猛士
たけし
人々を魔化魍から守るため人知れず戦っている組織。本部は奈良県吉野山にある。
一般人に存在は秘匿され、表向きはオリエンテーリング普及の為のNPO団体・TAKESHIということになっている(1980年代から名乗り始めた)。TAKESHIブランドでアウトドアグッズも販売しており(放映時はクロスターという会社から実際に発売もされた)、魔化魍捜索の際のキャンプに使っているアウトドアグッズは同ブランド製品である。
また使用する車両も全て本部(吉野)からの貸与品のため、関東支部であろうと全て奈良ナンバーである。
魔化魍と直接戦う鬼とそれをサポートする人々で構成される。倒すべき魔化魍と出陣する鬼毎にスケジュールが管理されており、出現した魔化魍の特性や属性に適した鬼が戦いに駆り出される。
基本的に魔化魍1匹につき鬼となって戦う人数は1人なので(斬鬼のように弟子がいる場合もある)、劇中では威吹鬼や轟鬼が当番の場合は、主人公である響鬼が変身して戦わない話もある。ただし、強力な魔化魍の特性により1人では対応しきれない状況や過去に清めた前例が極めて少ないレアな魔化魍に対しては2、3人の鬼で協力して戦うこともある。
最も特筆すべき点は、徹頭徹尾、人類を助ける為に存在した正義の組織である点。
猛士に所属している鬼たちは、裏切り者や悪の力に溺れる者が本編では1人も存在せず、ライダーバトルが一般化した平成一期の中では珍しく、ライダー同士の衝突がほとんどない。
また、平成ライダーに登場する仮面ライダーの支援組織は、大なり小なり何かしら問題を抱えていることが多く、中には明確に人類に対して敵対したり、非常に大きな被害を与える組織も珍しくないが、猛士だけはそう言う後ろ暗い要素は一切なかった。
これは悪のライダーが頭角を現しやすい平成ライダーにおいては非常に珍しいパターンであり、この作品が異色である事が強調されている点でもある。
劇場版によればオロチを退治した鬼戦士への感謝を込め、立花藤兵衛(立花家の祖先)が当時、差別の対象であった彼らをサポートする組織を立ち上げようと提案した事が組織のルーツとされる。組織名は当代の明日夢が兄の名前に倣って名付けた。
一方で小説版では奈良にある吉野の隠れ里がルーツとされている。
本編外の媒体で2つの異なるルーツが描かれているが、どちらをTVシリーズの前史としても矛盾が出てくる為、その作品での設定と見るべきだろう。(どちらの設定でも『仮面ライダー響鬼』が始まる事に変わりはないと思われるが。TVシリーズでは両方の要素が折衷された前史なのかもしれない。)
『仮面ライダー響鬼特写写真集「魂」』(朝日ソノラマ)では平安時代から組織の原型が存在するという設定が明かされた(小説版でも安倍晴明らの系譜にあるとされている)。やはりこの書籍でも吉野に鬼の里が置かれている為、小説版の設定はこちらがベースなのであろう。イブキこと和泉伊織はこの里にある名門「和泉家」の出身である。
「猛士」の名称の由来に関しては各メディアで別れており、仮面ライダー図鑑では映画同様に戦国時代の青年から取られたとする一方、「魂」では昭和21年頃に付けられたものだとされている。映画と本編はパラレル設定であるが、仮面ライダー図鑑の記述を信じるならば、本編の世界線でも「猛士」という名の青年がいたという事なのであろうか…?
TDB(猛士データバンク)という過去に戦ってきた魔化魍のデータを体系化したデータベースが存在し、担当の音撃戦士に討伐対象の魔化魍の情報がプリントアウトされる。また、魔化魍には生育条件が存在している為、気象などの観測も行われる。近年では情報を入力する事で出現する魔化魍を予測する「魔化魍出現予測システム」が開発された為、出現する魔化魍の特定に対する手間はある程度削減された模様。とはいえ、古文書から魔化魍を検索するというアナログな手段が取られる事も少なくはない。
一方で魔化魍側もこれまでの出現法則に捉われないタイプの魔化魍が出現し始めている為か、特定も困難を極めている様子。
東京都葛飾区柴又にある甘味処「たちばな」に置かれている。主に本編に登場するのはこの関東支部である。
関東支部に所属する鬼は11人。雑誌などでは「関東十一鬼」と呼ばれる。
各キャラクターの詳細は該当項目参照。
- 支部長・立花勢地郎【王】
- 小暮耕之助【銀】
音撃武器などを開発する開発局に所属する中年男性。
タメ口を使ってきた警官を叱り飛ばすなど非常に礼儀作法に厳しい体育会系である為、関東支部の面々からは非常に恐れられている。その一方で、歌唱力に優れている他、立花日菜佳らが小学生時分にショートケーキのイチゴを食べた事を根に持っている、イブキやみどり相手ではペースを乱されるなどのお茶目な一面も(歌唱力に優れているのは演じた人が布施明だからなのだが)。
「アームドセイバー」が自慢の発明品である事もあって、適合できなかった鬼戦士を「未熟さを棚に上げている」と評するが、みどりに「アームドセイバーの出す波動が強すぎるし、そもそも人間の体には限界がある」と指摘されると流石に落ち込んでいた。
彼の特訓方法は非常に独特であり、ヒビキ達にアームドセイバーを使いこなすための特訓として発声練習を課した(曰く、宇宙の波動を取り入れ、己の波動を腹の中でもう一度練り直す為の特訓らしい)。
一応特訓の末にヒビキはアームドセイバーで装甲響鬼に変身成功するが、実はアームドセイバーは洋館の男女によってデチューンされており、それも無ければ使いこなせなかった可能性は否定できないというなかなかにアレな代物である。
かつては「コウキ」の名前で1日に10体の魔化魍を葬ってきた音撃戦士でもあり、“疾風鋼の鬼”と恐れられていた。
演:小泉孝太郎
劇場版『7人の戦鬼』に登場。
戦国時代の人物であり、当時の明日夢の兄。そして当時のヒビキの弟子だった青年。
鬼になることを目指してヒビキのもとで鍛冶をしながら修行していたが、豪雨の中、山間を歩いていた所、土砂崩れに巻き込まれて命を落とした。
彼の死が、明日夢のヒビキへの憎しみ、そしてヒビキが鬼を退いたきっかけとなった。しかし、生前の彼がヒビキの為に作ろうとして失敗した刀が明日夢とヒビキの間に出来た溝を埋め、事態を乗り越えるきっかけになった。そして、現代編ではその刀が現代の明日夢とヒビキ達を救う力になる。
そして、オロチとの戦いを経て村民からの偏見が無くなり、彼らが立ち上げた鬼を補助する組織の名として明日夢が提案した「猛士」が採用された。