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演:池田成志

概要

仮面ライダーウィザード』の登場人物の1人。

白い魔法使いおよびワイズマンの正体であり、本作の黒幕。

本業は物理学者であるが医学や化学にも精通し、魔法やアクマイザーなど魔法に関わる伝承についても知識があるなど非常に博学で、エクスプロージョンや仮面ライダーメイジなど自力でもある程度指輪を製作可能な模様。また輪島繁にスタイルチェンジ用の指輪を作らせた際に大量の資金を用意してたことから資産家でもあるようだ。下記の事情があるとはいえ、戦闘でも白い魔法使いの姿でビーストハイパーを圧倒しインフィニティースタイルと素手で互角に戦えるほど身体能力も高い。

黒幕が元人間であることが多い2期平成ライダーでも中々の高スペックである。

かつては妻の京子、そして娘のとともに暮らしていた。京子は早くに他界した為、彼の希望は残った娘だけであったが、やがてその暦も不治の病で喪い、彼は絶望にたたき落とされてしまう

アンダーワールド内の過去の暦の発言によると元々体が弱かったらしい)。

暦の死で絶望した彼はやがて「娘を蘇らせるためにはどんな犠牲もいとわない」「他者が不幸になっても娘を失った悲しみに比べたら小さい事」と歪んだ思想を持つようになり、暦を蘇らせることを決意する。

そこで彼は魔法の研究を開始し、科学と魔法の融合により人造ファントムであるカーバンクルを造り上げて自らの身に取り込むという、いわば改造人間と言える状態で魔法を使えるようになり白い魔法使いとなった。そして暦の遺体に生死を反転させる「賢者の石」を埋め込み、蘇生させようと計画した。

彼女の蘇生の為多くの人々をとある海岸に拉致し、強制的に魔力を吸い取るサバトの儀式を行う。多数の人が犠牲になりファントムと化すが、しかし魔力が不十分だったせいで暦の復活は不完全となり実質的に失敗する。このとき発生したのが、暦の記憶を持たない魔力で動く人形、コヨミである。

しかしサバトの後唯一生き残った操真晴人という思わぬ「収穫」を得た彼は、コヨミの賢者の石を維持させるため、白い魔法使いの姿で晴人にウィザードライバーウィザードリング、そしてコヨミを授けた。

自身も来たるべき2度目のサバトの為、魔法使いとしてドラゴン系スタイル用の魔宝石を陰ながらに晴人に提供、自身の魔法の力の一部と言えるドラゴタイマーを与えるなど魔法使いとしての彼の成長を促し、また魔法使い候補となった稲森真由を連れ魔法使いに仕立て上げ魔法使い候補を探させ、日食を起こす「エクリプス」の指輪を輪島に作成させるなど入念な下準備を行う。

一方ワイズマンとしての顔では、唯一ゲートを見つけられるメデューサを言葉巧みに利用、自分の事を探るグレムリンに対しては賢者の石を餌としてちらつかせ、駆け引きをしながら様子見をしていた。

このように作中の戦いは彼自身が描いたマッチポンプであり、ウィザードの強化も上記の通り野望達成の為の一環に過ぎなかったが、最終形態のインフィニティーは晴人自身が生み出した魔法であり、笛木にとっては想定外の形態であった為、初めて変身した姿を見た際にも「面倒なことになったな」とつぶやき、稲森真由を利用してインフィニティーリング奪取させるなどの妨害を行なっている。

そんな中3人目の魔法使い候補の譲が誕生すると、魔法使いになるのを嫌がる彼を強制的に連れて行き洗脳させる手段に出る。また自身の情報を探る木崎を襲撃しデータも全て消去するなど、支援者だった一面から一転し非情に接する行動は晴人達に動揺を呼んだ。

46話で笛木の思惑を把握したグレムリンによりコヨミを人質に取られ甚振られる晴人を助け、グレムリンを撃退する。その後に変身解除して晴人にコヨミが世話になった礼を言い、コヨミを連れ安全の為特殊な空間内に避難させる。

山本が魔法使い候補となり魔法使いの数が揃うと自身の正体を明かし、用済みとなったメデューサを殺害。コヨミの体が限界に近づいていることもあり山本を洗脳し5日間でファントムの力を引き出せるところまで成長させ、晴人も強制的に連行する。

そして娘を完全に復活させるため、4人の魔法使いを捕らえサバトを起こそうとするが、仁藤攻介の捨て身の活躍により失敗。諦めきれず再びサバトの遂行を目論むも、当のコヨミは「他人を犠牲にしてまで命を得たくはない」と拒絶する。

