曖昧さ回避
- 立憲民主党(ロシア):1905年に結党されたロシア帝国の政党。
- 立憲民主党(2017-2020):2017年衆議院選挙の際に、民進党の事実上の解党に伴って結党した政党。下記の結党に伴い解党した。
- 立憲民主党(2020-):2020年に2017年結党の旧・立憲民主党と旧・国民民主党、民主党系無所属議員が合同して結党し、2021年に社会民主党の一部が合流した政党。
⇒2と3について本項で扱う。
概要
立憲民主党(英称:The Constitutional Democratic Party of Japan,CDP)は、日本の政党である。
2017年結党-2020年解党の旧党と2020年結党の新党は手続き上別の政党ではあるが、同名の実質的な後継政党である。
この党名は民主党が維新の党と合併する際に民主党側が提示した新党名でもあった。
英称として「Constitutional Democratic Party of Japan」と定めているが、戦前の二大政党であった立憲民政党の英称も「Constitutional Democratic Party」である。
党史
前史
2017年の第48回衆議院議員総選挙を目前に民進党は党内部のごたごたなどもあり勝利は不可能との予測がされており、党勢の回復が党運営の課題となっていた。
それを見た民進党代表の前原誠司は希望の党への合流を提案、「民進党の出馬予定者は全員希望の党に全員合流する」と説明し、党所属国会議員の同意を得たものの、希望の党代表である小池百合子は「憲法改正」、「集団的自衛権への賛成」そして「他の政策は党代表へ一任する」ことを合流条件に提示した(いわゆる排除の論理)。さらに日本維新の会と協定を結び「大阪府には共倒れ防止のため候補者を立てず、東京都には維新の候補は立てない」ことを約束してしまった。
これにより一部の党員、具体的には民進党リベラル派や大阪府から出馬予定であった候補者の大半などが合流を拒否、あるいは不可能となり、民進党国会議員団は分裂することとなった。
また、北海道など、「野党共闘が比較的成功していた地域」からも不満は続出した。
「党首自らによるクーデター」と言えるこの事件は、右派に属する前原がリベラル派を排除することを目的としていたとみる人も存在する。
結果、民進党の立候補者は次の3つに分裂した。
- 希望の党:上述した政策に同意し、小池百合子氏に「排除」されず公認を得られた者
- 立憲民主党:「排除」され希望の党の公認を得られなかったか、そもそも希望の党の政策に同意できなかった者
- 無所属:上記以外で諸事情から無所属での出馬となった者(例:山尾志桜里)や民進党員ながら自らの意思で無所属の形式で出馬した者(例:平野博文)
2017年の旧党結党
この過程で生まれた政党が、先の民進党代表選で敗れた枝野幸男が党首となった立憲民主党である。
2017年10月2日に結党(届け出は翌3日)。
結党当時の略称は「民主党」だったが、国民民主党との協議の結果、2019年4月から解党まで「りっけん」だった。報道時の表記は立憲民主、立憲、立民、立等。
選挙の結果、公示前の17議席から大躍進し55議席を獲得。衆議院における野党第一党となった。この時点では参議院に議席を有していなかったが、民進党の正式な解党に伴って入党や会派入りが増え参議院でも野党第一会派となった。
当初は民主党系政党との合流には消極的であったが、2019年の参議院選挙の結果を受けて方針を転換、国民民主党との合流を目指した。しかし、立民側を存続した上で国民を解党、吸収合併することを目指した立憲民主党と、双方が解党し対等な上で新党を結党することを目指す国民民主党との認識の違いから一旦破談となる。その後2020年7月に立民側が譲歩した形で両党解党の上での新党結成案のもと合併協議が再開。同年9月14日に解党し、民主党(旧・国民民主党の合流推進派が分党した暫定政党)、無所属の会と共に新・立憲民主党へ移行した。
2020年の新党結党
2020年9月15日に上記の旧・立憲民主党と保守派である旧・国民民主党の大部分とが対等合併し、さらに民主党系無所属議員が合流して新・立憲民主党が結党された。2021年には社会民主党の一部も合流したが、こちらは福島瑞穂が政党としての合流を拒否したため、議員・党員の個人単位での入党となった。母体となった前身政党の一つと名前、代表が同一であり、政治的立場もほぼ同様だが、1998年の民主党結党時とは異なり法人上も新たに設立されたため完全な新政党である。
「立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守り育て、人間の命とくらしを守る、国民が主役の政党」とし、続いて自由と多様性の尊重、共生社会の創造、国際協調、未来への責任を果たすことを基本理念に掲げる。公式カラーは青。
2021年の衆議院選挙にて、(比例代表区で)大きく議席を減らした結果、枝野幸男代表は選挙の責任を取って辞任。2021年11月30日、党代表が泉健太へ移行した。
2024年には野田佳彦が代表に就任した。
役職
この政党の党首は『代表』である。
歴代代表
代 | 代表 | 任期 | |
1 | 枝野幸男 | 2020年9月15日〜2021年8月30日 | 旧立憲代表。2021年衆院選の結果辞任後党則により後任が決まるまで代表を継続 |
---|---|---|---|
2 | 泉健太 | 2021年11月30日〜2024年9月23日 | 旧国民出身。任期満了により退任 |
3 | 野田佳彦 | 2024年9月23日〜 | 第95代内閣総理大臣。立国合併後に入党した者としては初(希望に排除された当初は立憲に入党せず無所属で活動) |
政策
1.基本理念
立憲民主党は、立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守り育て、人間の命とくらしを守る、国民が主役の政党です。
