概要
異世界エルハザードに飛ばされた高校生、水原誠の冒険を描く、林宏樹・月村了衛原案のファンタジーラブコメディ。OVAやテレビアニメ・メディアミックス作品ごとに、それぞれの登場人物やストーリーには様々な設定の違いがある。
最初のOVA版が1995年に全7話でパイオニアLDCから発売、追従してTV版が2クールで放映される。OVA版の第2期である『神秘の世界エルハザード2』では、最初のOVAでの最終決戦とラストシーンとの間に起こった出来事が描かれる。
同じく林宏樹・月村了衛により製作された「天地無用!」と並行してメディア展開されており、同作と姉妹作品と見なされるケースがある。
登場キャラクター
- 水原誠(CV:岩永哲哉)
- 陣内克彦(CV:置鮎龍太郎)
- 陣内菜々美(CV:夏樹リオ)
- 藤沢真理(CV:石井康嗣)
- ルーン・ヴェーナス(CV:井上喜久子)
- アレーレ・レレライル(CV:小桜エツ子)
- ウーラ(CV:阪口あや)
- ロンズ侍従長(CV:中博史)
- ストレルバウ博士(CV:大木民夫)
- ミーズ・ミシュタル(TV第2作では藤沢ミーズ)(CV:島津冴子)
- アフラ・マーン(CV:吉田美保)
- シェーラ・シェーラ(CV:櫻井智)
- イフリータ(CV:天野由梨)(OVA第2作のみCV:川村万梨阿)
- ディーバ(CV:沢海陽子)
- バグロム(CV:高橋広樹)
OVA版のみ登場
OVA続編TV版のみ登場
- ファトラ・ヴェーナス(CV:柊美冬)
- クァウール・タウラス(CV:坂本真綾)
- パルナス・レレライル(CV:石川寛美)
- ダル・ナルシス三世(CV:子安武人)
- ギルダ・ハストルフ(CV:玉川砂記子)
- バーディ
- アルージャ(CV:青野武)
ゲーム版のみ登場
OVA版
水原誠の通う県立東雲高校の地下に奇妙な遺跡が発見されたことから話は始まる。
主題歌
エンディングテーマ
「BOYS BE FREE!」
作詞 - 枯堂夏子 / 作曲・編曲 - 長岡成貢 / 歌 - 小桜エツ子
第7話エンディングテーマ
「ちいさな花」
作詞 - 枯堂夏子 / 作曲・編曲 - 長岡成貢 / 歌 - 天野由梨
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 混戦の世界エルハザード |
第2話 | 美女の世界エルハザード |
第3話 | 温泉の世界エルハザード |
第4話 | 鬼神の世界エルハザード |
第5話 | 雷鳴の世界エルハザード |
第6話 | 閃光の世界エルハザード |
第7話 | 永遠の世界エルハザード |
TV版(第1作)
1995年10月6日から1996年3月29日までテレビ東京系列にて全26話が放送された。
高校生の水原誠は文化祭の準備のため、実験装置の準備を行っていたが誠を一方的にライバル視する生徒会長、陣内により装置は暴走、それにより誠、陣内、陣内の妹の菜々美、教師の藤沢の4人は異世界エルハザードに飛ばされてしまう。
ばらばらに飛ばされてしまった4人だが奇跡的に再会できた誠と藤沢は化け物に襲われている少女を偶然助ける。その少女、ロシュタリア王国のルーン王女に王宮に招かれた誠と藤沢は元の世界に戻る方法を探す間そこに滞在することとなるが、おりしもロシュタリアは王女を襲った昆虫型人類バグロムとの勢力争いの真っ最中であった。
異界に飛ばされたことで特殊な能力を持つこととなった誠と藤沢はその戦いに力を貸すことになるが、なんとバグロム側には陣内の姿があった。かくして、ルーン王女・水原誠 vs. バグロム・陣内克彦 のバトルが展開するのだった。そして、幾多のやり取りの末、超兵器「神の目」の暴走によりエルハザードは滅亡の危機を迎える。
「神の目」の心臓部に向かう誠とルーン王女の2人。しかし、エルハザードを救うには、「神の目」の暴走を止めるだけでなく、蓄積された余剰エネルギーを安全に放出するために、誠が元の世界に戻らなければならない。ルーン王女に再会を誓いエルハザードを去る水原誠。 エルハザードの危機は回避されたが、誠がいなくなったことに悲しむルーン王女。
月日がたち、傷心の日々を過ごしていた王女のもとに誠が戻ってきて物語は幕を閉じる。
OVA版との違い
1.ルーンの妹であるファトラが登場しない。その為OVA版ではファトラの愛人設定だったアレーレもTV版では王宮の侍女として仕え忠実な働き者になっている。なおアレーレが女の子が好きな女の子である部分は変わらず。
