概要
特撮番組『仮面ライダー555』に登場する、仮面ライダーが運用するアイテム一式の総称。用途は、主に仮面ライダーへの変身で、戦闘時の武器やフォームチェンジ用のサポートアイテムなど多岐に渡る。
同作に登場する企業「スマートブレイン」によって開発された。
基本的には専用のアタッシュケースの中に収められている。各ギアは変身ベルトの「ドライバー」とベルトと連動させるキーアイテムのライダーフォン、その他ガジェットによって構成される。尚、ライダーフォンと言うのは本記事でのみ使われる便宜上の総称であり、正式にはフォンの前に変身するライダーの名前が付く(ファイズフォン、カイザフォン等)。
本作の登場人物は皆、このライダーズギアを介して仮面ライダーへの変身を遂行する。すなわち、本作においてはライダーズギアを持つこと自体が変身権限の所持に相当することが大きな特徴の一つと言える。ある条件を満たした上でベルトを使えば、変身者は特に限定されていない。TV本編ではこの仕様を悪用して人から強奪したベルトで変身し、なりすまし行為を働いた者すらいる。
ただしその条件とは装着者がオルフェノク(=怪人)」である、あるいはオルフェノクの記号を体内に宿した者であるということ。一部例外はあるものの、基本的には人間が装着しても仮面ライダーに変身することはできず、変身者はほぼオルフェノクに限られる(村上社長がファイズギアを使用している巧を当初はオルフェノクと思っていなかった事からして、潜在的にオルフェノクの素質がある人間にも装着可能な場合はあるようだ)。また、中にはベルトに適合しなかった人間は死亡する仕様のものまで存在し、変身するのに何かと条件が多い変身ベルトとなっている。
オルフェノク因子・記号とライダーズギアの適正の大雑把なまとめ
因子・記号の高さ | オルフェノク化の適正 | ライダーズギアの適正 |
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無し | 使徒再生すれば確実に灰化する | 一切起動できない(デルタのみ可能らしいが恐らく悪影響確実。尚変身一発を服用すれば一般人でも変身が可能になり、劇中では菊池啓太郎がカイザに変身したが、どういう原理かベルト側に悪影響が逆流した)。ちなみに新型ライダーズギアは可能な模様(劇中での例はミューズのみ) |
低い | 使徒再生すれば確実に灰化する | ファイズギアは安全装備に弾かれる。カイザ、デルタは起動はできるが使用すると悪影響確実 |
高い | 使徒再生で灰化する | 初期型ギアは全て問題なく使える(記号は摩耗していく) |
すごく高い | 使徒再生・記号の移植でオルフェノク化可能 | 問題なし |
上の上 | 自然にオリジナルオルフェノク化可能 | オルフェノクに覚醒してなくともギアを起動できる。帝王のベルトの起動に耐えられるが、オーガは心・技・体を極めなければ不可能 |
これは元々スマートブレイン社がオルフェノクの王を守護することを目的として開発されたベルトであり、「人類が怪人に対抗する為の力」ではなく「怪人側が怪人を倒す為のツール」として製作されたため。
そのような理由もあるのかTV本編に登場するライダーはオルフェノクの王を彷彿とさせる頭部形状をしている。
ちなみにライダーズギアには『SB-○○○ ○』と対応ライダーの変身ナンバーと装備に対応した英数字が形式番号としてついている。なお、変身ナンバーを持たないライオトルーパーは『SB-RT ○』となっている。
該当ライダー | 対応ナンバー | マスク形状 |
---|---|---|
ファイズ | 5 5 5 | Φ(ファイ) |
カイザ | 9 1 3 | Χ(カイ) |
デルタ | 3 3 3 | Δ(デルタ) |
サイガ | 3 1 5 | Ψ(プサイ) |
オーガ | 0 0 0 | Ω(オメガ) |
ライオトルーパー | -(RT) | -(モノアイ) |
ミューズ | 6 6 6 | Μ(ミュー) |
従来の仮面ライダーは変身ベルト単体や腕輪、カードデッキと言った比較的単純なガジェットだけで変身していたのに対し、本作に登場する仮面ライダーはベルトと携帯電話のセットで変身する点が、当時大きく話題になった。
また、その後のライダーシリーズと比較しても変身ベルトや武装のほぼ全てが転送も自動生成もされず、直接持ち歩くのがデフォルトになっている作品は珍しい。
帝王のベルト
『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』に登場する仮面ライダーサイガ、仮面ライダーオーガのライダーズギア。
王を守護するために作られた三つのライダーズギアとは異なり、スマートブレイン社が反乱分子を排除して自らの権威をより強固なものにする為に作られた。
天と地のベルトと言う二つのベルトが存在しており、従来のライダーズギアを超える強大な力を秘めている。しかし、その高すぎる性能のためにオルフェノクの中でも相応の資質を備えた「上の上クラスのオルフェノク」しか装着できず、並のオルフェノクではフォトンブラッドの出力に耐えられず灰化してしまう。
新型ライダーズギア(仮称)
Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』に登場する仮面ライダーネクストファイズ、仮面ライダーネクストカイザ、仮面ライダーミューズのライダーズギア。