私たちは、
「自由」と「多様性」を尊重し、支え合い、
人間が基軸となる「共生社会」を創り、
「国際協調」をめざし、「未来への責任」を果たすこと、
を基本理念とします。
私たちは、この基本理念のもと、一人ひとりの日常のくらしと働く現場、地域の声とつながり、明日への備えを重視し、国民の期待に応えうる政権党となり、この基本理念を具現化する強い決意を持って立憲民主党を結党します。
2.私たちのめざすもの
(ア)立憲主義に基づく民主政治
私たちは、立憲主義を守り、象徴天皇制のもと、日本国憲法が掲げる「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を堅持します。
私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。
私たちは、草の根の声に基づく熟議を大切にしながら、民主政治を守り育てます。
(イ)人権を尊重した自由な社会
私たちは、公正で透明な社会システムを通じて、人間の営みと基本的人権を尊重した自由な社会を構築します。
私たちは、あらゆる差別に対し、断固として闘います。
私たちは、性別を問わずその個性と能力を十分に発揮することができるジェンダー平等を確立するとともに、性的指向や性自認、障がいの有無、雇用形態、家族構成などによって差別されない社会を構築します。
(ウ)多様性を認め合い互いに支え合う共生社会
私たちは、一人ひとりが個人として尊重され、多様な価値観や生き方を認め、互いに支え合いつつ、すべての人に居場所と出番のある共生社会を構築します。
私たちは、地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します。
私たちは、多様な生物や自然環境との調和をはかり、持続可能な社会をめざします。
(エ)人を大切にした幸福を実感できる経済
私たちは、公平に開かれた市場の中で、目先の効率性だけにとらわれずに、人を幸せにする経済をめざします。
私たちは、「人への投資」を重視し、過度な自己責任論に陥らず、公正な配分により格差を解消し、一人ひとりが幸福を実感できる社会を確立します。
私たちは、食料やエネルギー、生きるために不可欠なサービスなどを確実に確保できる経済をめざします。
私たちは、科学技術の発展に貢献するとともに、個人の情報や権利が保護され、個人の生活が侵害されない社会をめざします。
(オ)持続可能で安心できる社会保障
私たちは、持続可能で安心できる社会保障制度を確立します。
私たちは、生涯を通じた学びと挑戦の機会を確保し、一人ひとりが、働き方やくらし方を柔軟に選択できる安心社会を実現します。
私たちは、社会全体ですべての子どもの育ちを支援し、希望する人が安心して子どもを産み育てることができる社会をつくります。
(カ)危機に強く信頼できる政府
私たちは、政官財のしがらみから脱却し、現実的な未来志向の政党として、政治と行財政の適切な改革を着実に実行します。
私たちは、実効性のある公文書管理と情報公開を徹底し、透明で公正な信頼される政府を実現します。
私たちは、災害や感染症などの社会的危機に際しても、確実に機能する実行力のある政府を実現します。
私たちは、東日本大震災をはじめとする災害からの復興に全力を尽くします。
私たちは、多様な主体による自治を尊重し、地域の責任と創意工夫による自律を可能とする真の地方自治の確立をめざします。
(キ)世界の平和と繁栄への貢献
私たちは、国際協調と専守防衛を貫き、現実的な安全保障や外交政策を推進します。
私たちは、健全な日米同盟を軸に、アジア太平洋地域とりわけ近隣諸国をはじめとする世界の国々との連携を強化します。
私たちは、国際連合などの多国間協調の枠組みに基づき、気候変動などの地球規模の課題にも正面から向き合い、国際社会の恒久平和と繁栄に貢献します。
私たちは、人道支援、経済連携などを推進するとともに、核兵器の廃絶をめざし、人間の安全保障を実現します。
私たちは、自国のみならず他の国々とともに利益を享受する「開かれた国益」を追求します。
私たちは、日本の文化芸術を大切にするとともに、世界の多様な文化と交流しつつ、幅広い文化芸術活動の振興をはかります。
国会議員
政治的思想・立場
立憲民主党は「立憲主義の回復」を旗印にしており、旧民主党の右派と左派が同居する政党としての性格を継承しつつ、前原誠司や細野豪志といった民主党保守派の中心的存在であった政治家の多くが自民党や国民民主党といった別政党へ別れたこと、また、かつて掲げた規制緩和などの自由経済的な政策を否定し、反新自由主義を明確に打ち出すなど比較的左派色の強い政党となった。2020年の国民民主党との合併の際も前述の前原をはじめ同党右派の一部が参加しなかったため現在でも左派が優位であるとされる。このことからリベラル、中道左派政党と評されることが多い。
初代代表の枝野幸男は「右でも左でもなく民主主義と立憲主義を前に進める」政党であるとしており(但し、枝野自身は保守本流を自称しているが、社会党の流れを汲み党内左派で最大派閥でもあるサンクチュアリの顧問を務めている)、野田佳彦元首相、松原仁など右派に属する人物も合流している。一方で本党には有田芳生のように左翼と見なしてよい議員も所属しており、第二代代表の泉に代表される中道派からリベラル左派までを包摂する政党とみなすべきであろう。
なお、旧民主党が掲げた民主中道は、公式及び非公式にも言及されて居ない。
他党との関係
2021年衆議院総選挙までは、民進党時代から取り組んできた日本共産党などとの野党共闘を継続していた。2022年参議院選挙以降は互いに激しく対立してきた日本維新の会と国会での共闘、連携を行っている。
不祥事
ネットメディアのCLPに資金提供をしていた。党は既に解決済みとしてこれ以上の調査はしないと決定。
党の最高顧問菅直人が橋下徹をヒトラーに準えた件について、党とは無関係なので関知しないとした。