曖昧さ回避
仮面ライダーシリーズにおいて「立花藤兵衛」の名前を持つキャラクターは複数いる。
- ドラマ『仮面ライダー』を始めとする昭和仮面ライダーシリーズにおいて、歴代の仮面ライダーたちのサポートをしてきた「おやっさん」。
- 漫画『仮面ライダー』において、本郷猛に仕える執事。
- 映画『仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』において、明日夢が住む村を治めている村長。
- 小説『仮面ライダー1971-1973』において、喫茶店「アミーゴ」のマスターを務める、元・緑川家の執事。
- 映画『仮面ライダーTHE FIRST』において、オートバイショップ「立花レーシング」を経営する店長。
- 映画『スーパーヒーロー大戦GP』において、本郷家に仕える執事。
本項では、以上のすべてについて解説する。
昭和ライダーシリーズ
演:小林昭二
初代「仮面ライダー」から「仮面ライダーストロンガー」まで様々な形で仮面ライダー達をサポートした人物。
あくまでパロディ作品ではあるが、「仮面ノリダー」でも相変わらずライダー…というかノリダーの良き理解者として時に厳しく、時に優しく猛を支えた。
当時の設定資料によると、1971年時点で42歳。逆算すると、昭和の極初期生まれに当たる。
すがやみつるのコミカライズだと、第二次世界大戦時は日本軍の元軍人であり、意外にも航空隊に属し、特攻隊員であった。同コミカライズや『仮面ノリダー』、『仮面ライダーEVE』では、実は既婚者であったが、妻と大戦中の混乱で生き別れとなったことが語られている。また、元レーサーで家族がそのレースを観に行こうとして交通事故にあって亡くなったというものもあった。
特に、親を早くに亡くした本郷とは幼少期から親子のように仲が良かった。『S.I.CHERO SAGA』の設定では、本郷の亡父の親友であり、本郷が赤ん坊のころから知っている。
ライダーを始め多くの人々から「おやっさん」と呼ばれ慕われている(初期は本郷に「立花さん」、滝和也には「おやじ」と呼ばれていた。一文字が「おやじさん」と言い出し、以後はそれがなまって定着したと思われる)
本郷猛、一文字隼人、風見志郎、神敬介、木梨猛らが戦意を失った際に叱咤激励する一方で、彼らが勝利した際には誰よりも暖かく迎える。
1号ライダーやV3など、歴代ライダーを鍛え、新たな必殺技を生み出すのにも協力している(1号の「電光ライダーキック」、V3の「マッハキック」など)。変装も得意であり、また本郷の実験の助手を務める機会もあった。
またその指導力を買ってショッカーの死神博士にトレーナーとしてスカウトされた事もある、ただしそれ以外に選択肢が無かったのと弱点を見極める目的があったと思われる。
最初は喫茶店「アミーゴ」を経営していたが、本郷が日本を去ると「立花レーシングクラブ」というバイク店を開業。その後も「V3」ではスポーツ用具店「セントラル・スポーツ」、「X」ではコーヒーショップ「COL」を経営していたが、「アマゾン」「ストロンガー」では不明(アマゾンでは初登場時にはレースに参加していたり、ストロンガーでは流浪の身であったため、漫画『仮面ライダーSPIRITS』では城茂と二人でバイク屋をやっているようだった)。
敵の目を欺く為か、頻繁に職や店舗を変えるが営業開始日に花輪が送られてきたり正月に年賀状が送られてきたり店が怪人に荒らされ、敵の組織に弁償させたいと息巻いたらその組織の幹部がすぐに弁償金をポンと渡しに来たりと明らかに拠点の所在がバレている。
しかも敵も敵で所在がわかっているのにいきなり襲撃することなく花輪を送ったり、年賀状を送るなど妙に律儀なところが回りくどいことで有名な宇宙人を髣髴とさせるところがある。(まさか、と思うが実際にやった人達がいるが、ライダーをおびき寄せて偽物を用意したりする作戦の前段階であったりなど、そこまで違和感のある設定ではなかった。またガニコウモルとライダーが相打ちになり消息を絶った時に時限爆弾入りの葬式の花輪が送られてきたなど、妙に礼儀正しい)
コーヒーを淹れる腕は一流であり、本郷をはじめとしたライダーたちの好物であるほか、人間態で訪れたアポロガイストも唸るほど。
客演
仮面ノリダーシリーズ
中目黒にある喫茶店「アミーゴ」のマスター。
作品がコントであるためコミカルな演技が多かったものの、ノリダーが窮地に陥った際には単身でジョッカー基地に侵入して彼を助け出したり(「恐怖コウノトリ男」)、マリナが重傷を負ったことで動転する木梨猛に愛のムチを振るう(「恐怖スチームアイロン男」)など、本家ライダーシリーズを思わせる活躍を見せた一方で「アミーゴ」の地下にノリダーの秘密基地を造ったり、続編の『仮面ノリダーV2』では傷ついたノリダーV2・一文字マモルの負傷を治す活躍も見せている。
