プリキュアオールスターズ春のカーニバル♪
ぷりきゅあおーるすたーずはるのかーにばる
2015年3月14日公開のプリキュアオールスターズ映画7作目で、『プリキュア』シリーズトータルの長編映画では18作目になる。
キャッチコピーは「みんな一緒に、歌って踊ろ♪」。
『プリキュアオールスターズNewStage3』までのバトルシーン主体の作風から離れ、音楽とダンスを大きくフィーチャー。(バトルが皆無と言うわけではない)
プリキュアたちが異世界のお祭りのライブステージに出演して歌って踊る様子を、舞台裏で起こる事件を交えて描くというスタイルで、ミュージカル映画というより「ライブドキュメンタリー」に近い。プリキュアシリーズの恒例のEDのCGライブシーンをそのまま映画本編にまで拡大したものと見ることもできる。
また『ミュージックステーション』などのバラエティ系の歌番組をオマージュした要素があり、それぞれの歌の開始と最後にプリキュアたちへのインタビューとトークが挿入される。出番待ちのプリキュアたちはひな壇で待機するが、彼女らがトークに参加することもあるのもお約束。
ライブシーンはダンスCGが主体となるものの、プリキュアたちの日常や本編の名場面を描いた2Dアニメも挿入される。このあたりからミュージッククリップに近い雰囲気もある(もしくはいわゆる「公式MAD」か)。
この作品の上映当時の日本のエンタメ界隈は「女性による大人数のグループアイドル」のブーム期に属しており、『アイカツ!』、『プリパラ』、『ラブライブ!』、『アイドルマスター』といったアイドルアニメの人気大高騰や、現実のAKB48やももいろクローバーZ等のアイドルムーヴメントを強く意識した作品と評されている。
2014年11月20日に公式サイト(関連サイト参照)が開設された。
参加するプリキュアは40人で、『オールスターズ』初参加は『ハピネスチャージプリキュア!』のキュアフォーチュン及び『Go!プリンセスプリキュア』のキュアフローラ・キュアマーメイド・キュアトゥインクルの計4人である。また、劇場版デビュー作となった『プリキュアオールスターズNewStage3』ではセリフが無かったキュアハニーは今作では声付きとなっている。
中学生以下の入場者にはこれまでのミラクルライトではなく『Go!プリンセスプリキュア』の重要アイテム「ドレスアップキー」が映画オリジナルデザインでプレゼントされる。
ただし、ミラクルライトが担っていた「観客参加型」の方向性は無くしたのではなく、より強調されている。映画で流れるプリキュアたちの歌やダンスに合わせて、観客の児童たちは劇場で一緒に歌って踊っても構わないという方針(このあたりは「アナと雪の女王」を意識したことは公式に語られている)。そのための「練習用」として作中のダンスシーンだけ抜粋した動画も公式で事前公開している。いわば「観客席からライトで応援するのでなく、みんなもステージに一緒に上がろう」という方向性を強調するためのミラクルライト廃止と言える。
オリエンタルラジオが宣伝役としての「プリキュア応援隊長」を務めると共に、キャストとしてもコンビ芸人としては『鏡の国のミラクル大冒険!』のザ・たっち以来となる劇場版への出演、かつ芸人全体としても史上初となる事件の首謀者役の声優を担当する事となった。
また、今作のモチーフともなったアイドル界からはモーニング娘。'15が参戦。
『ハピプリ』において、「OGの仲谷明香がOP主題歌及びゲスト扱いながらプリキュア役で出演」「複数地域における展開」「恋愛禁止令」など、むしろAKB48との関係性が高まっていると思われていた状況下だけに、モー娘。起用はある意味サプライズ人事と言える。
グループとして主題歌を担当する他、メンバーの飯窪春菜・石田亜佑美・小田さくらがデザインした妖精キャラが映画に登場、それぞれ自らが声優を務める事となった。
歌とダンスの国・ハルモニアに招待されたプリキュアオールスターズによる春のカーニバルが開幕した。
先輩プリキュア達の歌とダンスに感激した春野はるか達プリンセスプリキュアもステージに上がるが、実は司会者であるオドレンとウタエンはハルモニアを狙う盗賊で、彼らによって妖精たちが行方不明になる事件が発生し、さらに変身アイテムを奪われた上に歴代プリキュア達は地下に隔離されてしまう。おまけにカーニバルを邪魔されたことで怒ったハルモニアの守護神であるドラゴンが暴れだすという事態まで発生する。
ハルモニアの平和とカーニバルを取り戻すため、40人のプリキュアが歌やダンスで奇跡を起こす!
監督:志水淳児
脚本:井上美緒
音楽:高梨康治
振付:真島茂樹
オリジナルキャラクターデザイン:稲上晃、香川久、馬越嘉彦、川村敏江、高橋晃、佐藤雅将、中谷友紀子
キャラクターデザイン・作画監督:青山充
美術監督:西田渚
CG監督:加藤康弘
色彩設計:澤田豊二
制作担当:大田有紀
登場順。曲名の横に作品名がないものは本映画オリジナル曲。太字の曲名はCGダンスシーン付き。
- 39フェアリーズ
- You make me happy!(フレッシュプリキュア!)
