概要
『バブルガムクライシス』とは、アートミックの企画による、1987年から1991年にかけて発売された全8巻の「美少女」、「メカ」、「エロ」の三拍子が揃った人気OVAシリーズである。
アートミックが1997年に破綻したため、現在の版権はOVA第1期の共同制作元であるAICが引き取っている。
西暦2032年のメガ東京。7年前に発生した第2次関東大震災からようやく復興を果たしたが、急速に進歩した科学技術と様々な人種の流入で富を得た人々と、逆に貧しい生活を強いられた弱き人々の存在が浮き彫りとなり、犯罪も多発していた。
中でも深刻なのは復興に伴って導入された人型機械ブーマを悪用した、あるいは暴走したブーマの引き起こす凶悪犯罪であり、ノーマルポリスに変わって導入されたアドパンスドポリスさえ太刀打ちできず、被害は拡大する一方であった。
ランジェリーショップ「シルキードール」のオーナー シリア・スティングレイ。彼女は暗殺された父の仇討ちと、街に蔓延る非合法ブーマから弱き人々を救うために、美女4人から成る闇の仕置人・ナイトセイバーズとして悪に立ち向かう。
また、KS結成の5年前を舞台に暴走ブーマと戦う刑事たちを描いたスピンオフ作品『ADポリス』も発表された。
本編でプリスに思いを寄せているADポリス、レオン・マクニコルが新人だった頃の活躍を描いており、凶悪な暴走ブーマ犯罪に生身で立ち向かっていく刑事たちの、ハードなサイバーパンクのストーリーが展開され好評を博した。
その後、諸事情で発売元と制作元を変更した続編の「バブルガムクラッシュ!」、リメイクにあたるTVシリーズ「バブルガムクライシス TOKYO 2040」、そしてTVシリーズからのスピンオフである完全新作の「ADポリス」および「PARASITE DOLLS」が製作された。
しかしOVA版「バブルガムクライシス」および「ADポリス」とは設定やキャラクターデザイン、雰囲気が大きく変わってしまっている。
(この雰囲気の変化に関しては、アートミック破綻時に制作資料の散逸が起こってしまっているため、特に『TOKYO 2040』以降はAIC側が作品を一から立ち上げ直さねばならなかった事情もある)
ナイトセイバーズ
シリア・スティングレイをリーダーとする四人組のチーム。
いわゆる「闇の仕置き人」。ブーマがらみの事件に関し、依頼を受け、報酬と引き換えにブーマと戦い、倒す……という事を行っている。
劇中でのほとんどすべてのブーマは、ゲノム社、およびそれに関連した企業や団体によるものなので、この活動が間接的に、ゲノム社への抵抗ともなっている。
基地は、シリアのランジェリーショップ「シルキードール」の地下に存在。シリアの私財により装備が整えられ、依頼を受けてブーマと戦うのだ。
装備
- ハードスーツ
ナイトセイバーズの主力兵器。メンバーそれぞれが装着するオーダーメイドのパワードスーツである。
メンバーそれぞれに特化された機能を有し、シリアは指揮官用、プリスは攻撃力強化、リンナは機動性重視、ネネは対電子戦闘・後方支援に、それぞれ特化している。また、様々な武装を内蔵。ADポリスでも手を焼くブーマですら、倒す事が可能。
詳細はハードスーツを参照。
- モトスレイヴ
ナイトセイバーズのサポート兵装である、変形するバイク。移動用バイク「モトサイクル」、モトサイクルが人型に変形した「モトロイド」、そしてモトロイド状態でハードスーツを収納した「モトスレイヴ」の三形態に変形する。
体内には簡易AIが内蔵され、半自立行動が可能。ただし基本的には、メンバーの命令で動く。
モトサイクル状態では、主にハードスーツを乗せての高速移動がメイン。火器も搭載し、砲撃なども行う。
モトロイド状態では、ハードスーツの戦闘サポートを行う。また、モトロイド状態で搭載している重火器を、手持ちの武装として使用する。
モトスレイヴ状態では、胸部を展開し、ハードスーツを収納。外骨格式の大型パワードスーツとして、ハードスーツ自体の攻撃力・防御力を強化する。この状態では、車輪が変化したツインローターでの浮遊し高速移動が可能。
当初は、変形可能なモトサイクルはプリス用の赤い機体のみで、他の三名は非変形だった。
後にプリス用のモトスレイヴが新調(プリスは良く壊すので、新調される事が多い)。それに合わせ、リンナ用の緑の機体も変形機能が付加された。