旧型のライダーズギアとは異なり、スマホ型の変身デバイスを用いており、アプリを押すことにより様々な武装をマテリアライズ化、その場でライダーズギアの生成が行われる。このため、変身で必要になるのは新型ライダーフォンとドライバーのみとなる。さらに、ビークルを瞬時に呼び出せるようになり、デバイスそのものを銃や近接武器類に変形出来るなど利便性が増している。更に(少なくともミューズは)胡桃玲菜のような普通の人間でも使用可能であり、汎用性が高い。
また、アクセルフォームアプリによってアクセルフォームへのフォームチェンジに加え、予測AIアプリに敵の動きを解析して先読みする予測AI「AI PREDICTION」を起動と言った各種機能を使用出来る。前者はネクストファイズとネクストカイザ、後者はミューズが使用している。
なお、専用のアタッシュケースで持ち運ぶ点は相変わらず続いている。
内容
ライダーズギアは変身ベルトを含めた装備一式である為、狭義には変身ベルトとライダーズギアとは区別される。
デルタギアのみ例外が多いため、ここでは割愛する。
- ドライバー
ライダーズギアの中核をなすアイテム。いわゆる変身ベルト。
このドライバーにコード入力後のライダーフォンを装填することで、スマートブレインの人工衛星「イーグルサット」にアクセスする。そして電子レベルにまで分解されたスーツが送信され、装着者を仮面ライダーへと変身させる。
例外として、ファイズのブラスターフォームのみファイズブラスター側で人工衛星にアクセスする。
- ライダーフォン
ドライバーに装填する携帯電話型ツール。
これで変身や必殺技の発動など様々なライダーズギアの操作を行う。
各ライダーに設定された変身用のインプットコードを入力すると「Standing By」という電子音声と共に変身待機状態へと移行。ドライバーに装填し、適合すれば「Complete」という音声を発して変身を完了させる。
ライダーフォン自体も武器として使用可能で、折り曲げることでフォトンブラッドの弾丸を射出する拳銃「フォンブラスター」となる
フォンブラスターはコード「103」でシングルモード(単発)、コード「106」でバーストモード(一発=三連射分で爆発力に優れる)、コード「279」でリロードを行う。
威力はまちまちであり、基本は牽制用の武器として扱われる事が多いが、サイガのフォンブラスターは数発打ち込むだけで並のオルフェノクを灰にするだけの威力がある。
- ミッションメモリー
仮面ライダーの顔が造詣されている小型のメモリーカード。
対応する仮面ライダーの基本データが収められており、このミッションメモリーを引き抜いて各種ガジェットに装填すると「Ready」という電子音声と共に起動状態になる。
この時にライダーフォン側でエンターキーを入力(デルタギアの場合は「チェック」と音声入力)することで、必殺技を繰り出すために必要なフォトンブラッドの供給「エクシードチャージ」が実行される。
ライダーフォンの正面に挿入されている。新世代のネクストファイズ、ネクストカイザ、ミューズは新型ライダーフォンの液晶パネルに表示されるため、物理的なカードを持たない。
また、ファイズアクセルはアクセルフォームを実行するためのアクセルメモリーが挿入されている。
- その他オプション
ドライバー、ライダーフォンとは別に各ライダーは武装に変形する各種ガジェットも所持している。
これらのガジェットも大半は変身後に生成されるものではなくライダーズギアの一部として同梱されている。
ちなみにガジェットはカイザブレイガンなど一部の例外を除いて小型家電に扮して市販されている(TVCMでも確認されており、ファイズショットなど実際に家電として扱えるアイテムも存在する)。
各種ライダーズギア一覧
『仮面ライダー555』本編
対応するライダー | 対応するアイテム |
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※:フォームチェンジ扱いだが、実際は新型のスーツ。
ファイズに変身する為のライダーズギア。変身ナンバーは「555」、マスクのギリシア文字は「Φ(ファイ)」。
汎用性と安定性を重視している。拡張性も高くライダーズギアの中で唯一アクセルフォームへのフォームチェンジが可能なギアとなっている。後に、ブラスターフォームへのフォームチェンジも行っている。
セーフティがかけられており、適合者以外が変身しようとすると「Error」という音声と共に弾き飛ばされてしまう。が、逆に言えばその衝撃だけで済むので後述のギアと比較すると安全な部類に入る。ただし上述の通り本来オルフェノクによる利用を想定しているため、劇中では敵勢力の手に渡る事もあった。
カイザに変身する為のライダーズギア。変身ナンバーは「913」、マスクのギリシア文字は「Χ(カイ)」。
高出力のパワーを重視している。単純な戦闘能力ならばファイズギアを上回る出力を持つ。
人間でも変身自体は可能だが、ベルトに適合しなかった場合変身解除と同時に肉体が灰化し死亡するという危険性が伴う。
また、ファイズギアと比較してライダーフォンやガジェット一式の電子音声が低く掠れたものとなっている。
デルタに変身する為のライダーズギア。変身ナンバーは「333」、マスクのギリシア文字は「Δ(デルタ)」。
三つのライダーズギアの中で最初期に開発されたライダーズギア。
