ブーマ(バブルガムクライシス)
ぶーま
ブーマとは「バブルガムクライシス」に登場する、人造人間である。「亜人」の意味を持つ。
劇中における敵として登場する。
開発の経緯
元々は21世紀に入り、作業用の労働力・宇宙開発の必要性に迫られた為に製造・開発が行われた。
過酷な環境下においての作業を行うため、頑強なボディはもちろん、人間同様の思考判断能力も求められた。当初は、中枢神経は人体から取り出された脳細胞および神経系を移植する必要があったが、生命工学の発展に伴い、人間並みの中枢回路の開発に成功。
ボディの改良も実行。初期型は、合成樹脂のフレームボディに人間の神経系をコピーしたものにすぎなかった。
後に改良が重ねられ、装甲の強化なども行われ、最終的に人間と区別がつかないほどの外観も手に入れる。
この開発計画は、超集合企業体「ゲノム」の資本により進められていた。
中心になった研究機関は、シリア・スティングレイの父親が所長を務める「バイオエスケープ・コーポレーション」。
2020年にブーマ一号「アダマ」シリーズが完成。しかし一体の製造費用が人間の宇宙飛行士20名分の教育費用に相当したため、計画は頓挫。
さらに二年後。2022年にバイオエスケープ・コーポレーションの研究施設で爆発事故が発生し、所長以下全所員が死亡。計画は中止になった。
そして、この計画は、「ゲノム」のクインシー会長らにより再推進。
非合法な手段で、亜人間ブーマは誕生した。そしてそれは、軍事利用を目的とした戦闘用のブーマであった。
戦闘用ブーマは、中枢部にクローニング機関が搭載し、強固な超合金性ボディに、多数の攻撃用火器を内蔵している。
特に「コンバットタイプ」ことC系列ブーマは、自らの意思と自己判断能力を有する、新たな知的生命体とも呼べる存在である。そして体内に内蔵された武器を用い、殺害や破壊を行う事が可能。
このブーマたちは、人間への偽装機能を持ち、多方面での活動が可能となる。偽装はほぼ完璧で、一見しただけでは見破ることは極めて難しい。中には性器を持つ個体もあり、性交も可能。
C系列は、いわゆる「殺人用サイバーロイド」であり、劇中でナイトセイバーズが戦うのもこのタイプがほとんどである。
多くが、口腔部にレーザーカノン、胸部や腕などにも熱線砲を内蔵しており、擬装用の皮膚を排除してからそれらを用いて攻撃する。バリエーション違いでは、腕に実体弾の機関砲を内蔵している個体もある。
格闘戦もまた強力。普通に殴りつけるだけでも、人体を軽く破壊するほどのパワーを有する。設定のみだが、拳にメリケンサック状の刃が内蔵されているものもあり、殴りつけるだけで人体程度なら切り飛ばす事すら可能である。
C系列ブーマの最大の特徴は、標準装備されている「自己修復能力」を発展させた、「フュージョン(物質融合)」機能である。
これは、例えばブーマが手足を欠損した場合。近くにパーツがあれば、欠損部にそれをあてがう事で、融合し同化、新たな手足にする事が可能になる。
それだけでなく、失った手足の代わりに別の機械装置を、更には武器を融合させ、その機能を乗っ取り、自身の能力として使用する事も可能。劇中でも、一話冒頭において、右腕を欠損したのちにADポリスの戦闘ヘリに搭載した機関銃をあてがい、融合していた(下記参照)。
また、ブーマ同士でも融合し、新たなる形態をとる事もできる。たった一体で、一つの水上都市と融合し、同化した一例もあった。
そして、ブーマにはまだ開発の余地はあり、新たな機能を兼ね備えたブーマをゲノムは次々に開発している。
一作目
- C系列戦闘用ブーマ
劇中に登場したブーマ。A~Cが登場。うち一名は女性。
- ブーマA
典型的なC系列ブーマであり、普段は人工皮膚により人間そっくりに擬態。戦闘時は皮膚を弾き飛ばし、その姿を露わにする。
口の中に大口径のレーザーカノンを有している他、肩部、胸部、腹部のカバーを展開し、内部に内蔵されている熱線砲を発射し攻撃する。
冒頭に登場。ADポリスとの戦闘で右腕を失うが、ポリスの武装ヘリを落とし、装備されていた大型機銃を右腕に融合し、己の武器として用いていた。
