CV:野中藍
概要
漫画「さよなら絶望先生」の回想などにしばしば登場する幼女。どことなく風浦可符香に雰囲気が似ており、声優が同じ。元ネタは赤毛のアンであると思われる。
主な登場エピソード。
- 原作1巻・アニメ俗におけるエピソード『当組は問題の多い教室ですからどうかそこはご承知ください』における日塔奈美の回想に登場した幼稚園児「あん」が彼女であると思われる。
- 奈美に「普通」に対するトラウマを植え付けた張本人。
- OAD獄「一本昔ばなし」において高校生の糸色望が出会った幼稚園児「あん」が彼女であると思われる。当エピソードは原作者の久米田康治描きおろしである。
- ネガティ部から逃げ出そうとして仮出所した望が道端で激突したのが道に迷ってしまった彼女。その後、望は幼児誘拐犯の疑惑をかけられる。
- 原作1巻・アニメ序におけるエピソード『僕たちは、どんなことがあっても一緒に固まっていなければ駄目だ』で名前で呼ばれる「赤木さん」
- アニメではここは文字で表現されており、野中藍が声を充ててるか不明。
- アニメ序12話で加害妄想にとらわれる加賀愛を見つめるモブクラスメイトの中に「赤木」なる少女が居る。
その正体
以下、原作30巻収録のネタバレを含みます。
ある朝目覚めると風浦カフカは小節あびるになっていた
ある朝目覚めると風浦カフカは木津千里になっていた
ある朝目覚めると風浦カフカは常月まといになっていた
ある朝目覚めると風浦カフカは小森霧になっていた
ある朝目覚めると風浦カフカは
なっていた。
さよなら風浦カフカ。
糸色命曰く「風浦可符香という人物は実在しません」
2のへ組のクラスメイトの多くが、とある一人の少女からドナー提供を受けた人間であった。
そして、彼女達に命を分け与えたドナーである「天使みたいないい子」が彼女である。本編では呼ばれていないが、ドナーカードには確かに赤木杏の名前が記載されている。
移植可能なありとあらゆる部位を、彼女は他人に提供した。ポジティブ遺伝子の持ち主だった。
風浦可符香とは、集団幻覚であり赤木杏に命を分け与えられた人間が代わる代わる演じていたPN(パーソナリティー)シェアリング……「共有人格」とも呼べるものだった。つまり一人の人格が複数の人間に存在している。
この事は連載序盤から伏線が建てられており、音無芽留の初登場回において可符香が小節あびると同じく腕に包帯を巻いている描写から「あびるが可符香を演じていた」と匂わせるネタや、前述したように「あん」という可符香似の幼稚園児が登場していたりする。また、基本的に一つの話で絶望少女達が全員登場する回は(一部を除いて)ない。
2のへ組の生徒たちに移植された部位に残った「記憶」が風浦可符香の正体とも言える。作中で登場していた風浦可符香の姿は、彼らに移植された臓器が覚えていた『自分(赤木杏)の姿』であり、誰かが赤木杏の記憶に引きずられて、彼女を表す記号である髪飾りをつけ、『風浦可符香』を演じ始めると、移植された人間にはその姿が『赤木杏』の姿に見えていた。したがって他の人間には風浦可符香は『髪飾りを付けた、クラスのだれか』に見えていた。
「赤木杏」ではなく「風浦可符香」という名前だったのは、守秘義務からドナーの名前を教えられない代わりに、生前の彼女が好きだった作家フランツ・カフカから取ったP.N.風浦可符香を教えられたから。
一人の人間の記憶を持つ複数の人間が、学校の1クラスという空間に集まってしまった結果生まれたのが、風浦可符香という幻想だった。よって卒業し、学校を離れたことにより共有幻想は終わり、やがてクラスメイト達はカフカの存在を忘れてしまうだろう。でもそれは決してカフカが消えてしまうのではなく、少女たちと融合し同化し彼女にとっての転生といえるのかもしれない。
だが最後に絶望先生は見る。出会ってはいけない少女の姿を。
あなたは 誰の中の カフカさんですか?
一つの可能性としての第30X話
最終巻30巻の描きおろしである第30X話においては、望が彼女を選んで贓物島にこもる展開になる。
既に実在しない人物である杏と添い遂げるために望が採った手段とは、絶望少女たち全員を囲って『風浦可符香』の集団幻想を維持し、書類上の結婚と離婚を繰り返すことで常に「現在『風浦可符香』を演じている絶望少女」と婚姻関係を結んだ状態にするというもの。それは絶望少女たちに日替わりで手を出しているのと同義であり、外部から見るとハーレムに見えるという結末。
彼女達が「赤木杏」として生んだ子供は「のぞむ」「ホープ」などと名付けられているが、どの子も杏と同じ顔とヘアピンをしていた。そして贓物島から逃げ出そうとして船が事故に逢い絶望少女たちから輸血を受けた陸瑠羽子もまた、赤木杏を構成する一人として絶望ハーレム要員となるのだった……。
ただし、これはIF展開であり今までと矛盾する要素もあるため(陸と望は面識があるはずなのに30X話では初対面のような書かれ方をしている)、301話から繋がるかどうかは各々の解釈に依る。
………と長らくしていたが、2020年の作者インタビューにて「本来の最終回は30X話、ハーレムを皮肉って始めた漫画なのでこれを描かないといけなかった」と明言された。
ただそれだと嫌がる読者もいるのは分かっていたので書き下ろしにして「あくまで降りたいバス停で降りれるようにした」と語っている。
望が杏にここまで執着する理由は恐らく責任感からだが、少なくともインタビューにより「(ハーレムエンドの結末として)死んだひとりの女性を愛するという形しか、僕には思いつかなかった」とある為歪んではいるが純愛的な結末だったと言える。
余談
最終章で後腐れなく完結させる手法は同作者久米田康治の過去作品行け!!南国アイスホッケー部やかってに改蔵でもあった。