人物
1974年愛知県生まれ。その後、熊本県合志市で育つ。
熊本県立大津高校美術コース在学中の1990年に第2回GAGキング特別賞を受賞、翌年に第34回赤塚賞佳作を受賞。
1995年に、週刊少年ジャンプにて『すごいよ!!マサルさん』で連載デビュー。
マサルさん終了後は短期連載作『武士沢レシーブ』を連載した後、2000年から足かけ10年の長期連載となった『ピューと吹く!ジャガー』を世に送り出した。
2015年からは少年ジャンプ+にて『フードファイタータベル』を連載した。
2021年からは「2.5次元リアルタイムアイドルユニット」、きのホ。の漫画・キャラクターデザインを担当している。
ちなみにペンネームは誤植がそのまま定着したものらしい。本来は台所にあったウスターソースを捩った「うすた宗介」だったとの事。「誤植でも賞をもらった名前だからいいか」と思い、変えずにそのまま使っている。
妻は同じくジャンプ漫画家の榊健滋。2016年に第一子となる男児が、2018年に第二子となる女児が生まれている。
2018年12月から北海道札幌市に移住している。これについては、妻の榊が出産後体調がなかなか回復せず、育児や家事と両立して仕事復帰していくのは困難なことからうすたの実家がある熊本か榊の実家のある札幌のどちらかに移住しようと考え、うすたの意見により札幌に決まったと榊が言及している。
作風・特徴
同じギャグ漫画というジャンルでも、ボケは『とっても!ラッキーマン』や『珍遊記』のような大袈裟でわかりやすいボケではなく、「ツッコミが入って初めて笑える」ようなシュール且つ不条理なボケが中心となっている。
そのボケからツッコミまでの流れも、「ボケ」→「謎の間」→「ツッコミ」と一コマで完結させない構成となっていることが多く、他のギャグ漫画と比べると、笑いに至るまでがかなりローテンポである。
また、ツッコミは「〇〇するな!」というような指摘や訂正よりも、「〇〇しちゃった!」といった状況説明や感想のようなものとなっていることが多い。(これはさまぁ~ずの影響であると語っている。)
この作風は後年のギャグ漫画界に大きな影響を与え、『マサルさん』連載直後はギャグ漫画の大半がうすた風のシュール路線に染まった程である。著名な漫画家でいえば、中村光はうすたの影響を受けていると公言している。
上記作風に加え、以下のような特徴がある。
古来より伝わるギャグ漫画の効果音。
決してうすたの発明でも専売特許でもないが、ガビーンと言えば?と聞かれて『マサルさん』か『ジャガー』を思い浮かべる人は少なくない。
『タベル』以降は使用頻度が少なめ。
- さっきまで普通に描かれていた人物が、急に落書きのように手抜きになる。
『マサルさん』でいう「だばだば」が代表例。他にも、四角い胴体に雑な手脚がついた描写も多く見られる。
いわゆる緩急ギャグであり、手抜き絵が特徴的であるため見落としやすいが、よく見ると手抜きでない絵は総じて画力が高く、丁寧に描かれていることがわかる。
羽海野チカは『マサルさん』の手の描写に感銘を受けたと語っている。
- 頻出する他作品のパロディ。
軽めのタッチで描かれるソフトな画風から、いきなりつのだじろうや原哲夫などを彷彿とさせる劇画タッチの濃い画風に変化する。『ジャガー』では、『銀牙』のパロディを1話丸々行ったこともある。
また、うすたはセガの熱心なファンであり、ロボピッチャやスペースハリアーなど、セガに関するネタが作中にいくつか登場する。
- シュールギャグでありながら、中身は意外と青春っぽい。
「普通ではない部活やチームで、仲間と様々な活動を行う」「恋愛描写がある」という展開のいずれか、または両方が、読切含めほぼ全ての作品に見られる。いわゆる日常系作品に通ずるものがある。
島本和彦のことを最も影響を受けた漫画家であるとしている。また、長新太の名前を挙げ「影響を受けたもの全体を包み込むような別次元の存在」と語っている。
作品
連載作品
読切作品
- ザ★手ぬきくん対物酢御くんパァト1
2ページの読切(うち1ページ目は話と全く関係ない表紙絵)。
高い画力と手抜き絵が組み合わさったギャグであり、ある意味作者の作風を象徴した作品と言える。
- それゆけ!未確認飛行物体男
「俺は強い」の圧倒的説得力で悪党を懲らしめるヒーローUFOマンの活躍を描く。
続編に『やれいけ未確認飛行物体男性』がある。
UFOマンは後に『マサルさん』で背景出演している。
- 男一匹セニョリータ
県立鼻高校に転校してきた男が一夜にしてクラスメイトの心を掴むシュールギャグ。
マサル・マチャ彦・モエモエのプロトタイプっぽいモブキャラがいる。
- ビィフィータ
とある牧草地で、少年タンゴと彼が一目惚れした女性ジルバの出会いを描く。