- ブーマB、ブーマC
劇中に登場した誘拐犯の仲間。Bは、Aと同じC系列ブーマだが、形状が微妙に異なる。
Cは女性型ブーマで、外見もA、Bとかなり異なる。高出力の熱線砲を内蔵。
- フレデリック
上記B、Cを率いる誘拐犯。
彼もまたC系列だが、一体で水上都市そのものと融合、巨大化した。
二作目「ボーン・トゥ・キル」
- スーパーブーマ
ビーム衛星と同調するブラックボックスを内蔵した、通常よりも大型のブーマ。通常のC系列ブーマの2倍以上の体躯を有する。また、口内のレーザービームカノンも、三段加速式のものに強化されている。
- 女ブーマ
ゲノムの幹部、メイスンの秘書兼ボディガード。
三体登場するが、劇中では擬態を解かず人間態のままで格闘戦を繰り広げた。
爪を伸ばして、人間を刺殺する事が可能。そのうち一体は爪を用い、リンナの友人、アイリンを刺殺した。
基地に攻め込んできたナイトセイバーズに対しては、女子プロレスラーを彷彿とさせるコスチュームを着て応戦。肘と膝には電撃を放つ装甲版を装備。肘鉄や膝蹴りを放つと同時に電撃を放った。
その運動性は通常のブーマに比べはるかに優れており、ハードスーツを着たナイトセイバーズですら翻弄された。
三作目「ブロウ・アップ」
- 女ブーマ
同じく、メイスンの秘書。今回は戦闘に未参加。
- ファンク
C系列ブーマ。大柄で筋肉質の中年男に擬態している。
- 戦闘用ブーマ
冒頭で暴れ、ADポリスと戦った。
人間に擬態する事は(形状的に)不可能。ゲノム社が海外輸出用兵器として、非合法に量産したもの。
3m近くある身長に、平たく大きな頭部、背中にはプロペラントタンク付きバーニアを持ち、右腕にレールカノンとマシンガンを装備している。
設定上では、対戦車戦闘用装備や、監視衛星と連動し戦車戦での偵察・観測機能を有した機体も存在する。背中には対空マシンガンのオプションもあるらしい。
また、イスラエル戦線の機甲師団では戦場に導入され、人間の兵士とともに軍事活動に参加しているとの事。戦場においては、これらブーマは兵士にとって頼りになる兵器であり仲間、敵にとっては強力で厄介な敵である。
※四作目「リベンジ・ロード」にはブーマは登場しない。
五作目「ムーンライト・ランブラー」
- セクサロイド
性的なサービスを用いて人間を慰安するのが目的のブーマ。当然、性交が可能。
劇中では、TOKYO上空の宇宙開発公団「SDPC」所有の宇宙人工島「ジェナロス」より脱走したセクサロイドの少女……シルヴィ、アンリ、メグ、ルウ、ナムの五人が登場する。
彼女たちは33-Sタイプで、戦闘ポッド「D-D」とのシンクロがしやすいため、現在は禁制品扱いされている(また、パーツの一部にC系列のそれを用いている事も、禁制品扱いされる原因の一つ)。
シルヴィとアンリ以外の三人は、脱出する事無く破壊されてしまった。そしてアンリは脱出時の負傷で血液が必要となり、シルヴィは脱出シャトル内のD-Dを用いて血液を抜き取り与えざるを得なくなる。
- 警備用ブーマ
ジェナロス内の警備用ブーマ。人間態のみで変形はしない。
- ドーベルマン
ジェナロスに配備されている、警備用宇宙戦闘用大型ブーマ。口内にレーザーカノン、両腕にビームガンを装備。
六作目「レッド・アイズ」
- ラルゴ
サイバードロイド解放を叫ぶ男。偽ナイトセイバーズを率い、ゲノムを襲う。
その正体は、ビーム衛星シンクロ機能を有する、スーパーブーマだった。三体のハイパーブーマを率い、ビーム衛星をも操り、己の野望を果たそうとする。
- ハイパーブーマ
ラルゴの配下。三体存在し、偽ナイトセイバーズに擬態していた。ナイトセイバーズのハードスーツに匹敵するほどの戦闘能力を有している。
シリアに化けたAは一本角で、額に内蔵したレーザー砲、胸部の熱線放射砲が武器。
プリスに化けたBは二本角。腕にソードを内蔵し、スライドして展開し切りかかる。
リンナに化けたcは三本角で、三体中最重量級。胸部からグラビティ砲を発射する。
