概要
1989年に発売されたGLODIAのRPG(PC-8801、PC-9801版の発売元はバショウハウス)。
後に家庭用ゲーム機も含む多くの移植やメディアミックスも行われたヒット作。
また、媒体によってキャラクターデザインが少しずつ違っている。
所謂JRPG(ストーリー重視の一本道RPG)の祖と言える作品。
逆にストーリー重視故に「通常戦闘で仲間が1人でも死ぬとゲームオーバー」というシステムが採用されている(死者を蘇生出来てしまうと、ストーリー中で死者が出た場合に何故生き返らせないというツッコミが生じてしまうため)。
なお現在のパーティー制RPGでは、HP=0は「戦闘不能or気絶」扱いであり、「死」とは別のものとして回避しているケースが多いが、元祖JRPGだから仕方がない(余談だが『D&D』において「HP0=死」で無くなったのは2000年以降である。まぁHP-5で死ぬが)。
ストーリー
死の呪いによりイシュ・バーン大陸を去る事になったドラゴン達が住むドラゴン小国。
そこに流れ着いた難破船から救い出された人間の少女はタムリンと名付けられ、ドラゴン小国で唯一人の子供であるブルードラゴンのアトルシャンと一緒に育てられた。やがてタムリンはイシュ・バーンに戻るが、別れ際にアトルシャンは自分の角を折り、この角で角笛を作って困った時には吹くように言って渡す。
数年後、イシュ・バーンは魔族による侵略を受け、タムリンは角笛を吹く。その音色を聞きつけたアトルシャンはドラゴン族の秘宝「銀の鱗」の力により人間へと姿を変えイシュ・バーンに向かうのだった。
登場人物
CV:飛田展男/関俊彦
主人公。赤髪の青年だが本来の姿はブルードラゴン(竜人とかではなく正真正銘のドラゴン)。タムリンとは兄妹(姉弟)のように育った。タムリンが人間の世界に戻ると知ったときは悲しむが、決意と覚悟を知り、快く送り出す。タムリンとの別れの際には自分の角を1本折って角笛にして渡している。
そしえタムリンが角笛を吹いた事によりイシュ・バーンに向かう事に。
CV:天野由梨/笠原弘子
魔法使いの少女。12年前、次元の壁を越えてドラゴン小国に流れ着いた。「タムリン」の名を与えられて、アトルシャンと一緒に育てられた。人間は人間の世界で生きるべきという考えで、イシュ・バーンに帰る。だが戦火に包まれた惨状を見て戦うことを決意。アトルシャンに力を貸してもらうべく、角笛を使って助けを求めた。PC版では気丈で勝気な性格だが、PCE版とSFC版では控えめでおとなしい性格になっている。だが、自分の魔法の失敗をアトルシャンのせいにするなど、かなりわがまま。
正体は人間ではなく超人類ホルスの王女。
余談だが上のイラストの「ヒール(回復魔法)を使ってくれない」は、「魔法習得上限4」と言うシステム上の問題から、レイヴァース(タムリンレーザー)を覚えると初期魔法であるヒールを忘れてしまうからだとか。
ハスラム
CV:堀川亮/井上和彦
エルバードの王子。金髪で長身の美青年で、自他共に認めるプレイボーイ。ウィンク一つで女の子をばたばた倒すという噂が広まるほど。軽薄なようでいて、内面は一国の王子としての使命感に燃えるなど、正義感あふれる性格。
CV:鷹森淑乃/冬馬由美
バギンの義理の娘。エルバード王国の修道士で、ハスラムの侍女兼お目付け役を務める。勝気な性格で姐さん女房タイプ。ハスラムに想いを寄せているが、それを胸に秘めている可愛らしい一面も持つ。
バルソム
かつてはエルバード城の近衛兵を務めていた剣士だったが、魔軍に通じていたフラワルド男爵の陰謀を告発しようとして逆に追放されて、ウルワンの町で酒浸りの毎日を送っていた。アトルシャンたちの協力でフラワルド男爵の陰謀を暴いて討ち取ることで汚名を返上した。その後は国王の近衛隊隊長として復職した。
バギン
ファルナの義理の父で育ての親。イシュ・バーンにその人ありと謳われたほどの魔道士。魔獣ゴーメズとの戦いで瀕死の重傷を負い、ファルナの指輪に自らの魔力を注ぎ込むことで力を与えて、ファルナに看取られて亡くなった。
ホスロウ
レジスタンスのリーダー。豪放磊落な性格。かつてオストラコンに妻子を殺された過去を持つ。
ヤマン
ダードワの森に住む民の酋長の一人息子。ダードワの民であるため、話す言葉が片言。真面目で正義感に溢れる性格。戒律に縛られる一族の生き方に疑問を抱き、アトルシャン一行に加わる。ヤマンは中盤で命を落とす展開だが、発売機種により様々な死に方を披露する人物。…極端な話、死ぬ為に生かされてきたキャラ(前述の通り、通常戦闘で死ぬとゲームオーバーな為。更にはPCE版以外は無駄死にである)。
