概要
『ヤッターラ』とは『少年ジャンプ+』にて2024年10月8日から、隔週火曜日に連載されている漫画である。作者は大山田。
2025年1月4日に単行本第1巻が発売された。
作風
物語の根幹は ヤッターラ(=超越存在)とセトミ、ナナト、ユマの3人姉弟(=人間の子供)によって行われる交流を主とした日常系 に見えるのだが、舞台となる国(使用される言語から日本と思われるが、通貨の単位が『円』ではなく『リブ』になっている)ではIDカードによって戸籍と人権が完全に管理されている上に、人々の間には『内民』と『外民』と二分化され前者は後者を容赦なく差別する、更に異常極まりない経済格差に加えて、現実社会のSDGsに逆行するような超消費社会が描写される……等々、ディストピアを連想させる描写が随所に挿入されるため、新日常系にも該当する。
そもそも、ヤッターラと3人姉弟の交流自体も、ヤッターラからすれば『3人を〈より良い食材〉にするための飼育』であり、3人姉弟の長男のナナトもそれを察しギスギスした空気もあるが、長子かつ長女のセトミはヤッターラを「天使様」と敬い、次男で末弟のユマは「にゃーにゃ」と慕うなどもあり、一応は日常系の体裁が維持されている。
一方でヤッターラとの邂逅によって、3人姉弟が(違法な手段を用いながらも)少しずつ人としての尊厳を取り戻す描写もあって、人によってはピカレスクロマンにも該当する。
あらすじ
(※読みやすさを重視し、公式の粗筋を一部改変しています)
絢爛豪奢の都に呼び出されたのは〈暴食の怪物〉ヤッターラ。この怪物の興味はただ1つーー「食う」こと。大好物の子供達を発見し、いつものように食べようとするが、怪物に新たな閃きが……!?。
主要人物
ヤッターラ
〈暴食の怪物〉と恐怖される超越存在で、外見は「単眼の猫の頭を備えたこけし」。
あらゆる者物を貪る底無しの食欲の権化だが、劇中のナレーションを介する形で「無機物より動物 牛や豚より人間 中でも子供は特に旨い」と断言する姿は、正しく〈暴食の怪物〉と呼ばれるだけある。
一方で上記の発言から分かる通り美食家なところもあり、より美味しい物を食べるためならば、自ら食材の飼育を行う几帳面さもある。
上記の通り「人間=食糧」と見下している節が多くあるが、3人姉弟の飼育をしている現状では「人間との衝突を避ける(=余計なストレスによって3人姉弟の味が落ちる)」ように知恵を利かすなど、理性的な側面もある。
また、第4話『眠る』において、ヤッターラの過去の断片が描かれた際に、3人姉弟と異なる子供と共同生活をしていたような描写が見られたが……。
特殊能力として以下の能力が確認されている。
- 僅かな隙間さえあれば容易く侵入できる、異常極まりない柔軟性を備える肉体
- 自身の肉体を切り分けて分体を生成する。
- 体内に胃とは別に位相空間を備えており、そこに者物問わず保存できる
- ヤッターラの記憶に残っていれば、過去に食べた者物を再構成し復元する
- 上記の復元能力の応用か、自身の肉体を過去に食べた人間の外見に擬態できる
セトミ
3人姉弟の長女で、ヤッターラを「天使様」と呼ぶ。
ヤッターラとの接触で命拾いした経緯から、3人の中ではヤッターラへの敬服の念が強い。
弟達に長子らしい真面目な言動を見せるものの、上記の経緯からヤッターラに対しては甘い対応を取りがちと、人によってはチョロインにも見える。
また、屋外になると解放感からか、年相応に緩くなってしまうのが難点。
ナナト
3人姉弟の長男で、ヤッターラを「あいつ」などとぞんざいに呼ぶ。
ヤッターラの出会う以前、他者から酷い仕打ちに遭っていた過去からか、ヤッターラに対する警戒心が最も強い。
それもあって屋外ではセトミ以上にしっかりした振る舞いを見せるが、逆に家の中では調子に乗った言動を見せやすい。
初登場時は松葉杖を着いていたが、ヤッターラの飼育によって栄養を取り戻したおかげか、現在は普通の杖で歩けるぐらいに回復した。
ユマ
3人姉弟の次男で、ヤッターラを頭の形からか「にゃーにゃ」と呼ぶ。
幼さからヤッターラに対する警戒心が乏しく、度々ヤッターラと遊ぶシーンが挿入される扱いから、本作における癒し枠である。
尚、名前や顔つきのせいで間違えやすいが、れっきとした男の子である。
セトミとナナトと違う髪質や目付き(前者は2人が黒ベタに対しユマはスクリーントーンが使用されている、後者は2人が三白眼寄りに対しユマは黒目がち)などから、一部の読者から「ユマだけ血の繋がりがないのでは?」と推測されている。
ツギ・ドウイチ
自らの命を捧げてヤッターラを召喚した張本人で、生前はセトミ達3人姉弟の隣の部屋に住んでいた内民の男性(尚、名前は第10話で判明)。
死後はヤッターラに喰われた挙げ句、彼の擬態の原型にされた。
尚、生前の部屋を見る限り、強烈な破滅願望に支配されている風に見える一方で、過去にツギと邂逅したユマ曰く「出会ったらアメをくれた」らしく、内民の人間の中では外民に対する差別・排他意識はないように思えるが……。
オゴ
ヤッターラと3人姉弟の生活拠点である、ミギヤマ区のマンションの管理人。
高圧的で3人姉弟を「外民」と侮蔑していたが、最終的にヤッターラの分体を自身の体に寄生される形で、自身の生殺与奪を握られて以降、彼らのパシりにされてしまう。
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ヤッターラを捜索する謎の存在で、現時点で分かるパーツは2つの瞼が上下に癒着したような、瓢箪を思わせる眼窩から覗く単眼だけ。
現在は自らの肉体を警察官に擬態している。
まだ名前は不明だが、読者から既に『メッターラ』(あるいは警察官に擬態しているから『マッポーラ』)の仮称で呼ばれている。
関連タグ
破壊神マグちゃん:かつて『少年ジャンプ』本誌に掲載されていた作品で、超越存在と人間の子供との交流がメインの日常もの、主役の超越存在が単眼の怪物である、人間の子供が経済的に苦しい立場にある 等々、複数の類似要素が見受けられる作品。