本作では、ウルトラマンのムラマツキャップ(これも小林氏の代表作)にも扮して見せた。(一方で、両者が登場するスーパー特撮大戦2001では全く絡みがなく、話題が出た際にくしゃみをする程度。)
仮面ライダーSD
仮面ノリダー放映の二年後に制作されたOVA。マイティライダーズの総監督。
ウルトラマンゼアス・パロディ篇
本家の公開終了前日に『とんねるずのみなさんのおかげです』でOAされた。役や設定はほとんど「ノリダー」を踏襲している。
この出演が小林氏が最後に演じた立花藤兵衛となった。
なお小林氏は本家では全く別の役で顔を出している。
この他にもスカイライダー本編が開始される前の特番で、東映の撮影所を訪れ、7人ライダーの戦いを子供たちに語るとともに、スカイライダーの番組紹介を行ったこともある。
ゲーム版『仮面ライダーV3』
2000年発売のプレイステーション用格闘ゲーム『仮面ライダーV3』において、使用可能キャラの1人として登場する。(変身前はなんと珠純子、変身で純子と交代する)
ボイスは故人である小林氏のライブラリ出演であるため、声の種類は少ない。
モーションもデストロン親衛隊戦闘員からの流用である…のだが、その性能は凄まじく高く、マシンガンのごとくパンチを連打し、一方的に敵を秒殺する事もできる。
バトルモードをクリアすると、デストロン首領を爆殺し、無言で立ち去るおやっさんを見る事ができる。
映画『仮面ライダー1号』
2016年公開の『仮面ライダー1号(映画)』では、すでに小林は故人であるため、写真出演という形で登場。本作では先述のEVEとは別に孫娘の立花麻由も登場する。
身体能力
一般人とは思えないほど身体能力が高く、戦闘員程度ならボコボコにできるほどの戦闘能力はある。
また、ゲルショッカー怪人・イノカブトンの角を戦闘員の短剣で叩き折り、仮面ライダー1号の窮地を救った。
イノカブトンの毒ガスで、凶暴化して暴れて身体の自由が利かないながら言い放った、「見損なうな!悪魔に魂を売るような…俺と思うか!?」は名言。
その身体能力は仮面ライダーが新しい必殺技を編み出すための特訓を行う際にも生かされており、仮面ライダー1号の頭上に崖上から巨大な岩石を投げ落としたり、変身したXライダー相手に模擬戦闘をやってのけたこともある。
エンジニアとして
非常に知識が豊富で手先も器用であり、本郷と共同で新サイクロン号を製作したり、香坂教授が遺した設計図だけでアマゾンライダーのマシン ジャングラーを製作するなどの技能も持つ。
『仮面ライダーSPIRITS』では、大破した仮面ライダーZXのマシン、ヘルダイバーを修復した。
「V3」ではクレーン車を運転しており、大型特殊免許も保有しているようである。
悪堕ちに定評のあるおやっさん
彼が登場する作品のすべてにおいて、催眠術や洗脳の効果を受けて悪落ちしてライダーと敵対する。しかもそれが一作の1クールにつき一回は必ずあるレベルの高頻度で繰り返されるので、もはや伝統芸能の域である。
漫画版
禿げかけた頭に口髭を生やした風貌で、本郷家に先代から仕える執事として登場した。「本郷家の財産のほとんどをつぎ込んで地下に研究所を作るなどの様々なバックアップをする」など、どこかバットマンのアルフレッドを彷彿とさせるキャラクター。
名前の『藤兵衛』が示現流師範家を意識したものかは不明だが、剣道の有段者という設定。
同じく石ノ森章太郎がテレビマガジンで連載していた『仮面ライダーアマゾン』にも同様のキャラ付で登場する。
続編である『仮面ライダーEVE』では、30年以上の時が経過しても風貌は変わらず、脳髄のみとなった猛に仕えていた。ガイボーグ・門脇純に対して暖かく接し、彼を支える力となっている。今作では生き別れた妻が子を身ごもっていた事、自身も認知していなかった孫がいたことが明らかになっている。
また、すがやみつるや山田ゴロが描いたコミカライズ版にも登場。容姿は上記の漫画版、内面はテレビ版というキャラクター付けがなされていた。
仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼
演:下條アトム
猛志関東支部の事務局長立花勢地郎の先祖。他の作品の藤兵衛との直接の関係はなく、名前をオマージュしただけ。
村を守る為にやむなく生贄を魔化魍に捧げていたが、鬼の力を借りる事を決意。
オロチ撃破後は、偏見に晒される鬼たちをサポートすべく、猛士の創業者となった。
HEROSAGAでは、現代の響鬼が藤兵衛に勢知郎の面影を見て、なんらかの関係があると思われた。