- イェイ!イェイ!イェイ!(スマイルプリキュア!)
- プリキュア5、フル・スロットルGoGo!(Yes!プリキュア5GoGo!)
- Alright!ハートキャッチプリキュア!(ハートキャッチプリキュア!)
- DANZEN!ふたりはプリキュア(Ver.MaxHeart)(ふたりはプリキュアMaxHeart)
- オドレン・ウタエン盗賊伝
- ラブリンク(ドキドキ!プリキュア)
- まかせて★スプラッシュ☆スター★(ふたりはプリキュアSplash☆Star)
- ワンダフル↑パワフル↑ミュージック!!(スイートプリキュア♪)
- パーティハズカム(ハピネスチャージプリキュア!)
- イマココカラ※プリキュアオースターズバージョン
- ドリーミング☆プリンセスプリキュア(Go!プリンセスプリキュア)
- 本作の導入は「春野はるかが人前で歌うのを恥ずかしがってる」という部分から入るが、このあたりははるかのキャラらしくないと違和感を持つかもしれない。だが、オールスターズ映画は公開年の新シリーズが放映開始するよりも前から製作が始まるので、どうしても実際のTVシリーズのキャラ設定とズレが出ることがままある。
- オールスターズ映画のお約束に「当代のプリキュアチームがオールスターズ映画で初めて他チームの存在を知って驚く描写」がある。本作では「はるか達プリンセスプリキュアの面々が他チームと出くわして驚く描写」があるが、驚いた理由は「他チームが存在すること」ではなく「他チームも春のカーニバルに呼ばれていた」ことになっている。これには『ハピプリ』における「プリキュアが世界レベルで存在を知られ報道番組まで作られている」設定が反映されたと思われる。ただし、愛乃めぐみが「私達はハピネスチャージプリキュア!」とはるか達に名乗っても平然とした態度をとられており、「はるか達は他チームが存在することは知っていても、どのチームが、どんな事を成したかまでは知らない」ことになっている。これについては、『Go!プリンセスプリキュア』で初めてプリキュアに入った視聴者が感情移入しやすくなるよう、はるか達のプリキュア知識をあえて曖昧なものにしたと思われる。…もっとも、本編前のはるかは受験勉強、みなみはノーブル学園生活、きららは芸能活動に励んでいたという経歴から「プリキュアと幻影帝国の戦いに無関心だった」という見方もできる。
- シリーズでも多数の楽曲が使用される本作だが、何気にプリキュアの長編映画では初のオープニングテーマ無しとなった。なので、スタッフクレジットは全てエンディングテーマで表示されている。
- そのエンディングは映画では初の実写メインであり、モーニング娘。'15による主題歌のMVに加え、全国5都市で子供達がキュアラブリーやキュアフローラと踊る映像で構成され、一瞬だがオリエンタルラジオも出演している。
- ファンの間では『オールスターズ』における最大の難点、と言われる出演枠不足の問題だが、今作では直近二作を除いた残り33人中、声付きとなったプリキュアは12人。実に3分の2近くが涙をのむ事となった。もっとも前シリーズであるプリキュアオールスターズNewStage3部作同様プリキュア全員をしゃべらせたくても出来ない事情も考えれば仕方ないことではあるが。
- 今作に影響を与えたとされる諸作品(派生作品含む)の内、『アイマス』には三瓶由布子・小清水亜美・戸松遥、『アイカツ!』には寿美菜子・三瓶・浅野真澄、『ラブライブ!』には浅野・東山奈央…と、共通する出演者が何名か存在しており、そちらの意味でも概ねオールスターキャストと言える。ただし『プリパラ』に関しては、前身の『プリティーリズム』シリーズを含めても桑島法子・大久保瑠美・大谷育江といった共通出演者の登板が全く無かった為、完全な揃い踏みとはならなかった。
- 振付担当として真島茂樹がシリーズ初参加。関係の深いあの人は先行してまさかのニチアサ参戦を果たしている。
- ハルモニアの王様に寄り添ってる女性は王様の娘であり、字幕等では「王女様」と表記されている。しかし、設定の伝達にズレがあったのか「王妃」すなわち王様の妻として表記された出版物も存在する。ちなみにハルモニアの王様のCVを大川透、王女様のCVを氷上恭子と歴代プリキュア作品でプリキュアの家族を演じていた声優が担当している。
- この映画のタイトルが春のカーニバルということからか物語のいたるところで「春」という単語やそれが入っている言葉が頻繁に出てくる。まず公開時最新作『Go!プリンセスプリキュア』の主人公の名前は「春野はるか」。そのはるかが冒頭で歌っていたのが童謡の「春の小川」。そして春のカーニバルが行われている国が「ハルモニア」。さらにプリンセスプリキュアが終盤においてフォームチェンジしたモードエレガントの名前プリマヴェーラとはイタリア語などで「春」を意味する言葉である。
- プリキュア映画では上映時間が74分と最長の作品(2023年現在)。上映時間75分のプリキュア映画は数作あるものの、いずれも複数の併映作品の合算である。
コメント
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