愛の切り札!キュアエース!!
CV:釘宮理恵
概要
『ドキドキ!プリキュア』第22話から登場したプリキュア追加戦士。5つのロイヤルクリスタルを揃えたことで登場した。パートナー妖精はアイちゃん。
イメージカラーは赤。(→赤キュア)
プリキュアオールスターズでは通算33人目のプリキュアとなる。
決め台詞は「美しさは正義の証 ウインクひとつであなたのハートを射抜いて差し上げますわ!」。他の4人と異なり、ウィンクで右目を閉める。
変身者は円亜久里。23話で初登場した。2024年現在、プリキュアシリーズの主人公格たるピンクチームを含む変身者の名前が漢字表記である最後のプリキュア(プリキュア主人公では『スイート』の北条響が最後)であり、漢字の名前が三文字のプリキュア変身者も彼女のみ。
歴代プリキュアでは2年前のキュアミューズ以来となる2人目の小学生プリキュアなのだが、こちらは「大人の女性戦士」のイメージでデザインされたプリキュアである。かつてのキュアアンジェやキュアフラワーのように大人の女性戦士として扱われたプリキュアはいたが、いずれもゲスト扱いとしての出演であり、メインキャラクターにプリキュアを出したのはシリーズ初。
もっとも、変身する前は小学生なので「少女が変身する」というプリキュアのお約束まで破ってるわけではない(後に特殊な条件で「大人が変身する(成人してから初変身した)プリキュア」や「変身前から大人の外見のプリキュア」もレギュラーで登場するが、純粋な大人のレギュラープリキュアの登場は本作から10年を要している)。
「大人に成長した」というイメージの強調のために、身長を大きくしただけでなくアイシャドウやルージュなどの派手なメイクがされている。胸の膨らみが大きくなるとかそういう方向で大人っぽさは表されてないので悪しからず。
容姿的には変身後も亜久里の面影が残っており、子供と大人で見た目が変わっても同一人物であると、子供たちにもわかるような配慮がなされている。変身後の容姿はマリー・アンジュにもどことなく似ており、劇中で実際に真琴がキュアエースの姿をアン王女に重ねたこともある。終盤で語られた所では元々アン王女が転生した姿が亜久里であり、変身によってアン王女に近づいていると解釈できる。
つまり、一度不可逆的に亜久里の姿になってから変身によって本来の大人に近い姿に戻ったアン王女とも言える存在がキュアエースなのである。
また、シリーズ初の「変身時間制限のあるプリキュア」でもある。連続変身時間は5分。
他のプリキュアと妖精と同様に、アイちゃんから力を受けて自己強化することができる。
歴代の赤キュアでは唯一となる、変身に必要な専属のパートナー妖精が存在している。
キュアエースは追加戦士=新人戦士というプリキュアシリーズによくあるパターンではなく、ベテラン戦士という位置づけであり、4人の後輩プリキュアを自らと同じステージへ引き上げるために厳しい試練を与えるコーチ役も担う。後述する自身が抱える弱点もこの一因である。
戦歴に関しては、他のプリキュアたちより一日の長があるものの、あくまでメンター(助言者)であろうとしていて、戦闘リーダーのような立ち位置につくつもりはない様子であり、過去作で言えば『ハートキャッチプリキュア!』のキュアムーンライト=月影ゆりに近いスタンスである。
後の変身後に外見が成長するという点では、魔法つかいプリキュアに登場するキュアフェリーチェにも近いタイプと言える。ただ戦士としては弱点を抱えていることもあり、彼女らよりも攻撃重視なスタイルである。
奇跡の切り札としてトランプ王国の伝説に語られるくらいの存在であるが、キュアソード=剣崎真琴のようなトランプ王国のプリキュアではなく、亜久里曰く「人間世界で生まれたプリキュア」である。この矛盾の答えは後に明かされることになる。
その登場
【第22・23話ネタバレ注意】
相田マナと本当の友達になれたと思ったのも束の間、キングジコチューにジャネジーを注ぎ込まれたレジーナの攻撃でプリキュア達は変身を解除され絶体絶命の危機に陥る。そのピンチを救うべく颯爽と立ちはだかったのが、5人目のプリキュア・キュアエースであった。
岬すら破壊するレジーナの攻撃を躱して即座に背後に移動するなど超高速戦闘でキングジコチュー一味を翻弄。最後は必殺技「エースショット」でレジーナに大ダメージを与え、一味を撤退させた。
あなたは一体何者なのかと問おうとするプリキュアたち。しかしエースはそれには答えず、レジーナに裏切られる形となり心の折れたマナに「プリキュア5つの誓い」を突きつけ叱責。それでも立ち直れないと言い放ち、マナからキュアラビーズを剥ぎ取り「あなたが愛を取り戻すまで私が預かる」と宣告し、去っていく。
