ジャアクリード!
『闇黒剣月闇!』
概要
『仮面ライダーセイバー』に登場する聖剣の一つで、属性は闇。
対をなす光剛剣最光と共に、タッセルの手で平和への願いを込めて一番初めに作られた聖剣の内の一本。ベースカラーは紫。
紫と金、ガンメタルの悪役らしい色をしているが、配色は意外とシンプルめ。
上からノコギリのようなギザギザの刃、顔のようなエンブレムと上下逆になるが左右で長さの違う角、蛇腹が入った持ち手と、よく見ると前から見たカリバーを模したディテールになっている。
速読器「ジャガンリーダー」で読み込んだワンダーライドブックを装填した状態の邪剣カリバードライバーに柄「エングレイブヒルト」の末端にある打突器を打ち込むことで所有者を闇の剣士たる仮面ライダーカリバーへ変身させる。黄金色の刃「ゴルドスレイブ」は光に向かうほど切れ味を増す性質を持ち、使い手によっては空間をも斬り裂くことが出来る。
カリバーのマスクと同じパーツで覆われた「闇黒剣月闇エンブレム」は「禍々しい暗闇を生み出して、全てを静寂へといざなう」とされ、「ジャガンリーダー」で読み込んだワンダーライドブックの能力を闇属性で包み込む「ジャアクリード」によりあらゆる能力を我が物とする事ができる。
「ジャガンリーダー」により深くワンダーライドブックを読み込ませると叡智を宿した刀身「クラヤミソウル」により具現化、その力を宿した必殺技を発動することができる。
この邪剣(元聖剣)と相性が良いジャアクドラゴンの『生物が恐怖し、物語も生まれぬ暗闇は、すべてを近づけなかった』との朗読を併せて考えると、聖剣の中でも世界を滅ぼしかねない非常に危険な剣である事が窺える。
腰の必冊ホルダーに納刀することで必殺技「月闇居合」も発動できる。
ワンダーワールドに初めて1人の巫女と5人の人間が降り立った後に起きたメギドと人間の闘争の中でユーリが光剛剣最光と共に二刀流で使っていた。
ユーリが持つ剣を元にして作られた最初の人造聖剣が火炎剣烈火であり、柄飾りが似ている理由にもなっている。
変遷
本編開始時点では本編の15年前に組織を裏切り狂行に走った富加宮隼人が所持しているものであると思われていたが、実際には15年前に隼人を殺害し狂行を阻止した後、行方不明になっていた上條大地が所持しており、彼がカリバーに変身していたことが第10章にて明らかになった。
第13章では、「真理への扉」をくぐろうとしたカリバーを阻止すべく、セイバー・ドラゴニックナイトが「神火龍破斬」を繰り出したことで、カリバーの手から離れた。
その後、賢人の命を救う切っ掛けになるとして、飛羽真たち全員が必死になって探しても中々見当たらず、努力の甲斐なく賢人は闇に呑まれて消えてしまった。
しかし、直後に行方をくらませていた闇黒剣暗闇がどこかで怪しく光り、闇に消えたはずの賢人の姿を捉えているかのような描写が描かれ、賢人の目はジャオウドラゴンの様な鮮血の赤に染まっており、闇黒剣月闇の鼓動と妖しく同調している様子が確認できる。
上條大地はドラゴニックナイトに倒されたと思われ、持ち主不在となった闇黒剣をデザストが持ち去ろうとしたが、デザストが触れようとした直後に闇黒剣の放つ闇の中から上條が復活し、再び闇黒剣は上條の手に収まった。
第15章では、目次録の中の世界でデザストに致命傷を負わされた上條大地が死の間際に飛羽真に闇黒剣を託そうとするも上條の絶命に飛羽真が悲しんでいる隙に煙叡剣狼煙の能力によって煙に包まれ、神代玲花に回収される。
その後はサウザンベースで保管されることになるが、このことを飛羽真らノーザンベースの剣士たちは認識していなかったため、長らく闇黒剣は行方不明になったものとして扱われていた。
