概要
本作における重要なアイテムの一つで、凄まじいエネルギーを内包した特殊な鉱石。またこの鉱石が内包された、仮面ライダーBLACKの腹部にあるベルト状の装具についても、関連する各種展開などによっては後述の通り、同様にキングストーンと呼称される場合もある。
本記事では前出の2作品の他、『BLACK』のリブート作品である『仮面ライダーBLACKSUN』に登場する同名のアイテムについても、併せて取り扱うものとする。
特徴
BLACKの持つ「太陽の石」と、シャドームーンに与えられた「月の石」の2種類の存在が作中では確認されており、これを体内に宿した者に人知を超えた力をもたらす。普段は体内に埋め込まれ、外からは全く見えない状態にあるこのキングストーンは、BLACKへの変身の際に周囲の細胞がベルト状の装具へと変質・表出し、これを通して様々な能力を発揮することができる。
キングストーンは、暗黒結社ゴルゴムの支配者たる創世王と、次期創世王候補世紀王の証としても位置付けられており、2つの石の両方とも世紀王のどちらかが手にすることで、新たな創世王になる権利をも手にするというしきたりがある。
また、キングストーンは継承を経る度に力が強化されていくという性質を持ち、当代の世紀王のうちどちらかが2種とも揃えて創世王となった場合、全宇宙の支配すら可能になるという。片方だけの場合でも、作中において凄まじいチートぶりを折に触れて見せつけていることからも、それが一概に誇張と言い切れないものであるということは想像に難くはない。
そのため、キングストーンは単なる超パワーの源というだけでなく、組織の支配者としての地位を巡って2人の世紀王が相争う要因の一つともなっている。
仮面ライダーBLACK RX
「光太郎、お前は今日から”太陽の子”仮面ライダーBLACK RXとして、邪悪な者と戦い、地球を守らなければならない。それがお前の宿命だ」
CV:大宮悌二
『BLACK』の続編に当たる同作でも、キングストーンは引き続き重要なアイテムとして登場している。
ゴルゴムの壊滅、そして新たな敵であるクライシス帝国の襲来を経て、南光太郎が仮面ライダーBLACK RXへと進化したのに伴い、その体内にあるキングストーンもまた、新たな変身ベルトである「サンライザー」の右側に収まるようになった。
RXへの変身時には、太陽光線との結合反応により「ハイブリッドエネルギー」を生み出し、RXに従前の3倍ものパワーをもたらす。また、キングストーンは太陽光線を取り込む「サンバスク」とも相互補完に近い関係にあるようで、作中でもサンバスクが破損した際、これを自動的に修復するという働きをみせている。
ダスマダー「どういうことだRX!? エネルギーを絶ったのに!」
RX「キングストーンだ!」
ダスマダー「キングストーン・・・?」
RX「例え全てのエネルギーを失っても、キングストーンがある限り俺は蘇る! 何度でも!」
そしてそれだけに留まらず・・・
- デスガロンともども地下宮殿に閉じ込められた挙句、恩人の孫娘(実は偽物)を死なせてしまった・・・ゆ゛る゛さ゛ん゛!!→その時不思議な事が起こった!→ロボライダーに変身→RX以上の強さを持つデスガロンを難なく撃破
- ロボライダーの能力でも脱出不可能な罠に落とされる→その時不思議な事が起こった!→バイオライダーに変身→難なく脱出
といった具合に、RXの激しい感情に反応してさらなる強化変身という、奇跡も同然な現象さえ引き起こしている。これらに限らず、クライシス帝国が作戦行動に出る度、苦心してその都度RXの弱点を突いても、その策を簡単に凌駕してしまうことから、キングストーンはチートアイテムの名をほしいままにしている。すべてはゴルゴムの仕業。
そうしたチートじみた力と関係しているのかは定かでないが、キングストーン自体もRXへの変身能力を得たのと合わせて、自意識を有しているかのような描写も見られるようになった。「光太郎の魂」を名乗るキングストーンは、時折光太郎に対し自らの意思や状況説明を神託のように告げることもあり、「仮面ライダーとしての力を無闇に振りかざしてはならない」「愚者の道ではなく賢者の道を行け」といった具合に、数万年もの間悪の組織の元にあったアイテムだとは思えないほどに、極めて真っ当な助言を与えている。
この他にも、同作ではRXだけでなく、前作にて死んだはずのシャドームーンも復活・再登場を果たしている。作中ではその理由について終ぞ言及されることはなかったものの、これもまたキングストーンの力に因るものではないかと指摘する向きも根強く残されている。
萬画版
『BLACK』のコミカライズに当たる同作では、TVシリーズにおけるキングストーンと対応する概念として、「賢者の石」が登場する。互いの体内の石を奪い合う必要がある旨が明言されており、この点でもキングストーンと共通しているものの、同作はTVシリーズと相違する点も複数存在し、また謎を多くのこしたままの結末であるため、解釈は分かれるところである。
仮面ライダーBLACKSUN
