解説
ノーズアート(Nose Art)は、戦闘機や爆撃機といった軍用機の機首、またはそれに近い部位に施されるイラストや文字列の総称。
機体への愛着心、げん担ぎ、戦意高揚、威嚇行為など、さまざまな理由でイラストが描かれてきた。
アメリカ軍において
猥褻系 | シャークマウス |
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第二次世界大戦ごろから盛んとなった。
半裸や全裸、あるいは下着姿のセクシーな女性が描かれることが多く、過激になりすぎたために絵を消したり服の絵を上書きして裸を隠すように命令が出たこともあったとか。
酷い例として、ベトナム戦争時には空中給油口に股間がくるように描かれた全裸の女性が描かれて物議を呼んだこともあった。
これは、空中給油で燃料を補給することが授乳に例えられたり、フライングブームを給油口に差し込む給油方法が性行為に例えられる事があるため。ちなみに今でもある。
また、威嚇行為として描かれるペイントに鮫の口を描いた『シャークマウス』(シャークティースとも呼ばれる)も有名。
ドイツ軍において
第二次世界大戦期に流行った。
特に有名なのが、アドルフ・ガーランドのBf109に描かれた葉巻をくわえ、手に斧と拳銃を持った例のネズミ。最古の夢の国チキンレース参加者である。
日本軍において
太平洋戦争ごろの日本軍でもノーズアートが描かれたことはあったが、そのほとんどが戦意高揚目的のもので、アメリカのようなセクシー路線ではなかった。(例:飛行第244戦隊)
ただ、当時人気だった漫画のキャラ(フクちゃんやのらくろ)が描かれることもあったとか。
航空自衛隊において
航空自衛隊では、各部隊の飛行技術を競う戦技競技会『戦競』で、各部隊ごと戦闘機に個性的なマーキングを施すことがひとつの名物となっている。
その中でも特に、ミスティックイーグルと呼ばれるノーズアートシリーズが有名。
これは、空自出身のデザイナーが手掛けた戦乙女があしらわれた当時百里基地所属のF-15(現在は那覇基地所属)であり、1994年から11年間描かれ続けた。
また、有名漫画家によってデザインされたノーズアートも話題を呼んだ。
ちなみに1996年の戦競において、なにを血迷ったのかRF-4Eにああっ女神さまっの主役女神3柱が描かれた。
まさにコレの元祖である。
陸上自衛隊において
陸上自衛隊木更津駐屯地の東部方面航空隊・第4対戦車ヘリコプター隊はAH-1やOH-1等に木更津茜らオリジナルキャラクターがラッピングされた。
戦競のような競技用に描かれたのではなく、航空祭の展示用であった。
MS少女
「ガンプラブーム」の頃、とくにMSV関連で見られたリアルさを追求する事(機体をロービジにする。コーションマーク(「感電注意」等の注意書き)を追加する等)が流行り始めていた。
その流れでモビルスーツのコスプレをした女性を描いたノーズアート(実際にノーズ(鼻先)ではなく胸か肩か盾だが)が登場。
この絵の中で著名なグフレディ、ザクレディなどがMS少女の奔りとなった。
余談だが、ガンプラブームに便乗した『メガロ・ザマック』を発売した今井科学は、ノーズアート(半裸のおねーちゃんの絵。デザインはアートミックなのでアニメ調。ただしザマックとは関係無いデザイン)ばかりを集めたデカール「メガロコンバットデカール」を発売したことも。