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概要

アガサ・クリスティが創造したベルギー人の私立探偵。世界的に有名な名探偵である。
第一次大戦時にベルギーから避難した難民であり、イギリス移住以降は『スタイルズ荘の怪事件』『ロジャー・アクロイド殺人事件』『ABC殺人事件』などの作品で活躍したことが有名。活躍の舞台は主にイギリスだが、時代設定(大英帝国と呼ばれた時代の終わりごろ)を反映して、エジプトなど中近東に赴くこともある(これらはファンの間では“中近東シリーズ”と呼ばれる)。

シャーロック・ホームズのような、現場を丹念に調べるスタイルを「犬じゃあるまいし」と小馬鹿にしており、関係者の話を聞き、彼らの行動を整理し、これに証拠を合わせて事件の全体像を組み上げることで、事件を解き明かすスタイルを取る。
いわゆる「安楽椅子探偵」のはしりとなったキャラクターである。

原文(英文)はともかくとして、翻訳(日本語訳)ではいまいち口調が統一されていない。
短編ではヘイスティングズらに対して対等な(というか見下した)口調だが、長編では依頼人に接するような丁寧口調で語っていることも多い。

エルキュール・ポワロの人物像

無類のお洒落好きで、口髭が自慢(最終話の『カーテン』で口髭が実は付け髭であったことが語られるが、この話独自の設定なのか、以前から付け髭をしていたのかは不明。なお、『ビッグフォー』では、一度剃っている)。かつ潔癖症といえるほど清潔さやシンメトリーを好み、自らの推理法も「秩序と方法」に則ると主張している。
相棒のヘイスティングズ大尉(いわゆる「ワトソン」役)らとの、「イギリスには正確な大きさの卵が揃わなくて困る」「だったら四角い卵でも産ませるんだね」のやり取りが象徴的。
女性に対しては滑稽なほど丁寧に接し、一方で自分より頭が悪いとみなした相手には尊大に接する。

上述の『アクロイド殺人事件』『オリエント急行殺人事件』や短編『銀行家の失踪』など、意表を突いたトリックを見抜くことについては名探偵の中でも群を抜くといえ、彼が「灰色の脳細胞」を自慢するのもそれだけの実力がある。
しかし、それを差し引いても相当の自信家。ヘイスティングズとよくそれで揉める(結局、お互いに尊敬しあっているし、両方とも紳士なのですぐ仲直りするが)が、ヘイスティングズの何気ない一言が解決のヒントになることが多く、その際には手放しで褒める。
まあ、彼の口癖が「我が親愛なる友よ(mon ami)」なので、本当にヘイスティングズが愛おしい(かなり年の差があるので、弟や息子のように捉えていたかもしれない)のである。実際、彼の娘であるジュティスのことも孫のように可愛がっていた。

都会育ち(ブリュッセル)で、田舎が嫌い。理由は服や靴が汚れるから。
友人に勧められて購入した郊外の別荘も、大して使わないまま、早々に手放してしまったほど。
ただ、風光明媚な田園風景を、列車の中から見て楽しむのは好き。

乗り物酔いしやすい体質らしく、船や飛行機は苦手。
特に後者の飛行機では、「気持ち悪い!」と呟き、飛行機酔いしないために寝入っていた為に、殺人の現場にいたのに犯行を見逃してしまうという、ある意味失態を犯している(『雲を掴む死』)。
事件が起きなければ物語にならないじゃ無いか、という人もいるだろうが、ポアロ自身「殺人を未然に防ぐのも仕事の内」と言い切っている(『雀蜂の巣』)ので、彼としては珍しく反省している節がある。

小柄な体型故に身体が揺れやすいのか、砂漠でラクダに乗ったときも酔ってしまっている。
代わりに小さなロバに乗り換えたのだが、これでも到着時には不調を訴えるほど、乗り物には弱い。但し、電車は問題なく乗ることが出来る。

元警察官の癖して病気に弱く、少しでも寒い時期になるとマフラーやコートを着込んで、風邪を引かないように防護策をとっている。
それでも、ヘイスティングズからもらってしまったインフルエンザで死にかけていたりする。
どうやら、雨が多く寒くなりがちな英国の気候は彼の体質にあっていないようだ。

ポワロを演じた俳優

日本ではイギリス制作ドラマ「名探偵ポワロ」で彼を演じたデヴィッド・スーシェがポワロ役として有名。メイン画像のイラストもスーシェに基づくもの。もともとイギリス人として生を受けた彼の姓・スーシェ(Suchet)の読みは「サシェット」であったが、これがライフワークとなると感じ、読みをフランス語風の「スーシェ」とわざわざ変えたという。出典;ウィキペディア当該項
吹き替えは熊倉一雄(NHK版)、大塚智則(デアゴスティーニDVD版)。

日本で制作されたアニメ『名探偵ポワロとマープル』では里見浩太朗が声を務めた。

イギリス人のケネス・ブラナーが監督した「オリエント急行殺人事件」および「ナイル殺人事件」では、ブラナー自身がポワロを演じている。
日本語吹替は、「オリエント急行」では俳優の草刈正雄、「ナイル」では広瀬彰勇が務めた。

