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概要

航空自衛隊のアクロバットチーム。6機の飛行機で編隊を組んで曲技飛行を行う。

所属は、航空自衛隊松島基地第4航空団。正式な部隊名は「第11飛行隊」となっている。

名目上は「戦技研究」、つまり戦闘機同士のドッグファイトにおける技術を研究開発するための部隊であるが、実際には基地祭に訪れた民間人に曲技飛行を見せ、楽しませることを任務とする。

また、高い腕を持つパイロットの技を披露することで、戦争抑止になるとも考えられている。


1958年10月F-86セイバー3機によりアクロバット飛行が行われたこと、1954年12月にアメリカ空軍サンダーバーズの来日がきっかけとなり、1960年3月に初の展示飛行が行われた。同年4月には源田実航空幕僚長の許可により「航空機同研究班」が発足した。チーム名がブルーインパルスとなるのもこのころである。(名前の由来は後述)


2011年3月から2013年3月27日までは東日本大震災により松島基地が使用できなかったため、たまたま現地での編隊飛行のため移動していた芦屋基地を拠点とし、築城基地と山口県見島で訓練飛行を行なっていた。なお、この震災で被災したのは、所属する9機のうち基地に残っていた1機のみであった(6機は芦屋基地、2機はメーカー整備中)。

2011年5月に、芦屋基地で訓練を再開。8月には震災後初めてブルーインパルスが東松島市の空を飛んでいる。

また、2020年の5月には、COVID-19新型コロナウイルス)の流行に対応する医療従事者たちへの敬意と感謝を伝えるために、東京の都心上空で編隊飛行を実施している。

これらの飛行によって、多くの人々が勇気づけられたことであろう。


技術の継承

機体は、1から6番の6機編成となっている。当たり前だが、1番機がリーダーである。

過去に編み出された技は全て記録されているほか、毎年新しい技を研究し、航空祭で披露すべく研鑽を積んでいる。


パイロットがブルーインパルスに所属する期間はおおむね三年間。

最初の一年は先輩の技術を盗み、次の二年目で展示飛行を行うようになり、最後の三年目は指導者として後輩に技術を伝達する。

各機のパイロットは「師匠」と「弟子」でペアを組み、技の継承を続けている。

「卒業」の際には、水をかけるのが習わしだが、大勢でのバケツの一斉放水はまだ良い方で、途中で消防車の放水が待っている。


航空祭での展示飛行

各基地で行われる航空祭で日本各地を回っているが、毎年11月3日文化の日に行われる「入間基地航空祭」は首都圏に近いことや「キムタク効果」により大人気となっている。


TV番組で木村拓也が体験搭乗をした。彼は、激しい機動にも全く臆することなく、むしろそれを楽しんでいる様子で、自衛隊関係者を驚かせた。


各国のアクロバット飛行隊の思想の違い

世界各国の軍のアクロバットチームは、

  • 戦闘機を使用した激しいマニューバや高速での交差といったダイナミックな演目が売りでありのアメリカンスタイル
  • 練習機を使用した大編隊による精密な編隊飛行や流れるような散開が売りのヨーロピアンスタイル

に二分される。


ブルーインパルスは機体数で言えばアメリカンスタイルであるし、源流もアメリカンスタイルである。しかし、編隊飛行の演目が多く、そのような意味ではヨーロピアンスタイルの飛行演目をもつチームともいえる(5番機、6番機によるダイナミックな演技はアメリカンスタイルに通じるものがあるが)。そのため、アメリカン、ヨーロピアンの区別はせず、ファンのあいだではあえて日本流(ジャパニーズスタイル)と呼ばれることもある。


名前の由来

ブルーインパルスが発足した当初は浜松基地の近くを流れる天竜川より「天竜」と呼ばれていたが、当時多くいたアメリカ人管制官等には発音しにくく、コールサインの「インパルス・ブルー」をひっくり返した。また、創設中心的メンバーであった稲田淳美三佐がチーム名に悩んでいた際、彼の妻が広島原爆で見た「青い閃光ほど衝撃的なものはない」と話したことがきっかけとなったといわれる。(F-TOYs「あの日のブルーインパルス 2」F-86F初期塗装 付属説明書より引用)


歴代機種

初代:F-86セイバー(1960~1981)