カルシュワル
レジスタンスの一員で最強の戦士。かつて父であるエルバードの将軍・炎の英雄ジュリアスをオストラコンの卑劣な作戦で毒殺された過去を持つ。ドゥルグワント城でのオストラコンとの決戦において見事本懐を遂げるも、オストラコンの最期の呪いから一行をかばって消滅した。
ドラマCD版ではラジオドラマでパーソナリティを務めていた小野坂昌也が声を担当し、さらに年齢設定が引き下げられ、アトルシャンたちとほぼ同世代になるというかなり報われているキャラ(だが結局死亡することに変わりはなかった)。
サオシュヤント
流浪の弓使い。かつてある村が魔軍の襲撃を受けたとき、彼の弓によって救われたことから、風の英雄と呼ばれている。だがサオシュヤント自身はかかる火の粉を振り払ったにすぎず、魔軍との戦いに興味を示さず、レジスタンスの勧誘も断っていた。だが、オストラコンに強奪された弓を取り戻す目的で、アトルシャンの一行に加わる。
ワラムル
バージルの町で診療所を開業中の名医兼魔法使い。かなり飄々とした性格。
エメラルドドラゴン
かつて2000年前にアヴェスタの力を封じた龍族の英雄。現在、その意思は魔剣ヴェンディダードに封印されている。その復活を願って力あるドラゴンたちは彼の身体となるエメラルドグレイス(銀の鱗、ドラゴンオーブ〈PCE版とSFC版では紫龍の水晶〉、黄金の牙、黒き爪(PCE版とSFC版では黒龍の爪)、赤龍の角)を作った。これらが再び揃えば完全復活を果たせる。
白龍
ドラゴン小国の長を務める老ドラゴン。タムリンの名付け親。アトルシャンとタムリンを兄妹(姉弟?)同然に育てた。
シルバードラゴン(銀龍)
ドラゴン小国へは渡らず、オヴィングストンの洞窟の最深部でひっそりと生き続けていた老ドラゴン。銀の鱗を作り出した張本人。アトルシャンが龍だと知り、エメラルドドラゴンについて教えた。
フシュルヌム
長い時間を生き続けている仙人。サオシュヤントの師匠。エメラルドドラゴンとは親友同士。
海のミコ
ホルスの血を引く巫女。紅の古文書を持つ者を正しく導くことを定めとしている。山のミコとは双子の姉妹。
山のミコ
ホルスの血を引く巫女。青白き古文書を持つ者を正しく導くことを定めとしている。
オストラコン
魔将軍。本名はダリアス・オストラコン。人間だが、自らの意志で魔軍に加わり、ガルシアに一目置かれ、魔将軍の位に就いた男。真性のサディストで典型的なサイコパス。
フウォーウィーの町の魔軍前線司令部においてアトルシャンに右腕を斬り落とされて以来、エルバード王国を攻め返してサダを戦死させたり、黒水晶にハスラムを封印して人質にとるなど、アトルシャンたちを執拗に苦しめる。魔闘鬼パラゴ、魔邪鬼エルム、魔戦鬼バシタの三人の部下がいる。
以前、オストラコンが主役のシミュレーションRPG「イシュ・バーン戦記」の紹介発表がされたが、諸般の事情で開発中止になっている。
ガルシア
魔王。ホルスの宰相ティリダテスにより魔界からイシュ・バーンへと召喚された。
ティリダテス
ホルスの宰相。選民思想を持つ、いわゆるレイシスト。イシュ・バーンから人間とドラゴンを排除し、ホルスの民による支配を企む。ホルスをただの人間にしてしまう魔法を持ち、その魔法でタムリンを人間にした。
フラワルド男爵
エルバード王国の貴族。魔軍に内通しており、そのことを知ったバルソムを追放した。
サダ
エルバード王国の軍団長を務める騎士隊長。オストラコンのエルバード王国再攻勢の際に戦死した。
ジェシル
PCE版とSFC版に追加されたキャラクター。ホルスの王宮の一室に軟禁されてしまったタムリンを救い出した青年騎士。一族代々、王家に仕えていて、彼の父親はタムリンを含む王家の人間をティリダテスの手から逃れさせるべく、船で脱出させた人物だった。パソコン版ではタムリンが自力で脱出して、アトルシャンたちを助けに来たために登場しない。
メリル=ウィード
サブシナリオ「メリル=ウィードの章」で登場する女の子。母の病気を治すために単身向かったマンドラゴラの森で、食人植物マン・イーターに食べられていたところを、アトルシャンたちに助けられた。
ミスティーナ=フローラ
