映画「プリキュアオールスターズ」
えいがぷりきゅあおーるすたーず
プリキュアシリーズでは映画作品も数多く作られているが、その映画は大きく分けて二系統に分かれている
- その年の放映作品の長編映画。基本的に秋期に上映される。タイトルにその年の放映作品の名前が入る。
- 歴代のプリキュア全員、もしくは一部の作品のプリキュアが登場するクロスオーバー映画。基本的に春期に上映される。タイトルにその年の放映作品の名前が入らない(特定作品だけが主役ではないため)。プリキュア全員が共演する場合、タイトルに映画「プリキュアオールスターズ」の冠がつく
この記事では、2の系統における映画「プリキュアオールスターズ」についてメインで解説するが、一部の作品のプリキュアが登場するクロスオーバー映画についても補足として記述を行う。
放送の終了しているシリーズについては最終話後というコンセプト。
ただし過去作品の登場人物も放送終了時から歳を重ねておらず、人間関係の変化もない。例えば、キャンディがメルヘンランドの女王となった後もみゆきの家に日常的に遊びに来ているという扱いになっており、良くも悪くも成長も変化もない。
また、最終回でメインキャラクターとの別れが描かれた場合でも、この映画の世界では再会できたことになっている。「DX1」では再会の経緯が描かれているが、「DX2」以降は描写されていない。
例えば、『フレッシュプリキュア!』最終回で東せつなとの別れがメインテーマの一つとして感傷的に描かれたにもかかわらず、二ヶ月後に公開された「DX2」ではさも当たり前のようにラブらと休日を過ごしている(一応アカルンの力で自由にあちらとこちらを行き来できるという設定で理屈はつくものの、いつでも再会できるならあの最終話は何だったんだろう…と思うところはある。もっとも、こういう幸せな二人が見れてよかったというファンも少なくはないだろうが。…と思っていたら『春のカーニバル♪』ではせつなは普段母国に在住しており、一緒にダンスをする機会が少ないことがラブから明かされた。)
そのほかにも、作品によっては妖精やプリキュアの活躍が普通の人達に知られていることもあり、世界観として整合性が取れているわけではない点がしばしば垣間見れる。これらの矛盾については、一種の「オールスターズ時空」として、TV本編とは異なるifの世界と理解したほうが良いであろう。
「ちょ~短編」で「無印/Max Heart」「Splash☆Star」「5/5GoGo!」の3シリーズ・計11人のプリキュア(シャイニールミナス、ミルキィローズを含む)が顔合わせしたが、「DX1」ではこれが一旦リセットされ、これに「フレッシュ」の初期メンバー3人を加えた計14人が初めて顔を合わせ、ともだちになる、というところからシリーズはスタートする。
「DX2」以降は、「DX」でのともだち関係を受け新シリーズの新規参入メンバーが新たにともだちになる(前作の追加メンバーは既にともだち)という形になる。
(「DX3」を例にあげると、「無印/MaxHeart」~「ハートキャッチ」まで、前作「DX2」に未参戦の明堂院いつき(キュアサンシャイン)、月影ゆり(キュアムーンライト)までが既にともだち、新番組で新規参戦となる「スイート」のふたりと初対面…となる。)
その一方、プリキュアの妖精たちのほとんどは、既に知り合い同士であるという設定になっている。
「不思議なもの同士、横のつながりがあるのだろう。」とは「DX」ブルーレイBOXに収録の鷲尾Pと大塚監督のオーディオコメンタリーでの弁。
ここで「生まれたばかりですぐこちらの世界に来た」という設定の「ドキドキ」のシャルルたちと、「スマイル」のキャンディがなんで知り合いなの?などと、あまり深く考えてはならない。
これもまた一種の「オールスターズ時空」である(ただし、「奇跡の魔法」における魔法つかいプリキュア!のモフルンに限っては、「みらいのぬいぐるみがリコと出会ったことで命を得た」という出自に載っとり、他作品とのプリキュア・妖精とは初対面になっている)。
周年記念の秋映画として作られた『オールスターズメモリーズ』『F』でも基本的には上記のコンセプトが踏襲されている。『F』ではこれまでのクロスオーバー映画で共演した面々も面識がない扱いにされているが、これは作中で明かされるある真実に起因したものである。
バトンタッチ&キックオフ
歴代のシリーズのプリキュアが共演する春季の映画では、映画放映時にリアルタイムで放送されている新シリーズのキャラクターが特に活躍するようになっているが通例。
プリキュアシリーズは毎年2月のはじめに作品が切り替わるため、春のプリキュア共演映画は、前年作の「バトンタッチ」と当年作の「キックオフ」も兼ねているのである。別名「プリキュア新人研修」。
春季の共演映画の製作は、TVの新シリーズの立ち上げと同時に行われる。そして映画の方がTVよりも製作進行のスケジュールは早めに進んでいく。その年の新シリーズのプリキュア戦士の場合、TV本編の初変身話のアフレコよりもオールスターズのアフレコが先行するということもしばしば。その場合、変身後の名乗りやキメ技を叫ぶのが「オールスターズ」でのアフレコが初ということになる。そのあとのTV本編でのアフレコで音響監督から指導が入ることもあるのか、映画でのキメ台詞と同時期のTV本編でのキメ台詞では何か微妙にイントネーションに違和感が出ることも……