第25章のラストでは、暴走し倫太郎に襲いかかるプリミティブドラゴンを制止する形で闇の中からカリバーと共に闇黒剣が出現。
続く第26章で闇の世界から帰還し新たなカリバーとなった賢人の手に渡ったことが判明した。
第35章では、11本の聖剣を用いて全知全能の書を復活させようとするマスターロゴスによって奪われるが、飛羽真が全知全能の書を復活させる儀式を妨害したことで解き放たれ、再び賢人の手に戻った。
第38章では、刃王剣十聖刃を生み出す儀式の際に魂だけの状態で現れた隼人が一時的に闇黒剣を手に取り、十聖刃を生み出すために空に掲げた。
第35章・第38章でのイレギュラーを除き、基本的にはカリバーとして戦う賢人が所持し続けていたが、第39章で賢人が雷鳴剣黄雷を再び手に取りエスパーダとして復帰したため、これ以降は元々の持ち主であるユーリにゆだねられることになった。
第40章では剣士を操る能力を発動させた仮面ライダーソロモンによって光剛剣ともども強奪されてしまうが、クロスセイバーらによってすぐに奪還された。
第44章にてその存在が不安定になったソフィア(理由は後述)を保護すべくユーリから彼女の手に渡り……?
全知全能の書復元の儀式においては、セフィロトの9番・イェソドの座の配置に似ている。ただし、パスがティファレトの座の雷鳴剣黄雷とマルクトの座の時国剣界時にしか繋がっておらず、ホドの座の水勢剣流水とネツァクの座の風双剣翠風とのパスが存在しない。
真の能力
第26章で、この聖剣の真の力が判明している。
大きく分けて以下の3つ。
- 空間を切断し、闇に至る
カリバーの代表的な能力。最光の「光あれ」に相当する力で、文字通り空間を切り裂き、闇を通路にして自在に移動することができる。
作中でカリバーが登場や撤退の際に多用している能力であり、上條はこの能力により、賢人を斬ったと見せかけて剣の中の「闇の世界」へ転送するよう仕掛けていた。
『ソードオブロゴスサーガ』では、先代セイバーであった上條大地はこの能力を使い火炎剣烈火を封印していたことが明かされている。
- 聖剣の封印
聖剣が悪用された場合に備えてのセーフティ機能。切っ先を聖剣のエンブレムに突き立てて封印エネルギーを流し込み、聖剣としての全ての機能を完全に沈黙させる。
本来は対である最光に対するカウンターとしての力の様だが、模造品である他の聖剣の封印にも十全に作用する。
但し物理的に分割できる機構を持つ聖剣の場合、封印された時の形態によっては部分的な機能の封印に留まる事がある。
闇黒剣月闇の存在理由の一つで、「聖剣を悪用されないように」という強い願いの現れでもある。
一度でも所有者の元を離れた場合、聖剣の封印は解かれてしまう。
- 未来の災いの啓示
歴代の使い手たちが最も恐れ忌避した能力。未来における災いを闇の剣士に疑似体験させるという恐ろしいもので、あらゆる可能性における災厄を再現する。
賢人はこの能力により、「全ての聖剣が揃った時に全知全能の書が復活し、その力で世界が滅びる」か「全知全能の書により滅ぶ世界を、飛羽真が己の存在と引き換えに救う」という共通の結末を何度も体験しており、その中で唯一世界と飛羽真が救われている「月闇以外の聖剣を全て封印し、月闇の使い手がその身を引き換えにする」未来に希望を見出し、聖剣の封印によって事態を収拾する道を選択した。
また一度追体験を終えた後も、適宜短いヴィジョンを見せる形でも発動しており、所有者が追体験していない事象が起こった場合でも、それで未来の災いが避けられたかどうかをある程度判断する事が出来る模様。
賢人の体験した未来や、カリバーのマスクの「闇の中に光を見出す」機能から推定すると、災いの起きる複数の未来と、災いから逃れる為の方法を一つ見せるという能力だと思われる。