汎用性や安全性よりも出力を優先している為、戦闘能力はファイズやカイザよりも高い。また、装着すれば死亡リスク無しに誰でも変身が可能。
その代わりに、デルタの額にある「デモンズスレート」という闘争本能を増幅する装置により性格が攻撃的になり、最悪の場合は精神崩壊を起こしてしまう問題を抱えている。
また、一度デルタギアで変身した人間は、変身解除後もその体内にデルタの力が残留するため、生身の状態で指先から電撃を放てるようになるなどの特殊能力を得る。
デルタギアのみは独自仕様が多い。
デルタフォンは音声入力式でテンキーが存在しない。装着者自身の声でインプットコードの入力を行う必要があり、インプットコードも数字では無く指定の言語になっている。唯一、ライダーズギアで共通のジェットスライガーを呼び出すインプットコードのみ「3・8・2・1」を英語で入力する。
音声入力をした後は、デルタフォンを右腰に懸下されたデルタムーバーに合体させる事で、ブラスターモードとして使用したり、装着者を変身させる。
デルタ用のミッションメモリーはデルタドライバーに挿入されている。
『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』
サイガに変身する為のライダーズギア。変身ナンバーは「315」、マスクのギリシア文字は「Ψ(プサイ)」。
別名「天のベルト」。その名の通り、空中戦を想定して開発された。
オーガに変身する為のライダーズギア。変身ナンバーは「000」、マスクのギリシア文字は「Ω(オメガ)」。
別名「地のベルト」。その最大出力は計り知れず、全ライダーズギアの中でも恐らく最強クラスの性能を誇る。オルフェノクの中でも心・技・体の全てにおいて優れた者でしか扱えず、それ以外の者では変身時の衝撃に耐えきれず灰となって即死する。
- スマートバックル
量産型ライダー・ライオトルーパーに変身するためのライダーズギア。スマートブレインのライオトルーパー部隊で運用されている。
変身するライオトルーパーと同様に構造が簡易化されており、ドライバーに固定されている社章が刻まれたバックルを倒すワンアクションで変身が完了する。
仮面ライダー555本編では流星塾(正確にはスマートブレイン本社地下)で開発されている。
人間が装着した場合どうなるのかは不明だが、花形により開発中の試作品を装着させられた人間は変身することなく灰化し死亡している。しかし、これは完成品とは外見が異なることと、「パラダイス・リゲインド」ではライオトルーパー部隊によるオルフェノク狩りが行われていることから、どこかの時期で人間が使えるよう改良された可能性はある。
『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』
- 新型ライダーズギア(仮称)
- ネクストファイズギア(仮称)
対応するライダー | 対応するアイテム |
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最新技術で開発されたファイズことネクストファイズに変身する為のライダーズギア。
デバイスそのものを銃やナックルに変形出来る。Vシネクエスト『パラダイス・リゲインド』およびスピンオフ『殺人事件』において、アクセルフォームを使用している。
- ネクストカイザギア(仮称)
対応するライダー | 対応するアイテム |
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最新技術で開発されたカイザことネクストカイザに変身する為のライダーズギア。
デバイスそのものを銃やスタンガンに出来る。スピンオフ『殺人事件』において、アクセルフォームを使用している。
- ミューズギア(仮称)
対応するライダー | 対応するアイテム |
---|---|
ミューズに変身する為のライダーズギア。変身ナンバーは「666」、マスクのギリシア文字は「Μ(ミュー)」。
デバイスそのものを銃やナックルに変形出来る。次世代ライダーズギアの中では予測AI「AI PREDICTION」を唯一使用している。
その他
- ギア555
『仮面ライダージオウ』に登場するライダーアーマーの1つ「ファイズアーマー」によって具現化する拡張デバイス群。ライダーズギアを再現しており、パンチングユニット「ショット555」、キックユニット「ポインター555」を具現化できる。あくまで、『再現』の扱いからかミッションメモリーがジオウのライダーズクレストとなっている。
余談
- 『555』のチーフプロデューサーを務めた白倉伸一郎によると、映画『スパイ・キッズ』から本作のインスピレーションを得たと言う。また、不適合者は変身できない(最悪死ぬ)という設定は本作のメインライターを務めた脚本家の井上敏樹によって発案された。
- 当時大幅に普及し子供達にとっても憧れのアイテムであった携帯電話をモチーフにしたことやクールな電子音声、スタイリッシュな規格で統一されたガジェットの連動ギミックが好評を博した。特に玩具の『DXファイズドライバー』は前作を大幅に上回る売り上げを記録し、6年後の『DXダブルドライバー』に更新されるまで、平成ライダーの変身ベルト玩具の販売記録としては史上最多であった。
- 「ベルトの所有者≒仮面ライダーの変身者が入れ替わる」「ベルトを操作して必殺技を発動する」など本作で導入した様々なフォーマットは、後のライダーシリーズにも継承された。