また、新シリーズの企画立ち上げ時の初期設定を元に映画オールスターズのストーリーやキャラが組み込まれるので、新シリーズのプリキュアの場合は映画公開時のTV放映で使われているキメ技が登場しなかったり、TV本編とはキャラの性格が若干ブレていることも。
たとえば、「NS2」で初出演したキュアハートのキメ技は、公開時期の放映回ですでに使用されていた「プリキュアハートシュート」でなく、初期技「マイスイートハート」である。
キャラの性格のブレでは「DX2」で初出演した来海えりか(キュアマリン)が典型例。「DX2」では一応青キュアの後継者の体をとって「クールで知的な美少女」のイメージも意識されていたようで、わりと落ち着いたキャラとなっている。TV本編と比べると結構な違和感を持つかもしれない。もっとも、「DX3」以降は安定のえりかですが。
その年の最新作のキャラたちが春季映画で出す微妙な違和感は「役にこなれていない」ようにも感じられ、そういうのも含めて「新人研修」と言われていたのである。
しかし、2021年からはプリキュアの春季の映画がなくなり、秋季のみとなってしまい、ここで語られているような新人研修感は見られなくなって久しい。
詳細は後述するが、概ね初期のお祭り感の強い『DX』シリーズ、ある程度縦軸のある『NS』シリーズ、その後の2作品、その後プリキュアの共演や客演が見直されたことで途切れ、周年記念作で復活するという形となっている。
なお、2024年現在、客演の方向性や周年記念でのオールスターズ復活は必ずしも決まったものとなっていない。
「プリキュアオールスターズ」の名前の初出
プリキュアシリーズが5周年を迎え、歴代のプリキュアがゲームやデータカードダスに登場し共演する中、それまでのプリキュアが映像で共演する企画が持ち上がる。
それが2008年秋『映画 Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』と同時上映された短編作品『ちょ~短編プリキュアオールスターズGoGoドリームライブ』であった。
わずか5分の映像であるが、作品を超えてプリキュアたちが共演した初のアニメ作品となる。
そしてこれが「プリキュアオールスターズ」という名前の初出である。
映画「プリキュアオールスターズDX」シリーズ
「ちょ~短編」製作時、劇場用長編映画の企画が持ち上がり、「無印」~「5GoGo!」を担当した鷲尾天プロデューサーの「プリキュア全員が出る映画なら。」という発言がきっかけとなり製作が決定したのが「プリキュアオールスターズ」映画の第1作『映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!』である。
監督は「ちょ~短編」の監督でありそれまでの全作に関わった大塚隆史氏が、脚本は村山功、作画監督はベテラン・青山充氏が担当することになった。
(以降大塚氏は「DX」3部作を監督。青山氏はすべての「プリキュアオールスターズ」映画の作監を担当することとなる。)
当初はオールスターズ長編映画を毎年作ることなどは考えておらず、「お祭り」ということで一回きりで終わるはずであった。しかし興行成績も良かったことから続編「DX2」の製作が決まり、「DX2」の前売り券の売れ行きも好調だったことからほどなく「DX3」の製作も決定された。
「DX」シリーズは全3部作でひと区切りとなり、「DX3」公開時には「シリーズ完結編」であることもアナウンスされた。
三部作といっても個々の作品はそれぞれがほぼ独立しているため、どの作品から見ても問題はない。
共通するコンセプトとして、過去作の敵が復活してプリキュアたちと再戦を行うというものがある。
「おのれ!なんて数だ!?」by キントレスキー(「DX2」)
このとき既に17人。今やプリキュアの数はその4倍以上に…。
主題歌は3作共通で「キラキラkawaii! プリキュア大集合♪」
『映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!』
2009年春公開
出演するプリキュア:14人(「無印」~「フレッシュ」初期) ※全員声付きで登場
テーマは「出会い」。
実在の街・横浜みなとみらいを舞台に、過去TV本編の召喚怪物たちが復活する。そして過去作のプリキュアたちも再び妖精たちと再会し、戦いのために変身をすることとなる。
『映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』
公開年:2010年春季
出演するプリキュア:17人(「無印」~「ハートキャッチ」初期) ※全員声付きで登場
新規参入: キュアパッション、キュアブロッサム、キュアマリン
テーマは「成長」。
妖精たちが作った遊園地・フェアリーランドが舞台、過去TV本編の幹部キャラが総登場。
『映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』
2011年春公開
出演するプリキュア:21人(「無印」~「スイート」初期) ※全員声付きで登場
新規参入: キュアサンシャイン、キュアムーンライト、キュアメロディ、キュアリズム
テーマは「旅立ち」。
過去作の単独劇場版のラスボスたちが再登場してプリキュア達に前に立ちはだかる。プリキュアは3チームに分かれて別々の世界で戦い、よりコラボ感を増した。
映画「プリキュアオールスターズNewStage」
