概要
2004年に「なんでも実況J(ジュピター)」として設立。姉妹板に「なんU(なんでも実況ウラヌス)」がある。
略称は「なんでも」と「J」からとられている(なんでも実況の略ではない)。板の住民は「なんJ民」、または単にナンジェイとも呼ばれる。
類似する場所におーぷん2ちゃんねるのなんJ、通称「おんJ」が存在する。こちらは元々本家なんJの住民が避難所に使用していた事もあり、ある程度同様の文化を有しているが、掲示板自体のシステムや流行の違いにより独自の要素も見られる。有名なスレも多い。
過去にはなんJ民の年齢層は「なんJ世代」と呼ばれ、VIP世代よりおよそ5歳若い1992年(平成4年)生まれ前後がコア層と言われていた。
ただし2010年代後半には後述の経緯もあって様々な層がなんJに移住したと考えられるため、実際の所は不明である。
歴史
原始時代
2004年に「番組やスポーツに縛られない実況」を目的として設立される。2005年頃、VIPから避難民が流入したことなどを経て、ある程度の規模の住民が定住した。しかしその後は徐々に住民も減り、「実況」とは名ばかりの閑散とした馴れ合い板として長らく存在していた。
この頃の住民は「原住民」と呼ばれ、「(´・ω・`)」の顔文字で表される(メイン画像右)。彼らのネタの一つである「きゅうりスレ」から転じて、きゅうりが好きというキャラ設定がされている。
盛期
そうした状況に目を付けた野球chの住民(やきうのお兄ちゃん)が、2009年5月の規制強化を機に大挙して移住し、以降野球の実況を主体とするようになる。
一方で、冬はプロ野球の試合が行われないことから、オフシーズンにはいわゆる「クソスレ」の類も許容されがちであったため、従来の馴れ合い指向も存置された。その緩い連帯感を気に入った一部の移民が野球chの規制解除後も定住を続け、そのまま「やきうのお兄ちゃんの雑談場」として発展する事となった。しかしその陰で、野球に馴染めない原住民の存在が闇の中へと葬られていった事もまた事実である。
これまでネット文化といえばいわゆるオタク・マニアと呼ばれる層が中心で、話題もサブカルか機械ネタというところに、野球が大好きな集団の文化が浸透していったことはなんJの特徴の1つであると言える。(逆に言うとこれがなんJにおけるオタクバッシングの一因にもなっている)。
住民の多くが移民であることや、元々野球ファン自体の派閥も12球団それぞれに分かれていることも手伝って、2ちゃんねるでは珍しく他のファンの存在を認め、開放的で外部のものを受け入れる風潮が生まれた事は特筆される。
ただし、野球chが規制に至った主な原因は、上記淫夢ネタの蔓延と、ある選手の移籍問題に対する激しい誹謗中傷であった。古い移民も決して全員が清廉潔白なわけではないのである。というより、主に日ハムスレを中心とした古参の淫夢厨が暴れ回ったことで「なんJ語」の幾つかの源流が生まれ、淫夢ネタに釣られた「ホモガキ」が誘致される結果となってしまっている。
野球chからの移民たちが好んで使っていたのがどん語の流れを汲む「エセ関西弁(大阪弁)」の猛虎弁であり、現在ではなんJおよびなんJ民を象徴する独特の言語として認識されている。
増加期
2010年代初期、VIPPERの凋落や現実で起きた東日本大震災の影響もあって2ch自体の人口が減少し治安も悪化する中、独特の文化によりガラパゴス化していたなんJは、台風の目となり成長を続ける。
2012年頃になると、なんJのスレを転載するまとめブログの増加に伴い、よくも悪くも人口が増加。ニコニコ動画Twitterなどの外部サービスから(比較的)若い、掲示板文化に馴染みの薄いネットユーザーが現れ、それまでなんJでは軽視される存在であったアニメやゲームなどのネタも取り込まれるようになった。しかし、受け付けないなんJ民も中にはいたらしい。
また、とある野球選手のスキャンダルに端を発する事から板内で準公用語のように扱われていた「真夏の夜の淫夢」ネタがインターネット全体のブームとなり、淫夢経由で来た層も増加したほか、なんJでの炎上騒動をきっかけとして生まれた恒心教が勢力を伸ばした。
外部からの流入と同時に、2chの外にもなんJ語が広まり、語録を織り交ぜたエセ関西弁がなんJ民だけでなく淫夢厨や恒心教徒と呼ばれる特定のコンテンツをネタにする層を象徴するものとしてもある程度認知されることとなった。
