概要
1993年に大きな反響を呼んで成功を収めた処女作『戦国エース』に引き続き、1994年に発表した洋風ファンタジー縦スクロールシューティングゲーム。ゲームタイトルは、「大空の冒険者」を意味するプレイヤーキャラクター5名を指す造語である。
当時の筐体や基板性能の限界に迫る約30秒のフルアニメーションムービーをオープニング画面で実現して見せ、その技術も含めて新声社発刊のゲーム雑誌『ゲーメスト』で絶賛されるなどして大きな知名度を獲得し、彩京をシューティングゲームの一翼を担う一大ゲームメーカーに躍進させるきっかけとなった。
後述する『タイムボカンシリーズ』悪役三人衆そのまんまのような敵キャラや、著作権ギリギリのコミカルなボスキャラなどパロディ要素が強い作品でもある。
なお、各種コンセプトデザインなどはアニメ企画会社『アートミック』が担った。
人気作であり続編のガンバード2も制作、リリースされ、これに伴って大幅に難易度が上昇した。しかも、その2周目はただでさえ弾速アップしているだけでなく、ケイブ弾幕シューティングばりの五月雨のような敵弾の応酬となり、ゲーム専門誌をして「2周目クリアは常人にはまず無理」とまで言わしめるほどだった。
構成
「一部を除く敵機への接触判定を撃沈ではなくパワーダウンに変更」という点以外は『戦国エース』で確立したゲームシステムに極力手を加えず、世界観を20世紀初頭の大冒険時代に置き換えたスチームパンクロマン活劇風味に仕立て上げ、表現面のベースアップと共に一際強烈な個性を持たせたキャラクターの投入によるコミカルな演出で顧客層の拡大を狙い、コナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)の『パロディウスだ!』やサクセスの『COTTOn』に続いて「シューティングゲーム=硬派」の図式を大きく塗り替えた意欲作。
8方向レバーと2ボタンを使って自機を操作し、7面のうち前半3面は4種類のステージからランダムに抽選され、後半4面は全キャラクター共通の固定ステージとなっている。また、ゲームクリア後に幕間スキップと難易度上昇が適用された2周目が始まり、これを含めた全14面の踏破で完全攻略となる。なお、2周目の前半3面のうち1つは1周目で選ばれなかったステージが必ず含まれる。
敵機への接触によるパワーダウンシステムは「アイテムを落とした」という設定であり、プレイヤーキャラクターから飛び出したパワーアイテムを回収すれば無事に解決し、仮にパワーアイテムが底を突いた状態で接触しても撃沈する心配は無い反面、未パワーアップ段階で敵機に接触するとボムを落としてしまう。
アイテム
- P(パワー)
自機のショットを強化する。最大で4段階までパワーアップし、強力なショットが撃てるようになるが、4段階目に限っては一定の弾丸射出数を超えると3段階目に戻る。ショットレベル最大時に獲得すると2000点が加算される。
- B(ボム)
画面の広範囲に強力な攻撃判定を持つ特殊行動「スペシャルアタック」の使用回数が1つ増える。最大搭載数は6個。ボム搭載数最大時に獲得すると10000点が加算される。
1枚につき200点が加算されるスコアアイテム。
登場人物
ガンバード
古来より連綿と受け継がれてきた魔法と蒸気機関の発明から急速な発展を遂げる科学技術が共存する架空世界のヨーロッパを舞台とし、それぞれの思惑からどんな願いも1つだけ叶える秘宝『アトラーの魔鏡』を求めて世界中を飛び回る5名の冒険者。2人プレイ時の同キャラクター選択は不可。
5名の中でもマリオンは特筆して高い人気を獲得したため、富樫こよりやアイン・シャイン同様に後発作品の多くにゲスト出演する同社の看板キャラクターとなった。
なお、セガサターンとプレイステーションで開発されたコンシューマ版ではおまけ要素の1つ『キャラクター・インデックス』で各自の詳細が語られているが、その内容にアーケード版のインストカードと若干の相違があるため、以下のキャラクターデータは基本的な内容を前者の情報に倣ったものし、後者の情報はその補足分として追記する。
- 冒険科学者 アッシュ(ASH)
科学と考古学を修めた知性溢れるロリコン冒険家。数年前から研究に没頭して開発に成功した小型ジェット推進装置の飛行実験が落ち着いた矢先、耳に入った魔鏡の噂に知的探究心を抑え切れなくなり、自慢の有線式光線銃『X-1』を片手に未知の世界へ飛び出す。
生年月日 | 1882年3月14日 |
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年齢 | 28歳 |
身長 | 189cm |
体重 | 82kg |
出身 | ドイツ |
職業 | 冒険家・科学者 |
機体 | ロケットパック |
メインショット | 光線弾 |