『映画 スイートプリキュア とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ』公開時、「新しい展開」として「New Stage」の製作が発表される。これは初めから3部作を構想して考えられており、実際に3年間続いた(以後、「NS」シリーズと略称する)
「NS」シリーズの企画は前シリーズを担当した鷲尾天氏から、「フレッシュ」~「スマイル」までのプロデューサーである梅澤淳稔氏にバトンタッチ。「NewStage3」では永富大地氏に企画担当は交代しているものの、梅澤氏は「プラニングマネージャー」という肩書きで制作に参加している。(その「NewStage3」を最後に梅澤氏はプリキュアシリーズの制作から退いている)
脚本は全3作ともに成田良美。監督はNS1が志水淳児でNS2と3が小川孝治となる。
コンセプトやテーマ、設定は1作ごとに異なり、まさに「New Stage」となっている。
「NS」シリーズは3年目の「NewStage3」で当初の構想どおり完結し、「NS3」公開時には「シリーズ完結編」であることも再びアナウンスされた。ただしこの時は「NewStageシリーズの完結編」という形で含みをもたせていた。
NSシリーズは最初から三部作を構想して立ち上げられたため若干のつながりがあり、視聴するときは順番に見る方が望ましい。
内容としては児童教育的テーマを内包するオリジナルキャラクターを縦軸に、そのキャラクターと主に関わることになる放送終了直後の前作と、開始直後の新作の2組のプリキュアの活躍を横軸にストーリーが展開していくのが特徴。
一方、公開時期から2年以上前のプリキュアたちの活躍度はまちまちである。これは登場するプリキュア全員を平均的に活躍させることが意識されていたDXシリーズとの大きな変化だが、毎年人数が増え続けるプリキュア全員に公平な活躍機会を作ることはもはや不可能であるため、止むを得ない判断である。
また、このNS三部作からのプリキュアオールスターズ映画では、登場はするが声があてられていないプリキュアや妖精も出てくるようになった(むしろDXシリーズで毎回全員が声つきでそろっていたほうが奇跡である。)
ただし、梅澤淳稔Pのツイッターで示されているように、『NS三部作』をすべて合わせればプリキュア全員に声があてられている。
主題歌は三作共通で「プリキュア~永遠のともだち~」
『映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』
2012年春公開
出演するプリキュア:29人(「無印」~「スマイル」・キュアエコー) ※声付きの登場は19名
新規参入プリキュア:キュアエコー(オールスターズ映画限定のプリキュア)
キュアハッピー、キュアサニー、キュアピース、キュアマーチ、キュアビューティ
「女の子は誰でもプリキュアになれる!!」をキャッチコピーとして、プリキュアに憧れるごく普通の女の子・坂上あゆみを軸に描く。
「DX1」のボスであったフュージョンをプリキュアオールスターズが倒した後の世界が舞台という設定だが、その戦いも含めてDX1とは異なる世界での物語である(いわゆる「リブート」)。舞台はDX1と同じく横浜みなとみらいとなった。今作限定のプリキュア・キュアエコーも登場した。「友達づくり」も重要なテーマであり、社会の中で孤立することの悲しさと、他人とわかり合うことの大切さも描いている。
『映画 プリキュアオールスターズNewStage2 こころのともだち』
2013年春公開
出演するプリキュア:32人(「無印」~「ドキドキ」初期) ※声付きの登場は20名
新規参入プリキュア:キュアハート、キュアダイヤモンド、キュアロゼッタ、キュアソード
製作時に発生した事件や話題になっていた「いじめ」をプリキュア的な視点から取り上げた。
『映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち』
2014年春公開
出演するプリキュア:37人(「無印」~「ハピネスチャージ」初期2人、キュアハニー、キュアエコー) ※声付きの登場は24名
新規参入プリキュア:キュアエース、キュアラブリー、キュアプリンセス、キュアハニー
※各種メディアでは登場人数は「キュアハニーを含めて36人」と発表されているが、これはキュアエコーのストーリー上の扱いが特殊なため。また、そのキュアハニーは映画先行登場なためゲスト扱いである。
「夢」をテーマに、“夢の世界”が物語のメインの舞台となる。
またプリキュア映画が親子連れでの鑑賞が多いことからゲストキャラクターのマアムとユメタの母子を通して、「親(母)子関係(親離れ・子離れ)」もストーリーの重要なファクターになっている。
「NS1」に登場した坂上あゆみ(キュアエコー)と「NS2」に登場したグレル&エンエンがそれぞれ再登場し、重要な役割を果たす。また、映画公開年新作の『ハピネスチャージプリキュア!』のプロモーションとして、映画公開初日時点のTV本編ではまだ登場していなかったキュアハニーをゲスト出演させている。
新たなオールスターズ映画の登場
NS三部作完結後も、プリキュアオールスターズの新作映画が春季に公開される流れはしばらくは続いた。
これらの作品は「DX三部作」や「NS三部作」のようにひとまとめのシリーズ物ではなく、それぞれが独立した構成になっている。ただ、いずれも歌・音楽を重視した作風という共通点がある。