そこに襲ってきたグレムリンと交戦、ハーメルケインを腹部に深々と突き立てとどめを刺そうとしたところで、インフィニティーリングを持って逃げたコヨミが目に入り、グレムリンを放置して彼女の後を追う。

そこでコヨミを探してきた仮面ライダーウィザードと激突、相打ちになった。

この時「お前にコヨミを託したのは間違いだった」と晴人を完全に拒絶し、変身解除後も先に立ちあがった晴人に対してコヨミに近づかせまいと執念でしがみつき妨害している。

だがそこへ、倒したはずのグレムリンにハーメルケインで斬りつけられる。先の戦闘で串刺しにされたのは(賢者の石を取り出す力のある)ハーメルケインを手に入れる為の、グレムリンの命がけの計略だった。

嘲笑するグレムリンに斬り捨てられた彼は、コヨミに手を伸ばし無念の表情を浮かべたまま消滅する。

最後まで愛するものの為に希望を捨てようとしなかった姿勢は、操真晴人に似通っているものの、誰かが絶望する事をよしとせず、コヨミの意思を尊重して眠りにつかせた晴人と、コヨミの意思を無視した挙句に他人を絶望させてまで蘇生させる道を選んだ二人の人物像は徹底的なまでに対になっており(※)、ある意味で笛木は晴人のIFの存在だと言えるのかもしれない。

(※)この他にも、晴人は両親を失った「子供」であるのに対し、笛木は娘を失った「親」である点、晴人は魔法を失えばただの一般人である一方で、魔法がなくとも天才的な学者という大層な肩書きがあるなどの立場や地位的な面、晴人は先天的に魔法使いの素質を有していたのに対して、笛木は後天的にファントムを取り込んで魔法使いになったという素質的な面、最大の差異となるのは、晴人は両親が死んだ日が「希望を貰った日」(本人のトラウマではあるが…)であるのに対して、笛木は娘が死んだ日が「絶望した日」と解釈している点であろうか。

加えて変身後の姿であるワイズマンが白が基調で顔が荒削りの原石になっているのに対し、ウィザードは黒が基調で顔がよく磨かれた宝石になっているという差異も見受けられるが、どこまで意識した設定かは公式からの言及がないので注意。

その後

『仮面ライダーゴースト 伝説!ライダーの魂! 第6章「ウィザード編」』

フレイの召集に応じて白い魔法使いの姿で復活した。詳細は白い魔法使いにて。

他の再生怪人がライダーと和解したものライダーとの戦いで狂気から解放された者達が過半数であるのに対して、彼と恐竜グリードはそうした描写はないのでどのような理由で協力を承諾したのかは不明。

ファンからの扱い

登場当初は晴人の目の前で変身する以前から白い魔法使いの正体であることや、「白い魔法使い=ワイズマン」であることも予想していた人が多かったためそれ程注目はされていなかった。

しかし「娘のためなら他の人が犠牲になっても構わない」というとんでもない思想や、物理学者でありながら驚異的な格闘能力や科学と魔法を融合させた結果の強力な魔法の数々、その念入りかつ用意周到な様子などライダーシリーズの首領としても一つのキャラクターとしても強烈であり、劇中でコヨミを蘇らせる為にサバトに執着していたこともあり某掲示板等では「サバトマン」と呼ばれ、独特の存在感を放つようになった。

なお、笛木と同じベルト開発者の中には戦極凌馬檀黎斗などのとんでもない性格の人物が多い為、「ベルト開発者はとんでもない奴ばかり」とネタにされる。因みにこの二人とは自分の設計思想から外れた創作物や作り手は全て認めない自己中心・排他的姿勢、強力なダークライダーに変身、に黒幕の座を蹴落とされた中途脱落者と共通点が多数。

桐生戦兎と並ぶ「ライダー界の天才物理学者」(笛木は努力家としての側面が強いが)として名が挙がる人物であり、高度な魔法でスマートに戦うかと思いきや、意外に肉弾戦も行う為、ファンからは「物理(攻撃も強い)学者」と評され、インフィニティースタイルが登場した際の「面倒な事になったな」というセリフも「本当に面倒なだけ」(対処法がないわけではない上、ハーメルケインがない状態でほぼ互角)と解釈されるなど、強キャラとしても評価されている。

