概要
除染車3型(B)は、陸上自衛隊化学科部隊及び航空自衛隊で運用されている車両である。
73式大型トラックをベースとする
化学科隊員が使用する略称はDCN(デカン)
特徴
約2500Lを積載可能な水槽と水槽内の液体を加熱するための加温装置部で構成されている。
陸上自衛隊化学科部隊で運用されている車両で、基本的には運転手、助手、除染手2名の計4名で運用する。
ベースとなった73式大型トラックでは幌となっていた荷台がハードルーフに変更されており、後方に乗車する人員がこれを掴むことで落下を防ぐことができる。
車両自体に毒ガスや放射線から人員を防護する機能は存在しないため、人員は基本的にゴム製の化学防護衣と防護マスクを着用する。
後方に乗車している2名が警戒も担当し、襲撃を受けた際は主に89式小銃を用いて応戦する。
また、操作手順を守らないと圧力が本来かからない部分にかかってしまい、熱湯が吹き出るので化学科隊員は必ず操作手順を大声で呼称しながらこの車両を利用する。
散布方法
散布方法は主に3つあり、用途に合わせて併用することで汚染された車両及び地域を確実に除染することが可能である
スプレーガンを用いた散布
スプレーガンという高圧洗浄機のようなものが車両後方に搭載されており、後方に乗車した人員がこれを使用して車両の隙間などの細かい部分まで除染することが可能。
スプレーガンは水の出方を高圧洗浄機の様な棒状、霧吹きのような霧状、及びその中間に無段階調節が可能なため、用途に合わせて調節する。
また、荷台部分にデッキブラシ及びジョレンを積載しており、これを活用して汚染の原因となっている毒ガスが搭載された砲弾(化学科ではホットスポットと呼称)などを擦ることで確実に除染することが可能
スプレーガンを使用する2名が息を合わせ、一定のリズムで散布を行う他、ホットスポットを除染する際は1名が下車してデッキブラシ等で擦りながら、乗車しているもう1名がホットスポット及び下車した1名を除染する。
1度下車した人員は靴底等が汚染されるため、再度乗車する前にスプレーガンで除染材を散布される。
また、着用している防護マスクの吸収缶には防水機能は存在しないため、水を浴びる際は必ず吸収缶を押さえるように指導されている
車両前方の散布装置を用いた散布
車両前方に運転席から操作することができる散布装置が搭載されており、これを利用することで前進しながら除染することが出来る。
基本的にはスプレーガンと併用することで後方人員の負担を減らすことができる。
砂埃を抑制する目的でヘリコプターが着陸する前に水を散布することがあるが、その際は主にこの散布装置が利用される
ハードルーフ部に開けられた穴から散布
ハードルーフ部には穴が開けられており、スプレーガン付近に存在するハンドルを回すことでここから散布することが出来る。
車両の幅以上に散布できるため、より広範囲に散布したい際や、調整することで人員が浴びることができる水圧にすることも出来るため一応人員の除染に使うことも可能である。