『映画 プリキュアオールスターズ春のカーニバル♪』
2015年春公開
出演するプリキュア:40人(「無印」~「Go!プリンセス」初期) ※声付きの登場は19名
新規参入プリキュア:キュアフォーチュン、キュアフローラ、キュアマーメイド、キュアトゥインクル
2015年3月14日公開のオールスターズ映画だが「DX」シリーズや「NS」シリーズとは違ってバトル要素が控えめに抑えられ、代わりに「歌とダンスのプリキュアライブステージ」をメインに押し出した作品となっている。
企画担当はギャルマト・ボグダン、脚本は井上美緒、監督は志水淳児が担当。
DXシリーズやNSシリーズがプリキュアシリーズに深く関わってきたベテランスタッフの起用が中心だったのに対して、今回は監督の志水氏以外はプリキュアシリーズにそこまで深くは関わっていない。そのこともあって、従来のプリキュアシリーズの常識に縛られない挑戦的な作品となった。
オールスターズ全員出演から直近3世代限定へのシフト
詳細は 映画「プリキュアスターズ」 の記事を参照
オールスターズ映画最大の問題は年を追うごとに増え続けるプリキュアの人数であろう。
現に2009年3月の「DX1」公開時には4チーム・14人だったのが、2016年3月の「奇跡の魔法!」公開時には11チーム・44人(映画オリジナルのキュアエコーを含む)まで増えており、「NS1」以降には台詞のないプリキュアが続出する状況である。
また、古い作品の声優がいつまでも現役でいられるわけではないことも、声付きの参戦に影を落としている。事実、不幸にも2015年秋にチョッピ役の松来未祐女史が亡くなってしまったため、すでにこの時点でプリキュアSS組のプリキュアとパートナー妖精セットでの声あり出演が事実上不可能になっている。
このような状況を鑑みて、2017年春に公開されたプリキュア共演映画『映画プリキュアドリームスターズ!』はオールスターズが総出演するのではなく公開当時の直近3世代(『Go!プリンセスプリキュア』『魔法つかいプリキュア!』『キラキラ☆プリキュアアラモード』)のみが共演する映画となった。特報映像でも「あなたが出会うのは、オールスターズではないプリキュアの物語」とわざわざ強調している。
さらに2018年以降の春映画でも『ドリームスターズ!』同様公開当時の直近3世代のプリキュアのみの登場になった。これらはオールスターズではないということから通称で映画「プリキュアスターズ」シリーズとも呼ばれる。
2017年以降の映画「プリキュアスターズ」に登場するプリキュアは以下の通り。
- 2017年:『映画プリキュアドリームスターズ!』…『Go!プリンセス』『魔法つかい』『アラモード』
- 2018年:『映画プリキュアスーパースターズ!』…『魔法つかい』『アラモード』『HUGっと!プリキュア』
- 2019年:『映画プリキュアミラクルユニバース』…『アラモード』『HUGっと』『スター☆トゥインクルプリキュア』(ただし『魔法つかい』以前のプリキュアも全員カメオ出演という形で登場している)
- 2020年:『映画プリキュアミラクルリープ_みんなとの不思議な1日』…『HUGっと』『スター☆トゥインクル』『ヒーリングっど♥プリキュア』
プリキュア15周年記念作品
長編映画でプリキュアオールスターズ全員を登場させるのはもう難しいのではとも考えられていたのだが、2018年、プリキュア15周年記念映画として同年10月27日に公開の『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』に公開時最新作の『HUGっと!プリキュア』までの歴代プリキュア55人が全員声ありで登場した。プリキュアの声ありの総出演は2011年春の『DX3』以来7年半ぶりとなる。
『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』
2018年秋公開
登場プリキュア:55人(「無印」~「HUGっと!」) ※全員声付きで登場
新登場プリキュア:キュアフェリーチェ、キュアホイップ、キュアカスタード、キュアジェラート、キュアマカロン、キュアショコラ、キュアパルフェ、キュアエール、キュアアンジュ、キュアエトワール、キュアマシェリ、キュアアムール
2018年10月27日に公開のプリキュア15周年記念映画。
企画担当は神木優、監督は宮本浩史、脚本は香村純子が担当し、セルアニメと3D-CGを融合させた作品となる。
公開当時までのプリキュア全員(55人)を声付きで登場させた。これにより「アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数(Most magical warriors in an anime film)」でギネス世界記録に認定された。
ただし、あくまで『HUGっと!プリキュア』と『ふたりはプリキュア』の2作品をメインに扱っており、その他の作品のプリキュア達はあくまでゲスト扱いにすることで全員声ありの登場を実現させている。また、パートナー妖精キャラの声あり出演についても『ふたりはプリキュア』のメップルとミップル、『魔法つかいプリキュア!』のモフルン、そして『HUGっと!プリキュア』のハリハム・ハリーとはぐたんの5名のみに限られている。(参考サイト)
これらのことは、やはりDX時代のような「妖精もプリキュアも総出演して全員が同じくらい活躍する」は今の人数では不可能ということを可視化させたとも言える。
