概要
映画「プリキュアオールスターズ」の歴史
DX3部作までの経緯
プリキュアシリーズが5周年を迎え、歴代のプリキュアがゲームやデータカードダスに登場し共演する中、それまでのプリキュアが映像で共演する企画が持ち上がる。
それが2008年秋『映画 Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』と同時上映された『ちょ~短編プリキュアオールスターズGoGoドリームライブ』である。
そして「ちょ~短編」製作時、劇場用長編映画の企画が持ち上がり、「無印」~「5GoGo!」を担当した鷲尾天プロデューサーの「プリキュア全員が出る映画なら。」という発言がきっかけとなり製作が決定したのが「プリキュアオールスターズ」映画の第1作『映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!』である。
監督は「ちょ~短編」の監督でありそれまでの全作に関わった大塚隆史氏が、作画監督はベテラン・青山充氏が担当することになった。
(以降大塚氏は「DX」3部作を監督。青山氏はすべての「プリキュアオールスターズ」映画の作監を担当することとなる。)
「お祭り」ということで「DX」1作で終わるはずであった「オールスターズ」シリーズであったが、興行成績も良かったことから続編「DX2」の製作が決まり、「DX2」の前売り券の売れ行きも好調だったことからほどなく「DX3」の製作も決定された。
「DX」シリーズは全3部作でひと区切りとなり、「DX3」公開時には「シリーズ完結編」であることもアナウンスされた。
NS3部作の誕生
しかし『映画 スイートプリキュア とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ』公開時、「新しい展開」として「New Stage」の製作が発表される。これは初めから3部作を構想して考えられており、実際に3年間続いた(以後、「NS」シリーズと略称する)
「NS」シリーズの企画は前シリーズを担当した鷲尾天氏から、「フレッシュ」~「スマイル」までのプロデューサーである梅澤淳稔氏にバトンタッチ。「NewStage3」では永富大地氏に企画担当は交代しているものの、梅澤氏は「プラニングマネージャー」という肩書きで制作に参加している。(その「NewStage3」を最後に梅澤氏はプリキュアシリーズの制作から退いている)
コンセプトやテーマ、設定は1作ごとに異なり、まさに「New Stage」となっている。
「NS」シリーズは3年目の「NewStage3」で当初の構想どおり完結し、「NS3」公開時には「シリーズ完結編」であることも再びアナウンスされた。ただしこの時は「NewStageシリーズの完結編」という形で含みをもたせていた。
新たなオールスターズの登場
そして『映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ』公開時、プリキュアオールスターズの新作映画「プリキュアオールスターズ春のカーニバル♪」の製作が発表され、オールスターズ映画自体は継続されることが判明した。
企画担当はギャルマト・ボグダン氏に交代。コンセプトは「歌とダンス」であり、過去作以上にお祭り感を重要視したものとなった。
その翌年の2016年にもオールスターズ映画『プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』の制作されたが、企画は再びの交代で若林豪氏が担当しており、脚本や監督も変更になっている。ただ、歌とダンスが重要なモチーフになっていることは『春のカーニバル』と共通している。
今後、これらの作品が「DX三部作」や「NS三部作」のようにひとまとめにされる扱いとなるのかは不明(つながりがあるならタイトル的にいえば「♪シリーズ」、モチーフ的には「歌シリーズ」というべきかもしれない)。
これからのオールスターズはどうなる?
