンタル・ブレークファスト)はパンと飲み物だけと、それこそ無味乾燥極まりない。

  • ただし、こうした朝食の差には「食事前に一仕事する」イギリスの生活習慣も関わっている。現代では他国と同じく、朝はギリギリまで寝てたい、あるいは食欲がないから、朝食は抜き!という人が多い。また、寒いフランスの朝には、あれこれ詰め込むよりもたっぷりのカフェオレで体を温めるのが正解である。
  • イギリスのトーストは薄切りであるため、よく食べる学生などは4枚、8枚と食べることになる。ホームステイ先によっては何枚食べるかあらかじめ聞いてくれるので、遠慮なく食べたい枚数を申告しよう。

フライドトマト
そのまんま焼いたトマト。トマトは熱を通すと旨味が出て独特の酸味が緩和されるので、生のトマトはダメでもこれならイケるという人も多い。味付けにちょっと塩コショウを振るとさらに美味く、病み付きになる人もいる。ホットディッシュの皿に添えられることも多い。

各種パイ料理
イギリスにおいて、日本のどんぶり物に相当するのが各種パイ料理である。
ビーフ・ウェリントンは牛肉と香味野菜を包んで焼き上げたパイ。ステーキ&エールは、エールを使ってやわらかく煮込んだシチューのパイ。パブではチキン&マッシュルームのパイも定番である。
テイクアウトもあるが、店で食べる場合にはマッシュポテトとホットサラダが添えられ、見た目にも美しい。
シェパーズパイはその名の通り羊肉のミンチを使用し、マッシュポテトではさんだ、労働階級御用達&給食で子供の人気メニューとなっているパイ。ガストロ・パブではキッシュ皿に盛り、上にチーズをかけてグリルするなど、高級感あふれるものとなってお目見えする。

ローストビーフ
かつては非常に当たり外れが激しかった料理。
当たりの場合は上質な肉が確かな焼き加減で仕上げられており、世界一の呼び声も納得の一品である。
外れの場合は焼き過ぎて味の無い炭をまとった塊で、塩辛く嚥下し辛い、例えるなら試練そのものとなる。「日本でも美味しく食べられている料理だから」と油断して注文し、返り討ちに遭う日本人観光客が後を絶たなかったとか。「今は昔」の話である。

2019年現在、イギリス各地のガストロ・パブでは、毎週日曜日のランチからディナータイムにかけてのスペシャル・メニューとして、”サンデー・ロースト”が提供されている。一流の技術でグリルされた野菜とローストビーフは、素材の旨みが最高の形で引き出された逸品。日本人の感覚では3人前以上のボリュームを誇る一切れに、店ご自慢のグレイビーソースがいっそう食欲を掻き立ててくれる。

フィッシュアンドチップス
発音は「フィッシュンチップス」に近い。世界的にも有名で、イギリスの軽食と言えばこれ。冷蔵技術が発達し、新鮮な魚を街まで運べるようになったことで誕生した料理。もともとは労働者のC級グルメで、庶民以下の人々の味方であった。

素材はタラやオヒョウなどの白身魚がメイン。衣は小麦粉と卵を、水とビールで溶いたもの。このときに使用するビールの種類で、揚げたあとの衣の風味や色が変わる。こだわりのある店では、さらに酢か重曹を入れて見た目を美しくする。
この衣をたっぷりつけた魚と一緒に、大振りに切ったポテトを素揚げし(イギリスではこれをチップスという)、屋台では”天カス”も必ずつけて、ざらっと包み紙に放り込んで渡してくれる。
客はこれにモルトビネガーなど、好みのドレッシングをかけて食べる。

昔は、日本の古き良き肉屋のコロッケがそうであったように、包み紙が新聞紙であることも多かった。
誤解を招かないように付け加えると、上記用途で使われることを既に前提としている&日本で言う厚生省がしっかりしているため、イギリスの新聞で使われるインクは大豆を原料としており健康被害に関しての心配はない。

