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アートミック

あーとみっく

かつて東京都武蔵野市吉祥寺に存在したアニメ制作会社。旧・ウィズコオポレイション。1997年に倒産し作品版権の大部分はAICが継承した。
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かつて東京都武蔵野市吉祥寺に存在したアニメ制作会社。また現在で言うところの、コンテンツ企画会社(プロデュース事務所)、デザイン事務所、イラストレーターズオフィス、ライターズオフィス(雑誌等出版物編集事務所)などの業務も担った。本社はジャルダン吉祥寺に入居していた。


英語表記はARTMICART-Modern Ideologist for Creation の略。強引に日本語化すると「創造のための現代的芸術概念」くらいの意味になるだろうか。もちろんアトミック(atomic)ではない


1997年に倒産。作品版権の大部分は『ガルフォース』の共同制作として付き合いのあったAICに引き取られた。


アニメ史の上では1980年代後半において『メガゾーン23』や『ガルフォース』でメカと美少女(第2次SFブーム)を牽引した会社として名を知られている………が、それだけでは語りつくせないのが、この「アートミック」という会社である。


概要編集

タツノコプロ企画室に所属していた制作プロデューサー鈴木敏充が1978年に独立して設立したアニメーションスタジオ。1980年にウィズコオポレイションの名義を用いたが、この名義は翌年には廃止した。

タツノコプロからの独立スタジオ(いわゆる吉田竜夫の不調と死去に伴って、竜夫を慕っていた弟子筋が大勢離脱した「第1次タツノコ分裂騒動」の時に成立したスタジオのひとつ)だが、独立分離にあたっては(葦プロなど他の多くの分裂スタジオとは異なり)非常に円満だった模様で、独立後もタツノコプロ(および往年のタツノコスタッフたち)との共同企画作を複数作、手掛けている。


特筆すべきは「アニメに限らず絵の仕事ならなんでもやった」こと。

後述する代表作に見られるように、特にメカものを主体としたハードSFを得意とし、この分野を足掛かりにして作品企画やプロデュース、デザイン業務に強みを置いた。

それはアニメのみにとどまらずオリジナル玩具プラモデルガレージキットなどの立体造形物)や、広告モデル用造形物、出版物やグッズ用の公式版権イラスト(他社が版権を持つアニメ作品や実写作品を元とした派生グッズ用イラストの制作)なども手掛けていた、とされる。

特にCM造形におけるシド・ミードとの合作および絶賛、さらに玩具部門における今井科学タカトクトイスと組んでの活躍は、そのテのマニアの間ではもはや伝説である。


そのため代表作は『テクノポリス21C』、メガゾーン23シリーズ』機甲創世記モスピーダガルフォース、『バブルガムクライシスシリーズ』、『破邪大星ダンガイオー』、『冥王計画ゼオライマー』、『爆風童子ヒッサツマン』、ロボダッチ銀河の鷲メガロ・ザマック、『機甲虫隊ビートラス』など分野多数・数量多数にわたる。


また、それゆえにこのスタジオの出身者は会社解散後には、アニメーターとしてではなく、デザイナーイラストレーター漫画家脚本家小説家として身を立てていった者が多い

そもそも社長の鈴木氏からして今井科学が出した『メガロ・ザマック』『ビートラス』『モスピーダ』『マクロス』の箱絵によって、イラストレーターとしての国際的な評価がとても高い人である。


しかし、1990年代バブル崩壊によって業務取引先の多くが倒産破綻や規模縮小に至り、そして何よりもなんとか生き残った取引先各社すらリストラの一環としてのデザイン系業務の内製化を余儀なくされていった(要は取引先から軒並み外様として切り捨てられた)事で、取引先からの作業外注の受注をもって回していた資金繰りが徐々に厳しくなっていった。

起死回生を期してOVA『ガルフォース・ザ・レボリューション』の企画制作に乗り出したが、これが90年代後期マニア間に生じていた(具体的に言うと「エヴァ至上主義」によって巻き起こったセカイ系ブームによる)過去作のリメイクや続編への拒否意識によって大きくコケた事で、上述の通り1997年に倒産(破綻)した。


版権の継承先と製制作資料の散逸問題編集

上述のようにアートミックの版権そのものはガルフォースの共同制作であるAICが引き受けたものの、破綻時の債務整理の際に多くの制作資料(設定集やイメージボード、造形系オリジナルワークや版権仕事の履歴など)はヤフオク楽天、あるいは大手零細を問わぬ中古売買のアニメショップなどを通じて散逸してしまっている。現在、これらの資料(特に履歴資料)は作品の現物や旧スタッフ陣の証言に依るしかない状況にある。(つまり現物が残ってない仕事は旧スタッフが仕事の事を忘れていたらアウト。そして現在、旧スタッフは老齢にあり、客観的に見ても、その記憶や証言の劣化が危惧される状況になりつつある)

こうした事例は古くからあり(例えば一番激しいこれとか)決して珍しい事ではないのだが、アートミックのケースでは特にネットオークションの破壊力によって各作品のスタッフの元にすら資料がマトモに残ってないというスタッフとしてもファンとしても壮絶に悲惨な部類に入る。

つまり、これがどういう事かというと旧来の会社整理ではお金にならないとされ、スタッフに返されていた資料すら、お金にできる手段が出てきてしまったという事であり、すなわち制作会社が破綻してしまったら、その会社が制作した作品が封印作品になる危険性が格段に増したという事を示している。図らずもアートミックの破綻は(AICの版権継承があって、ある程度は辛うじて緩和できてはいるが)その最初期のケースとなってしまったのである。


そのため、アートミック作品を再び動かすためには散逸した資料の収集という超無理ゲーに挑むか、あるいは作品の現物を含む部分的に回収した資料を元に一から設定を組み直す(パラレルとして作る)しかない、と言われている。(人気によって、多くのファンに設定が公開・周知された『バブルガムクライシス』や『メガゾーン23』は、とても珍しいケース)


もしも手持ちに欠片でも資料があるならば、コピーでも良いので然るべき場所(版権継承者であるAICや、旧アートミックの所属者、それでなくてもアニメや漫画の資料館や美術館的な施設)での情報保全を図っていただきたい所である。アニメ文化史の保全的な意味で。


主要作品編集

アニメ編集

ゲーム編集

  • ヘルファイアーS(PCエンジン用ゲーム。各種デザイン担当)
  • ステラアサルト(SEGAスーパー32X用ゲーム。メカニックデザイン担当)
  • ガンバード彩京

玩具・立体造形編集


おもな所属・出身者編集


関連タグ編集

アニメ制作会社


タツノコプロ(吉田竜夫):独立元。いわゆる師匠格の会社にあたり、アートミック出身者にとってはタツノコ初代社長の吉田は系譜上の大師匠にあたる。

AIC:頻繁に共同制作を行っていた相手。版権の継承先。


スタジオぬえ:初期に交流があった。

アートランド:名前がめっちゃ紛らわしくって混同されやすいが、一応は別資本の別会社。設立経緯も全く無関係。されどものすごく過密な交流があり、AICと同レベルでタッグを組む事が多かった。

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