オールスターズ映画最大の問題は年を追うごとに増え続けるプリキュアの人数であろう。
現に2009年3月の「DX1」公開時には4チーム・14人だったのが、2016年3月の「奇跡の魔法!」公開時には11チーム・44人(映画オリジナルのキュアエコーを含む)まで増えており、「NS1」以降には台詞のないプリキュアが続出する状況である。
さらに『Go!プリンセスプリキュア』のようなオールスターズ映画を意識しないラストで締めたプリキュア作品も登場しており、その作品の作風の尊重とオールスターズ映画の世界観・コンセプト(後述参照)の両立が色々と難しくなってきている。
その現状を踏まえてか、プリキュアシリーズの父的存在である鷲尾天氏がプリキュア新聞2016年春版において「2017年以降の春にプリキュア映画があるとすればオールスターズではなくなるかも」という趣旨の発言をしていた。
その後、2017年春映画として『映画プリキュアドリームスターズ!』が公開されることが決定された。これは公開当時の直近3世代(『Go!プリンセスプリキュア』『魔法つかいプリキュア!』『キラキラ☆プリキュアアラモード』)のみが共演する映画で、特報映像でも「あなたが出会うのは、オールスターズではないプリキュアの物語」とわざわざ強調しており、鷲尾氏の発言を裏付ける形となった。さらに2018年以降の春映画でも『ドリームスターズ!』同様公開当時の直近3世代のプリキュアのみの登場になった。
2018年以降の春映画および登場するプリキュアは以下の通り。
- 2018年:『映画プリキュアスーパースターズ!』…『魔法つかい』『アラモード』『HUGっと!プリキュア』
- 2019年:『映画プリキュアミラクルユニバース』…『アラモード』『HUGっと』『スター☆トゥインクルプリキュア』(ただし『魔法つかい』以前のプリキュアも全員カメオ出演という形で登場している)
- 2020年:『映画プリキュアミラクルリープ_みんなとの不思議な1日』…『HUGっと』『スター☆トゥインクル』『ヒーリングっど♥プリキュア』
なお、3Dホログラフィックライブ『みんなあつまれ!プリキュアフェスティバル プリキュア ON ミラクル♡マジカル☆ステージ』が2016年冬に上映されているなど、ストーリー要素の薄いプロモーション映像的なものならば歴代プリキュア全員が揃う真の「オールスターズ」としてのコンテンツ制作は続いていくようだ。
上述のような事情になったのは、プリキュアの人数が多くなり尺が足りない為に出番が割けず、声なしかつモブ以下の出番しかないようなプリキュアが今後さらに増える事が懸念された事、そして不幸にも2015年秋にチョッピ役の松来未祐女史が亡くなってしまったため、プリキュアSS組のプリキュアとパートナー妖精セットでの声あり出演が事実上不可能になってしまったことも影響していると思われる(2018年には、これに加えて『ドキドキプリキュア』にてアイちゃん役を担当していた今井由香女史も「家庭の事情」を理由に引退となっている。もっと言ってしまえば2018年には高齢ではない声優の引退や作品降板もチラホラ見られ、時間経過と共にオリジナルキャストが使えなくなる可能性はある)。
だが2018年、プリキュア15周年記念映画として同年10月27日に公開の『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』に公開時最新作の『HUGっと!プリキュア』までの歴代プリキュア55人が全員声ありで登場した。
ただしこの作品はあくまで『HUGっと!プリキュア』と『ふたりはプリキュア』の2作品をメインに扱っており、その他の作品のプリキュア達はあくまでゲスト扱いにすることで全員声ありの登場を実現させている。また、パートナー妖精キャラの声あり出演についても『HUGっと!プリキュア』と『ふたりはプリキュア』、そして『魔法つかいプリキュア!』の3作品のみに絞られる。(参考サイト)
これらのことは、やはりDX時代のような「妖精もプリキュアも総出演して全員が同じくらい活躍する」は今の人数では不可能ということを可視化させたとも言える。
映画「プリキュアオールスターズ」の世界観・コンセプト
放送の終了しているシリーズについては最終話後というコンセプト。
ただし過去作品の登場人物も放送終了時から歳を重ねておらず、人間関係の変化もない。例えば、キャンディがメルヘンランドの女王となった後もみゆきの家に日常的に遊びに来ているという扱いになっており、良くも悪くも成長も変化もない。
また、最終回でメインキャラクターとの別れが描かれた場合でも、この映画の世界では再会できたことになっている。「DX1」では再会の経緯が描かれているのだが「DX2」以降は特に説明されない。
