ウェルテル効果
うぇるてるこうか
マスメディアの自殺報道に影響されて後追い自殺が増える事象を指し、これを実証した社会学者のディヴィッド・フィリップスにより命名された。
特に若年層が影響を受けやすいとされる。
「ウェルテル」は、ゲーテ著の『若きウェルテルの悩み』(1774年)に由来する。
本作の主人公、ウェルテルは最終的に自殺をするが、これに影響された若者達が彼と同じ方法で自殺した事象を起源とする。
80年代当時『ポスト松田聖子』と迄呼ばれ人気絶頂だったアイドル歌手の岡田有希子が、1986年4月8日に飛び降り自殺し、18歳という若さでこの世を去った。
これによりウェルテル効果が発生し、後追い自殺する若者が続出した。
数日後にワイドショーに出演した同じ事務所のサンミュージックの先輩森田健作が、若者に後追い自殺をやめる様訴えている。
1998年5月2日に、元XJAPANのギタリスト、hideが、自宅寝室のドアノブにタオルを掛けて首を吊り亡くなっている状態で発見された。
享年33歳。
警察は状況証拠から自殺と断定したが、様々な不可解な点から不慮の事故ではないかという説もある。しかし、それによりウェルテル効果が発生してしまい後追い自殺する者が多発した。
同じく元XJAPANのベーシストのTAIJIもhideの死により自暴自棄になり、後追い自殺するかの様にアルコール依存症となった。
後に立ち直り復帰し活躍したが、2011年7月17日に45歳という若さで亡くなっている。
又、漫画家であったねこぢるも1998年5月10日に31歳の若さで自殺しており、一部マスコミが「hideの後追い自殺」説を流したが、夫であり同じく漫画家の山野一がそれを否定している。
2011年5月12日に、当時「貧乏アイドル」としてバラエティ等で活躍していたタレント上原美優が24歳という若さで自殺した。
彼女の死後、1週間の1日平均の自殺者数が82人から124人に増えていた事が分かった為、ウェルテル効果があったと言われている。
尚、漫画家である佐渡川準は2013年8月13日に地元茨城県内で34歳という若さで自殺しているのが発見されたが、茨城県ではウェルテル効果を危惧した事もあり、一部報道規制がかかったという。
2000年に世界保健機関はマスコミ向けのガイドライン「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」を発表。
その後、改訂版として2008年に「自殺予防 メディア関係者のための手引き」、2017年に「自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識」が公表された。
2017年版では「やるべきこと」として「どこに支援を求めるかについて正しい情報を提供すること」、「自殺により遺された家族や友人にインタビューをする時は、慎重を期すること」等「やってはいけないこと」として「自殺に用いた手段について明確に表現しないこと」、「自殺を前向きな問題解決策の一つであるかのように紹介しないこと」等をあげている。
特に2020年には三浦春馬、芦名星、竹内結子、津野米咲ら著名人の自殺が相次いだが、その際にはこれらのガイドラインに沿った報道がなされている。
しかし、2022年に上島竜兵が亡くなった時には自宅、事務所に押しかけて報道するという真逆の事をしてしまい、厚生労働省がブチギレるかの様に注意喚起を行った。