作品情報
作者 | 牛木義隆 |
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フォーマット | ストーリー漫画 |
ジャンル | ファンタジー |
出版社 | 芳文社 |
連載誌 | まんがタイムきららフォワード |
連載開始 | 2008年5月号 |
単行本既刊 | 全24巻+3巻(アンソロジー 4コマ漫画2冊、ストーリー1冊)+1巻(スピンオフコミック)+3巻(ガイドブック) |
連載状況 | 完結(2021年1月号) |
概要
牛木義隆によるファンタジー漫画『夢喰いメリー』は、まんがタイムきららフォワードを代表する長期連載作である。もともと作者は同人作品での活動が主だったため、メロンブックスなどの同人ショップでは単行本の初版に特典が付くことが多い。
きらら作品では珍しく、少年漫画のような熱血ストーリーが特徴。
ストーリー
高校生・藤原夢路は他人の夢の良し悪しが見える不思議な能力を持っていた。ある日、夢の世界から来たという美少女・メリーと出会い、大きく運命が変わり始める……。
登場人物
メインキャラクター
メリー・ナイトメア(CV:佐倉綾音)
本作のメインヒロイン。
幻界から現界に迷い込んだ夢魔であり、幻界へ戻る手段を探している内に夢路と出会い、紆余曲折を経て橘家に居候する事になる。
「夢もキボーもありゃしない」が口癖。
劇中では夢路の過去に関係のある描写があったり、夢路が負傷した際に鍵のような武器を出してエンギの白昼夢を破壊したりと謎が多い。
リボンのついた帽子がトレードマークであり、この帽子が元でメリーは夢路と出会う事になる。
羊をデザインモチーフとしており、瞳の虹彩やコートの裾などにその影響を見る事が出来る他、タンクトップにはいびきを意味する「Z」の文字があしらわれている。
何気に衣装がきわどい。
夢路の命名で『夢喰い』を名乗っているが、その正体は……。
藤原夢路(CV:岡本信彦)
本作の主人公。
人がその夜に見る夢の内容を、オーラの色という形で視ることが出来る高校生。
男性では珍しいと思われるアホ毛キャラ。
実家を離れて橘家に下宿している。
他人が見る夢の様子を知る能力を持つ他、人間に取り憑いた夢魔が発生させる『白昼夢(デイドリーム)』に入れる特異な存在であり、その能力からメリーに協力する。
特撮やテレビゲームが好きな熱血キャラ。ラッキースケベ。
夢魔ジョン・ドゥに『器』にされそうになった所でメリーに出会い、紆余曲折を経て同居する事に。
橘勇魚(CV:茅野愛衣)
夢路の幼なじみ。
メリーをドーナッツ好きにした張本人。
美術部所属。好きなアーティストはシンガーソングライターのyokato(CV:赤羽根健治)。
一つ屋根の下に居るために夢路には何回か風呂を覗かれた経験がある。
ジョン・ドゥ(CV:中田譲治)
夢路を現界での『器』にしようと狙う夢魔。二つ名は追跡者(チェイサー)。
配下に大量の猫達『リトルチェイサー』を従え、その包囲網で夢路を追い詰めるが、
突如乱入したメリーの妨害に遭い退散。以来、夢路の夢に留まり、夢路やメリーを『観察』している。
『真理の解明』を渇望する求道家で、本人曰く『真実の味方』。時として夢路にアドバイスを送る事も。
猫耳のような鉄骨が突き出たフード付ローブと白い仮面をまとい、ギロチンとノコギリが合体したような武器を使う。
光凪由衣(CV:秋谷智子)
夢路達とは違う高校に通う一つ年下の女子高生。
可愛い(と本人は思っているが、周囲からの評価は「ファンキー」)小物や人形が好きで、
語り出すと止まらない一面を持つ。
ある夜の夢の中で夢魔エンギ・スリーピースに出会い、彼女の願いを聞き入れ
現界に留まるための『器』となった。
ただし『器』と言うよりも『共有』と言う方が正しく、現界では有事の時のみ
エンギと由衣の人格を入れ替えて行動する。
エンギ・スリーピース(CV:遠藤綾)
由衣と身体を『共有』している夢魔。
西洋剣型の武器『霰茄子(さんなすび)』を用いた剣術を得意とする。
本来は双月花(ガーデン)の二つ名を持つ姉妹の夢魔であるが、
姉であるパティ・スリーピースが後述のエルクレスに殺され、
仇を討つため現界に流出した夢魔を探していた最中に
夢路、メリーと出会う。
白儀響(しらぎ きょう)
転入生。夏休み明けに夢路のクラスに転入した。
スポーツ万能で頭脳明晰。足りないものがあることに満足できないため、何か一つを選ぶことが苦手である。実は普通の人間ではなく、幻界そのものを庭とする夢魔であり(夢魔としての二つ名は幻界(レム))。
その他のキャラクター
霧島咲
夢路と同級生で、同じ文芸部に所属している男勝りな性格の女の子。
夢路と勇魚の関係をよくからかっている。