『Yes!プリキュア5』5話にて、水無月かれんが「プリキュアに就く資格無し」とされたことはあったが、現役のプリキュアが資格を剥奪されるのは前代未聞の出来事であった。
なお、キュアエース変身前の姿はこの放映回で早々に明かされるが、エースの目的や真意が明かされるのはさらに後の話となる。
変身
変身バンクが他メンバー4人とは違っており、「プリキュア、ドレスアップ!」のかけ声でアイちゃんから力をもらい、5個のロイヤルクリスタルが埋め込まれたアイテム、ラブアイズパレットを用いることで変身する。パレットのクリスタルを1つずつ押したあとにアイメイクをするような動作の後、炎に包まれると共に身長が伸びて大人びたメイクになり、真っ赤な髪になる。亜久里によれば、これは「想いの強さ」によるものらしい。
変身に使われるロイヤルクリスタルには「5つ揃えると奇跡の切り札が現れる」と言う伝説があるため、キュアエースこそがその伝説に語られる切り札そのものを示しているのだと考えられる。
変身前は小柄な少女の姿だが、変身することで大人の体格に変わる、今までにない成長変身タイプのプリキュアである。
その為、服を着込み厚底ブーツを履いてまでして正体を隠したキュアミューズ(調辺アコ)と映画で共演した場合、この2人がどんな会話をするのか注目しているファンもいる。
何歳くらいに成長した姿なのかについては、あえて具体的な設定はされていない。
プロデューサーの柴田宏明氏は「マナ達より1歳年上のイメージ」、つまり15歳くらいと話していて、一応これが公式とされているようである。
しかし、キャラクターデザイン担当の高橋晃氏によると、
「自分としては17歳くらいのつもりで描いてましたね。なかなか、年齢は絵には出しにくいですが、ほかの4人よりは3~4歳年上のイメージです」
とのこと。
17歳というとキュアムーンライトと同じということになる。ただ、ファンの中では成人年齢以上に見えるという意見が圧倒的主流。また、製作スタッフからも「はじめに想定していたよりももっと年上のイメージに演出された」という証言があったりする。
唇の輪郭があまり強調されないキャラデザインのアニメにおいては、口紅をつけてしまうと想定以上に加齢して見える……というのはアニメではよくあることであり、マナが「真っ赤なオバ…」と呟くほどでもある(コミカライズ版より)。
弱点
第27話で、プリキュアに変身した姿でいられるのは5分間だけということが明らかになっている。
これは実際よりも成長した姿となるために大量のエネルギーを消費しているためであり、5分を経過すると変身が強制解除される。そのため、長期戦に持ち込まれると不利になる。
この27話では必殺技であるエースショットを初めてジコチューに破られた上、戦闘中に変身解除に追い込まれてしまい、弱点を露呈した回となった。
この弱点を知った敵幹部のリーヴァは、キュアエースの隙をついて拘束したりエースショットを無効化するなど長期戦が得意なジコチューを多く作り出すようになり、苦戦を強いられることが増えた。
この手の設定のお約束ではあるが、リアル時間と作中の時間は同期していないので、TV画面上では5分以上変身しているのに作中では1分も経っていない扱いだったり、その逆にTV画面上では変身してから2分程度しか描かれてないのに作中では5分経った扱いだったりすることもある。
なお、一度時間制限が経過しても、力が回復すれば短い間隔で再変身することは可能である。31話ではマジカルラブリーパッドからリチャージを受け、再変身している。
ミュージカルショーでもこの弱点は描写され、敵との戦闘でピンチになった際に亜久里の姿に戻ってしまう場面がある。このシーンではスモークを上手く使って極力違和感がない演出がされていた。
この時間制限は、第45話でエターナルゴールデンクラウンの力で「真のエースとして目覚めた」ため、あっさり解消してしまった。
戦闘スタイル
接近戦での戦闘力は高く、幹部に対しても互角以上に戦える。逆に遠隔攻撃に対しては防御技を持っていないため、苦戦する事が多い。時間制限があるため短期戦を望むあまり、敵との相性の悪い技を出してピンチに陥ったこともある。作中ではジコチューとの戦闘中に変身解除にまで追い込まれたことが2度あった。また、アイちゃんの力により自身を強化することができるが、逆にアイちゃんの機嫌が悪くなり泣いてしまうとジコチューが強化されてしまうなど、戦闘をする上では不安定な要素も多い。
必殺技
- エースショット
携帯アイテム・ラブキッスルージュを用いた単続技。
