概要
91式爆弾用誘導装置とは、航空自衛隊で運用されている500ポンド通常爆弾に装着される国産の赤外線ホーミング誘導装置。型番「GCS-1」。
いわゆる誘導爆弾で、対艦攻撃用として開発された。
艦対空ミサイルを持たない敵船や、先んじて対艦ミサイルによる攻撃で戦闘力を喪失した敵艦への攻撃に用いられるとされる。
誘導は赤外線ホーミング誘導で、敵艦の熱源を探知して爆弾の誘導を行う。IRCCM(対赤外線妨害技術)もあり、温度差が異常に高いものは欺瞞用のフレアと判定する機能も備える。
諸外国では画像誘導やレーザー誘導が一般的だが、周辺諸国へ脅威を与えないように対地攻撃力を求めなかったため、あえて赤外線誘導になったとされる。
ただし、赤外線誘導でも対地攻撃は一応可能であり、対地攻撃力が無いというのは詭弁だとする主張もある。
赤外線誘導は設計がシンプルであり、搭載母機に特別な改修が必要ないため、すでに退役した旧式の三菱F-1やF-4EJ改、現行のF-2戦闘機など様々な機体に搭載可能。対地攻撃力がほとんどないF-15J戦闘機ですら理論上は搭載して運用できるのではないか、とも言われる。
対艦ミサイルよりも小型なことから、対艦ミサイルだと2発の搭載が限界のF-1が10発ものGCS-1を搭載して飛行する様子も目撃されている(参考、正確にはF-1の試作機となったT-2特別仕様)。
通常は500ポンド(250kg)爆弾用が基本だが、より大型の750ポンド(340kg)爆弾用も開発されていた。
2020年代現在の航空自衛隊では、より高性能なJDAMやLJDAM(レーザーJDAM)などが配備されているが、GCS-1は現在も配備が続いていると思われる。