とある出来事から貴照を意識し始める。
秋柳貴照
夢路と同級生で、同じく文芸部員。夢路とは中学以来の付き合い。
よく川柳を詠むのだが、その行為にはとある理由がある。
星野鳴
夢路が所属している文芸部の部長を務める、眼鏡をかけた女の子。
将来は恋愛小説家を目指している。
一時期、夢魔クリス・エヴァーグリーンの『器』にされていたが、
夢路とメリーの活躍により解放された。
橘のおやっさん
勇魚の父親。喫茶STOのマスター。右目に傷があるが、隻眼という訳ではない。
独特な台詞回しと奇抜な行動で見る者に衝撃を与える。
元ネタは恐らく仮面ライダーの立花藤兵衛。橘朔也成分が入っているかは不明。
如月みなと
素足にスニーカーを履いている女子小学生。
大菅(CV:坂巻学)
六花高校の教師。生活指導を担当している。
河浪千鶴 (CV:植田佳奈)
アニメオリジナルキャラ。夢路のクラスに転校してきたミステリアスな少女。
ユミ(CV:山川琴美)
アニメオリジナルキャラ。セリオの器の少女。看護師になることが夢だった。
マサル(CV:五十嵐裕美)
アニメオリジナルキャラ。デルガの器の少年。グリッチョが大好きだった。
イチマ
友達のいない少女、みなとに取り付こうとしていた夢魔。二つ名は狐影(ロンリネス)。
友達のフリをしてみなとに近づき、「他の子供と遊んではいけない」と騙し続けて来たが、白昼夢の中でメリーに頬をつねられ送り返された。
そこ、「○花ちゃま」や「輝○さま」とか言わない。
クリス・エヴァーグリーン
鳴に取り憑いていた夢魔。二つ名は初恋薊(ラバーズ)。
鳴に恋をしていたが、直接会うことが出来ないために携帯電話のメール交換でコミュニケーションを取っていた。
ランズボロー
大学生の御堂ケンに取り憑いていた夢魔。二つ名は迷宮(メイズ)。
自由に形を変えられる「通りすがりの道化師」という迷路を所持しており、自分の白昼夢で戦うのが得意。
初登場の際に偶然居合わせたメリーやエンギを巧みな心理戦で惑わせ、まんまと逃げおおせたが、その後真の力に目覚めたメリーによってノワールと共に送り返される事になる。
単行本二巻の終盤で登場し、五巻で退場と、主役以外の夢魔の中では登場期間が長い。
ノワール
みなとの友達の古町日向子に取り憑いていた夢魔。二つ名は縛鎖(チェイン)。
エルクレスの仲間であり、彼の事を「エル」と呼ぶ。
二つ名の通り、鎖を操る能力を有しており、鎖を人型に紡いで兵隊のように使役する事も出来る。
真の力に目覚めたメリーによってランズボローと一緒に幻界へ送り返された。
エルクレス
夢魔が現界に流出する原因となったとされる、灯台(ファロス)の二つ名を持つ夢魔。
敵対した夢魔の白昼夢を侵食する能力を持っている。
エンギ・スリーピースの姉、パティを殺害した張本人。
レスティオン(CV:黒田崇矢)
千鶴に取り憑いている夢魔。千鶴からはレオンと呼ばれている。
セリオ(CV:高橋美佳子)
ユミに取り憑いている夢魔。中性的な子供の姿をしており、植物のような服を着ている。
デルガ(CV:近藤孝行)
マサルに取り憑いている夢魔。
フルヘルボーダーグリッチョ
夢路がよく見ている特撮番組。劇中ではパチスロにもなっている。
一翔(にのまえかける)が「グリッチョウィール」を腰の「グリッチョトラック」に装着することで変身する。
必殺技は愛用のスケボー、「ホーカーファイヤー」に乗って繰り出す「グリッチョオーリーキック」。強力な技ではあるものの、必ずどこかを捻挫してしまうという致命的な欠点を持つ。「正義を貫くためには自分自身も痛みを背負わなくてはいけない」との事。
単行本の裏表紙常連。
ちなみに彼のテーマ曲である『FBグリッチョ賛歌』は風雅なおとが歌っている。
柊 杏莉(ひいらぎ あんり)
由衣と菜桜の同級生。プロ漫画家志望。友人からのあだ名は「ラギ」。
雛桔 蓮(ひなき れん)
中学三年生。桔梗総合病院の跡取。多忙が故に自身を気に掛けなかった父母の気を引くために不良行為を繰り返すが、逆にそれが原因で家庭崩壊を引き起こす。夢魔のカルチェと共存する形で器となり、カルチェと合体(超夢幻位相合体)して、暴走する他の夢魔を無力化していた。
堀江 菜桜(ほりえ なお)
(CV:浅野真澄)
由衣の小学校からの親友で同じ吹奏楽部に属している(楽器はトランペット)。由衣に肩を揉んでもらうことが好き。由衣と共に全日本コンクールの本戦出場を目指している。
TVアニメ
2011年1月から4月までTBS、MBS、CBC、RKK、BS-TBSにて放送された。
アニメーション制作はJ.C.STAFFだが、監督の山内重保を始め東映アニメーション絡みのスタッフが多い。ただ東映アニメ程の厳しい予算(枚数)制限がないため作画はかなり良質で、関連スタッフの本気が見られる。また、山内特有の演出で白昼夢と現実世界のギャップを彩っているのが特徴。
