概要
日本で開発された中射程の空対空ミサイル。正式名称は99式空対空誘導弾。
99式とあるように1999年に航空自衛隊で制式化され、空自のF-2や近代化改修されたF-15J/DJなどの戦闘機に搭載されて運用される。
空自ではもともとアメリカ合衆国製のAIM-7スパローを中射程空対空ミサイルとして運用していたが、その後継でより高性能な米国製AIM-120アムラームはNATO加盟国以外には輸出されないのではないかという懸念があった。
そこで、AIM-7スパローの後継として三菱電機と防衛省技術研究本部により開発されたのが、このAAM-4である。
従来用いていたAIM-7スパローは、ミサイルが命中するまで発射母機が目標に誘導をし続ける必要があり、その間母機は回避行動が行えないなどの問題があった。
しかし、AAM-4では発射から一定距離まで母機が誘導した後、ミサイル側が自律的に敵機を追尾する「撃ちっ放し」ができるようになり、発射母機はミサイルを放った段階で即座に回避行動が行えるため、発射母機の生存性を向上させている。
飛翔速度はマッハ4~5、射程は非公開だが100km程度ではないかと推測されている。
また、能力向上型の「99式空対空誘導弾(B)」(AAM-4B)も開発配備されており、アクティブ・フェイズド・アレイ/AESAシーカーを空対空ミサイルでは世界で初めて採用し、信号処理機構を新方式に更新している。
レールランチャーからの発射にも対応したことで、それまでは近代化改修済みF-15J/DJ専用のミサイルだったが、F-2戦闘機への搭載も可能となった。
AAM-4Bは開発のきっかけとなったAIM-120と比べても、採用時の最新型であるC-7型と同等以上の性能を持つと評価されている。
これはカタログスペック上での比較ではなく、AAM-4Bの試験データと、飛行教導隊(現飛行教導群)が2000年代に評価用として導入した125発のAIM-120B/C-5を、F-15DJに搭載してターゲットドローンに全弾打ち込むことで得られたデータを比較して下したものである。
一方、AIM-120はAIM-7搭載機であれば火器管制プログラムを少し弄るだけで運用できるのに対し、AAM-4はJ/ARG-1指令送信機を搭載しなければ運用することができないため、搭載するには戦闘機の近代化改修が必須となる。
また、AIM-120と比較して1インチ太く、制御翼も大型なため、空自で運用しているF-35ステルス戦闘機には搭載が困難と言われている。これはF-35がステルス性を重視すべく機内にミサイルを内蔵するためで、大型なAAM-4は内蔵しづらいのである。
さらに、AIM-120の輸出をアメリカ政府が結局許可したことから、空自のF-35はAIM-120を搭載して運用している。