また、6作目「レッドアイズ」では、ハイパーブーマによりプリス用モトロイドが完全に破壊されるも、新型「タイフーンⅡ」が駆けつける。こちらはハードスーツ自体を完全収納している他、大型化し出力もアップ。攻撃力や防御力など、すべての性能が底上げされている。
設定では、他メンバーも同型の新型を有する(シリア「ハリケーンⅠ」、リンナ「トルネードⅢ」、ネネ「テンペストⅣ」)。
さらに同作内では、衛星砲を破壊するため、プロトタイプのモトスレイヴも登場。大型化しており、推力不足でツインローターでの浮遊も不可能、当然変形も出来ずという未完成な機体(プリスの二号機で、ようやく変形可能になった)。多少の改良を経て、大型砲を装備。軌道上の人工衛星を破壊した。
モスピーダ、ガーランドを経た、アートミックの「バイク変形ロボ」の完成形とも呼べる存在でもある。
- ハイウェイ・スター
四作目「リベンジ・ロード」に登場した大型バイク。
暴走族への復讐するため、ハイウェイを疾走するモンスターマシンに対抗すべく、プリスが(ほぼ独断で)持ち出したもの。元はシリアの弟、マッキーが趣味で作っていたもので、モトサイクルを遥かに超える馬力とスピードを有する。
のちに、スピンオフなどに登場した。
設定上では、後にこのバイクにもモトサイクルと同様に変形機能を搭載するように改造され、モトロイド・モトスレイヴ形態の設定画も書かれていた(劇中には未登場)。
ナイトセイバーズメンバー
- シリア・スティングレイ
詳細はシリア・スティングレイを参照
- プリシラ・S・アサギリ(プリス)
(赤いジャケットを着ている方)
ロックバンド『PRISS & REPRICANTS』のボーカリスト。プリスは愛称で芸名。
詳細はプリシラ・S・アサギリを参照
- リンナ・ヤマザキ
CV、富沢美智恵
西暦2012年10月20日生まれ、身長176cm、体重47kg、 B85cm、W57cm、H86cm
KSの一員で日系人。20歳。通称はリンナ。表の顔は、アスレチックセンターのエアロビクスインストラクター。
第2次関東大震災後に頻発した非合法ブーマによる犯罪で両親を失うも、悲しみに挫けず世界的なエンターテイナーを目指す。ミュージカルのオーディションを受けるが、落選。落ち込んでいたところ、審査員の一人としてその実力に目を付けていたシリアにスカウトされ、KSへ。
運動神経ではメンバー中最強。戦闘力もプリスに引けは取らず、KSの秘密基地内の訓練でも、アクロバティックな動きを披露。格闘訓練で良い結果を出していた。
スポーツマンらしくプラス思考で開放的な性格をしており、とにかく恋愛に夢中なお年頃でもある。「GOGO!ナイトセイバーズ」では知り合った男性とデートする様子が描かれていた。
職場での同僚・アイリンがブーマ関連の事件に巻き込まれたり(二作目)、そのアイリンの姉・ヴィジョンことレイカのゲノムへ復讐する事を止めようとする(七作目)など、プリスに次ぐ主役級の活躍をしている。
カセットテープのサウンドドラマでは、シリアが一時的に所要(という名の休養)のため抜けた際、シリア自身の指名でナイトセイバーズの暫定リーダーに任命された(本人は「なんであたしが」と言っていたが)。
また、同ドラマ内では、行きつけの居酒屋バーのマスターから、色々と想いを寄せられている様子が見られた。
「~クラッシュ」では、インストラクターから金融関係のOLに転職。金融の魅力に一時的にハマるものの、後に辞職する。
- ネネ・ロマノーヴァ
CV、平松晶子
西暦2014年8月31日生まれ、身長156cm、体重42kg、 B84cm、W58cm、H86cm
KSの一員で最年少。18歳。通称はネネ。表の顔は、ADポリスの婦人警官。
ちょっと軽めかつ甘えん坊な性格で、体重を気にする割には甘いものが大好き。学生の頃は良家のお嬢様という堅苦しい生活を嫌って、一人暮らしを始める。
その傍ら、優れた頭脳とコンピューター操作能力を活かしたハッキング遊びに明け暮れていた。その際に、コンピューター面での防御力を欲するシリアが課題に流していた「求人広告」プログラムを難なく解読したことでスカウトされ、KS入り。
このために、ハッキング能力ではメンバー中最強で、デスク業務や交通整理の傍ら、情報収集や侵入を行う。ムック掲載のオマケマンガでは、職場の先輩から残業を押し付けられ、その腹いせに署内のコンピューターにハッキング。先輩の給料とボーナスのデータに細工していた。