サブシナリオ「ミスティーナの章」で仲間になる。ミステリアスな雰囲気を持つ美少女。魔女ヴィナス=フローラの孫娘。ハスラムにナンパされたことがきっかけで、妖魔に憑依された母アルテミス=フローラの救出をハスラムに頼む。アルテミスを助けた後、母と共に遠い地へ旅立つことになり、ハスラムとの恋は実らなかった。
サギー
サブシナリオ「サギーの章」で仲間になる青年。叔父のハダル博士の研究から世界の危機を防ぐために必要なヴィーム文明の遺産を探すためにアトルシャン一行に協力を要請する。
ミ・ラーミス
小説「Ga-Ryu[牙龍]GALLANT ROYALBLUE」に登場する魔女。オストラコンが主役のシミュレーションRPG「イシュ・バーン戦記」でも秘書として登場予定だったが、ゲームの開発が中止されたためそれはなくなった。
エルナーガ
漫画「After The End ED」に登場。グランドエルフの少女。獣人族に龍族のアトルシャンを殺させようとする。正体は魔邪鬼エルム。
ファリエスタ
漫画「After The End ED」に登場。グランドエルフの長。訪問したサオシュヤントにある真実を教えた。
スーラ
漫画「After The End ED」に登場。エルバード隣国の姫で、ハスラムの許嫁。髪をツインテールにして、リボンをふんだんにあしらった可愛いドレスを着用。無邪気で天真爛漫な性格だが、聡明で一国の姫としての気品を併せ持ち、立派に王女としての務めを果たしている。年齢こそ幼い子供だが、自分の置かれた状況を理解し受け入れていて、妻として夫となるハスラムの心の支えになろうと決意している。魔軍の残党の襲撃で負傷してしまい、怪我をさせてしまったことを謝罪するファルナに「私はこうして生きてここにいるじゃありませんか」と労をねぎらい感謝するなど、度量の深い人物。
派生作品
Ga-Ryu[牙龍]GALLANT ROYALBLUE
『マル勝PCエンジン』誌上で6回に渡って連載された小説。著者は飯淳、挿絵は木村明広がそれぞれ担当。角川書店の分裂騒動も絡み、単行本化はされず、幻の小説となっている。
小説版
作者はYSの小説でも有名な飛火野耀。もちろん原作とはぜんぜん違う設定で進む。
イシュ・バーンにたどり着いたアトルシャンがタムリンと再会するまで長い、ハスラムとファルナが別段なにもない、など原作CPを完全スルーしている。
バギンの幽霊が化けて出る、タムリンはハスラムと結婚する、ヤマンは生き残り宰相にまで出世する(ただし政治の評価は微妙)、やたら変なサオシュヤント…など見所(?)は多い。
竜を呼ぶ少女
篠崎砂美による上記小説版の続編。未来のイシュバーンを舞台としている。ホルスの女王タムリンなど所々原作の設定に直し折衷している部分がある。
謎のもう一人のタムリンに導かれ、アトルシャンは再びイシュ・バーンの地に降り立つ。
サオシュヤントそっくりの女性ラトレイアなど関係性は残しつつもキャラクター陣は一新されている。
もう一人のアトルシャン
近石雅史による漫画。アトルシャンやハスラムが老いた、原作終了数十年後が舞台。
復活したオストラコンに立ち向かう孫世代の活躍が描かれている。
エメラルドドラゴン~イシュバーン戦記~
オストラコン側を主人公にしたSLGで、具体的なストーリーを儲けないパラレルワールドもの企画として、当時のPCゲーム誌でGLODIAの池亀治氏のインタビューや木村明広氏による新規イラスト数点と共に発表されたが。聖夜物語の制作に注力していた飯淳氏側との交渉が決裂し、お蔵入りとなった。
After The End ED
木村明広氏がエメラルドドラゴンのその後を独自の解釈で描いた漫画のシリーズ。同人誌媒体での発表・販売だが、すぐに入手困難になりプレミアがつくほど好評を博している。2018年9月に開催されたエメラルドドラゴン原画展では全作品をまとめた本が販売された。
エレメンタルドラグーン
エメラルドドラゴン25年目、続編として発表された木村明広(原作のキャラクターデザイン)主導によるクラウドファンディングでのドラマCD制作企画。目標達成され制作決定、募集は終了している。今後ゲーム化を目標としている。
アニゲラ!ディドゥーーン、2016年5月26日、6月2日放送回にてPC版エメドラプレイヤーでエレメンタルにて主人公バラージ役と共同プロデューサーを担当している、保志総一朗がゲスト出演し、飛び入りで木村氏も出演した。
ちなみに、アニゲラのMCの杉田智和もツヴァイト役で出演している。