概要
略称は「SSM-1(Surface to Ship Missile-1)」
公募愛称として「シーバスター」と言う名前が付けられたが(ご多聞に漏れず)使われておらず、隊員間通称として「SSM」等と言われている。
四方を海に囲まれた島国である日本にはある意味必要不可欠な対艦ミサイル。航空自衛隊が運用する80式空対艦誘導弾(ASM-1)を基礎として開発された。
また、このミサイルを基に海上自衛隊護衛艦向けの艦対艦ミサイルとして90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)、同対潜哨戒機向けの空対艦ミサイルとして91式空対艦誘導弾(ASM-1C)が派生した。後継として12式地対艦誘導弾が開発され、重装輪回収車と共通の車台に、03式中距離地対空誘導弾に類似した形状の発射器が搭載されている。
運用
他のミサイルにも言えることだが、88式地対艦誘導弾を発射する為には発射器のみでは運用ができない。発射器を搭載した車両に加えて射撃指揮装置、捜索・標定レーダー、予備弾薬搭載・装填装置、信号中継装置を搭載した車両の計5台が必要である。
運用の際にはレーダー搭載車が海岸線に進出し、発射器搭載車両等は内陸部に展開する。
本ミサイルは開発当時、対艦ミサイルとしては唯一の地形回避飛行能力を持っており(本来は巡航ミサイルなどに持たされるべき能力)、またプログラムにより複雑な軌道を描いて飛行することで発射地点の隠蔽を行い、システム全体の生存性を高める工夫がされている。加えて、超低空飛行を行うことで被発見率を低く抑えている他、電波妨害を受ければその発信源を逆探知し、そちらへ向かうようにプログラムされている。ミサイルは中間誘導に慣性航法、終末誘導にはアクティブレーダーホーミングを組み合わせている。
平成3年度以降、毎年秋頃には米カリフォルニア州のポイントマグー射場にて射撃訓練を行っており、電波妨害下での射撃も含め全てのミサイルの命中に成功している。ミサイルも機械であるが故、命中しないことがあっても不思議ではなく、電波妨害環境下においては猶更。逆に全弾命中する方が珍しい。
因みにこれらを運用する地対艦ミサイル連隊は、2024年時点で6つ編成されている。嘗ては冷戦終結を受けて整理の対象とされ、5個連隊まで減ったこともあったが、中国の南西諸島台頭を受けて逆に増強されつつある。うち3個連隊は第1特科団隷下として北海道に配備され、2025年以降は第2特科団隷下として南西方面にも3個連隊が配属される。
余談だが、地対艦ミサイル連隊は陸自の全連隊中唯一片仮名が連隊名に用いられているという珍しい部隊でもある。
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