2.ルーンがOVA版では20代半ばの落ち着いた性格の王女だったのが、TV版では年齢が10歳程若くなり王女でありながら年相応な性格になっている。また誠の想い人もイフリータから彼女に変更された。
3.幻影族が登場しない。…と言うより存在自体が最初から無かったことにされている。
4.イフリータの容姿や性格が大いに異なる。OVA版は妙齢の美女で命令を忠実に遂行する分、無表情で感情表現に乏しかったが、TV版ではいわゆるドジっ娘で楽天的な性格になっている。その為イフリータのCVである天野の演技もOVA版とは異なるものとなっている。
5.ミーズがOVA版ではイケイケな性格であったが、TV版では真面目な人格者になっている。なお実年齢を気にして藤沢に結婚をせまる部分は変わらず。
6.大神官達がOVA版では一つの神殿で共同生活をおくっていたが、TV版では神殿が別々にある、それぞれ一人暮らしをしている。またTV版ではアフラが読書家、シェーラがギャンブル好きと言う設定が追加されている。
7.ウーラがOVA版では元々ファトラの飼い猫であったが、普段からファトラの乱暴ぶりに辟易しており、身代わりすることになった誠にあっさりなつき誠のネコになるが、TV版では密林で怪物に間違えられたところを誠に助けられてその後なついてる。なおTV版ではルーンが名付け親になっている。
8.菜々美が誠のことを「まこっちゃん」と呼ぶ(OVA版では「まことちゃん」と呼ぶ)。
9.OVA版では誠達4人がエルハザードへ召喚された際についた特殊能力が、藤沢の能力である酒が切れると怪力になる部分と、陣内の能力であるバグロムとの会話能力を除き、TV版では変更されている。
主題歌
オープニングテーマ
「ILLUSION」
作詞・作曲 - 高木隆次 / 編曲・歌 - INVOICE
「あつい気持ち」
作詞 - U-dai / 作曲・編曲 - 矢野弘佳 / 歌 - ワンステップ・コミュニケート
エンディングテーマ
「不器用じゃなきゃ恋はできない」
作詞 - 枯堂夏子 / 作曲・編曲 - 藤原いくろう / 歌 - 小桜エツ子・井上喜久子・夏樹リオ
各話リスト
話数 | サブタイトル |
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第1話 | 冒険の大地へ! |
第2話 | 神秘の王国へ! |
第3話 | 魅惑の王女へ! |
第4話 | 乙女の神殿へ! |
第5話 | 疾風の大空へ! |
第6話 | 熱血の勝負へ! |
第7話 | 金脈の屋台へ! |
第8話 | 運命の再会へ! |
第9話 | 盗賊の巣窟へ! |
第10話 | 幻獣の密林へ! |
第11話 | 童心の花園へ! |
第12話 | 最悪の展開へ! |
第13話 | 究極の悪人へ! |
第14話 | 伝説の雪原へ! |
第15話 | 神官の物語へ! |
第16話 | 旋風の攻防へ! |
第17話 | 天空の瞳へ! |
第18話 | 誘拐の陰謀へ! |
第19話 | 暗黒の宮殿へ! |
第20話 | 兄妹の抗争へ! |
第21話 | 激闘の航路へ! |
第22話 | 決死の救出へ! |
第23話 | 逃亡の旅路へ! |
第24話 | 運命の主役へ! |
第25話 | 終末の世界へ! |
第26話 | 無限の彼方へ! |
TV版(第2作)
『異次元の世界エルハザード』のタイトルで1998年1月~3月までテレビ東京にて放送された。OVA第2期最終回後のエピソードとなる藤沢とミーズの結婚直後の続編として描かれており、同じテレビ東京で放送されたTV版第1作とストーリー上の繋がりはない。1998年1月7日から同年3月25日まで全12話放送された(第13話はビデオ購入者特典映像)。
主題歌
オープニングテーマ
「13月の革命」
歌 - FENCE OF DEFENCE
作詞 - 森雪之丞 / 作曲 - 西村麻聡 / 編曲 - FENCE OF DEFENCE・月光恵亮
エンディングテーマ
「神様がくれた日」
歌・作詞・作曲 - 泉川そら(現:イズミカワソラ) / 編曲 - 有木詠人
「ラブ・マニア」(第13話のみ放映)
歌 - 柊美冬・小桜エツ子・坂本真綾・夏樹リオ
作詞 - 三井ゆきこ / 作曲・編曲 - 長岡成貢
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 消えた? 水の大神官 |