例えば、『フレッシュプリキュア!』最終回で東せつなとの別れがメインテーマの一つとして感傷的に描かれたにもかかわらず、二ヶ月後に公開された「DX2」ではさも当たり前のようにラブらと休日を過ごしている(一応アカルンの力で自由にあちらとこちらを行き来できるという設定で理屈はつくものの、いつでも再会できるならあの最終話は何だったんだろう…と思うところはある。もっとも、こういう幸せな二人が見れてよかったというファンも少なくはないだろうが。…と思っていたら『春のカーニバル♪』ではせつなは普段母国に在住しており、一緒にダンスをする機会が少ないことがラブから明かされた。)
そのほかにも、作品によっては妖精やプリキュアの活躍が普通の人達に知られていることもあり、世界観として整合性が取れているわけではない点がしばしば垣間見れる。これらの矛盾については、一種の「オールスターズ時空」として、TV本編とは異なるifの世界と理解したほうが良いであろう。
「ちょ~短編」で「無印/Max Heart」「Splash☆Star」「5/5GoGo!」の3シリーズ・計11人のプリキュア(シャイニールミナス、ミルキィローズを含む)が顔合わせしたが、「DX1」ではこれが一旦リセットされ、これに「フレッシュ」の初期メンバー3人を加えた計14人が初めて顔を合わせ、ともだちになる、というところからシリーズはスタートする。
「DX2」以降は、「DX」でのともだち関係を受け新シリーズの新規参入メンバーが新たにともだちになる(前作の追加メンバーは既にともだち)という形になる。
(「DX3」を例にあげると、「無印/MaxHeart」~「ハートキャッチ」まで、前作「DX2」に未参戦の明堂院いつき(キュアサンシャイン)、月影ゆり(キュアムーンライト)までが既にともだち、新番組で新規参戦となる「スイート」のふたりと初対面…となる。)
その一方、プリキュアの妖精たちのほとんどは、既に知り合い同士であるという設定になっている。
「不思議なもの同士、横のつながりがあるのだろう。」とは「DX」ブルーレイBOXに収録の鷲尾Pと大塚監督のオーディオコメンタリーでの弁。
ここで「生まれたばかりですぐこちらの世界に来た」という設定の「ドキドキ」のシャルルたちと、「スマイル」のキャンディがなんで知り合いなの?などと、あまり深く考えてはならない。
これもまた一種の「オールスターズ時空」である。
バトンタッチ&キックオフ
歴代のシリーズのプリキュアが共演する「プリキュアオールスターズ」シリーズだが、メインで取り上げられるのは映画放映時にリアルタイムで放送されている新シリーズと、その前年のシリーズの2作品というのが通例。
映画プリキュアオールスターズは毎年3月中旬に公開されるが、プリキュアシリーズは毎年2月のはじめに作品が切り替わる。そのため、映画プリキュアオールスターズは、前年作の「バトンタッチ」と当年作の「キックオフ」も兼ねているのである。
→ バトンタッチプリキュア!
映画「プリキュアオールスターズ」シリーズの製作は、TVの新シリーズの立ち上げと同時に行われる。そして映画の方がTVよりも製作進行のスケジュールは早めに進んでいく。その年の新シリーズのプリキュア戦士の場合、TV本編の初変身話のアフレコよりもオールスターズのアフレコが先行するということもしばしば。その場合、変身後の名乗りやキメ技を叫ぶのが「オールスターズ」でのアフレコが初ということになる。そのあとのTV本編でのアフレコで音響監督から指導が入ることもあるのか、映画でのキメ台詞と同時期のTV本編でのキメ台詞では何か微妙にイントネーションに違和感が出ることも……
また、新シリーズの企画立ち上げ時の初期設定を元に映画オールスターズのストーリーやキャラが組み込まれるので、新シリーズのプリキュアの場合は映画公開時のTV放映で使われているキメ技が登場しなかったり、TV本編とはキャラの性格が若干ブレていることも。
たとえば、「NS2」で初出演したキュアハートのキメ技は、公開時期の放映回ですでに使用されていた「プリキュアハートシュート」でなく、初期技「マイスイートハート」である。
キャラの性格のブレでは「DX2」で初出演した来海えりか(キュアマリン)が典型例。「DX2」では一応青キュアの後継者の体をとって「クールで知的な美少女」のイメージも意識されていたようで、わりと落ち着いたキャラとなっている。TV本編と比べると結構な違和感を持つかもしれない。もっとも、「DX3」以降は安定のえりかですが。
映画「プリキュアオールスターズDX」