詳細は当該記事参照。
- エースミラーフラッシュ
第32話より登場。マジカルラブリーパッドを使用した単独必殺技。
三枚の鏡による光で三角形を作り、相手を囲んで動きを封じる。
詳細はマジカルラブリーパッドの項目を参照。
他にも必殺技ではないが、第23話では、振り向きざまに指一本でサイン色紙ジコチューを吹き飛ばすという、空手の発勁を思わせる小技も見せた。また第22・25話ではワインレッド色の花びらを飛ばして、敵を吹き飛ばしたり、エネルギー波を寸断したりしている。
フォームチェンジ
- エンジェルモード(キュアエース)
40話より登場するパワーアップフォーム。背中に天使の羽が生える程度でコスチュームの変化は一切ない。
余談
登場のさせ方について
実は、最初の予定ではロイヤルクリスタル探索編に入ったと同時に亜久里を登場させてマナ達と知り合わせる予定だったらしい。
亜久里は自分がキュアエースである正体を隠しながらも、ロイヤルクリスタルをマナ達が集めきるのを影から日向から見守り、そして全てのクリスタルが集まったことで亜久里が新しいプリキュアに変身してマナ達がびっくりする、というのが初期に考えられていた展開だった様子。
それが今のような形に変更されたことについて、本作のチーフプロデューサーである柴田宏明氏が『アニメージュ』2013年8月号のインタビューで以下の主旨のことを語っている。
当初は「登場するまでに多少の前振りを用意しておく」予定であったが、シリーズ構成の山口亮太氏らとの打ち合わせの結果、「いきなり登場する形のほうがいい」ということになり、「レジーナとの戦いで追い詰められたマナ達の前に誰かが颯爽と現れて助けに来るのがかっこいいだろう」という結論に至った。
他にも「マナ達を教え導く鬼コーチ的な存在」という設定にしてあるために、マナ達と亜久里の間に最初は距離感があった方がいいという判断で、「マナ達の知らない人物にしよう」という方向でまとまったという。
そして、亜久里は登場当初は自分の素性を明かさないままプリキュアたちを指導し、プリキュアたちが一人前に成長してから初めて亜久里の日常…家庭や学校生活などが描かれるという形式になった。
なお、この方針展開に伴い、プリキュアのロイヤルクリスタル探索行を監視する存在は亜久里ではなくジョー岡田の使い魔である青い鳥「クオレ」となった。
キュアエースというキャラクターの誕生(放映終了後に発売された『ドキドキ!プリキュア オフィシャルコンプリートブック』より)
まず、本作において追加戦士として作られたキャラクターは実はキュアソードの方であった。
ソードが第1話から顔出しすることは最初から決まっていたのだが、仲間入りするのは「シリーズが半分過ぎた頃」になる予定であり、製作関係各部署はそのスケジュールですべて動いていた。
しかし、製作現場とは別口の方面(おそらくは企画部)から「キュアソードを映画『プリキュアオールスターズNewStage2』に登場させたいので、放映開始から一ヶ月くらいで仲間入りさせて欲しい」という指示があった。
しかも話はそれだけで終わらず、「追加戦士自体はやっぱり出したいので、秋口くらいに5人目のプリキュアが仲間になるように考えて欲しい」という要請までしてきた。そして、変身に使用する玩具に関する設定はアニメの現場の都合とは無関係にすでに決められていた(プリキュアシリーズは玩具を売るする為のアニメなのでこれ自体は普通のことである)。つまり「すでにぬいぐるみとして売っているアイちゃんの販促強化のためにアイちゃんをパートナー妖精とする」「ラブアイズパレットという化粧玩具を売りたいのでそれを変身アイテムにすること」「ラブキッスルージュという口紅玩具を売りたいのででそれを武器にすること」は玩具展開から決まっており、絶対遵守事項となっていたのである。
これらの話は、第1話が出来上がった以降に入ったものである。製作現場としては出鼻を挫かれたようなものだった。
キュアソードの仲間入りスケジュールについては、「各人が自立している存在である」ことを表現するために行なわれた「一部メインキャラの不登場」(2話など)が上手く行かなかった事情も助け舟となって、演出方針転換でなんとか6話までに間に合わせることができたが、問題は「5人目」である。
一方、5人目追加の要請があったのと同時期に、「ちょっと意地悪な女の子幹部を敵の新キャラとして追加したい」という要望が一部スタッフ内から出てきた。