しかし電子戦闘や後方支援は得意ではあっても、その分直接的戦闘はやや苦手。訓練を兼ねたKSメンバーでのサバゲーでもやられてしまったり、秘密基地内の格闘訓練でも、最低レベルで即座に負けてしまっていた。
他の3人とは違い、両親はまだ健在。本人はマンションで一人暮らしだが、互いに連絡を取り合っている様子(劇中で母親からの連絡が入る様子が描かれていた)。
その明るい性格から、ナイトセイバーズ以外にも友人は多い。8話のリサ・ヴァネットと知り合いである他、職場の同僚たちとも仕事帰りには一緒にショッピングなどしているらしい。ムックのマンガでは、レオンとも顔見知り(ファンのバンドのチケットを誤ってレオンに捨てられた時、高級店のフルコースを彼におごらせた)。
また、劇中での活躍が少なく、8話でようやく主役になった。
コミカルな一面を見せる事が多いが、カセットテープのサウンドドラマでは主役となり、ある若者との悲恋を見せた。
- マッキー・スティングレイ
シリアの弟で、KS唯一の男性メンバー。ハードスーツは着用せず、後方でのサポート及びメカニックを担当している。ハードスーツおよびモトスレイヴなどの修理や整備、情報収集などがメインだが、緊急時には大型パワードスーツを自ら装着し、戦場に赴く事も。
劇中では、8作目でパワードスーツを装着し、丸腰のネネの元へハードスーツを運び込んだ。
バイクに関しても自身の趣味で、ハイウェイスターなどオリジナルのマシンを組んだりしている。
また、同時に「覗き」も趣味としているらしく、姉たちがハードスーツを装着する際(当然全裸になる)、監視カメラでその様子を見ていた(シリアは見られる寸前、気付いてカメラを隠していたが)。
スピンオフコミック「GOGO!ナイトセイバーズ」では、女性向けプールなどにあちこちカメラを設置。それをハッキングする事で覗きまくるという、ほとんど犯罪な事を実行していた(ちなみにその覗き趣味のために用意した機材は、小遣い数か月分を費やし用意したものらしい)。
クラッシュ!では、ドイツに留学している。年齢が近いせいか、ネネの事が気になっている様子が見られた。
ADポリス
頻発するブーマ犯罪に対し結成された警察組織。軍隊並みの武装と、軍人並みに訓練された警官とで構成。
ブーマが市街地で出現し暴れまわるところに急行し、交戦し確保または破壊する事が任務。
また、通常の警察と同様、ブーマ犯罪の捜査活動も行う(ちなみに通常の犯罪及び犯罪者は、ノーマルポリスが担当する)。
ネネが在籍しているのは事務方で、事務及び書類仕事、データ整理の他、ノーマルポリス管轄の交通整理も担当している(劇中で、スピード違反者に対し切符を切っていた)。
一般警察官は、ボディスーツと重火器で武装。また、哨戒・戦闘用のヘリや、対ブーマ直接戦闘用に、「Kシリーズ」という大型パワードスーツも所有。装着し対抗している。
K-11パワードスーツ。
しかし、これらの装備や人員をもってしても、辛うじてブーマに対抗しているにすぎず、死傷者が毎回のように出ている。
ゲノム
本作の悪役となる、超巨大企業集合体。経済的のみならず、科学的、社会的にも影響力が強く、政府やマスコミ、各種公的機関もほぼ手の内にある。
第二次関東大震災の際に、ブーマを投入して復興に貢献。さらにその後に各種科学技術を急速に発展させ、東京を再び大都市へと復興させた。
しかしその分、裏では非合法的な事も含めた、犯罪組織と見まがうほどの事も色々行っていた。そして社会に非合法なC系列ブーマをはびこらせ、ブーマ犯罪が蔓延するきっかけも作っている。
傘下の企業および下部組織、子会社や孫会社なども含め、ほぼ全てのブーマの製造を担っており、合法的なもののみならず、C系列ブーマや、軍事用戦闘用ブーマなど、非合法的なものも手掛けており、それらを海外の紛争地帯やテロ組織などに輸出するなどして、莫大な利益を貪っている。
その他
本作は海外でも人気が高く、2009年にはシンガポール・日本・カナダ・オーストラリア・中国・イギリスの6か国共同製作で実写映画化が決定し、2012年の劇場公開を目指すことが報じられた。しかし2021年現在、その後の続報は無い。
なお、2012年には主人公たちを女子高生に置き換えたスピンオフライトノベル『バブルガムクライシス 超鋼守護天使(ハードメタル・ガーディアンズ)』が朝日ノベルズから刊行された。
関連タグ
シリア ハードスーツ プリシラ・S・アサギリ メカ メガゾーン23 金田バイク
超時空騎団サザンクロス:パワードスーツ、美少女メインで類似箇所あり