元々、本作は『HUGっと!プリキュア』と『ふたりはプリキュア』の共演作として考えられており、それが結果として周年作品であることからオールスターズに発展したという経緯が語られている。
それも当初は歴代主人公のみだったことやギネス申請も加わりプリキュア全員の参加が決まるなど全員の参加も紆余曲折あったようだ。
また本作は春のオールスターズ映画ではなく、秋の単独作品劇場版として上映されており、作品コンセプトも『HUGっと!プリキュア』を主体とした作品として進められたため、あくまで公開時最新作の『HUGっと!プリキュア』の劇場版という体裁であることにも注意が必要である。
単体映画での過去作品とのコラボ
プリキュアの映画は共演映画だけではなく、その年の放映作品の単体長編も毎年制作されている。
長らく、その年の放映作品の単体映画に過去のプリキュアが登場することはなかったのだが、2017年度の『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』からはその慣例が破られ、「その年の放映作品のチームと過去作品のプリキュア1〜2作品のチームがコラボレーションする」ことがしばしば行われるようになった。
- 2017年秋:『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』…『アラモード』の単体映画に『魔法つかい』がコラボ
- 2021年春(※):『映画ヒーリングっど♥プリキュア_ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』…『ヒーリングっど』の単体映画に『Yes!プリキュア5GoGo』がコラボ
- 2021年秋:『映画トロピカル〜ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』…『トロピカル〜ジュ!プリキュア』の単体映画に『ハートキャッチプリキュア!』がコラボ
- 2024年秋:『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ♡ゲームの世界で大冒険!…『わんだふるぷりきゅあ!』の単体映画に『魔法つかい』と『ひろがるスカイ!プリキュア』がコラボ
※本来は2020年秋に公開する予定だったが、新型コロナウイルスの影響によって2021年春に公開延期された
春の共演映画の制作休止
2020年、春休みに上映予定だった共演映画『映画プリキュアミラクルリープ_みんなとの不思議な1日』が新型コロナウイルスの影響によって秋に上映延期になり、本来秋に上映されるはずだったヒーリングっど♥プリキュアの単体映画『映画ヒーリングっど♥プリキュア_ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』は翌年の2021年春に延期された。
この影響で、2021年春はプリキュアの共演映画が作られることはなかった。
これはこの年だけのイレギュラーと思われていたが、翌年の2022年以降も春のプリキュア共演映画は制作されないこととなった。
この理由は明らかになってないが、この時期から東映アニメーションが映画化するタイトルを増やしており、その分のリソース配分が再考されたのだと思われる。(長編映画を年2回公開するプリキュアシリーズは、日本のアニメシリーズ全体で見てもかなり過剰である)
また、2017年秋公開の『映画キラキラ☆プリキュアアラモード_パリッと!想い出のミルフィーユ!』以降放映作品の単独映画に歴代作品がコラボする映画作品がしばしば制作されるようになったことで、共演映画と単体映画の棲み分けが曖昧になってきていることは前々からファンの間でも指摘されていた。
このような複合的理由から春映画の休止が決まったのであろう。
ただし、春映画が廃止されたことで初期メンバーをTV本編内で3月中に全員出さなければならないという拘束性が無くなったことから、初期メンバーの登場スパンを複数話に亘り確保したり、一部初期メンバーを4月以降にデビューさせる等、メンバーの登場サイクルのパターンの多様化に繋げることが出来たという利点もある。
プリキュア20周年記念作品
上記の15周年に続き、2023年9月にはプリキュア20周年記念作品として『映画 プリキュアオールスターズF』が公開された。プリキュアオールスターズの長編映画としては5年ぶりとなる。
キュアエコー(この映画では番外プリキュア扱いでパートナー妖精2匹共々モブ出演)以来のクロスオーバー映画オリジナルプリキュアも登場。
ただし、15周年の時とは異なり、全員の声つき出演は実現されなかった。
前述のオールスターメモリーズ同様、企画当初はオールスターズとは想定されていなかったようである。
この時点でのTVシリーズに登場したプリキュアは78名。15周年の時の1.4倍である。
これだけの数を登場させるのは無理とも関係者は明言しており、共演するとしても世代で区切るという方向性で進められていた様子。前述の直近三世代案もあったようだが、新鮮味がないとしてなくされ、それまでの20作品のプリキュアたちのうち、オールスターズ作品への参加が少ない後半10年のチームのみを出演させる「ハーフスターズ」とでもいうべき作品として制作する予定であった。