混乱期
2010年代後半には「聖地巡礼」のような形で「やきうのお兄ちゃん」以外の流入が少しずつ増え外部の「ノリ」が持ち込まれた事によって、開放性はネオリベラル的属性煽りによるアウトローに変質してゆき、新参や非野球民の追放を主張する者、逆に野球民を否定する者、煽りを繰り返す者、工作員や信者など多数の派閥が出てくる中で内外に様々な紛争を抱えるようになった。
特にVIPを汚染し尽くしたまとめブログ民がそのままなんJに移住し、なんJが政治・時事・学歴・といった対立煽りコンテンツの新たな処理場と化したことで、雰囲気が変わり始めたという意見も。
VIP・ニュー速化したなんJ
そして2017年頃には更に大幅に人口が増加。古参の利用者もその全容の把握は不可能に。
この頃からは嫌儲板の用語がなんJでも使用されるようになったため、そちらの住民が移住したという説もある。その影響もあってかニュースを取り扱った速報系のスレが増え、往年のVIP板や旧ニュース速報板(旧速)を思わせるなんでもありの無法地帯に。
またどの層が持ち込んだ文化か不明だが、陰キャ陽キャ認定を中心とした対立煽りの拠点という状況とも化し、以前のなんJとはかなり雰囲気が変わった。
この頃には利用する層の急激な変化で野球という共通点が失われ始めたためVIPPER以上に制御のしようが無い集団になっているという声もあり、集合離散を繰り返しながら時に祭り(炎上)の扇動や犯罪予告、サジェスト汚染等の工作活動を引き起こしている者も多く見受けられる。現状5chで最大級の人数・勢いを誇る一方で、この有様はただでさえ過疎化・高齢化・荒廃に追い込まれている5chにますますネガティブな印象を与えており、何かしらのトラブルの元凶として多くのインターネットユーザーから警戒される存在でもある。
また、「なんJはたとえ興味本位(観光目的)でも絶対に足を踏み入れてはいけない場所」「現在なんJが幅をきかせてる時点で5chは荒廃したネットの巨大スラム街になってしまった(オワコン化)」「Google検索であっさり出てくるダークウェブ」「見たら聞いたら即110番通報レベルの住人だらけ」とまで揶揄される程である。
分裂・過疎化
2022年3月、なんJがサーバーエラーで一時的に消滅してしまったことで、「なんでも実況G(ガリレオ)」※に避難した。2日後になんJは復旧したものの、旧来からの野球民はそのままなんGに定住した者も多く、なんJ側はこれまでの勢いを失いつつある。
※木星(Jupiter)の主要な衛星4つを指すガリレオ衛星の名前通り、なんJの衛星板。新型サーバーの耐久調査の為に設立されていたが、この騒動が起こるまで住民は殆どいなかった。
なんJとの違いは、スレの保持数が多いこと、立てたスレが1時間で強制的に落ちる制限(1時間ルール)がないこと、お絵描き機能があること(後になんJにも実装)など。
翌日の高校野球実況に耐えたことは高く評価され、なんG定住の流れを加速させた。
その結果、一時期は「(1時間ルールに左右されない)実況民はなんG、雑談民はなんJ」といった住み分けがされていたが、実況メインの住民の移住による人口減少、雑談スレが伸びても1時間ルールにより強制的にスレが終了してしまう等の理由により雑談民もなんJを捨て、次第になんGへの移住が加速。実況系スレッドはほとんどなんJに移行し、一部の雑談民やバーチャルYoutuber関連のスレッドだけが残る形となった。
2023年3月13日、なんGのサーバー障害によりなんGに移住していたなんJ民の多くが出戻りし、当時開催されていたWBCをはじめとする実況もなんJで行われるようになった。
同月23日になんGが一応復旧。しかし、挙動の重さや一部専用ブラウザでの不具合等完全な形ではなく、またなんJでも24日夕方頃に1時間ルールが一時廃止された(翌日に再開)ため、すぐには移行しないスレッドも多かった。
25日にサーバーが完全回復したことで、ほとんどの実況関連はなんGに戻ることとなったが、なんJにそのまま留まるユーザーもいた。
2023年には従来からいたスクリプト荒らしに加え、5ch全体がDDoS攻撃を頻繁に受けるようになり、非常に不安定な状況となっていた。
外部掲示板への移住