サブウェポン | 怪光線 |
スーパーショット | 波動弾 |
スペシャルアタック | 超科学爆弾 |
好きなもの | メカ・科学・発明 |
嫌いなもの | 非科学的なもの |
好みの女性 | 美少女(14歳以下) |
備考 | 大空の冒険科学者 |
声優 | 置鮎龍太郎 |
- 魔法少女 マリオン(MARION)
「伝説の魔術師マーリンの末裔」を自称する幼い魔女。何とか風の魔法が使える程度の未熟さに反して気が強い上に腹黒く、良からぬ野望を胸に秘めつつお供の白ウサギ「ポムポム」を連れて魔鏡探索の旅に出る。
生年月日 | 1897年8月11日 |
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年齢 | 13歳 |
身長 | 153cm |
体重 | 37kg |
出身 | イギリス |
職業 | 魔女見習い |
機体 | 箒 |
メインショット | 空気弾 |
サブウェポン | シューティングスター |
スーパーショット | ファイヤーラビット |
スペシャルアタック | ウインドシェイバー |
好きなもの | お菓子・お昼寝・大破壊 |
嫌いなもの | 努力 |
好みの男性 | (今は、まだヒミツ♥) |
備考 | 小さな大魔法使い |
声優 | 田中千晴 |
- ロボット軍人 バルナス(VALNUS)
科学アカデミーの叡智を結集し、百万馬力という桁外れのパワーを実現しつつ大出力ロケット推進装置とゼンマイ式思考回路(最大稼働6時間)、粒子レーザー砲を組み込んで極限まで最小化したロシア帝国の最高傑作『自動無敵兵器』1号機。皇帝の勅命を受けて魔鏡探索の任務に当たるが、機械でありながら自我の萌芽の兆候が見え隠れしている。ちなみに元ネタはかつて大阪にあったロシア洋菓子店「パルナス」から(隠しドラマCDより)。
生年月日 | 1910年3月3日 |
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年齢 | 6ヶ月 |
身長 | 210cm |
体重 | 830kg |
出身 | ロシア |
職業 | 戦闘兵器 |
機体 | 自身 |
メインショット | レーザービーム |
サブウェポン | バルナスレーザー |
スーパーショット | ロケットパンチ |
スペシャルアタック | バルナスバスター |
好きなもの | コロッケ |
嫌いなもの | 水 |
好みの女性 | 手がドリルの女ロボ |
備考 | 空飛ぶロボット軍人 |
声優 | たてかべ和也 |
- 女導師 ヤンニャン(YUAN NANG)
年齢や職業、魔鏡探索の理由に至るまで謎の多い熟達の仙術使い。色々と噂の種は尽きないが、「生来の喧嘩好きが高じて自分より強い奴を追い求める」という当てのない旅の目的だけははっきりとしており、自在に扱う如意棒も本人曰く「竜王からぶん取った」と豪語する相当の腕自慢。
生年月日 | ????年10月31日 |
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年齢 | 不明 |
身長 | 173cm |
体重 | 56kg |
出身 | 中国? |
職業 | 不明 |
機体 | 飛雲 |
メインショット | 仙術弾 |
サブウェポン | 霊双剣 |
スーパーショット | 如意棒地獄突き |
スペシャルアタック | 分身突撃隊 |
好きなもの | 酒・ケンカ・強い奴 |
嫌いなもの | 犬・弱い奴 |
好みの男性 | 自分よりも強い人 |
備考 | 中華な女魔道士 |
声優 | 松井菜桜子 |
- 宮大工 鉄(TETSU)
古来伝承の優れた木工技術を今に受け継ぐ孤高の宮大工であり、還暦を迎えてなお筋骨隆々とした肉体美を誇る自称「筋金入りのホモ」。仕事の都合でフランスに渡った後も欧州諸国を放浪して回る旅の空にあったが、魔鏡の噂を耳にすると急いで人力ヘリコプターを建造し、底無しの体力を武器に大空へ飛び立つ。
生年月日 | 1850年6月13日 |
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年齢 | 60歳 |
身長 | 194cm |
体重 | 116kg |
出身 | 日本 |
職業 | 宮大工 |
機体 | 総木製足漕ぎ動力式人力ヘリコプター |
メインショット | じじいの熱い想いが込もった一発 |
サブウェポン | 爆竹ロケット |
スーパーショット | ドラゴンロケット乱れ撃ち |
スペシャルアタック | 大江戸大火災 |
好きなもの | 肉体鍛錬・酢・日曜宮大工 |
嫌いなもの | 太った奴 |
好みの女性 | ♂美少年(え?) |
備考 | 愛と根性の宮大工 |
