『古の大いなる竜が、本の力を掴み取る!』
『掴ませよ!新たなる力!』
『I wanna get the force!』
概要
『仮面ライダーセイバー』に登場するワンダーライドブック。
禁忌とされる「プリミティブドラゴン」の伝承を封じ込めているが、空白部分が多く情報が欠けており、後半は判読ができない。ジャンルは「神獣」。
右のストーリーページには『骨のドラゴンの頭部と右手』が描かれている。
第25章アイキャッチでは内容の続き(?)として「Can not control me.」とある。
仮面ライダーセイバー・プリミティブドラゴンの変身に使用され、開いたプリミティブドラゴンワンダーライドブックに既存のワンダーライドブックを装填し、その状態で聖剣ソードライバーにセットし変身を行う。
変身者がセットしているワンダーライドブックをあてがう事で強引にプリミティブドラゴンの空白部分を埋め込み、不完全ながらも伝承を解放する仕組みとなっている(ただし、他のワンダーライドブックは実際の本のように抜刀などのアクションで展開していたが、プリミティブドラゴンワンダーライドブックは抜刀と同時にセットしたワンダーライドブックを「プリミティブハンド」で押さえつけるような構造になっている)。
しかし、変身者は表紙の「スペルバインディング」の効果により、ライドブックに宿るプリミティブドラゴンの意思で意のままに操られてしまう。
本来は人類に災いを齎すという言われている「禁書」であり、サウザンベースで厳重に管理されていた。元々の見た目は、背の部分に複数の骨が纏わり付き、表紙に飛び出した骨や3つの爪で切り裂いたような傷跡がある黒い本だった。
第23章でその力を狙ったストリウスがサウザンベースに潜入した際に入手。その後、鉢合わせた飛羽真と戦闘になり奪回されるが、彼の意識に何らかの干渉を及ぼし、更に飛羽真の持つ飛び出す絵本が呼応したような謎の描写を経てワンダーライドブックに変化した。
また、よく見ると「プリミティブハンド」の裏側には、「この本がページをめくられる時~」とワンダーライドブックの共通の文章が刻まれており、ページを無理やり破った本に見える造形にもなっている。
悲しみの物語
ノーザンベースにあった、プリミティブドラゴンの秘密が書かれた古文書に記されていた物語。
ライダー文字で描かれており、全文翻訳すると以下の内容が描かれている。
昔々、始まりを知る竜がいました。
心優しい竜は人間をとても気に入り、見守り、時には助け、人間と友達になりました。
竜は人が物を知り、成長し繁栄するのをとても喜んでいました。
時が経ち、始まりの竜が居眠りについた頃、増えすぎた人は竜たちと違う場所に住まうようになり、やがて竜のことを忘れてしまいました。
竜たちは再会をとても喜びましたが、現れた人間たちは突然竜たちを攻撃し始めました。
昔友達だったことなど忘れて、竜のことを化け物だと思っていたのです。
竜たちはかつての友情を忘れられず、戦うこともせず、一匹、また一匹と倒れていきました。
最後の一頭の命が尽きる頃、永い眠りから覚めた始まりの竜は驚きました。
そして仲間と友達をいっぺんに失ったことをとても悲しみました。
悲しみに暮れた始まりの竜は仲間を求めて彷徨いました。
世界中、何年も何百年も何千年も、寿命が尽きて、死んだ事にも気付かずに仲間を求めて彷徨い続けました。
骨となり、魂だけになってもまだ、何年も何百年も何万年も彷徨い続けました。
忘却の果てには悲しみが、その悲しみは未来永劫続く悲しみ。
吟遊詩人たちも詠っている。悲しみから永遠に救われず、今も仲間を求めて彷徨っている竜の歌を。
プリミティブドラゴンの真実
プリミティブドラゴンに変身した際、本の世界で現れる幼い少年がプリミティブドラゴンの心そのものと気づいた飛羽真だったが、どうやって彼の心を救えばいいか途方に暮れてしまった。
そんな中、セイバーを付け狙ってレジエルが再び市街地に襲来。
暴れるレジエルの元に向かう最中、母親とはぐれて泣きじゃくる男の子に出会い、その瞬間にドラゴンの「みんなどこにいったの?」という言葉の本当の意味に気づかされる。