全三部作。鷲尾天が主導的な位置付けで企画したシリーズ。全3作とも脚本は村山功、監督は大塚隆史が担当。
「DX」は「出会い」、「DX2」は「成長」、「DX3」は「旅立ち」がテーマ。三部作といっても個々の作品はそれぞれがほぼ独立しているため、どの作品から見ても問題はない。
「DX1」では実在の街・横浜みなとみらいを舞台に、過去TV本編の召喚怪物たちが復活する。プリキュアたちは再び妖精たちと再会し、戦いのために変身をすることとなる。
「DX2」は妖精たちが作った遊園地・フェアリーランドが舞台、過去TV本編の幹部キャラが総登場。
「DX3」では過去作の単独劇場版のラスボスたちが再登場してプリキュア達に前に立ちはだかる。プリキュアは3チームに分かれて別々の世界で戦い、よりコラボ感を増した。
このようにDXシリーズでは過去作の敵が復活し、プリキュアたちと再戦を行うというのがコンセプトになっている。
「おのれ!なんて数だ!?」by キントレスキー(「DX2」)
このとき既に17人。今やプリキュアの数はその倍以上に…。
主題歌は3作共通で「キラキラkawaii! プリキュア大集合♪」
→ キラキラkawaii!プリキュア大集合♪
『映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!』
出演するプリキュア:14人(「無印」~「フレッシュ」初期)
(シャイニールミナス、ミルキィローズを含む。以下同。)
『映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』
出演するプリキュア:17人(「無印」~「ハートキャッチ」初期)
新規参入: キュアパッション、キュアブロッサム、キュアマリン
『映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』
出演するプリキュア:21人(「無印」~「スイート」初期)
新規参入: キュアサンシャイン、キュアムーンライト、キュアメロディ、キュアリズム
映画「プリキュアオールスターズNewStage」
DX同様三部作になる。梅澤淳稔が主導的な位置付けで企画したシリーズ。脚本は全3作ともに成田良美。監督はNS1が志水淳児でNS2と3が小川孝治となる。
NSシリーズは最初から三部作を構想して立ち上げられたため若干のつながりがあり、視聴するときは順番に見る方が望ましい。
「NS1」では「女の子は誰でもプリキュアになれる!!」をキャッチコピーとして、プリキュアに憧れるごく普通の女の子・坂上あゆみを軸に描く。「DX1」のボスであったフュージョンをプリキュアオールスターズが倒した後の世界が舞台という設定だが、その戦いも含めてDX1とは異なる世界での物語である(いわゆる「リブート」)。舞台はDX1と同じく横浜みなとみらいとなった。今作限定のプリキュア・キュアエコーも登場した。「友達づくり」も重要なテーマであり、社会の中で孤立することの悲しさと、他人とわかり合うことの大切さも描いている。
「NS2」では製作時事件や話題になっていた「いじめ」をプリキュア的な視点から取り上げた。主な舞台は妖精学校で、ここに通う妖精・エンエンとグレルを軸に物語は進行した。
「NS3」は「夢」をテーマに、"夢の世界"が物語のメインの舞台となる。またプリキュア映画が親子連れでの鑑賞が多いことからゲストキャラクターのマアムとユメタの母子を通して、「親(母)子関係(親離れ・子離れ)」もストーリーの重要なファクターとなっている。上記2作に登場したあゆみやグレル&エンエンも再登場する。また、映画公開年新作の『ハピネスチャージプリキュア!』のプロモーションとして、映画公開初日時点のTV本編ではまだ登場していなかったキュアハニーをゲスト出演させている。
このようにNSシリーズでは児童教育的テーマを内包するオリジナルキャラクターを縦軸に、そのキャラクターと主に関わることになる放送終了直後の前作と、開始直後の新作の2組のプリキュアの活躍を横軸にストーリーは展開する。
NSシリーズでは公開年時点での新作と前作の二作品のプリキュアのそれぞれ一人ずつに見せ場となるシーンが与えられる一方で、それ以外のプリキュアたちの活躍度はまちまちである。これは登場するプリキュア全員を平均的に活躍させることが意識されていたDXシリーズとの大きな変化だが、毎年人数が増え続けるプリキュア全員に公平な活躍機会を作ることはもはや不可能であるため、止むを得ない判断である。
NS三部作の各映画においては、プリキュアと妖精は登場はしても声があてられていない場合もある(むしろDXシリーズで毎回全員がそろっていたほうが奇跡である。)
