概要
ルールシュタールX-4とは、第二次世界大戦中のドイツ軍が開発した世界初の空対空ミサイルである。ドイツを爆撃するアメリカ軍・イギリス軍の爆撃機を、防御機銃の射程外から一方的かつ一撃で撃墜できる兵器が求められたことで、1942年よりルールシュタール社が開発を始めた。
Ta183などの戦闘機にも搭載できるよう、全長約2m、重量約60kgとコンパクトなサイズにまとめられており、液体燃料ロケットで時速900km以上で飛翔する。誘導は有線誘導方式で、機体に長さ5500mのワイヤーを内蔵しており、発射後は母機のオペレーターが手動操作で誘導する。
開発こそ成功したものの、連合軍の爆撃でロケットエンジンの工場が壊滅的な被害を受けたため量産が進まず、実戦投入されることなく終戦を迎えた。
ただ、誘導兵器とはいえ有線誘導の手動操作である為射、いくら相手が鈍足なレシプロ重爆撃機相手とは言えども命中にはニュータイプ的センスが要求されたことは言うまでもない。ましてや単座戦闘機でパイロットが操縦や攻撃を回避しながらこのミサイルを手動で誘導するのはほぼ不可能に近い。この為例え量産されたとしても戦果は限定的であり戦局に影響を与えることはなかったのではないか、というのが大方の見解である。
ただしこのコンセプトは、後の空対空ミサイルに大きな影響を与えたことは決して否定することはできないだろう。