レジエルとの戦闘では、意識をプリミティブドラゴンに乗っ取られながらも、その心をワンダーライドブックの世界に再び飛び込ませ、プリミティブドラゴンと対峙する。
飛羽真に炎を吐き拒絶するプリミティブドラゴンだったが、飛羽真はその炎を乗り越え、ドラゴンの顔にやさしく触れると彼自身の口から本当の物語を聞きたいと呼びかけた。
かつて彼の世界は、人間とドラゴンの共存するやさしい世界だった。しかし、いつしか人間がドラゴンを敵視し、気づくと「子竜」以外のドラゴンは死に絶え、子竜は仲間を求めて世界をさまよい続けた。だがとうとう力尽き、孤独と飢えを抱えたまま人間への憎しみだけを残して息絶え、やがてプリミティブドラゴンとして伝承されるようになった。
つまり、プリミティブドラゴンの伝承は欠けているわけでもなくなったわけでもなく、最初から、今判読できる分だけの内容しかなかった=未完の物語だったのである。
しかし飛羽真は、「そのお話には続きがあるんだ」とプリミティブドラゴンの物語の続編を紡ぎ出す。
やがて力尽きた子竜に語りかける者がいることを。
風が、水が、大地が、陽の光が、彼の道行きをずっと見守り、そばにいたことを。
決して子竜は孤独だった訳ではないのだと。
それを聞いてプリミティブドラゴンは、「友達を見つけてくれてありがとう!」と礼を述べ、飛羽真も「俺とも友達になってくれるか?」と手を差し伸べ、2人は固い握手を交わした。
それを切っ掛けに、プリミティブドラゴンは新たな友を得て新しい力を身に着けた。
こうして飛羽真は、2つのワンダーライドブックを携えて遂にプリミティブドラゴンの暴走を克服。
そして「子竜」の少年と結んだ友情を信じ、新たな変身形態「エレメンタルプリミティブドラゴン」を手に入れた。
最終決戦
「僕、お兄ちゃんのお話、もっと聞きたい!」
最終章にて、奈落に落とされた孤立無援の飛羽真を救い出したのは、他でもないプリミティブドラゴンワンダーライドブックであった。飛羽真の意思に関わらず、ブック自身の意思で飛来するという暴走時に見られた特性が、ここに来て飛羽真を救う形となったのである。そのままプリミティブドラゴンへと変身、スペック上では遥かに格上である仮面ライダーストリウスに一矢報いる活躍を見せた。
「物語を創ることが無意味でも、それを読んだ人の心が動いたならそれでいい」という飛羽真の思いが、本の少年の心を救い、飛羽真自身を救い、最終的には世界をも救ったのである。
また、この時の変身音はプリミティブとドラゴンの間の空白が無くなっており飛羽真がプリミティブドラゴンの物語の空白を埋めてくれたと言える演出になっている。
立体物
DXトイにて、2021年3月13日に発売。
元々は2月27日に発売が予定されていたが、延期となった。
余談
デザインには骨や手が取り入れられているが、ワンダーライドブックを覆うプリミティブハンドの見た目や構造などから、モチーフはブックカバーと思われる。
関連タグ
仮面ライダーセイバー セイバー(仮面ライダー) プリミティブドラゴン
ワンダーライドブック 禁書(仮面ライダーセイバー) エレメンタルドラゴンワンダーライドブック
エモーショナルドラゴンワンダーライドブック:劇場短編に登場するワンダーライドブックで、同じく禁書の一つである破滅の本から誕生している。
ドラッグオンドラグーン、暗黒竜と光の剣:訳文の内容と似た、竜と人の関係に関して暗い歴史を持つ物語。
ウルトラマンジード:プリミティブの名を冠する形態(こちらは基本形態)を持つ。ジードのメイン監督である坂本浩一氏が担当している第27章でのプリミティブドラゴンと主人公の対話は、あるシーンを想起させるものであった。
アラビアーナナイトワンダーライドブック:リデコ。
ゾンビレイズバックル:2作後に登場する、こちらも変身アクションによって手が飛び出てくるアイテム。
シャイニングアサルトホッパープログライズキー←プリミティブドラゴンワンダーライドブック→ボルケーノバイスタンプ