ただし、梅澤淳稔Pのツイッターで示されているように、『NS三部作』をすべて合わせればプリキュア全員に声があてられている。
主題歌は三作共通で「プリキュア~永遠のともだち~」
→ プリキュア~永遠のともだち~
『映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』
出演するプリキュア:29人(「無印」~「スマイル」・キュアエコー)
新規参入プリキュア:キュアエコー(オールスターズ映画限定のプリキュア)
キュアビート、キュアミューズ
キュアハッピー、キュアサニー、キュアピース、キュアマーチ、キュアビューティ
『映画 プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』
出演するプリキュア:32人(「無印」~「ドキドキ」初期)
新規参入プリキュア:キュアハート、キュアダイヤモンド、キュアロゼッタ、キュアソード
『映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち』
出演するプリキュア:37人(「無印」~「ハピネスチャージ」初期2人、キュアハニー、キュアエコー)
新規参入プリキュア:キュアエース、キュアラブリー、キュアプリンセス、キュアハニー
※各種メディアでは登場人数は「キュアハニーを含めて36人」と発表されているが、これはキュアエコーのストーリー上の扱いが特殊なため。また、そのキュアハニーは映画先行登場なためゲスト扱いである。
『映画 プリキュアオールスターズ春のカーニバル♪』
2015年3月14日公開のオールスターズ映画だが「DX」シリーズや「NS」シリーズとは違ってバトル要素が控えめに抑えられ、代わりに「歌とダンスのプリキュアライブステージ」をメインに押し出した作品となっている。
企画担当はギャルマト・ボグダン、脚本は井上美緒、監督は志水淳児が担当。
DXシリーズやNSシリーズがプリキュアシリーズに深く関わってきたベテランスタッフの起用が中心だったのに対して、今回は監督の志水氏以外はプリキュアシリーズにそこまで深くは関わっていない。そのこともあって、従来のプリキュアシリーズの常識に縛られない挑戦的な作品となった。
出演するプリキュア:40人(「無印」~「Go!プリンセス」初期)
新規参入プリキュア:キュアフォーチュン、キュアフローラ、キュアマーメイド、キュアトゥインクル
『映画 プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』
2016年3月19日公開のオールスターズ映画。『春のカーニバル』と同じく歌がテーマだが、今回は「バトルミュージカル」という独自ジャンルを謳っており、再びバトル重視の作風に立ち返った。
企画担当は若林豪、脚本は村山功、監督は土田豊が担当。
出演するプリキュア:44人(「無印」~「魔法つかい」初期+キュアエコー)
新規参入プリキュア:キュアスカーレット、キュアミラクル、キュアマジカル
『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』
2018年10月27日に公開のプリキュア15周年記念映画。歴代プリキュアがオリジナルキャストで総出演することが予告されている。プリキュアの声ありの総出演は2011年春の『DX3』以来7年半ぶりとなる。
一方で、パートナー妖精キャラもプリキュアと同等のメインキャストとして扱ってきたそれまでのオールスターズ映画の思想とは異なり、この作品はあくまでプリキュアだけにクローズアップされたものとなっている。そのため妖精キャラの声あり出演は『ふたりはプリキュア』のメップルとミップル、『魔法つかいプリキュア!』のモフルン、そして『HUGっと!プリキュア』のハリハム・ハリーとはぐたんの5名のみに限られている。
また本作は春のオールスターズ映画ではなく、秋の単独作品劇場版として上映されるため、あくまで公開時最新作の『HUGっと!プリキュア』の劇場版という体裁であることにも注意が必要である。
企画担当は神木優、監督は宮本浩史、脚本は香村純子が担当し、セルアニメと3D-CGを融合させた作品となる。
出演するプリキュア:55人(「無印」~「HUGっと!」)
新規参入プリキュア:キュアフェリーチェ、キュアホイップ、キュアカスタード、キュアジェラート、キュアマカロン、キュアショコラ、キュアパルフェ、キュアエール、キュアアンジュ、キュアエトワール、キュアマシェリ、キュアアムール
短編映画・イベント上映 等
