觔斗雲(きんとうん)は、『西遊記』に登場する雲に乗って空を飛ぶ仙術、およびそれによって呼ばれる雲のこと。
「觔斗」が一般に解されない日本では「金斗雲」、「斤斗雲」と当て字されることもある。
概要
主人公である猿の仙人、孫悟空が使用する。「觔斗」は「宙返り」の意。
孫悟空がより基礎的な雲に乗る術を披露した際に、とんぼを切って雲に乗ったのを見た仙術の師の須菩提が、適性を判断して特に授けた術。
高速で飛行・移動する手段として、原作のみならず派生作品でも重宝されている。
凡体を脱した者(肉の身体を卒業した者)しか乗ることが出来ないため、三蔵法師をはじめとした普通の生身の人間は乗ることが出来ず、妖怪や神仙(神や仏や仙人などの類)の乗り物である。
一飛びで10万8千里(中国での1里は500mであり、凡そ54000km)という凄まじいスピードを持つが、一はばたきで8万里を飛ぶ大鵬金翅鳥には追い付かれてしまった。
2006年版西遊記だと筋斗羽(つまり羽)になっており、必要に応じて大きくなるという設定になっている。劇場版ではその代わりか、銀角が雲型バイクに乗っていた。
他作品において
『無双OROCHI』に登場する孫悟空は通常移動がこれで、高速移動手段である馬よりも速いため「悟空タクシー」と呼ばれることになった。
なお、「筋斗雲」だと『ドラゴンボール』に登場する雲の方となり、『西遊記』には当てはまらない(厳密にいえば「筋」は「觔」の異体字)。より厳密に使い分けたい場合は注意。
漫画『Go空伝』シリーズでは「金斗雲」名義で登場。ドラマにも出てくる羽は1号機、雲型だがタイヤが付いている陸上駆動型の2号機、「ウガガー」、「ウガー」としか喋れない巨大ロボット兵の3号機(ちなみにドカンちゃんという嫁さんがいる上、スピンオフ漫画まで存在する)、手足が生えた雲型の4号機、ぺしゃんこにされた悟浄こと5号機、3号機の量産型である0号機などもはや雲ですらない何かが多い。
『ドラえもん』では「きんとうん」名義で『高山等に住む珍しい生き物』として登場。
2つの目がある雲のような見た目をした生き物で、昔の仙人が飼い慣らして乗り物にしていた……と、ドラえもんが作中で語っている。
『きんとフード』というひみつ道具を使って誘き出す事が可能で、子供でものび太やジャイアンを乗せた状態で空中を高速飛行できる。
スーパー戦隊作品『獣拳戦隊ゲキレンジャー』では、臨獣殿三拳魔のリーダーである、大地の拳魔マクが、これをモチーフにした秘伝リンギ「臨怒雲(りんどうん)」を使用している。