第2話 | 開かれる、未知への扉 |
第3話 | 舞い降りた、二人の天女 |
第4話 | 迫り来る、白き甘い罠 |
第5話 | 夢ひらく、天空の楽園 |
第6話 | 商売繁盛、恋の使者 |
第7話 | 禁じられた・迷宮 |
第8話 | 仕掛けられた・妖艶なる罠 |
第9話 | 破られた・聖なる掟 |
第10話 | 再びまみえる・宿命のライバル |
第11話 | 封印された・あやまち |
第12話 | 忌わしき・天空の扉 |
第13話(TV未放映) | 魅惑・誘惑・みそぎの夜 |
メディアミックス作品
小説版
スピンオフ的な作品が諸々出版されているが、徳間書店から出版された倉田英之・著の作品は設定の一部がTV版やCDドラマに取り込まれており、完成度が高いとされている。
漫画版
つぶらひでともによるによる漫画作品。徳間書店『少年キャプテン』にて連載された。物語が終盤を迎えた時点で掲載誌が休刊となったため未完で終わることが危ぶまれたが、残りの部分が『アニメージュ』増刊という形で書き下ろされたことで無事完結した。連載14話+書き下ろし最終話。単行本全3巻。
設定はOVA版準拠だが、ルーンはTV版ベース、イフリータはOVA版をスレンダーな成人のイメージから誠に近い年格好に少女化されて描かれている。イフリータの他にガレスを主人とする「アブザハール」「ジニスタシア」の二体の鬼神が登場しイフリータと対峙する。ルーンとイフリータが共に誠に恋をするが、最終的に誠とイフリータの絆にルーンが敗北を認めるという展開になっている。随所にラッキースケベが登場し、ドタバタ色の強い内容となっている。
ちびっこ神秘劇場「学園エルハ」
連載が休載された号で代わりに掲載された8ページの読み切り漫画。原作・倉田英之、漫画・つぶらひでとも
あらすじ
朝のホームルーム、担任のアフラが紹介した転校生はルーンであった。そして学園コメディの法則により「たまたま空いていた」誠の隣がルーンの席となる。とびっきりの美少女(しかも巨乳)とお近づきになれて色めきだつ誠を、クラスメートの菜々美とシェーラが悶々としながら見つめていた。その頃、ガレスとキライヤは校舎裏でばっくれていた。
授業中、ルーンが「教科書を見せて」と誠にアプローチすると、いよいよ看過できなくなった菜々美とシェーラが割り込んできて揉み合いになる。その拍子で吹っ飛ばされた誠が編み物の内職をしていたイフリータにぶつかると、イフリータのぐるぐる眼鏡が外れて、とんでもない隠れ美人の素顔が露わになる。イフリータは編んでいたマフラー(らしき物体)を誠にプレゼントし、二人は恋に落ちる。
失恋が確定した菜々美とシェーラは、アフラに促されてあの夕日(神の目)に向かって猛ダッシュする。その頃、ガレスとキライヤはゲーセンでプリクラをキメていた。
ゲーム版
PC-9821用、セガサターン用で発売。原作と同様に誠達がエルハザードに飛ばされてから神の目の暴走を食い止めるところまでを描くアドベンチャーゲーム。
TV版をベースとしているが、OVA版から幻影族の設定を取り込んだハイブリッドな世界観となっており、ガレスがストレルバウの助手として登場する。またゲーム版のオリジナルキャラクターとして地の神官イシエル・ソエルが登場する。
ラストは女性キャラの好感度により、以下のエンディングに分岐する。
- ルーンが誠の世界に女子高生として転生する
- イフリータがリセットされて誠に仕える
- 元の世界に戻って菜々美と平穏な日常を送る
- ルーン、イフリータ、菜々美で誠の奪い合い
- ミーズ以外の神官(シェーラ、アフラ、イシエル)に一斉に言い寄られる
- ディーバが陣内を「ぽち」に格下げして誠を玉座に据える
- 女装してアレーレと旅に出る
- 神の目が暴走している間にロシュタリアが陣内に攻め落とされる(これだけバッドエンド)
つまり、めぼしい女性キャラは全員攻略可能である。
その他
幻双の世界エルハザード
OVA新シリーズになる予定の作品タイトル。2018年にAIC35周年プロジェクトの一環として企画されたが、パイロットフィルムの製作費用をクラウドファンディングで募集したところ、目標金額に達しなかったため凍結状態(実質的なお蔵入り)になっている。
公開された設定資料によれば、誠を彷彿させる高校生キャラのナオトが主人公、陣内とディーバの娘「陣内ファラーシャ」がヒロインで、誠とイフリータのコンビや藤沢とミーズの娘も登場予定とされている。