歴代父親ライダーの中でも屈指の外道さを誇る彼ではあるが、コヨミを失う前は良き父親であった事が窺え、他の子供達を道具としか考えないようなタイプの父親とは一線を画す。

この点だけ言えば、葵連南雲影成に近い存在だと言える。しかし、最後は過ちに気付いて改心した彼らとは異なり、他者を平気で踏みにじり、あまつさえコヨミの気持ちを無視するなどの「罪」を最後まで自覚できなかった彼には救いのない結末が待っていたのである。

とはいえ後々に出てくる父親未満の面子に比べれば『やったことややろうとしたことは許されないが、親として見るなら理解ができる』と、父親としてみるならまだマシな部類であることも事実ではある。

最後のコヨミの説得には思う所があったようだが、直後のグレムリンの襲撃によってそれも有耶無耶になってしまいついに考えを改める事は無かった。

もしコヨミにもう少し時間があれば、彼の結末は何か変わっていたかもしれない。

余談

「笛木奏」という名前は、「ハーメルンの笛吹き男」から来ていると思われる。

笛木→ふえ(ふ)き、奏→そのまま「奏でる」。白い魔法使いが主に使用している武器の名前が「ハーメルケイン」であることも根拠の一つ。(「ハーメル」は「ハーメルン」から取ったと考えられる)

また、演じた池田成志は、「天元突破グレンラガン」で笛木と同じヒロインの父親役のロージェノム役を担当したが、娘との愛情やキャラクター性は真逆であった。

池田は以前に『仮面ライダー電王』の第11・12話でも怪人の契約者役でゲスト出演している。

ファンの間では、「大切な肉親を蘇らせる」という同じ目的の共通点を持つ『仮面ライダー龍騎』の神崎士郎との類似点が指摘されている。ただ神崎の場合、大抵巻き込むのは願いを叶える為にライダーバトルに同意する者というある種の自己責任の側面が強く、かつ参加者も須藤雅史浅倉威といった人間性が良いとは言い難い人物が多く、人を襲うミラーモンスターも彼が作り出したものではなく、ミラーモンスターによる事件の原因は士郎が救おうとした肉親である(神崎士郎自身、この事実を妹に直接突きつけている)のに対し、(一概に比較はできないが)こちらは東京全域でサバトを行おうとする(サバトを行った場合、魔力を持たない人間は苦しんで死亡する)という士郎とは比べ物にならないほどの悪行を行っている。

もっと言えば、笛木は罪と分かっていて棚上げしているのに対し、神崎士郎の場合、彼は隔離された幼少期から優衣以外に対し「仲間」と言う概念が無いに等しく、罪を罪と思わない点で、そもそも二人の精神性は大きくベクトルが異なっている。

又、次回作の『鎧武/ガイム』で王妃を蘇らそうとしたロシュオや、『仮面ライダー大戦』に登場した葵連/仮面ライダーフィフティーンも命を失った自分の子供を蘇らせようとする等「愛する者を蘇らす」という展開が続いたため、笛木はその代表格として扱われる事が多くなった。その誰もが蘇らせる対象の意思を無視しているという共通点はあるが、笛木とは違って救われた結末を辿っている。

戦隊シリーズでは、「科学者である」「主人公の変身システムを作り出し終盤で同じシステムの戦士が登場する」「娘を失い人格が歪む」「娘そっくりの人形を作る」「人間ながら敵組織を傀儡として操る」「主人公の支援者と関係を持つ」など『電磁戦隊メガレンジャー』のDr.ヒネラーとも共通点が多い。

ウィザードと同時期に放映されていた『ドキドキ!プリキュア』においても、「妻を失いが不治の病に倒れ、彼女を救う為に悪の道を選んだ組織のトップ」という同じ境遇のキングジコチューが登場している。ただしこちらは最後まで他者が不幸になることから躊躇していた。

同じ特撮番組の『牙狼魔戒ノ花』に登場した毒島エイジも愛する人を救うために、犠牲者を出した(彼の場合、間接的ではあるが)という点では共通している。

また『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』のDr.キュリアンも同様自分の愛する人を救うために、歪んでしまい沢山の犠牲を出してしまったという点でも共通している。

関連タグ

仮面ライダーウィザード

白い魔法使い ワイズマン(ファントム)

マッドサイエンティスト 哀しき悪役

自作自演

パペティアー・ドーパント:亡き娘への愛が暴走して性格が歪んでしまったライダー怪人

貫庭玉夢彦:同じくの為に大勢の人間を巻き込んだ父親繋がり。

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