しかし様々な議論を重ねた結果、プリキュア総登場のオールスターズ作品としてチャレンジする形に変更された。
15周年の時の記念作『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、タイトルから分かるように、オールスターズ映画であると同時に、当時放映作『HUGっと!プリキュア』の単独映画でもあるというスタンスが取られていた。
しかしこの20周年の記念作『映画 プリキュアオールスターズF』は、かつての春映画のような純粋なオールスターズ映画として作られている。そのため当時放映作『ひろがるスカイ!プリキュア』は単独映画を持たないシリーズとなってしまった。
ただし、各インタビューではあくまで『ひろがるスカイ』をメインとしていることは語られており、劇中では『ひろがるスカイ』のキャラクターの出番が一番多くはなっている。
前記のように次回作『わんだふる』の単独映画にも『魔法つかい』と共に引き続き出演している。
『映画 プリキュアオールスターズF』
2023年秋公開
出演するプリキュア:80人(「無印」~「ひろがるスカイ」+キュアシュプリーム&キュアプーカ) ※声付きの登場は34名
新規参入プリキュア:キュアスター、キュアミルキー、キュアソレイユ、キュアセレーネ、キュアコスモ、キュアグレース、キュアフォンテーヌ、キュアスパークル、キュアアース、キュアサマー、キュアコーラル、キュアパパイア、キュアフラミンゴ、キュアラメール、キュアプレシャス、キュアスパイシー、キュアヤムヤム、キュアフィナーレ、キュアスカイ、キュアプリズム、キュアウィング、キュアバタフライ、キュアマジェスティ
2023年9月25日に公開のプリキュア20周年記念映画。
今回は『Go!プリ』以降の作品から選抜されたメンバー16名がメインキャラとなり、シャッフルされたチームを組む構成になっている。現行作品の『ひろがるスカイ』のメンバーは全員登場。
『Go!プリ』以降という基準は、上述した初期構想の名残である。
短編映画・イベント上映 等
プリキュアオールスターズが全員共演する映画は長編だけではなく、短編やイベント上映やゲーム作品もある。特に短編作ではオールスターズ全員登場が難しくなった2010年代以降もそれを可能にしている。
『ちょ~短編プリキュアオールスターズGoGoドリームライブ』
公開年:2008年秋季
出演するプリキュア:11人(「無印」~「5GoGo!」) ※全員声付きで登場
最初に作られたオールスターズ映画で、上映時間約5分。
『映画 Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪』の同時上映作品。データカードダスとのタイアップで、変身前・ダンスシーンで着ている服はデータカードダスのデザインをリファインして使用している。作画監督は川村敏江氏。
敵であるカゲの巨人との戦闘シーンは、一部「DX」でのフュージョンとの戦闘シーンに流用された。なお本作のカゲの巨人の声を演じた梁田清之は「DX2」のラスボス・ボトムの声を演じている。
『Yes! プリキュア5GOGO 全員しゅーGO! ドリームフェスティバル』
出演するプリキュア:11人(「無印」~「5GoGo!」)
「ちょ~短編」と同時期に発売されたゲーム。11人のプリキュア達が共演する。
OPテーマとしてキュア・カルテットが歌う5周年記念ソング「プリキュアモードにSWITCH ON! 」が制作され、映像も本作用の新作アニメになっている。
オリジナルキャラクターのシシキを演じているのは同じく梁田清之。
『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』
公開年:2011年夏季
出演するプリキュア:22人(「無印」~「スイート」のキュアビートまで。キュアミューズは未参加。)
2011年の夏休み~イベント等で上映された3DCG短編映画。上映時間約12分。
特にストーリーは無く、プリキュアたちがモーションキャプチャーによるフルCGアニメでダンスを披露する。本作に登場するプリキュアは本人達ではなく、玩具店で販売されている人形という設定である。声の出演は案内役のハミィ(CV:三石琴乃)のみ。後に発売されたDVD,BDは2D版のみ収録。
「セリフ付き」で最も多く出演したキャラは…
「フレッシュプリキュア!」のタルト(声・松野太紀)は、「DX」が始まった第一作から「NS2」まで毎回オールスターズ映画に出演を続けており、かつ「声つきでセリフがある」キャラであった。
「NS2」では劇中舞台となった妖精学校の講師として招かれ、プリキュアについての講義を行っている。
なお、「DX1」から「NS2」まですべてに声付きで出演したプリキュアは一人もいない。いかに説明役として重宝されていたかわかる。
「NS3」で新三部作が完結することが告知されたときは、タルトはDX/NSの両三部作で皆勤賞を狙えるかと期待されたが、残念ながら「NS3」には出演できず、記録が途切れることになってしまった。
ちなみにタルトはシリーズ15作品目の『HUGっと!プリキュア』第36・37話で声付きで登場している(その後、2024年に松野氏は亡くなったため『HUGっと!』が最後の出演になった)。
現時点での最長連続出演キャラはキュアブロッサムとキュアマリンで、初登場した「DX2」から「奇跡の魔法」まで7作品連続で「声つき」の登場を途切れずに果たしている。方針転換で途中期間は空いたものの、「オールスターズメモリーズ」も含めるとオールスターズとしては8作品連続ともなる。