航空自衛隊で主力戦闘機として運用されていたF-86Fのうち、大きな事故歴がない・故障率が少ない等の条件に合致した個体を選出して改修した。そのため「ブルーインパルス専用に製造された機体が存在しない」機種でもある。

1964年の東京オリンピックで、開会式の会場上空に巨大な五輪マークを描いたのはこの機体。

発足時は通常塗装だったカラーリングは2度変わっており、1961年には金属地に青(隊長機は金)とピンクとライトブルーのストライプを配した専用カラーが初登場。1964年からは白地に青のなじみ深いカラーリングに変わった。

初代の専用カラーは隊員たちの間でデザイン案を募り、2代目は1963年に撮影協力した『今日もわれ大空にあり(公開は翌1964年)』を製作した東宝の美術スタッフ沼田和幸が隊員たちによるデザイン案をもとに最終的なデザインの仕上げを行った。

1964年10月10日


二代目:T-2超音速高等練習機(1982~1995)

ブルーインパルスで最初の国産機であり、歴代使用機で唯一の超音速機。青色が多めのカラーリングとなっている。このデザインは一般公募の女子高生4人によるもの。

機器損耗の対策として実施された偶然の産物であるものの、離陸時やアフターバーナーの際に放出するスモークオイルが引火して発生する「トーチング」を見せる当時唯一のアクロバットチームにもなっていた。

推力の低さや翼面荷重の大きさから来る旋回半径の増加と速度低下により演技の間延びが懸念されていたことから、これまで基本的に5機だった編成に加え、演技間のソロ演技用の1機を追加した6機編成に変更された。

ブルーインパルスT2航空自衛隊 T-2 第21飛行隊 戦技研究班 (松島)


三代目:T-4中等練習機(1996~)

現在の機体。機体外観から「ドルフィン」という愛称が付けられている。

ブルーインパルスが運用する機体は見た目こそ原型機と変わらないが、「戦技研究仕様機」として専用開発されたもの。主な変更点はラダー角の作動角拡大やバードストライク対策強化、各種計器類の変更など、より低空でのエアロバティックに対応した改修がなされている。

翼面荷重の低さに加え、F-86FやT-2よりも大きな推力重量比の恩恵もあり、連続する高G課目や垂直系課目が余裕を持ってできるようになった。

濃紺と青がメインカラーだったT-2に対して、F-86時代に近い白と青が基調のカラーリングとなっている。このデザインは一般公募の精神科医によるもの。

運用当時は長野オリンピックなどでも使用されていたカラースモークを多用していたが、染料投入に依るコスト高や環境負荷・染料が自動車の表面などを汚染したことから使用が停止された。

現在では2020年東京オリンピックに向けたカラースモーク再開の構想から、海外のアクロバットチームで使用されている染料から上記問題を克服できる物を検証。実機試験の結果を元に2019年の聖火到着式に合わせカラースモークの使用展示が実施された。

天駆ける蒼い衝撃デルタ・ロール


この他、T-4導入後に四代目ブルーインパルス仕様のF-2を9機分防衛予算に計上したものの認められなかった話がある。


課目(一例)

バーティカルキューピッド

2機のループでハートマークを描き、その中心に別の1機が矢を描く(途中でスモークを止め、また出す)。

バーティカル・キューピット(BI版)


サクラ

航空自衛隊50周年を記念して、2004年に登場した課目。6機が一斉に360°旋回をして、空に桜の花を描く。

姫路城 ブルーインパルス祝賀飛行・・


スター&クロス

5機編隊が上昇しつつ散開、そののちに水平飛行に移った各機が、空に星を描く。

1997年に実現したアメリカでの展示飛行で、特に評判の高かった課目。


ローリングコンバットピッチ

4機編隊が上昇しつつ、1番機から順番に右ロールしつつ散開する。

編隊課目のトリを飾る、F-86時代からの伝統の課目。


関連イラスト

ブルーインパルスブルーインパルス

Kawasaki T-4 [Blue Impulse]魅せる翼


関連動画

航空自衛隊チャンネル公式動画

ブルーインパルス プロモーションムービー(2014年3月)


ブルーインパルス アクロバットショー(2014年3月)


テーマ曲および音楽作品

ドルフィン・イン・ザ・スカイ(Dolphin in the Sky)/矢部政男


行進曲「ブルー・インパルス」(Blue Impulse)/斎藤高順


関連タグ

航空自衛隊 アクロバット スモーク 練習機 戦闘機

レッドインパルス

外部リンク

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