評価・風評被害について
炎上騒動について
原作が連載開始して三年程度の作品であるため、当初からオリジナルのラスボスを用意したうえで展開していた。
オリジナル展開については、企画の準備を考えると連載のそれなりに早い段階で進められていたと思われるため、いろいろとやむを得ない状態での映像化であった。
一般的に黒歴史、クソアニメと揶揄される評判の悪い作品だが、放送当時はそこまで一辺倒に批判されていたわけではない。
この作品が一気に不評となったのは監督の山内重保がイベントにおいて長峯達也と対談した際、本作の反省に触れ「でも失敗してますよね。上手くまとめれなくて…」と自作を評価。要するに失敗作と切り捨てたことに際し、作者の牛木義隆がショックを受けたことに端を発する。
放送当時から原作ファンを中心にある程度不満の声があった一方、一定の評価も得ており、特にオリジナルの敵役には人気があった。このオリジナルの敵は作者の牛木にも好感触で、ファンアートを描く(上記)など、好意的にアニメを楽しんでいた。
しかしこれを受けて原作ファンを中心に「監督は適当に作品を作って勝手に失敗して笑い飛ばした」と拡散。一気に作品の評判が悪化したという方が近い。この伝聞を受けて牛木も以降は本アニメにはほぼ触れていない。
しかしこの発言、イベントのコメントをまとめた人物曰く、拡散者であるまとめブログ(やらおん)によって悪意を持って捻じ曲げられており、「失敗作として切り捨てたのではなく、“もっと上を目指せたのではないか”、と最後まで悩んだうえの発言」としており、もっと言えばカットをまとめるのに失敗したという意味に過ぎない。よって本作を駄作と切り捨てたわけでも笑い飛ばしたわけでもなく、クリエイターなら誰でも陥る感覚の話をしただけである。
つまりコメントを捻じ曲げてを広めたのはこのレポートを悪意を持って面白半分で広めたまとめブログ(重ね重ね記すがやらおん)である。しかも抗議を受けた管理者は何の応答もせず、コメント欄の炎上を放置して盛り上げるだけ盛り上げた結果、記事を消して何事もなかったように逃亡している。
それを抜きにしても、必ずしも高い評価を得た作品とは言えないのも事実である。が、演出や個性的な敵役等に惹かれる視聴者が居たことも紛れもない事実。
散々に言われているが、その評価の多くはこの炎上騒動で形作られ、本アニメのアンチがそれに乗っかって過剰に貶めている部分も多分に含まれることは留意しておくべきである。
擁護など
一応二年以上の連載が続いていたとはいえ、一本のアニメとするにはまだストックが不足している状態であった。1クールという枠の取り方も作品の構成を考えるとかなり無理があるものである。
こうした制約の中でオリジナルの展開を投入するのはある程度仕方ない部分も多かった。ある意味本作の炎上によりオリジナル展開がより忌避されるきっかけを作ったとも言えるか。
かなり制約の多い中で本作は制作されており、山内曰く「完成した後も、寝ている間に別のコンテが頭の中で練り上がっていき、一本書き上がってしまった」という程、特に構成面では結末部分でかなり苦慮していた。少なくとも炎上で騒がれたような適当な仕事をしたわけではない。
とにかく、あまりに枠的な制約が構成をまとめるうえであまりに厳しかったことが足を引っ張った、ということは想像に難くない。また、先の炎上案件で本作を失敗作と触れ回った人々に対し憤りを感じる人間も多数居たこと。これら諸々のことは本作の関係者の名誉のため記しておく。
主題歌
オープニングテーマ
- 「Daydream Syndrome」
作曲/作詞/編曲:void(IOSYS)
歌:藤原鞠菜
エンディングテーマ
- 「ユメとキボーとアシタのアタシ」
作曲/編曲:ARM(IOSYS)
作詞:はかせ(IOSYS)
歌:メリー・ナイトメア(佐倉綾音)
各話リスト
話数 | サブタイトル |
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第1話 | 夢現 |
第2話 | 夢もキボーも |
第3話 | 夢の向こうから |
第4話 | 夢喰いメリー |
第5話 | 夢邂逅 |
第6話 | 夢と水着と海の色 |
第7話 | 夢回廊 |
第8話 | 夢乱れて |
第9話 | 強風空想 |
第10話 | 夢から覚めずに |
第11話 | 夢の守り人 |
第12話 | 夢魘(むえん) |
第13話 | 夢、ふたたび |
きららファンタジア
2018年2月15日にはソーシャルゲーム「きららファンタジア」への参戦がアナウンスされ、2月16日に実装された。
最初はメリーと勇魚の2人だけだったが、後にエンギと由衣が実装された。