『ちょ~短編プリキュアオールスターズGoGoドリームライブ』
出演するプリキュア:11人(「無印」~「5GoGo!」)
『映画 Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』の同時上映。(上映時間約5分) データカードダスとのタイアップで、変身前・ダンスシーンで着ている服はデータカードダスのデザインをリファインして使用している。作画監督は川村敏江氏。
敵であるカゲの巨人との戦闘シーンは、一部「DX」でのフュージョンとの戦闘シーンに流用された。なお本作のカゲの巨人の声を演じた梁田清之は「DX2」のラスボス・ボトムの声を演じている。
『Yes! プリキュア5GOGO 全員しゅーGO! ドリームフェスティバル』
出演するプリキュア:11人(「無印」~「5GoGo!」)
「ちょ~短編」と同時期に発売されたゲーム。11人のプリキュア達が共演する。
OPテーマとしてキュア・カルテットが歌う5周年記念ソング「プリキュアモードにSWITCH ON! 」が制作され、映像も本作用の新作アニメになっている。
オリジナルキャラクターのシシキを演じているのは同じく梁田清之。
『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』
出演するプリキュア:22人(「無印」~「スイート」のキュアビートまで。キュアミューズは未参加。)
2011年の夏休み~イベント等で上映された3DCG短編映画。(上映時間約12分)特にストーリーは無く、プリキュアたちがモーションキャプチャーによるフルCGアニメでダンスを披露する。声の出演は案内役のハミィ(声・三石琴乃)のみ。後に発売されたDVD,BDは2D版のみ収録。
『みんなあつまれ!プリキュアフェスティバル プリキュア ON ミラクル♡マジカル☆ステージ』
出演するプリキュア:44人(「無印」~「魔法つかい」)
DMM VR THEATERで2016年12月23日から2017年1月29日までの期間限定でイベント上映された3Dホログラフィックライブ(参考)。リアルなステージ上でホログラフで再現された40人以上のプリキュアたちがライブをするエンターティメントである。
その他
「セリフ付き」で最も多く出演したキャラは…
「フレッシュプリキュア!」のタルト(声・松野太紀)は、「DX」が始まった第一作から「NS2」まで毎回オールスターズ映画に出演を続けており、かつ「声つきでセリフがある」キャラであった。
「NS2」では劇中舞台となった妖精学校の講師として招かれ、プリキュアについての講義を行っている。
なお、「DX1」から「NS2」まですべてに声付きで出演したプリキュアは一人もいない。いかに説明役として重宝されていたかわかる。プリキュアの変身にもパワーアップにも寄与しない妖精なのに!
「NS3」で新三部作が完結することが告知されたときは、タルトはDX/NSの両三部作で皆勤賞を狙えるかと期待されたが、残念ながら「NS3」には出演できず、記録が途切れることになってしまった。
ちなみにタルトはシリーズ15作品目の『HUGっと!プリキュア』第36・37話で声付きで登場している。
現時点での最長連続出演キャラはキュアブロッサムとキュアマリンで、初登場した「DX2」から「奇跡の魔法」まで7作品連続で「声つき」の登場を途切れずに果たしている。方針転換で途中期間は空いたものの、「オールスターズメモリーズ」も含めるとオールスターズとしては8作品連続ともなる。
これについては理由があって、キュアマリンはマイペースな性格が認知されているため、他作品のキャラたちが持つ独自の世界観や雰囲気に一切遠慮せずに踏み込んだとしても文句が出にくいとして「オールスターズでの狂言回し役」として重用されていることがまずあり、そしてマリンが出るなら相棒のブロッサムも自然と出るようになったということである。
(なお、連続性は関係なく単純に「最多登場回数」を数えた場合は、キュアブラック(※)とキュアホワイトが「NS1」以外の、キュアピーチが「NS2」以外の、いずれも8作品に「声つき」の登場を果たしており、上記の二人に並んでいる。また春秋連続となった場合は、キュアミラクル・キュアマジカル・モフルンが「奇跡の魔法」から「オールスターズメモリーズ」まで3年間6作品連続という記録があり、ミラクルのみ「ミラクルユニバース」にもカメオ出演という形ながら声付き出演しているので4年間7作品連続になる)
※NS1のノベライズ版には一言だけだがキュアブラックのセリフがある。
セリフなしプリキュアや妖精の登場も…