柴田はその二つの要望を踏まえて、「敵側の少女戦士」を新しく出して、彼女を「後半の追加戦士」に覚醒させればいいと考えていた。世間知らずでワガママな元敵幹部を、番組後半になって精神的に成長したマナたちが正しいプリキュア道へと導いていく……という意図であったが、山口が「そのパターンは過去のシリーズでやったので、今回は違う形にするべき」と反対したこと、さらに秋口の予定だった追加戦士の登場スケジュールが、諸事情で6月下旬(具体的には第22話)に早まることになり、「新人プリキュアを導けるほどマナたちが成長した様子をまだ描けていない」というシリーズ構成上の問題が発生してしまい、これらを勘案した結果、「発想を逆転させて『マナたちの成長を促すスパルタキャラ』を5人目の追加戦士にしよう」という結論となって、キュアエースというキャラクターが誕生した。
山口氏によれば、キュアエースの設定が決まる以前は、アン王女の影武者、未来から来たプリキュア、逆に古代から地球を護っていたプリキュア、犠牲になったキュアソードの先輩達の思念体が乗り移った存在など、様々な設定が検討されていた。
一方、「ちょっと意地悪な女の子幹部」を追加する案についてはそれはそれで面白そうだとして、キュアエースとは別人という形でレジーナというキャラクターが登場することになる。
初期のレジーナがロイヤルクリスタルに反応したように、アン王女と因縁があるキャラクターにする予定は最初からあったのだが、レジーナを登場させたばかりの頃は真相はまだ固まっていなかった。
しかし、レジーナがアン王女、キュアエース、アイちゃんに何らかの因縁があるように見える演出だけは初期からバラまいていた。
なぜアン王女だけでなくキュアエースやアイちゃんにも因縁があるように描かれたかというと、そもそもアン王女はアイちゃんと因縁があるキャラとして声優まで同じにして設定されたキャラだからである。そして、「アイちゃんはキュアエースのパートナーであること」はスポンサー側からの要請であり、アニメの制作スタッフが変えることはできない。
そういうわけで、レジーナはアン王女と因縁があるなら、それゆえにアイちゃんとも因縁があり、そしてキュアエースとも因縁があるはず……という設定上でかなりややこしい状況になってしまった。
レジーナがキュアエースに変身するならばこのあたりは比較的簡単に解決できたのだろうが、山口氏自身がそれとは違うことをしたいと要望したので、その責任もあってこのあたりの整合性を取るのに相当悩んだらしい。
最終的には本当にレジーナとアン王女とアイちゃんとキュアエースの全てが因縁で繋がる形になったわけだが、これはかなり後半になってようやく固まったものとのこと。
ただ、亜久里とキュアエースのキャラクターデザインについても、上記のキャラ達とどこか関係があるようにも見えるようにしてほしいとわざわざ注文していたようだ。デザイナーの高橋は、キュアエースに関係するこれらのキャラクターのデザインは平行して同時にやっていたと明かしている。
このような事情のためか、キュアエースはイメージスケッチの段階で概ね完成形のイメージが出来上がっていた。ただし服装の細部は色々と異なり、表情も完成形よりは幼く、ハート達に近いぐらいの少女としてデザインされていた。ここからも、完成形のキュアエースが制作陣の想定以上に年齢が高い人物像として出来上がった事が窺える。
雑記あれこれ
プリキュア5つの誓い
プリキュアとしての心構えを説いた言葉。キュアエースが提唱者である。
元ネタはウルトラ5つの誓いだと思われるが、内容は全くの別物。
詳しくはこちら。
関連イラスト
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変身前の姿と変身後の姿のタグの使い分けに関する注意と配慮について
プリキュアに変身した後の姿しか描かれていないイラストに対して、変身前の姿である『円亜久里』等のタグを付ける行為は、変身前の姿のイラストだけを見たい人にとっては検索妨害になってしまうので、そのような行為は避けるべきである。
また、変身前の姿しか描かれていないイラストに対して、変身後の姿である『キュアエース』のタグを付ける行為に関しても同様に避けるべきである。
中にはもちろん、変身前後の姿の両方のタグが付けられている事を気にしない人もいるだろうが、検索の際に気になるという人もいるため、そのような人への配慮としてタグの使い分けをしっかりと行う事が推奨される。
関連タグ
プリキュア ドキドキ!プリキュア 円亜久里 レジーナ アイちゃん アン王女
キュアミラクル キュアマジカル キュアフェリーチェ エースほどではないが変身後成長する後輩達
キュアマジェスティ 10年後の真の追加キュア。エース以上の成長変身(赤ちゃん→高校生程度)を遂げる後輩