高級レストランでは、居ずまい正しく皿に載せられた「ソフィスティケイテッド・フィッシュ&チップス」(sophisticated=「洗練された」の意)として登場する。これはアフタヌーンティのホットディッシュとして取り入れられている場合もある。

タラが不漁だ、高級食材になるのではないか、自然を守ろう・・・と話題にしつつロンドンっ子はいつものように食べている。言うこととやることが違う気もするが、日本人だってアフリカ沖に蛸を捕りに行ってまでたこ焼きを食べているし、うなぎが絶滅するかもといいつつ、毎年土用にはうなぎを食うことを忘れない。要するに洋の東西を問わず、えてして庶民とはそういうものなのである。

トライフル
イギリス庶民の味からもう一品、最もありふれたデザートのトライフルをご紹介する。
トライフルは「つまらないもの」という意味の言葉で、その名の通りまったく気取らないというか、簡単に作れて、作った端から一人占めしてもしゃもしゃ食べつくすという部類のお菓子である。

材料はスポンジケーキとカスタードクリーム、ホイップした生クリーム、フルーツの缶詰、炭酸飲料。
注意したいのはカスタードも生クリームも、砂糖を極力控えたものにすること。甘味はフルーツとスポンジケーキで十分事足りる。
欲しいだけの材料をそろえたら、まずはスポンジケーキを数cm角にカットし、器に盛る。その上から炭酸飲料を軽くしみこませる。その上からカスタードを敷き、さらにその上に生クリームを乗せる。最後にフルーツを好きなだけ盛ったら完成である。

子供の頃の夢のまま、巨大な一品をこしらえて抱えて食うも良し、ほどほどの大きさの器で盛り付けに凝ってみるも良し。イギリスではすべての材料がスーパーで簡単に手に入るため、思いつけばすぐ作ることができる。

アフタヌーン・ティー
正確には料理というよりは習慣。紅茶を中心にスコーンケーキ等といった茶菓子類、サンドイッチというのが基本。元々は上流階級の社交の場としての食事スタイルだが、現在は高級ホテルからお洒落なカフェ、労働者階級の家庭まで色んな場所で供されている。
 
さすがは紅茶の国というべきか異常なまでの力の入れようで、ここで供されるお菓子はどれも普通に美味しく、値段も日本のカフェとほとんど変わらない。ただし、焼きたてを逃して時間が経ってしまったスコーンはコンクリ塊に変貌するので注意。

ちなみにイギリス軍の野戦糧食(レーション)にもアフタヌーン・ティー用のおやつセットが付いている(しかも妙に充実している)。

サンドイッチ
とにかく当たりハズレが激しい。高級ホテルや専門のパン屋などで入手できる物はだいたい美味しいのだが、町の屋台や安い売店は地雷原。パッサパサでガチガチのパンに、日本人の感覚では信じられないような具も挟まれている。
  • ただしパンに関しては、ご飯の食感に近づけたもっちもちの日本のパンが特殊だということは留意しておきたい。これに慣れているため、本場のパンが口に合わなかったという可能性もある。
アフタヌーンティでの定番は薄くスライスしたキュウリのみのサンドイッチだが、これは古い時代、イギリス国内では栽培が難しかったキュウリを使えることが、有力者のステータスとされたのが由来。

べイクドビーンズ
甘めのトマトソースで、水煮の豆を香味野菜とともに煮込んだ料理。煮込み料理なのにベイクドの名があるのは、元々はオーブンで蒸し焼きにして作られていたから。
イギリス人が実によく食べ、スーパーに行けば缶詰が山積みされている、一種の国民食。シンプルながら非常に栄養面で優れた料理。優しい味なので子供も好んで食べる。豚肉と一緒に煮込んだものはポークビーンズとなる。

似た料理に、挽肉を加えてチリソースで煮込んだチリビーンズ(チリコンカーン)がある。愛すべき庶民派刑事、コロンボの大好物で、彼は店主が文句を言うほどケチャップをかけて食べる癖がある。ベイクドビーンズ、ポークビーンズ、チリビーンズはすべて、日本でも輸入品店で缶詰が市販されており、温めるだけで美味しく食べることができるため、キャンプなどにも重宝されている。