2023年9月29日、度重なるスクリプト荒らしとDDoSを理由に、多くの住民がスクリプトとDDoS対策がされた外部掲示板の「なんでも実況(エッジ)」に移住。数日後、あまりにも大規模なDDoSにより管理人が自主閉鎖。その後は後継掲示板の「エッヂ」に移住する。
2024年現在では5chに対するスクリプト攻撃が継続された結果、多くの住民はエッヂに移住。なんJ、なんG共に過疎化してしまっている。
Pixivでの扱い
pixivにおいては、なんJにまつわるネタを描いた作品が投稿されている他、野球関連のネタ絵の多くに影響が見られる。なんJ民の象徴でもある「彡(゚)(゚)」(メイン画像左の黄色い鳥のような人物)を描いた作品も多い。
上記のような状況であるため、板とも野球とも関係の無いイラストに唐突にネタが挟まる事も多く、そうした場合は大抵タグ付けはなされていない。
pixivに限った事でもないが、作者になんJ民としての意識があるかどうかすら怪しい場合も多々あり、「仲間」と思って話を振ってもその後が続かないという可能性は十分に考えられる。とぼけているのではなく、本当になんJを知ずになんJネタを使っているのである。
定番ネタな人物・作品
野球ネタ
- 巨人小笠原・日ハム小笠原→カッス
- チック
- 男村田(乙女村田)
- プロブロガー
- ちょww和田がNARUTOに!?ww
- ヤニキ(○○ニキ、○○ネキの語源にもなった)
- 辛いさん
- 大松「」
- 神戸、はしゃぐ→涌井、熱い制裁
- 小松式ドネーション
- PP長野
- ジョイナス
- オコエ瑠偉
- ドミンゴwwwww(〜ンゴ)
- 倉本寿彦
- 藤浪晋太郎
- 大谷翔平(※同姓の大谷智久は「大谷じゃない方の大谷」と呼ばれていた)
- 根尾昂
- 佐々木朗希
- 奥川恭伸
- 斎藤佑樹→さいてょ
アイドルマスター
その他の漫画・映像作品
2010年代前半の作品が固まっているのには理由があり、2012年前後からアフィブログからの萌えネタ持ち込みが急増する中「萌えネタは野球民の敵だ」といったような風潮が強くなって、萌えネタがやりにくくなったためである。
- イカ娘
- むぎたそ~
- 大正義野球娘。
- ユンオ(ユッノ)・ナッズ
- 程高川島さん
- 捕鯨
- キャップ・うえのさん
- 激寒採点おばさん
- 激寒タロット(中略)おうどんさんに自信ネキ
- うるさいですね... - 発祥自体は別の板。
- もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(主にアニメ版)
- ヤバいわよ!
- MOCO'Sキッチン
- 真夏の夜の淫夢
音楽
- 恋愛サーキュレーション(照ワ恋聴)
- 夢芝居
その他
- 恒心教
- 林修
- とうふさん
- クリスティアーノ・ロナウド→なぜ笑うんだい?
なんJ発祥の用語・なんJが広めた用語
特に有名なものに絞って掲載。その他の用語はなんJ語の記事も参照。
- ぐう聖 / ぐう畜
- 33-4 / なんでや!阪神関係ないやろ!(な阪関無)
- なにいってだこいつ
- 熱い手のひら返し(熱い○○)
- 残念だが当然
- わしが育てた(○○はわしが育てた)
- 陰キャ
- チー牛
- 子供部屋おじさん(こどおじ)
- 嘘松
- 火の玉ストレート
- ガイジ
- 恵体
関連タグ
2ch脳 やきうのお兄ちゃん VIPPER 嫌儲 恒心教 淫夢厨 エッヂ ニート 犯罪者予備軍 全ての元凶 諸悪の根源 ネットイナゴ
google:サブカル・スポーツ・歴史関連の単語を検索すると高確率でサジェストに「なんJ」と表示される為辟易される事も多い。
以下は語感的になんJ用語っぽいが、実は他所発祥の言葉。
- ファッ!?(真夏の夜の淫夢)
- 何も起きないはずがなく(商業BLのバナー広告)
- 絶対に許さない(使われ始めたのはほぼ同時期であるが、初出は芸スポ速報+板)
外部リンク
なんでも実況(ジュピター) - 本家板。
なんでも実況(ガリレオ) - 姉妹板にあたる。サーバーダウン後になんJ民の多くが移住した。
エッヂ - 外部の避難所。現在なんJ民の多くが移住している。
なんJ用語集 - なんJ発祥の言葉やよく使われる言葉が野球ネタを中心にまとめられている。ただし、蔑称や過激な言葉、特定の人物・団体を煽る言葉が多いので注意されたし。