(なお、偽ナイトセイバーズのネネは、人数合わせにアンリがネネの偽スーツを着用していただけで、擬態していたわけではない)。
トニーたけざき「AD.ポリス25時」に登場したブーマ
- 吉本一号
大阪の、ゲノムの下請け会社が独自に作り出したブーマ。社長らしき人物が大阪の市街地で暴れさせ、中国からとおぼしき顧客に対しデモンストレーションしていた。
ゲノム製のブーマに引けを取らない性能を有し、融合機能も持つが、あまりにも頭が悪すぎるため(融合しろと命じられ、股間にくいだおれ人形を融合するなど)、結局売れなかった。
最後は大阪の食い倒れ太郎っぽいものなど、大阪の有名オブジェを全て融合し、エネルギー切れに。そのまま広告塔として安置される事となった。
レオンは大阪に、下請け会社のブーマを追って出張に来たが、たこ焼きを食っている最中にこの吉本一号と遭遇。そのまま戦闘になり、融合した食い倒れ太郎っぽいオブジェの生首が迫るのを目の当たりにしてトラウマっぽくなった。
- F系列ブーマ
人体と同様に、内臓を有するブーマ。通常のブーマ以上に生物に近く、その分生々しくグロテスク。若き日のレオンも、このF系列を攻撃し破壊した後は、しばらくはパスタ関係が口にできなかった。
劇中で登場したのは女性型で、レオンに破壊された個体が回収され修復され、時間をかけて再びレオンの前に現れた。攻撃された際にエクスタシーを感じた様子で、再びレオンに攻撃され破壊してくれるようにと、彼に迫っていく。
- 露出狂ブーマ
メガネの男に擬態したC系列ブーマで、露出狂のようにロングコート姿で自分の身体を見せつける。
武装は有していないが、廃ビルに融合。少女に擬態したり、パワードスーツを融合したりして、内部に入り込んだADポリスの小隊数名を殺害する。
本体である首のみが屋上に露出していたが、そのビルの屋上からはシリアの住居の寝室を覗く事ができた。屋上に上がり込んだADポリスの一小隊が、下着姿で眠っているシリアの様子を覗いており、首もそれに接近。
しかし、シリアが目を覚まし抗議したため、驚いた小隊のパワードスーツが尻餅をついてしまう。接近していた首は、その下敷きになって、あっけなく破壊されてしまった。
- 重要書類を盗んだブーマ
会社員を装っていたブーマ。封筒に入った会社の重要書類を盗み、シリアとプリスが交戦する。
C系列らしいが、擬態の皮膚には陰茎と男性器も付いていた様子。素早い動きで翻弄されたシリアは、意図せずその部分を掴み引きちぎってしまった。
武器は、腕から展開した剣状の刃。シリアのハードスーツのバーニアをそれで破壊するも、プリスにより致命傷を受ける。しかしその後、プリスの隙を突いて抱きつき、彼女のスーツそのものに融合しようとするも、プリスはハードスーツのヘルメットおよび右腕以外を強制脱着。アンダースーツ姿でスーツごと破壊する。
※ちなみにその後、爆風を受けてアンダースーツも吹き飛び、プリスは全裸にヘルメットとスーツ右手部のみを装着した姿に。その直後に偶然レオンに出会い、その姿を見られてしまう。
彼をぶん殴り気絶させたプリスは、レオンのジャケットを拝借し帰路に。ハードスーツの残骸はネネによって(苦労しつつも)回収され、事なきを得るのだった。
- 東京24区に住むブーマたち
東京の、公式には存在しない『24番目の区』に住むブーマたち。発電所近くに存在する区域なので、有り余るエネルギーを消費しつつ、刹那的な生活を行っている。
曰く、「ここには何でもいる、なんでもある。無いのは法とポリスのみ」。
行き場のない人間の中に混じり、行き場のないブーマ、捨てられたブーマなども、ここに集まり、独自の社会を形成し生活している。
あるエピソードでは、肥満した女ブーマが経営するクラブにて、皮膚の腐りかけた女ブーマのダンサーが登場。ダンスが気に入られず、首を刎ねられ人面魚ブーマが多く泳ぐ水槽に放り込まれた。また、語り部の少女もまた、メカの両目をサングラスで隠したブーマだった。
彼女曰く「私たちは、ここでしか生きられないんです。ここしか居場所がないんです」