バンガース
ぬめり気のあるイギリス特産ウィンナーソーセージ。肉より小麦粉の量が多いため実にマズイ。とはいえ、これはエリザベス女王1世の指示によるもの。国が貧しく肉が庶民まで回らなかった時代、「肉が無ければ小麦粉を混ぜればいいじゃない」というお達しにより爆誕した。

ウナギゼリー
いろいろと誤解もある料理。 詳細はウナギのゼリー寄せ の項へ。

キッパー
ニシンの塩漬けを日干しにして燻製にしたもの。魚食文化に慣れ親しんでる我々日本人にとっては単なる干物の燻製といった感じで楽勝の一品であり、むしろ現地でハマってしまう人も少なくない。あえて欠点を挙げるならば、白いご飯が欲しくなるところか。

しかし、他の欧米人にとってはイギリス料理のゲテモノ度を象徴する代物らしく、イギリス人もこれを食べてる姿を外国人に見られるのは少々恥ずかしいんだとか。一般的には朝食のおかずとして出てくることが多いが、酒のとしても優秀で、その扱いは日本のくさやに近い。

魚の水煮
読んで字の如くである。イギリスは海洋国家でありながら、魚はもっぱら肉を買えない最貧民のための代用食だった歴史がある。そのため、あまり調理法も発展しなかった。

では彼らは普段どうやって魚を食べていたのか。その謎を解くのがこちらの調理器具「フィッシュケトル」でございます!(通販番組風)
見た目はフライパンのように薄く、「魚用・鉄の棺桶」といった風で、魚一尾がまるまる入る大きさ。ケトルといっても鍋の一種で、これに魚を乗せ、水を入れて火にかける。調理終了。ときどきレモン果汁などを注します。
魚の味は茹で汁に出てしまっているので魚自体に味はありません。日本ならこの茹で汁も出汁として使うという発想がございますが、イギリスでは茹で汁は捨てます。これをお皿に乗せて、皮をお上品に剥いて身だけをいただくのです。そこ、まずそうとか言わない。

ただし、海辺の町では普通に魚介が食されており、フランス人シェフが勉強しに来ていたことで知られる、「焼き」の技術を活かしたスズキのグリルなど、日本人が食べても普通に美味しくいただける料理があることは注釈しておく必要がある。

マーマイト
ビールの搾りカス(いわばビールの酒粕)から作られた黒いペースト状のナニモノカ。
パンに塗ったりして食べるのだが、発酵食品のお約束通り、他国民にとっては度し難いレベルで不味い。
イギリス本国でも好きか嫌いかの二つにキッパリ分かれるらしく、さながら日本における納豆を思わせる。ビタミンBを非常に豊富に含んでいるため、摂取し易いように加工したサプリメント製品も存在する。
1967年の映画「ドリトル先生不思議な旅」では、原作では動物愛と食をきっちり区別して、肉料理を召し上がっていたドリトル先生が、このマーマイトを食する菜食主義者として描かれ、ファンをがっかりさせた。


イギリス料理の一覧

紹介したもの以外にも、イギリス料理は数多い。
少なくとも21世紀になった今では、当たり外れはほとんどない。一部に文化の違いゆえのトラップもあるけれど。

肉料理

ローストビーフ ミートパイ ハギス

魚料理

フィッシュアンドチップス イールパイ ウナギシチュー ウナギのゼリー寄せ スターゲイジーパイ

煮込み料理

カレー シチュー ビーフシチュー クリームシチュー ハッシュドビーフ

パン類

スコーン (イングリッシュ)マフィン サンドイッチ プディング


関連タグ

アメリカ料理:建国の歴史上イギリス料理の影響が大きいが、中国、イタリア、フランスなど食を愛する国からの移民も多く、南米文化も入り混じって独自の発展を見た。

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