概要
日本で開発された短射程の空対空ミサイル。正式名は04式空対空誘導弾。
2004年に航空自衛隊で制式化され、F-15J/DJやF-2などの戦闘機に搭載されて運用される。
自国製のAAM-3(90式空対空誘導弾)の後継として三菱重工と防衛省技術研究本部が開発した。
AAM-3よりもさらに高い機動性と優れた誘導性能が特徴。
新たに推力偏向装置を装備したことで、元から機動性の高かったAAM-3と比べてもその機動性は隔絶しており、180度近い方向転換すら可能である。
誘導には赤外線画像誘導式を採用されており、これは赤外線誘導ミサイルの妨害に用いられる一般的なフレアがほとんど通用しない。
シーカーの首振り角も大きく、JHMCSと呼ばれるヘルメット装着式照準器のHMDと組み合わせることで、HMDを装着したパイロットが顔を向けた方向にミサイルを発射できる。
LOAL(発射後ロックオン)の機能があることからミサイル発射後に照準を付けるも可能。射程距離もAAM-3の倍の35kmに廷伸している。
その一方、調達価格は割高であり、AAM-3は以前から用いられていたAIM-9Lサイドワインダーよりも倍額となったが、AAM-5はそのAAM-3の約3倍、1発あたり約5,500~6,000万円に上がっている。ただし同世代のAIM-9Xサイドワインダー2000などもほぼ同額のため、AAM-5だけが突出して高額というわけではない。
基本的に近代化改修を施したF-15J/DJやF-2で運用されるが、改修前のF-15にも搭載することは可能。しかしその場合、LOALが出来なくなるといった機能低下が発生し、AAM-5本来の性能を最大限引き出すことはできない。
派生型
派生型として、能力向上を施した「04式空対空誘導弾(B)」(AAM-5B)がある。
2015年に採用された。
AAM-5Bは二波長赤外線(遠赤外線+中赤外線)画像シーカーの採用、シーカーの首振り角拡大などの改良が施され、より高い誘導性能を発揮する。