表記について~「ポワロ」なのか「ポアロ」なのか~

結論は両者ともに正しい表記。
以下の文章も参照されたし。

日本では "Poirot" について「ポアロ」と「ポワロ」の二つの表記が存在するが、フランス語でoiは「ォワ」という感じに発音するため、ポワロのほうが原音に近い。以前は「ポワロ」と表記することが多かったが、「ポアロ」表記をしている早川書房が翻訳独占契約を結んだため、「ポアロ」という表記が世間に広まった。
(「エルキュール・ポアロ」『ウィキペディア』(外部サイト)より転載)

また、よく英語読みの「ポイロット」と呼ばれたり、自身のクリスチャンネームであるエルキュール(Hercule)とヘラクレス(Hercules)を掛けて、最後に挑む事件を12個に決めたり(ヘラクレスの冒険)、名前にちなんだ逸話が多いのでも有名。
呼び間違えられるのは発音の近い「ポイロット」「ポアロ」・「ポワロ」(該当作品内で使用しなかった方の表記)と家名ばかりだったが、『オリエント急行殺人事件』(2017年版)ではヘラクレス・ポワロさんと呼ばれた。(ヘラクレスをベルギー語でエルキュールと読む)

ホームズに対する批判

本編ではしばしばシャーロック・ホームズの話が出てきては、ポアロは彼のことを批判する。
しかし、シャーロック・ホームズ最後の事件である「最後の挨拶」は、第一次世界大戦勃発前夜の1914年が設定となっており、しかも、この時点で既に隠居して養蜂に勤しんでいるほどのご老体である。

一方、母国ベルギーでの警官時代のチョコレートの箱のような例外を除けば、ポワロの活躍は少なくとも第一次世界大戦終戦後(改シュリーフェンプランによって、ベルギーはプロイセンに強襲された為、英国に亡命した)。
皮肉にも、科学の飛躍的な発展に繋がった大戦前と大戦後の探偵なのだから、手法が違うのは当然のことなのだ。
加えて、ホームズは化学者としての一面も持ち合わせており、特殊な調薬を用いて、血液の沈殿を判定するような手法も扱っている(緋色の研究より)。
これを使ってしまうと、推理もクソもないので(現代で言う科学捜査分野)、本編でもほとんど使われることはなかったのだが。

では、なぜわざわざ時代の違う人物同士を批判するような内容を組み込んだのかというと、アガサ・クリスティはポワロとは一定の距離を置きたいと考えたいたためである。
はっきり言ってしまえば、原作者はこの人物を持て余しており、「なぜ、こんなキャラクターがウケてしまったのか」というのを、長年悩み続けていた。
その為もあって、ポワロには本編で明確な「終わり」が描かれている。
(なお、ホームズの生みの親コナン・ドイルも、やはりホームズが持てはやされることに嫌気がさしており、作中でいったん死なせたこともある。詳しくは本人の項目で。)

ゲーム化

ベルギー警察時代の若いポワロの活躍を描いたADVゲーム「アガサクリスティ-エルキュール・ポアロ:初事件」が2021年9月に発売された。



関連タグ

アガサ・クリスティ ミステリー
探偵 名探偵

名探偵ポワロ

喫茶ポアロ - 『名探偵コナン』で登場する喫茶店。ポアロが名前の元ネタになっている。
杉下右京 - 刑事ドラマ相棒』の主人公。紳士的な身なりや立ち振る舞い等は恐らくポアロから影響を受けている。
シャーロック・ホームズ - とある事件にて、ポワロが本屋(雑貨屋?)に立ち寄った際、店主が『シャーロック・ホームズの新刊が出ましたよ』と言ったのを、ポワロが「あんなのは探偵ではない」とかえした場面がある。
コナン・ドイル - 『シャーロック・ホームズ』の作者。上記のやり取りから、ポワロの世界では推理小説家として活動している人物である模様。

表記揺れ

エルキュール・ポアロ

最後の事件

以降、ネタバレ要素が含まれる記述がされています。

小説・ドラマを未読・未視聴の方は、本作品の面白さを損なう可能性があるので閲覧のお勧めはできません。
↓記事をスクロールするとネタバレが記載されています。閲覧は自己責任でおねがいします。↓


















ポワロ最後の事件が描かれる『カーテン』で心臓の持病により死去する。
しかし、死の直前に、法で裁かれない悪人(人の心の闇に付け入って意のままに操り(※1)、間接的に殺人を犯して楽しんでいた)を自らの手で殺害することで断罪するという、あるまじき行為を行っていたことが明らかとなる。この予想外の結末には、ポワロの相棒であったヘイスティングスはもちろん、長年ポワロに親しんできた読者たちに大きな衝撃を与えた。

この「法で裁かれることのない悪人にどう対峙するのか」という命題は、古くは『シャーロック・ホームズ』のモリアーティ教授に始まり、以降も推理小説刑事ドラマ等でも度々描かれている内容である。法治国家の限界を示す内容であると同時に、ある意味ミステリー作家に課された永遠の課題であるとも言えるだろう。

ちなみに、この『カーテン』が出版された翌年に作者のアガサ・クリスティも死去し(当初は死後出版される予定だったが、出版社にせっつかれたため存命中の発表となった)、「ポワロの後を追うかのように亡くなった」と評する声もあったという。

※1:教唆殺人といって現在では立派な犯罪だが、この犯人は現代の法でも裁けるか微妙なほどに狡猾。ドラマ版では犯人はポワロに自分を殺させたことすら計画の内であるようなことを感じさせる演出もある。

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