小説版
『仮面ライダー1971-1973』ではTVドラマ版同様に喫茶「アミーゴ」のマスターであるが、緑川家の執事として働いていたという漫画版を彷彿とさせる経歴を持つ。
本郷猛がその超人的な能力をもってしてもショッカーによる犠牲者が一向に減る事のないという事実に絶望した際、以前彼に助けられたという女性の話を語り勇気づけた。
その後は本郷猛の良き協力者として尽力するようになる。
HEROSAGAでは物語の鍵を握る人物としてなんども登場している。
『DEN-O EDITION -1971年4月3日-』で改造寸前の本郷を助けた事で彼が仮面ライダーにならない歴史を作ってしまったり、『ロスト・トレイン』では最終決戦ののちに日本を去っていく仮面ライダーたちに対して寂しさの感情を隠せずにおり、そこをイマジンにつけ込まれて昭和ライダー喪失事件の切っ掛けになってしまった(というよりも、作中の描写からイマジンが純粋に彼の願いを叶えようとしたものと思われる)。
この作品ではおやっさんの異なるスカイからZXまでのライダーとは初対面という設定であるものの、余命幾ばくもない最晩年時に最終決戦を放り出してまでデンライナーに乗って会いに来た昭和ライダー達に感激する。歪な形ではあったが、彼の願いはようやく叶えられたのであった。平成ライダーたちが彼らの代わりに戦う事になったのもこれが理由である。
『DECADE EDITION』ではストロンガーの世界における立花が登場しており、城茂の役割を演じている士を茂本人だと勘違いしていた。
仮面ライダーTHE FIRST
演:宮内洋
オートバイショップ「立花レーシング」の店主であり、本郷猛に何か大きな変化があった事を見抜いて彼にサイクロン号を提供した。
その後明確な描写は無いものの一文字隼人が本郷と協力する事になった際には一文字にもサイクロン号を提供したようである。
宮内は、昭和ライダーシリーズで風見志郎/仮面ライダーV3を演じた。
スーパーヒーロー大戦GP
演:井手らっきょ
漫画版と同じ「本郷家の執事」で、風貌も漫画版を再現しており、今までのテレビや映画作品とは違うスタイルでの登場となった。しかし、実は「ある悪の怪人」が変装した姿である。
まさかのキャスティングに、ファンも驚いた。
井出がキャスティングされた理由は、おそらく彼の台詞にあるのかもしれない。
立花藤兵衛が、8号ライダーと出会わなかったのは何故か?
小林氏は、当時の東映プロデューサーだった平山亨氏から藤兵衛の役で出演して欲しいと頼まれていたのだが、何度か断りを入れていた。
平山氏は『小林さんのスケジュールにも合わせるし、出演料も尽力するので…』と言われた時に「平山さん、俺は【出演料が低いから役を降りたい】のが理由じゃあないんだ。役者さんってさ、我儘もんでさ【この役を演じた。次は、この役を演じてみたい。】って次から次にドンドン挑戦していきたくなるんだ。 俺のことをこんなにまで思ってくれているのに、ごめんね。 俺は立花藤兵衛という役から外れて、小林昭二という役者として次の段階に進みたいんだ」という旨を打ち明け、これには平山プロデューサーも、感銘を受けたという…。
しかし、おやっさんポジションとして登場した志度敬太郎博士役の田畑孝氏が療養のため降板するにあたりふたたび白羽の矢が立ったものの辞退する。
ただし、塚本信夫氏を推薦しており谷源次郎の裏設定として立花藤兵衛と面識があるとなった。
では、何故ノリダーで立花藤兵衛役のオファーを受けたのかというと当時の「みなさんのおかげです」スタッフがパロディ作品でありながらも熱心に小林に頼み込んだ事で実現したという。
余談
当時放送されていた「テレビ探偵団」にてゲスト出演をした時に、「(仮面ライダーシリーズで、自分が出演していたのは)初代からストロンガーまでなんです」と覚えており、『長い事一緒にいると情が湧いてくるんですよ』とも語っていた。
立花藤兵衛が咥えているシガーパイプは、小林氏の私物。
また、喫茶アミーゴ自体は梅ヶ丘駅付近にあった実在の喫茶店だったらしい。外観もほとんどそのままだったとのこと。→参考:外部リンク
関連タグ
仮面ライダーV3 仮面ライダーX 仮面ライダーアマゾン 仮面ライダーストロンガー 仮面ノリダー(小林氏が最後に立花藤兵衛を演じた作品) 仮面ライダー(新)(番組の宣伝をした)
ムラマツキャップ:身体能力に難のある宇宙人程度なら太刀打ちできる科特隊隊長。この頃から小林昭二氏の強さの片鱗が見えていたという事であろうか。「ダメだおやっさんは強い!」
因みに客演先ではなんと双子の兄弟設定が付けられた。兄弟揃って末恐ろしい…