作者自身「いい思い出がない」と語っており、事実絵が荒れまくっている。
- エト
恐怖の大王が噂された20世紀末、ある目的で地球にきた宇宙人エトと少年シブシゲの交流を描くハートフルストーリー。
『ジャガー』のアニメ映画と同時上映で映画化されており、エトは日村勇紀(バナナマン)が声を担当した。
- 忍者部隊ゲンバリング・ボイ
憧れの先輩の為に更生した元不良ガンマと、忍者を愛する女子高生ちとせが「忍会」として活動する青春ストーリー。
ちとせが可愛い。短編集の補足を読むともっと可愛く見える。
- もうちょっと右だったらストライク‼︎
審判員の養成学校に入学した村山音人が繰り広げる熱血ギャグ。
「もうちょっと右だったらストライク」とは「ストライクゾーンの境界線ど真ん中に球が投げられた状態」のことで、もうちょっと左だったらボールであり、要はストライク。
- ショルダータックルヤスザキマン
人々を守るヒーロー「安崎マン」と冴えない若者「安崎みちひろ」の板挟みで苦悩する男の生き様を描く。
安崎マンによって過酷な生活を強いられている怪人も併せて描かれている。
- ダブルマメダイチ
女子高生マメの下駄箱にあったラブレターの謎解きが、思わぬ展開を生み出すラブコメディ。
本作が掲載されたジャンプには『ジャガー』アニメ映画の宣伝漫画が掲載されていた。
- ポー
失踪した父が残した拳法を探し集める格闘家ポーの旅を描く。
ギャグ多めだが格闘漫画であり、バトルシーンに作者の画力の高さが発揮されている。
- うすた先生のダメなマスコットキャラをみんなで何とかしよう企画
ジャンプLIVE(少年ジャンプ+の前身)のマスコットキャラクター「モミー」(ジャンプ編集部の籾山氏がモデル)を、読者のアイデアを取り入れて漫画化する企画。
できあがったキャラクターは、兎にも角にもアゴが強すぎる。
- ゆるキャラ伝説 くまモンじゃないヤツ物語
熊本県出身の尾田栄一郎とくまモンのコラボ企画を行うはずが、集英社にくまモンじゃないキモいヤツが来てしまったというギャグ漫画。
ジャンプ掲載時はくまモンの使用許可を得ていなかった。
- Aボーイ〜溜め込んだ思い〜
アニメ大好き中学生マサキが萌えキャラの召喚を試みた結果、よくわからないアニメの主人公ザック・バランを召喚してしまうギャグ漫画。
読切の中では最も後味の悪い終わり方をする。
- パラレルワールドくん
イケイケ高校生カケルがうっかり窓ガラスをぶち破ったことでパラレルワールドに迷い込んでしまうギャグ漫画。
ブランクが空きすぎて描くのに半年かかったらしい。
- 間田敏和の微妙な冒険
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」の外伝読切。
間田敏和がスタンド能力に目覚めたばかりの時の話を描いているが、1999年設定なのにスマホが出てきたりと色々自由。
また、原作において小林玉美から語られた「間田のスタンド攻撃の餌食になった親友の名前と口論の内容」について説明されている。
余談
上述の第2回GAGキング特別賞を受賞した同時期のホップ☆ステップ賞では、同郷で同年齢の尾田栄一郎の作品が最終候補に選ばれている。
その際、両者とも「15歳・熊本」として紹介されたため、尾田の友人はうすたの作品を尾田の作品と勘違いしたらしい。
好きな漫画家に増田こうすけを挙げており、赤塚賞の審査時点で増田の投稿作品を高く評価していたことから「(増田の身内・友人以外で)一番最初にファンになったのは間違いなく自分だ」と公言している。『ギャグマンガ日和』の一巻帯で「単行本が出たら絶対買う」とコメントを寄せるなど、様々な場面で増田を支持している。
うすたが他作品へイラストを寄稿する際は、自身の作風に沿ったシュールなネタイラストを提供することがほとんどだが、『ジョジョの奇妙な冒険』連載25周年企画では、「QUEENの『シアー・ハート・アタック』のジャケットを基にした歴代ジョジョ集合絵」という一切ネタ無しのイラストを寄稿し話題となった。
音楽好きで、本人によれば「漫画家にならなかったらミュージシャンになっていた」とのことである。特にロックを好んでおり、楽曲のタイトルなどがたびたびパロディされている。また、アイドル好きでもあり、Twitterでよくアイドルのライブや楽曲の感想を投稿している。
『マサルさん』の単行本巻末には、個人的に交友のある美術家や音楽家の紹介が載せられていた。
札幌に移住する前は鎌倉に住んでいた。移住にあたり売却したものの(豪邸のため)なかなか買い手がつかず、2021年8月にはTwitterで物件紹介サイトのページを公開していた。その後ページは削除されたが、2022年7月時点も未だ買い手はついてない様子。