その一方で上述のように年を追うごとに登場するプリキュアや妖精の人数が増え、「NS1」以降ではセリフがつかなくなっているプリキュアや妖精も続出している。
プリキュアでは特にキュアベリー・キュアパイン・キュアサンシャイン・キュアムーンライト・キュアリズム・キュアミューズの6人は「NS2」から「奇跡の魔法」まで最長の4作品連続セリフなしで、キュアミューズに至ってはオールスターズ初登場となった「NS1」以外セリフなしという事態になっている(なお、連続性は関係なく単純に「セリフなしで出演した回数」を数えた場合は、シャイニールミナス・キュアイーグレット・キュアルージュ・キュアレモネード・キュアミント・キュアアクア・ミルキィローズも最多の4作品でセリフなし出演であり、上記の6人に並んでいる)。
これらのキャラのファンにしてみれば彼女らにセリフがついてほしいと思う心情があるのだが、70分という上映時間を考えると活躍出来るプリキュアの数は限られるため、所属チームから離れた単独キャラとして見た時に動かしにくいプリキュアにはセリフが与えられないのが実情だろう。特にTV本編で追加戦士枠だったプリキュアは割りを食いやすい状況にあるようだ。
「オールスターズメモリーズ」では何とか登場55人のプリキュア全てに声がついた物の、上述のようにかなり変化球的な手法で何とか実現したのは否めない。
また妖精については「NS1」ではフレッシュプリキュアからスマイルプリキュアまでの妖精全員に声がついていたのに対し初代からプリキュア5までの妖精全員に声はついておらず、「NS2」以降では公開年当時の当代プリキュアと先代プリキュアの妖精には声がつく(ただし「NS3」では先代プリキュアであるドキドキプリキュアの妖精に声がついたのはシャルルとアイちゃんのみ)一方で、先々代以前の妖精で声がついたのはメップル(「NS2」、「NS3」、「春のカーニバル♪」)・タルト(「NS2」)・ルルン(「奇跡の魔法!」)の3人だけで、「オールスターズメモリーズ」における妖精枠キャラクターの登場はメップル・ミップル・モフルン・はぐたん・ハリハム・ハリーの5人のみになっている。
モブキャラクター
「モブ」とは「群衆」を表す言葉。
映画「プリキュアオールスターズ」でも、モブシーン等で、TV本編や劇場版に登場した数多くのキャラクターが描かれている。
たとえば、「DX2」では後にプリキュアに変身することになる明堂院いつき、月影ゆり(正確には復帰することになる)が、しれっとモブの中でミラクルライトを振っていたりする。
また、プリキュアや妖精、或いは敵キャラと担当声優が同じキャラクターに台詞があることもある(久保田志穂、満と薫、ブンビー、チョコラなど)。
「NS」の序盤では、「スマイル」の星空みゆきと「フレッシュ」のミユキさんが1カットだけ同じシーンに登場している。
「NS2」では残念ながらプリキュアとしての出演がなかった坂上あゆみも冒頭シーンでともだちと一緒にいるシーンがあるほか、「スイート」の東山聖歌が仰天の私服姿を披露して話題を呼んだ。
プリキュアオールスターズのTV本編への出演について
幻の企画として
2016年に放映された「魔法つかいプリキュア!」は物語の途中で敵組織そのものが変化する二部構成を取っていることで話題になった作品である。途中で敵が変わることをテコ入れではないかという見方をする視聴者もいたが、プロデューサーの内藤圭祐は「企画部長である鷲尾さんから2016年度プリキュアのプロデューサーとして自分が任命された時点で、本作を二部構成にすることはすでに決められていたことだった」と放映中から各所で述べていた。この鷲尾さんとは当然鷲尾天のことであり、彼は2015年から東映アニメーションのテレビ制作部の企画部長に就任しており、制作現場よりもさらに外側からコンテンツの管理をしている。
だが、放映終了後に刊行された「魔法つかいプリキュア!コンプリートブック」で明かされたところによると、鷲尾はもともとは二部構成でなく三部構成にすることを現場に要請していたのだという。プリキュアシリーズでは2月スタートなため毎年1月にクライマックス展開に突入する。この点について年始早々シリアスで重い話が連続して続くのはどうなんだろうかという疑問が鷲尾にはずっとあったようで、ラスボスとの戦いを年末までに決着させ、年始から一ヶ月は番外編のようなことをやろうという構想をしていたということ。その番外編というのが、テレビ本編に歴代のプリキュアオールスターズを出すというものであった。
一ヶ月(4週)のテレビ放映の尺は、オールスターズ映画一本分を少し超えるくらいだ。過去キュアを同時にではなく順番に出していくなら、うまくやれば全員声ありで出演させるのも可能だったろう。
