概要
ガムは、キャンディーやチョコレートと並んで一般的な間食として好まれているほか、食後に口内をすっきりさせる手段としても用いられる。
口内をすっきりさせる目的のため、ミント味が多いが、ほかにも間食の目的では様々なフルーツフレーバーを加えたものも増えている。
ガム離れ
2000年代以降はフリスクに代表されるミントタブレット、加えてグミキャンデーの台頭がガム市場に打撃を与えた。
どうしてもゴミが出てしまう構造が消費者に敬遠されるようになり、まずはカネボウ時代からガム業界2位だったクラシエが菓子事業から撤退。
それからFitzガムで急速に市場を伸ばしていたブルボンが撤退、キスミントガムで一定の市場を確保していた江崎グリコが撤退、そしてキシリッシュで知られ、ボトルガムで市場に風穴を開けた明治製菓まで2023年にガム事業を撤退、グミのブランドに鞍替えし、気づけば業界首位のロッテがシェア7割の寡占状態、それでありながら2004年と比較し売上ベースで8割以上減少という事態を招き、ガム離れが盛んに叫ばれるようになった。
ただ、これはコロナ禍の影響もあり、今は少し売上ベースを戻しているので、完全に逆転したかと問われれば、今後の経過を見ていく必要がある。
ガム離れの一番の理由はグミ市場の拡大による相対的な訴求力低下であり、消費者におけるガムの需要がグミに取って代わられたことである。2022年には販売ベースでガムを上回るようになったほど(ちなみにガムも、それまでの主役級存在だったキャラメルから市場を奪った歴史がある)。
一方で、眠気覚ましなどの目的でドライバーの間でチューインガムは一定の需要を保っており、また咀嚼行為が唾液を分泌し健康や記憶力増強、美容にも好影響を与えることなどを喧伝し、巻き返しを図っている。
なお、ガム離れについてスマホ普及を挙げている人が多いが、それは明らかに若者のガム離れを若者のスマホ利用頻度に結びつけたこじつけ。もし、それが直接的な因果を持つなら、手を汚さないガムの方が復権を果たすであろう。
歴史
アジアやアフリカの原住民の間では、古くから木の葉や種子を噛む習性があったとされている。
西暦300年頃、メキシコ南部からグァテマラやホンジュラスなどの中央アメリカにはサポディラと呼ばれる巨木が生えていて、この木の樹液のかたまり(チクル)を噛む習慣から始まったといわれている。
この風習はインディアンやヨーロッパの開拓者たちに受け継がれていき、19世紀末にアメリカ人によってチクルに甘味や香料を加えて商品化したことで世界に広がっていった。
チクルには基本味が無い為、フレーバーが添加されている。
弊害
チューインガムをよく噛む全ての人間という訳ではないが、噛んで味の無くなったガムを地面に吐き捨てたり、面白半分に人の家の壁に張り付けるという迷惑行為を行うマナーの悪い者が少なからずいる。
特に地面に吐き捨てられたガムの場合は、何も知らずに踏んでしまった人間の靴の裏にへばり付いてしまうという二次的被害が後を絶たない状況にあり、こういったガムを除去するのは容易ではなく、清掃コストも非常に掛かる等、被害を受けた人間や捨てられたガムを除去しなければならない清掃業員にとっては堪ったものではない事になっている。
尤も近年では上述したガム離れからこうしたごみの数も減少傾向にあり、(全体としては良いことなのだが)専門業者が廃業してしまう事態も生じている。
余談
- チューインガムはチョコレートと一緒に噛んでいるとガム自体が溶けてしまう。これはチョコレートに含まれる油脂が作用するためであり、つまり有効な油分であれば何であれガムは溶ける。感覚としてはガムが口の中に消えるような感じである。
- シンガポールではガムの所持や持込自体が法律で禁止されており、旅行者もガムを持っていく事が許されない。ただし、キシリトールガムのみは薬局での販売が認められている。