過去に月闇の持ち主だったユーリ、隼人や上條も同様の疑似体験を経ている。
この能力によって所有者を世界救済の為なら多少の犠牲も厭わない人物へと変貌させる魔剣の様にも捉えられるが、本編後半にて明らかになった「世界の終焉自体が全知全能の書に最初から記されていた確定事項である」という事実により、劇中で所有者がどんな未来を見ても必ず滅亡の結末が訪れるのは主にこれが原因であり、月闇はあくまでタッセルによって鍛造されてから現在に至るまで世界を救う聖剣として役割を全うし続けていたに過ぎず、月闇もまた上條や隼人のように望まぬ汚名を着せられた被害者である。
またこの事実により上記の賢人が犠牲となって飛羽真が救われる未来も所有者である賢人視点では自身が消滅するヴィジョンまでしか見えない為、その先の未来でまた別な要因が世界や飛羽真を襲い、終焉が訪れる事を意味しているのでなんとも酷い話である。
尚、刃王剣十聖刃誕生に伴い、世界の終焉の形が確定して以降はこの能力が発動していない。
上記の聖剣特攻の能力の数々に加えて、ライドブックや変身者の組み合わせによっては複数の剣士を同時に相手取っても圧倒してしまう力もあり、作中でもトップクラスの性能を持つ聖剣と言えるだろう。
更なる能力
- 使用者の命と引き換えに対象を闇に葬る
第37章で使用。剣先から闇を放出する事で対象を闇に葬る能力がある事が判明。全知全能の書の力の一端を持つ仮面ライダーソロモンですらも逃れられないほどの強力な力だが、それは使用した剣士ごと闇の世界に消えるという捨て身の技でもあった。賢人を失う事を良しとしないセイバーの妨害によって未遂に終わった。
またユーリが使用した際最光と共鳴するような描写が見られ、時間稼ぎ程度とは言えソロモンを封印しており、始まりの聖剣のポテンシャルの高さが窺える。
- 闇で対象を拘束する能力
第40章で使用。上の能力の応用か、一時的にソロモンが奪って使用した際に闇を放出して対象を拘束する能力が使用された。
最光が妨害しなければクロスセイバーですら逃れられない程の強力なものである。
- 結解
第44章で使用。ワンダーワールドの崩壊により、消滅の危機に瀕したソフィアに結解を施すことでその存在を安定させている。
玩具
2020年10月17日に「変身ベルト DX闇黒剣月闇&邪剣カリバードライバー」のセットで一般販売。
ジャアクドラゴンワンダーライドブックが同梱されている。
他のワンダーライドブックを読み込ませると『ジャアクブレイブドラゴン』『ジャアクライオン』などとジャアクに染まった音声が鳴る。
レジェンドライダーワンダーライドブックを読み取った場合は、そのライダーと敵対した怪人や組織の名を呼ぶ。
他のブックを読み取って変身しようとしても(大きいブック以外は)ジャアクドラゴンの変身音で固定されている。
「DXソードライバー必冊ホルダー」にセットできるが、「DX聖剣ソードライバー」には納刀ができない。軟質の素材で若干大きくなっている刃が入らないためである。逆に言えば、その軟質の素材を分解などの作業によって外すことで納刀が可能となり、音声ギミックも鳴るようになっている(ただし、本来の仕様ではないため、音声タイミングが異なる)。
余談
- 剣の音声は他のアイテムと同じく大塚明夫氏が担当しているが、今までのアイテムと違い低く禍々しいものとなっている。
- セフィロトのイェソドは月を象徴しており、名前の月闇はこれがモチーフとなっている。
- 闇黒剣と言っておきながら全く黒くない。というか、漆黒と形容される聖剣は別にある。
- まあ闇黒を司る剣だからといって、色彩的に黒い必要はないのだが。