あなた 魔法かけたでしょ?
不思議な旅 終わらせないで
概要
1991年3月9日に公開されたドラえもん映画作品。第12作。
原作である大長編ドラえもんでは第11作(のび太のパラレル西遊記は原作の執筆がなかったため)。
配給収入は18億円、上映時間99分。
アラビアンナイトの世界観を軸に、ドラえもんとのび太たちが冒険に出る。
「アラビアンナイトの世界」というよりは、8世紀末の西アジアにおける砂漠地帯を舞台にしており、現実とファンタジーの入り混じったストーリーが展開されていく。
なお、舞台となったイラクは公開の6日前の1991年3月3日に湾岸戦争が終結したばかりだった。
今作の挿入歌及びエンディングテーマである「夢のゆくえ」(作詞:武田鉄矢/作曲:白鳥澄夫/編曲:渡辺雅二/唄:白鳥英美子(キングレコード))は、1999年の大晦日SP『未来を守れ! のび太VSアリ軍団』のラストにてBGMとして使われた。
あらすじ
夏休み。ドラえもんの絵本入りこみぐつを使い、幼い頃の絵本『シンドバッド』の世界を体感することを楽しむのび太。
ジャイアン、スネ夫、そして後から来たしずかも絵本の世界に足を運ぶもジャイアンとスネ夫は絵本をごちゃ混ぜにして、混合した世界にしてしまう。その光景に興が削がれたしずかはのび太を置いて一人現実世界に帰ろうとするも魔法のじゅうたんで散歩中のシンドバッドに衝突し、その衝撃で靴の片っぽを喪失。アラビアンナイトの絵本に取り残されてしまった。
翌日、しずかがアラビアンナイトの絵本に取り残されたことに気づいたドラえもんたちだったが絵本を出しっぱなしにしていた事に怒ったママが絵本を焼いてしまった為、絵本の世界に行けなくなってしまう。
※大長編ではジャイアンとスネ夫がしずかの事でのび太を責め、しずかのママに真相を伝える役を押し付けた上、「しずかちゃんのママはショックのあまり、自殺してしまうかも」といった悲観的なことばかり言うシーンがあるが絵本をごちゃ混ぜにしたジャイアンとスネ夫にも原因がある。2人の悲観的な発言は映画のほうではのび太が担当し、ジャイアンとスネ夫がしずかの現状を知ったのはドラえもんがしずか救出の手がかりを見つけた後となっている。
ドラえもんは微かな望みにかけて、宇宙完全大百科でアラビアンナイトを調査。その結果、アラビアンナイトの物語に実話が含まれていることを突き止める。
その物語とはアッバース朝の第五代カリフであるハールーン・アル・ラシードとその宰相ジャファルがお忍びで一般庶民の生活や話を見聞きしたというものであった(つまり、この実話部分が現実世界とアラビアンナイト絵本世界の接点となっている)。
ドラえもんたちはアル・ラシードが治める794年のバグダットへ、未来の時間旅行会社のガイドロボットのミクジンと共に向かう。
ゲストキャラクター
CV:阪脩
黄金宮で1人暮らしをしており、かつて『船乗りシンドバッド』と呼ばれた老人。『シンドバッドの冒険』の主役その人。自慢のコレクションと自賛しており数々の不思議な魔法グッズを持っている。黄金宮をアブジル達に乗っ取られた際はすっかり弱気になってしまったが、のび太達に「あなたの冒険が世界中の子供達に夢を与えている」と聞かされ、勇気を取り戻して黄金宮奪還戦に臨み、見事アブジルを倒した。実は彼もアル・ラシード同様に実在の人物でもあり、黄金宮や魔法グッズは昔、助けたタイムトラベラー(未来人)からお礼として貰ったものであったことが明かされた。アラビアンナイト絵本世界で行方不明になったしずかを現実世界の8世紀のアラビアで救出できたのも、そのためである。
CV:松島みのり
22世紀の時間旅行公社に所属するツアーコンダクター兼ガイドロボット。お化けのような容姿をしている。融通が利かない上に気難しい性格なため、ジャイアン達と喧嘩し、すねた挙句、仕事を放棄して未来へ帰ってしまった…かに見えたが?