これについては理由があって、キュアマリンはマイペースな性格が認知されているため、他作品のキャラたちが持つ独自の世界観や雰囲気に一切遠慮せずに踏み込んだとしても文句が出にくいとして「オールスターズでの狂言回し役」として重用されていることがまずあり、そしてマリンが出るなら相棒のブロッサムも自然と出るようになったということである。
「プリキュアオールスターズF」では初めてブロッサムのみ声付きになった。そのため、ブロッサムはオールスターズに限れば9作品連続になる。マリンが担っていた狂言回しはキュアサマーが引き継いだような形となった。
なお、連続性は関係なく単純に「最多登場回数」を数えた場合は、キュアブラック(※)とキュアホワイトが「NS1」以外の、キュアピーチが「NS2」以外の、いずれも9作品に「声つき」の登場を果たしており、ブロッサムに並んでいる。また春秋連続となった場合は、キュアミラクル・キュアマジカル・モフルンが「奇跡の魔法」から「オールスターズメモリーズ」まで3年間6作品連続という記録があり、ミラクルのみ「ミラクルユニバース」にもカメオ出演という形ながら声付き出演しているので4年間7作品連続になる。
※NS1のノベライズ版には一言だけだがキュアブラックのセリフがある。
セリフなしプリキュアや妖精の登場も…
その一方で上述のように年を追うごとに登場するプリキュアや妖精の人数が増え、「NS1」以降ではセリフがつかなくなっているプリキュアや妖精も続出している。
プリキュアでは特にキュアベリー・キュアパイン・キュアサンシャイン・キュアムーンライト・キュアリズム・キュアミューズの6人は「NS2」から「奇跡の魔法」まで最長の4作品連続セリフなしで、キュアミューズに至ってはオールスターズ初登場となった「NS1」以外セリフなしという事態になっている(なお、連続性は関係なく単純に「セリフなしで出演した回数」を数えた場合は、シャイニールミナス・キュアイーグレット・キュアルージュ・キュアレモネード・キュアミント・キュアアクア・ミルキィローズも最多の4作品でセリフなし出演であり、上記の6人に並んでいる)。
これらのキャラのファンにしてみれば彼女らにセリフがついてほしいと思う心情があるのだが、70分という上映時間を考えると活躍出来るプリキュアの数は限られるため、所属チームから離れた単独キャラとして見た時に動かしにくいプリキュアにはセリフが与えられないのが実情だろう。特にTV本編で追加戦士枠だったプリキュアは割りを食いやすい状況にあるようだ。
「オールスターズメモリーズ」では何とか登場55人のプリキュア全てに声がついた物の、上述のようにかなり変化球的な手法で実現したのは否めない。
また妖精については「NS1」ではフレッシュプリキュアからスマイルプリキュアまでの妖精全員に声がついていたのに対し初代からプリキュア5までの妖精全員に声はついておらず、「NS2」以降では公開年当時の当代プリキュアと先代プリキュアの妖精には声がつく(ただし「NS3」では先代プリキュアであるドキドキプリキュアの妖精に声がついたのはシャルルとアイちゃんのみ)一方で、先々代以前の妖精で声がついたのはメップル(「NS2」、「NS3」、「春のカーニバル♪」)・タルト(「NS2」)・ルルン(「奇跡の魔法!」)の3人であった。
「オールスターズメモリーズ」「F」における妖精枠キャラクターの登場は原則として映画のメインとなるプリキュアのパートナー妖精のみに限定されており、前者はメップル、ミップル、モフルン、はぐたん、ハリハム・ハリーの5人が声つきで登場(「オールスターズメモリーズ」ではまほプリ勢はメインではないためモフルンは異例の待遇である)。後者はラビリン、ラテ、コメコメの3人のみ。
モブキャラクター
「モブ」とは「群衆」を表す言葉。
映画「プリキュアオールスターズ」でも、モブシーン等で、これまでのTV本編と映画に登場した数多くのサブキャラクターとゲストキャラクターが描かれている。
たとえば、「DX2」では後にプリキュアに変身することになる明堂院いつき、月影ゆり(正確には復帰することになる)が、しれっとモブの中でミラクルライトを振っていたりする。
また、プリキュアや妖精、或いは敵キャラと担当声優が同じキャラクターに台詞があることもある(久保田志穂、満と薫、ブンビー、チョコラなど)。
「NS」の序盤では、「スマイル」の星空みゆきと「フレッシュ」のミユキさんが1カットだけ同じシーンに登場している。
「NS2」では残念ながらプリキュアとしての出演がなかった坂上あゆみも冒頭シーンでともだちと一緒にいるシーンがあるほか、「スイート」の東山聖歌が仰天の私服姿を披露して話題を呼んだ。
なお、現時点では登場していないが、ネズミの様な姿となった『ドキドキ!』のベール(なお、『春のカーニバル♪』の回想シーンでは元の姿に戻っている)、無気力状態となった『トロピカル〜ジュ!』のバトラー、クッキングダムの牢獄に収監された『デリシャスパーティ』のフェンネル(ゴーダッツ)・セクレトルー・ナルシストルー、清掃奉仕としてハルモニアに収監された『春のカーニバル♪』のオドレンとウタエン、惑星ミラクルのミニ牢獄に収監された『ミラクルユニバース』のヤンゴ(宇宙大魔王)はその状態でモブ出演する可能性がある。
プリキュアオールスターズのTV本編への出演について