同作では、2匹の特別な飛蝗から抽出され、日食の特殊条件下で変質した唯一無二の高純度結晶として再設定されており、戦前の軍の実験にて南・秋月の両博士の手で作り出された。これを使った人体実験の末に偶発的に誕生したのが、同作における創世王である。
作中に登場する全ての怪人達は、その体内に「ストーン」と呼ばれる小さい鉱石のようなものが埋め込まれているが、その生成に必要な青いエキスもまた、キングストーンを持つ創世王から抽出されたものとなっている。
原典である『BLACK』と同様に2種類存在し、BLACKSUNこと南光太郎には赤いキングストーンが、SHADOWMOONこと秋月信彦には緑のキングストーンが、それぞれ怪人化の際に与えられている。
2つを揃えれば創世王を継げる点も『BLACK』を踏襲しているが、それゆえに作中では護流五無の内部で深刻な対立を引き起こすことにも繋がり、紆余曲折を経て2022年の時点では2つとも、光太郎・信彦の手元からも離れた状態となっている。
以上の説明からも窺えるように、同作におけるキングストーンは原典とは異なり、身体の内外へ出し入れが自由であるようで、数十年以上宿主の元から離れていても何らかの影響・支障があった様子が見られない。体外に出す際には、自分の腹部をいちいち自ら抉っているような仕草も見られるが、これについては具体的な説明はなされておらず、体外に出すシーンもカメラアングルや上着で直接見えないようにされている。
他方で、作中では人間を怪人へと改造するシーンにて、ストーンを切開した腹部に入れた後に蓋のようなもので穴を閉じている描写が存在し、これを応用して自分で出し入れが出来ているのではないかと指摘する向きもある。
仮面ライダーBLACKSUN異聞/イブン
小説版となる同作では、神霊ヤマトヒメノミコトが戦力としてカイジンを生み出すために人間に与えたものとなっており、軍の実験以前の遥かな昔から創世王となった者は現れていた。
キングストーンの力は強力過ぎるので光太郎と信彦にはストーンの力を制御できるよう「抵抗器(サプレッサー)」という名のドライバーを介して力を引き出している。
1970年代にキングストーンを新城ゆかりに渡して以降カイジンへの変身能力が失われたが、和泉葵が所有していたキングストーンに反応して体内にストーンが無い状態で変身能力が復活した。
創世王となった者の末路は原典と同様だが、自我を失うことなく2つのキングストーンの力を我が物とした者は変身能力を持たない潜在的カイジン=日本人全員を強制的にカイジン態に変身させる能力を得る。
終盤ノミカイジンが開発した2つのキングストーンを収めるサプレッサーをニックが試作品の被験者となり、その完成品をあるカイジンが身につけ、上述の力を手に入れた。
そのサプレッサーのシステムの名前は「Regalia of Xenogeneic」で異種間の王位の象徴を意味する。太字の頭文字を取ると……?
備考
『BLACK』の放送当時、変身ベルトには固有の名称が設定されておらず、玩具名も「テレビパワー DX変身ベルト」とされている。
よくある誤解として、「BLACKのベルトは「バイタルチャージャー」、もしくは「エナジーリアクター」という名称である」というものがあるが、前者はBLACKが戦闘時に行うエネルギー解放のプロセス(バイタルチャージ)からの類推に過ぎず、後者はベルト中央に備わった赤い発光部分を指す名称が、ベルトそのものを指していると解釈されたものである。あくまでもキングストーンとは、ベルト状の部位のさらに深部に埋め込まれた石のことを指すのである。
とはいえ、『BLACK』以降も仮面ライダーシリーズが続き、変身ベルトも毎年のように数多登場するという状況の中で、BLACKのベルトのみ固有名称がないというのは商品展開上差し支えがあると判断されたのか、近年の各種展開においてはBLACKの変身ベルトに対しても、「キングストーン」という表記が便宜上用いられるケースが散見される。以下に補足を交えて解説していく。
- TCG『レンジャーズストライク』
- 「THE MASKED RIDER EXPANSION ベルトコレクションBOX」に収録された。カード名の表記は「キングストーン(太陽の石)」(BK-009)となっている。
- 『テレビパワー 変身ベルト キングストーン』
- 前出の「DX変身ベルト」のリニューアル品で、こちらも「キングストーン」の名称が新たに追加されている。
- 『DXタイフーン&ダブルタイフーン&キングストーンレイズバックル』
- 仮面ライダー図鑑『キングストーン』の項目
- 同サイトでは、作中通りに石そのものを指すと同時に、ベルト自体の名称でもあると解説されている。また、BLACKだけでなく「シャドームーンの変身ベルトの名前でもある」といった旨の記載も見られるが、2023年にシャドームーンのベルトが発売された際には、商品名も中心の緑色の発光部分(BLACKのエナジーリアクターに相当)の名前から取って『テレビパワー 変身ベルト シャドーチャージャー』とされている。