CV:加藤精三
狡猾で傲慢な悪徳奴隷商人。嘗て砂漠で倒れていた所をシンドバッドに救われるも悪事を働こうとしたため追い出された過去を持つ。以後、黄金宮を乗っ取って世界を支配しようと企てている。カシムとは旧知の仲。
偶然見つけたしずかを捕まえて奴隷としていたが、ドラえもんたちとシンドバッドによって、しずかを救出されてしまう。その後、カシム一味と組んで黄金宮を襲撃。一時は宮殿を乗っ取るが、最後は冒険心を取り戻したシンドバッドに敗れカシム等と共に拘束される。カシム達共々記憶を消した上で後に開放される予定とのこと。
カシム
CV:加藤治
指名手配されている盗賊集団「サソリ団」の首領。腹黒い性格で、アブジルとは旧知の仲。蛇使いに変装し街に潜伏、しずかを捜していたドラえもんらを騙して国外逃亡を図る。そして、ドラえもんから四次元ポケットを強奪し海に投げ捨てるも嵐によって船が沈んでしまい、複数いた手下達も僅か2人だけになってしまう。旧友のアブジルに教えられた黄金宮を探しており、アブジルと組んで黄金宮の乗っ取りに一時は成功する。しかし、盗んだ四次元ポケットがドラえもんの手に戻ったことで形勢が徐々に逆転した事でアブジルを見限り、手下たちと共に脱走を決意。シンドバッドとアブジルの決闘の最中にしずかを人質に取るが、彼女に自力で逃げられてたため、その隙を突かれて最後はドラえもん達に敗れて拘束される。
CV:筈見純
西アジアから北アフリカにまたがる巨大帝国アッバース朝の君主で帝国の最盛期をもたらした実在の人物。正義感に溢れる公明正大な名君として描かれており、サソリ団に襲撃されていたドラえもん達一行を助けたばかりでなく、一行の話を聞いて交通手形も出してくれるなど器量の大きな人物。
この他、Q太郎が一瞬登場するシーンがある。演じたのは鈴木みえ女史(現:一龍斎貞友)。
ゲーム版
pcエンジンで発売されたドラえもんゲームの一作。
こちらでは原作、映画に登場しないドラミちゃんが登場し、内容も絵本の世界に閉じ込められたのび太達をドラえもんが助けに行く内容になっており、ドラビアンナイトのお話は最後のあたりである。
演者について
のび太を演じる小原乃梨子女史は『アラビアンナイトシンドバットの冒険』にてシンドバッドを演じたことがある。
アブジルと瓶の魔人を演じた加藤氏と郷里氏は、後に『忍風戦隊ハリケンジャー』、『ウルトラマンメビウス』、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』、『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』などの特撮シリーズでも多く共演しており、『ゴーストリバース』には商人Cの声を演じた田中亮一氏も出演している。また、シンドバッドを演じた阪氏も『帰ってきたウルトラマン』のバルタン星人Jr.やバット星人、『ウルトラマンA』でのゾフィー、『ウルトラマンタロウ』のライブキングなど数多くのウルトラシリーズの声を演じている。なお、郷里氏は2010年1月17日に他界し、加藤氏も4年後の同日である2014年1月17日に他界している。
阪氏と郷里氏はアニメ本編でも放送された「20世紀のお殿様」でも共演している。
アブジルの声を演じた加藤氏が出演していたア二メ『巨人の星』第1話にドラえもんの声を演じた大山のぶ代女史がゲスト出演しているが、この時は加藤氏との直接の共演はしなかった。
関連タグ
『満月をさがして』:種村有菜の漫画作品。第2巻の欄外余白の筆すさびにこの作品についてちょっとした言及がある。