概要
声優:水谷優子
元々は兄弟と思われる白猫やトラ猫と共に女飼い主の元で飼われていたが、ある雨の日の夜に3匹ともダンボールに入れられた状態で空き地の土管の中に捨てられてしまう。
それ以来人間を激しく憎悪していくようになり、ジャイアンの母ちゃんの行き先の魚屋でアジを仲間とともに奪っていくが、翌日の雨の夜にのび太の家にたむろしていた所をのび太に拾われる。その際、雨で体がずぶ濡れになっていたころに因んで「ズブ」と名付けられた。
それでもズブは心を開くことを無く彼らから退いた姿勢を見せており、イチ等他の犬や猫とともに「進化退化放射線源」で進化した際には、人間がペットにやらかした悪行やドラえもん及びタイムマシンについての事を「闇の黙示録」として本に纏めていた。
当映画の悪役・ネコジャラはズブの子孫であり、先祖・ズブの考えに倣って人間への反逆を試みていた。
評価
背景だけを見れば、人間に捨てられて心が悪化してしまったという点で哀しき悪役ともとれ、むしろズブら3匹を捨てた女性が全ての元凶と言える。
※ただし、去り際に謝罪の言葉を残したり(大長編のみ)、捨てた場所を一度振り返る(映画のみ)など、罪悪感が全く無かったわけではなく、少なくとも彼女にとっては不本意な選択であったことが窺える(とはいえ責任を持って次の飼い主を探すのが義務である)。
しかしながら舞台となる時代の関係上その辺りの補完がされておらず、ネコジャラが人間であるのび太から名付けられた固有名詞である「ズブ」を改名したり「個体の上位分類」としての名を使ったりせず終始名乗り続けていた。
- しかも「様」付けであり本人が忌避するだけだった名なら考えにくい呼び方である。固有名詞の由来も"ズブ濡れだったから"という安直なものであり、前の飼い主がいる事からその時の固有名詞もある筈である。
また、当初こそ威嚇していたが、のび太に抱かれている時は終始おとなしかったりと完全に嫌っていた訳ではない描写も散見される。
もしも闇の黙示録を残す程の恨みを抱えていたのであればその転機は恐らくのび太が破ってしまった約束「また明日」だった可能性が高い、彼からすれば「少しは信用してもいいかも知れない」と感じた人間にまたしても裏切られた事になった以上その恨みは通常より深くなっても不思議ではない。
…が、上記の「忌まわしい筈の名を変えていない」点が話を複雑にしており、もしかすると「やっぱり裏切られた」と考えつつも心の何処かで「のび太は違う、違う筈」という捻じ曲がった複雑すぎる感情を終生抱え続けた可能性も存在する。
その発露が闇の黙示録であり、ネコジャラは「人間への恨みが刻まれたモノ」と語っていたが具体的な内容がほとんどわからないため、恨みと信頼の混ざった面倒臭い書き方をした文体で書かれた、裏切られたと言う思いとそれでも心の何処かで約束を信じて待ち続けてしまう心境などを綴ったただの日記であった可能性もある。
ハチがイチ当人であったのと異なり、ズブが猫人間となった後の描写は一切されず、ネコジャラは子孫以上の存在ではない他人であったため、彼が生きた時間に裏切ったのび太に対して何を想い、そして死の間際何を考えていたのかは不明のまま
今はただ闇の黙示録という「人間への恨み辛みと解釈できる程度には荒れた文章の書かれた書物」が遺されるのみである。
- エンディングでは、先述した白猫の子孫が自身の子孫のネコジャラの側近であるニャーゴであることが描写されているが、残りの1匹であったトラ猫の子孫や彼(彼女?)自身の行方は一切不明となっている。