稲船敬二
いなふねけいじ
かつてはカプコンにイラストレーター・プロデューサーとして勤務し『ロックマン』シリーズ10作目までのキャラクターデザインやエグゼ・ゼロシリーズのプロデュース等を行った。(※) 他にも『鬼武者』シリーズや『デッドライジング』シリーズなどのプロデュースに関わり、カプコンの有名タイトルの多くに携わっている。
カプコンでは常務取締役→執行取締役を歴任したほか、カプコンの子会社として設立されたダレットの初代代表取締役社長も務めていた。
2010年にカプコンを退社し、株式会社コンセプト(注:社名の綴りは「comsept」であって「consept」ではない)と株式会社インターセプトを設立。両社の代表取締役を務める。また、レベルファイブとコンセプトが共同で設立したLEVEL5 comceptのCCOも務めている。
ファンからの通称は「稲シップ」、「イナフキン」。
古くからカプコンのゲーム製作に携わっており、日本のゲームクリエイターの中でも特に海外のゲーム(より正確に言えば北米の市場)やその動向に注視している事でよく知られている。
だが、その一方で「日本のゲーム業界は終わった」「日本のゲーム業界はまずは負けを認めよう」等といった国内軽視(いわゆるセカイセカイ病)とも取れる発言を始め、その他にも歯に衣着せぬ物言いから、業界内外で要らぬ対立や論争も生み出していることもあり、ユーザーや社員から批判されることも多い人物。
また、テレビ番組『カンブリア宮殿』に出演した際は会議中に「どんな判断や?金、ドブに捨てる気か?何千万もかかってるんだぞ」と部下に言い放った事からインターネット上で話題となり、自身の著書やゲーム内でのネタとして扱われているようになっていった。なお、発言は本人の著書でその経緯が詳しく説明されており、背景にある内容は至極真っ当なものである。
このことから、ネタ方面には意外とノリノリな面があるらしく、『超次元ゲイムネプテューヌmk2』では稲船を剣にして敵をぶん殴る『クリエイターソード稲船』、王の財宝よろしく敵に稲船が飛んで行く『クリエイターソード稲船V』、口からビームを吐く『ドンナハンダンダノヴァ』など必殺技役で出演している。
カプコンの常務執行役員に就いていたぐらいなので、相応の実績があるのも確かだが、『バイオハザード2』に関する神谷英樹のツイート(こちらも参照)や、ゲームプロデューサーの報酬や関与の度合いについての岡本吉起の発言から、「開発に携わった」とされる作品にどれだけ貢献していたかは定かではなく、批判の対象にされていることもある。
ただし、神谷の言及しているバイオ2はともかく、他の特定のタイトルについて「確実に大した仕事をしていない」というソースは無いので注意。
また岡本の発言も退社から20年近く経ってのものであり、岡本は稲船と不仲であったと発言しているという点に留意する必要がある。
ロックマンシリーズの「生みの親」とよく言われがちであるが、初代ロックマンはチームで開発しており、稲船一人だけが親というわけではない。
「ロックマンの生みの親」により近い存在としては、初代の企画・デザインを手掛けたA.K(北村玲)などがいる。北村はゲームシステムなどアクションジャンルにおけるロックマンシリーズの基礎基本の部分をロックマン1とロックマン2で築いた実績がある。ちなみに北村はロックマン3の開発途中でカプコンを退社している。
もちろん稲船も製作への関与の度合いは大きく、また長年に渡ってカプコンに在籍しシリーズ全体のプロデュースを手掛けており、その功績は評価されている。
シリーズに長期に携わっただけあって、ロックマンシリーズには並々ならぬ思いがあり、『ロックマンDASH3』が開発中止になった際には無念の思いを綴っていた(こちらも参照)。
カプコンを退いてからも『ロックマンシリーズ』を意識したと思しき『MightyNo.9』を発表した他、『REDASH 機鎧城カルカノンの魔女編』というゲームを構想していたが、後者は開発中止となった。『REDASH』は「Re:DASH」とも読むことができ、英語名も「The Indelible Legend」とDASHの英語名である『MEGAMAN LEGENDS』を彷彿とさせるものになっている。キャラクターも『MightyNo.9』に登場するベックやコールと名前が同じであったりと『ロックマンDASH』シリーズへの未練は強かったようである。