ただこの企画は、内藤は現場の負担が大きくなりすぎるとして反対し、鷲尾も基本的には現場意見の方を尊重したためボツとなった。とはいえ、最終回で次回作の主人公であるキュアホイップがカメオ出演したのは、この「TV版プリキュアオールスターズ」の企画の名残であるということ。
15周年特別企画の実現
このカメオ出演は評判が良かったようで、そのキュアホイップが主人公となった2017年度作品『キラキラ☆プリキュアアラモード』の最終回でも次回作の主人公であるキュアエールがカメオ出演した。
そしてこのキュアエールが主人公となった2018年度作品『HUGっと!プリキュア』の第21〜22話でなんと初代作『ふたりはプリキュア』の主人公であるキュアブラックとキュアホワイトが登場、さらに同作第36〜37話ではブラック&ホワイトに加え、『ふたりはプリキュアMaxHeart』のシャイニールミナス・『Yes!プリキュア5』シリーズのキュアドリーム・『フレッシュプリキュア!』のキュアピーチ・『魔法つかいプリキュア!』のキュアミラクル達3人・『キラキラ☆プリキュアアラモード』のキュアホイップ達6人が登場した。
そして第37話のクライマックスでは残りの歴代プリキュアが駆けつけてきてバトルに参戦(キュアフローラとキュアラブリーのみ声あり出演)。総勢55人のプリキュアと数百体の怪物の軍団とが入り乱れて戦う映画さながらの大合戦が描かれた。
さらにキュアフラワーやキュアテンダーなどいわゆる番外戦士やキュアモフルンやキュアエコーといった映画限定プリキュア、歴代のプリキュアの協力者までモブキャラとして登場し視聴者の度肝を抜いた。
これらのことは2018年秋映画である『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』の宣伝の一環として行われたものでもある。2018年はプリキュア15周年記念として様々なキャンペーンを打ち立てていくこと『HUGっと!』の企画段階から決まっており、つまり今回ばかりは「TV版プリキュアオールスターズ」を映画宣伝という名目で挿入させることを押し通せたようである。
実際、このオールスターズ客演回は『HUGっと!』の玩具販促アイテムであるプリキュアミライブレスの誕生につながったストーリーになっており、一年のストーリー構成において最初から組み込まれていたことがわかる。
特にプリキュアオールスターズ全員(この時点で55人)が勢ぞろいした37話のスタッフについては、今やプリキュアシリーズの顔とも言える田中裕太を演出に据え、映画プリキュアオールスターズの作画監督としてずっと関わってきた青山充が同じく作画監督を担当し、それを支える作画スタッフには2010年代のプリキュアを支えてきた板岡錦と藤原舞が参加。そして脚本はDX三部作を執筆した村山功である。いわばプリキュアを知り尽くしたメンツが揃えられており、これだけのメンバーを一話に集中させることはスケジュールの綿密な進行管理がないと実現は不可能であったはず。このことから考えても、シリーズ立ち上げの時点で「37話はこのメンバーでいく」とほぼ決定していたことが推測される。
このように考えると、『魔法つかい』でオールスターズのTV出演が断念された理由である「現場の負担」がどのようなものなのかがうっすらとでも想像できるかも知れない。
関連タグ
プリキュア プリキュア映画一覧 プリキュアオールスターズ
プリキュアオールスターズDX プリキュアオールスターズDX2 プリキュアオールスターズDX3
プリキュアオールスターズNewStage プリキュアオールスターズNewStage2 プリキュアオールスターズNewStage3
プリキュアオールスターズ春のカーニバル♪ プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!
映画HUGっと!プリキュア_ふたりはプリキュア_オールスターズメモリーズ
ミラクルライト
キラキラkawaii!プリキュア大集合♪ プリキュア~永遠のともだち~ イマココカラ みんながいるから☆プリキュアオールスターズ
エクスペンダブルズ おっさん版プリキュアオールスターズ
関連リンク
すべて「エキレビ!(エキサイトレビュー)」
- DX3(2011)
- NS1(2012)
- NS2(2013)
- NS3(2014)
- カーニバル(2015)
- 奇跡の魔法(2016)
外部リンク
スーパー戦隊VSシリーズ劇場 - Wikipedia:スーパー戦隊シリーズでは前述の「TV版オールスターズ」に近いことが実現している