幻の企画として
2016年に放映された「魔法つかいプリキュア!」は物語の途中で敵組織そのものが変化する二部構成を取っていることで話題になった作品である。途中で敵が変わることをテコ入れではないかという見方をする視聴者もいたが、プロデューサーの内藤圭祐は「企画部長である鷲尾さんから2016年度プリキュアのプロデューサーとして自分が任命された時点で、本作を二部構成にすることはすでに決められていたことだった」と放映中から各所で述べていた。この鷲尾さんとは当然鷲尾天のことであり、彼は2015年から東映アニメーションのテレビ制作部の企画部長に就任しており、制作現場よりもさらに外側からコンテンツの管理をしている。
だが、放映終了後に刊行された「魔法つかいプリキュア!コンプリートブック」で明かされたところによると、鷲尾はもともとは二部構成でなく三部構成にすることを現場に要請していたのだという。プリキュアシリーズでは2月スタートなため毎年1月にクライマックス展開に突入する。この点について年始早々シリアスで重い話が連続して続くのはどうなんだろうかという疑問が鷲尾にはずっとあったようで、ラスボスとの戦いをクリスマスまでに決着させ、クリスマス回、年始から一ヶ月は番外編のようなことをやろうという構想をしていたということ。その番外編というのが、テレビ本編に歴代のプリキュアオールスターズを出すというものであった。
一ヶ月(4週)のテレビ放映の尺は、オールスターズ映画一本分を少し超えるくらいだ。過去キュアを同時にではなく順番に出していくなら、うまくやれば全員声ありで出演させるのも可能だったろう。
ただこの企画は、内藤は現場の負担が大きくなりすぎるとして反対し、鷲尾も基本的には現場意見の方を尊重したためボツとなった。とはいえ、最終回で次回作の主人公であるキュアホイップがカメオ出演したのは、この「TV版プリキュアオールスターズ」の企画の名残であるということ。
15周年特別企画の実現
このカメオ出演は評判が良かったようで、そのキュアホイップが主人公となった2017年度作品『キラキラ☆プリキュアアラモード』の最終回でも次回作の主人公であるキュアエールがカメオ出演した。
そしてこのキュアエールが主人公となった2018年度作品『HUGっと!プリキュア』の第21〜22話でなんと初代作『ふたりはプリキュア』の主人公であるキュアブラックとキュアホワイトが登場、さらに同作第36〜37話ではブラック&ホワイトに加え、『ふたりはプリキュアMaxHeart』のシャイニールミナス・『Yes!プリキュア5』シリーズのキュアドリーム・『フレッシュプリキュア!』のキュアピーチ・『魔法つかいプリキュア!』のキュアミラクル達3人・『キラキラ☆プリキュアアラモード』のキュアホイップ達6人が登場した。
そして第37話のクライマックスでは残りの歴代プリキュアが駆けつけてきてバトルに参戦(キュアフローラとキュアラブリーのみ声あり出演)。総勢55人のプリキュアと数百体の怪物の軍団とが入り乱れて戦う映画さながらの大合戦が描かれた。
さらにキュアフラワー・キュアテンダー・キュアモフルン・キュアペコリンなどの番外戦士、歴代プリキュアの協力者、改心した歴代敵組織の元幹部、そしてクロスオーバー映画のキュアエコーまでモブキャラとして登場し視聴者の度肝を抜いた。
これらのことは2018年秋映画である『映画 HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』の宣伝の一環として行われたものでもある。2018年はプリキュア15周年記念として様々なキャンペーンを打ち立てていくこと『HUGっと!』の企画段階から決まっており、つまり今回ばかりは「TV版プリキュアオールスターズ」を映画宣伝という名目で挿入させることを押し通せたようである。
実際、このオールスターズ客演回は『HUGっと!』の玩具販促アイテムであるプリキュアミライブレスの誕生につながったストーリーになっており、一年のストーリー構成において最初から組み込まれていたことがわかる。
特にプリキュアオールスターズ全員(この時点で55人)が勢ぞろいした37話のスタッフについては、今やプリキュアシリーズの顔とも言える田中裕太を演出に据え、映画プリキュアオールスターズの作画監督としてずっと関わってきた青山充が同じく作画監督を担当し、それを支える作画スタッフには2010年代のプリキュアを支えてきた板岡錦と藤原舞が参加。そして脚本はDX三部作を執筆した村山功である。いわばプリキュアを知り尽くしたメンツが揃えられており、これだけのメンバーを一話に集中させることはスケジュールの綿密な進行管理がないと実現は不可能であったはず。このことから考えても、シリーズ立ち上げの時点で「37話はこのメンバーでいく」とほぼ決定していたことが推測される。
このように考えると、『魔法つかい』でオールスターズのTV出演が断念された理由である「現場の負担」がどのようなものなのかがうっすらとでも想像できるかも知れない。
プリキュアオールスターズDX プリキュアオールスターズDX2 プリキュアオールスターズDX3
プリキュアオールスターズNewStage プリキュアオールスターズNewStage2 プリキュアオールスターズNewStage3
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