概要
航空自衛隊が1993年に制式化し、運用している空対艦ミサイル。
正式名称「93式空対艦誘導弾」。
戦後日本初の対艦ミサイルとして開発されたASM-1を補完するために開発が進められ、射程の延伸や誘導方式の変更といった改良が行われている。主にF-2戦闘機の主力兵装として用いられており、F-2は本ミサイルを4発も搭載できる対艦攻撃能力の高さから、非公式に「対艦番長」とあだ名されている。
この他F-4EJ改や三菱F-1などの旧式機でも運用できるが、どちらも2発しか搭載できず、F-1はレーダーとFCSの問題からASM-2の性能を最大限発揮できない。また、ASM-2の配備からしばらくしてF-1は退役したため、F-1がASM-2を搭載する機会は少なかった。
射程は前任だったASM-1の2倍の100km、飛翔速度はマッハ0.93、誘導は中途航程では慣性誘導、終末航程では赤外線イメージ誘導を用いる。
ステルス性を持つ舵により敵レーダーによる被発見性を抑えている。逆に、誘導に用いる赤外線イメージ誘導は標的の赤外線画像を照合することで、電波妨害やフレアによる影響を受けつけることなく、高い命中率を誇る。さらに艦船形状を判定し、敵船の艦橋や武装へ命中点を指定することも可能で、理論上は対地ミサイルとして地上攻撃に転用することもできる。
改良型として、中途航程の誘導にGPS誘導方式を追加して誘導精度を高めたASM-2B / 93式空対艦誘導弾(B)が存在する。中間誘導にGPSを用いることから、通常型と違ってGPS誘導による遠距離からの対地攻撃が(これまた理論上だが)可能となった。
派生型として、過去にデータリンク機能を追加した空対地ミサイル型(または単純に能力向上型)の「ASM-2D/L」が開発/計画されていた……ともいわれるが詳細不明。これはASM-2Bの仮称だったのではないかとも言われる。
関連イラスト
PixivではASM-2単体よりも、ASM-2を航空機(特にF-2)が搭載したり発射するイラストの方が多い。