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概要編集

生涯編集

山梨県都留郡谷村町(現在の都留市)生まれ。

一雄出生当時、父・参郎が図案技師として山梨県工業試験場に赴任していた事情もあり、その後幼少期に父方の実家がある福岡県山門郡沖端村(現在の柳川市)に移り、幼少期を過ごす。その後両親の別居もあり、久留米市や栃木県足利町(現在の足利市)に移り住み、足利在住時に小学校・旧制中学校に通う。この幼少期・少年期に多々移住したことが後の放浪癖につながったともいわれる。


その後1928年に旧制福岡高等学校文科乙類(のちの九州大学教養学部)に入り、入学後は文芸同人誌を制作することになった。1932年に東京帝国大学経済学部(現在の東京大学経済学部)に入学。入学後も文芸同人誌の一員として活動、1933年に処女作『此家の性格』で文壇デビューし、多く称賛を受けるほか、師と仰ぐ佐藤春夫や親友たる太宰治と出会う。その後1934年には一雄・太宰・中原中也らと文芸同人誌『青い花』を発刊するも、太宰と中原の対立・衝突が生まれて『青い花』は廃刊となってしまう。


大学卒業後の1936年には出世作『花筐』(はながたみ)を執筆するが、翌1937年に陸軍に召集され、久留米の連隊に入営、満州に出征する。1940年に軍務を終えるがしばらく満州に滞在・放浪し、1941年に帰国。帰国後に高橋律子と出会い、結婚。1943年に長男・太郎が生まれるがその後まもなく二度目の召集を受けて報道班員として大陸に渡るが、この間に律子が結核で倒れ、1945年に急ぎ帰国し彼女の看病を行うも、終戦間もない1946年に死別することになる。


その後山田ヨソ子と再婚し、再婚後は東京に居を移して練馬区石神井に自宅を構えた。東京転居後には親交ある太宰が入水心中するなどの波乱を受けるが、同時期に坂口安吾の交流も始める。1950年に先妻・律子夫人を描いた『リツ子・その愛』『リツ子・その死』を著して文壇に復帰し、1951年、「長恨歌」「真説石川五右衛門」の2作で直木賞を受賞。坂口とはその後も交流が続き、直木賞受賞直後、一時坂口も一雄の自宅に居候していたが、カレー百人前注文事件や坂口の薬物依存などを目のあたりにしてしまった(坂口は翌1952年に一雄宅を離れて桐生市に移住するも1955年に脳出血により世を去る。)。1954年には長女・ふみが生まれる。


1956年、女優入江杏子と愛人関係になり、家を出奔しては出戻るなどするが、この杏子との間柄を元にしたのが1961年に発表された代表作『火宅の人』だった。大作ゆえに執筆はなかなか進まず、一時中断となった。


1968年には文芸誌「ポリタイア」を創刊し、自ら編集長として務めた。


1970年から2年間ポルトガルリスボン近郊の村に滞在、そして帰国後の1974年に福岡能古島に自宅を購入し移住するが、この直後に病に倒れた。

1975年に九州大学附属病院に入院し、病床で『火宅の人』の完結部を口述筆記で書き上げて、これが絶筆となり、翌1976年1月2日に63歳でその生涯を閉じた。


人物編集

一雄が9歳のときに父と母の別居を目にし、父親が料理を作れず、かつ幼い妹がふたりいた事情からやむなく料理を始めた事情があったが、結果として文壇きっての料理の達人としてその名を通した。親交ある太宰をして「料理は檀自身の心の救いでもある」と評していたほどで、多く料理に関する作品、エッセイも執筆しており、「男の料理」の元祖ともいえる。

なお、幼少期、福岡県ですごした期間が長かったせいか、料理に関するエッセイでは九州北部の料理のレシピが多く(薬味のネギについて、わざわざ「九州の葱は青い」と云う註釈が入っているなど)、うどんについても、福岡およびその隣県でポピュラーな「やわらかいうどん」を好んでいた事を示唆する記述も有る。


親交あった人物としては太宰治、坂口安吾のほか、火野葦平らが挙げられる。

特に太宰とは連日飲み歩く放蕩仲間であり、酔った勢いで一緒に自殺しかけたこともある。

太宰の代表作である『走れメロス』は、熱海の旅館に入り浸っていた太宰を檀が連れ戻しに来るも、太宰は彼を自分の代わりの人質として旅館に預け、逗留費の工面に行ったというエピソードから生まれたとの事。


関連項目編集

作家 小説家

檀ふみ - 長女。

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