概要
2022年3月17日に航空自衛隊の下で発足した部隊。
宇宙状況の監視や日本の人工衛星妨害を監視することを主な任務としており、宇宙からの防衛を強化することを目的に、2020年発足の宇宙作戦隊を増強・改編する形で設置された。
初期メンバーは70人ほど。
大仰な名前だが、SFに登場するような宇宙艦隊を擁するとか宇宙戦争に備えているとかそういう部隊ではなく、スペースデブリや不審な人工衛星を地上から監視し、日本の人工衛星に影響を及ぼさないかを見張るための部隊である。
ところで、宇宙ゴミや不審な衛星の監視を行う目的とは何か。平和であるべき宇宙に自衛隊を活動させるとは憲法的に平和を守っていると言えるのか。実は明確な理由がある。
長年に渡り、宇宙の軍事利用の規制は諸国の見解の相違により進展を見ていない。こうした中、各国とも衛星を破壊するミサイルや他の衛星を攻撃するキラー衛星といった衛星攻撃兵器の開発を進めている。実際、中国は2007年に弾道ミサイルを用いて自国の風雲一号C型という気象衛星を破壊する実験に成功している。また破壊された風雲一号C型は多数のデブリとなり、他の衛星や国際宇宙ステーションなどの軌道を脅かしたという。
日本の防衛戦略は、早期警戒衛星や偵察衛星によりミサイルや戦闘機を発見し、通信衛星によって情報を伝達・集約して各部隊に指示、迎撃する仕組みである。仮に衛星が破壊されると、この仕組みは作動しなくなってしまう。防衛システムの停止は開戦の原因となりかねない。
こうして、平和を守るためには、宇宙空間での監視活動が不可欠になってきているというのが現状であり、部隊設置の目的である。
シンボルマークは正面に星をイメージした十字と、背景に地球と衛星軌道を配したもので、常時不断の監視を意味する。6つの丸は防衛省初の宇宙監視専用レーダー、合計で星が20あるのは、前身の宇宙作戦隊が2020年発足であることを示す。
宇宙作戦隊時代の2020年7月31日に公開され、隊員が考案したものであるという。
沿革
宇宙作戦隊時代
2020年4月17日に参院本会議で改正防衛省設置法が可決、5月18日に東京の航空自衛隊府中基地にて20人の規模で発足した。初代隊長は阿式俊英二等空佐。
本格稼働予定の2023年度に向けて当面は人材育成や宇宙領域での部隊運用の検討や米国との連携体制構築を行っていくこととなった。
宇宙作戦群時代
2023年3月17日、宇宙作戦隊を増強する形で宇宙作戦群となる。
府中基地の部隊は第1宇宙作戦隊に改編した上で、山口県の航空自衛隊防府北基地に第2宇宙作戦隊を新設。
今後
空自が航空宇宙自衛隊へ改称することも見据え、今後さらに組織規模を拡大した「宇宙作戦団」に増強される予定。