声優 | 摩耶朔乃助 |
サブキャラクター
続編も含めたガンバードシリーズ最大の特徴こそが、「シューティングゲームでありながらNPCにも詳細な人物設定や豊富なセリフを用意している」という点であり、これらが物語の奥行きを一層深める役割を果たしている。
- ルージュ(ROUGE)
謎の盗賊団『トランプ』首領。正体は兵器開発会社『バクスター社』を取り仕切る女社長であり、魔鏡探索を邪魔するガンバードと再三に渡って巨大メカで戦闘を繰り広げる。一応は表向きの商売を軌道に乗せているため、無闇に正体を晒さないよう普段は「社長」で通し、トランプとして活動する場合のみ「ルージュ様」と呼ばせている。
なお、コンシューマ版のオープニングムービーでは一度は完全な魔鏡を手にしたものの、直後にガンバードの総攻撃を受けて逃亡した経緯が描かれており、これがガンバードに対する怨恨の原因と位置付けられている。
- エース(ACE)
バクスター社兵器開発部主任。名前の由来は、彩京のゲーム作品第一号『戦国エース』から。
アッシュとは大学時代の同期に当たるがその頃から強烈、且つ一方的にライバル視しており、「いつか一泡吹かせてやる」という捻じ曲がった根性を支えに表では新兵器開発、裏では巨大メカ開発に勤しむ日々を送る。20代半ばという年齢の割には声が老人そのものだが、これに限っては突っ込んだら負け。キャラはイケメン。
生年月日 | 1885年4月17日 |
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年齢 | 25歳 |
身長 | 170cm |
体重 | 62kg |
出身 | ドイツ |
職業 | 兵器開発部主任 |
好きなもの | 自作メカ・蒸気機関 |
嫌いなもの | アッシュ・頭の悪い奴 |
好みの女性 | 全国の女子高生 |
備考 | 盗賊団メカニック・頭脳担当 |
声優 | 八奈見乗児 |
- クロード(CLAUD)
バクスター社兵器工場第一工場長。名前の由来は、彩京のゲーム作品第二号『バトルクロード』から。
身長209cm、体重132kgという並外れた巨漢にして格闘技の達人でもある。磨き上げた己の肉体と力に絶対の自信があるせいか、発言の終端に「ま」の付く言葉が現れると「マッスル」、「きん」の付く言葉が現れると「キンニク」に置き換える独特の口癖を持つ。
生年月日 | 1876年1月19日 |
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年齢 | 34歳 |
身長 | 209cm |
体重 | 132kg |
出身 | フランス |
職業 | 第一工場長 |
好きなもの | ポエム・子猫 |
嫌いなもの | のび太のような奴 |
好みの女性 | パツキンのボインちゃん |
備考 | 盗賊団パイロット・怪力担当 |
声優 | たてかべ和也 |
バクスター社の3名は、開発当初から『タイムボカンシリーズ』の悪役3人組『三悪』を強く意識して作られており、コンシューマ版開発の際にそれに対応した声優を制作側が直々に指名する異例の配役が成された上、三悪の代名詞となっているドロンジョ、トンズラー、ボヤッキーを彷彿とさせるセリフや設定が盛り込まれている。従来のゲーム作品では小原、八奈見、たてかべのうち誰か1名だけ、もしくは2名で出演する場合が通例だった中にあって、1996年にバンプレストから発売された『ボカンと一発!ドロンボー』以前に3人が、それも三悪の立ち位置で集結した唯一のケースである。
これに加え、主題歌入りオリジナルオープニングムービーなどのアニメーション演出を手がけたアートミックの取締役社長こそ、かつてタツノコプロでヤッターマンなどをプロデュースした鈴木敏充その人という嘘のような偶然が重なっており、図らずも「タイムボカンシリーズに深く関わった人間がパロディ作品に参加する」という奇妙な逆転現象を引き起こした。
- ポムポム
声優:置鮎龍太郎
マリオンに仕える魔法ウサギ。半開きの無気力な目付きを表すかのように飄々としており、関西弁で調子良くマリオンをなだめすがめつ褒めそやす中でしっかりと手綱を操る策士の一面を覗かせる。プレイヤーキャラクターに随行する恵まれた立ち位置にありながら、その割にはスーパーショットの際に風の魔法を込めた弾丸として敵陣目掛けて投げ飛ばされる散々な仕打ちを受ける。
- アトラー
声優:たてかべ和也
神秘の魔鏡を作り出し、あらゆる苦難を乗り越えた末に現れる者の願いを1つだけ叶えるために悠久の時を待ち続ける半人半虎の大魔導師。1度はフランスの考古学者によって発見された魔鏡も程無く四散して行方不明となり、この破片を巡ってガンバードとトランプによる激しい争奪戦が始まる事となった。
関連イラスト
- マリオン
- ヤンニャン