前後のストーリー
予告
絵から怪獣が飛び出した!?
子供達が二次元怪獣ガヴァドンと共に育んだ友情。それは怪獣をどんどん大きくしていって...
次回、ウルトラマンブレーザー『朝と夜の間に』
無邪気な落書きに御用心。
登場怪獣
二次元怪獣ガヴァドン
主な出来事
同級生と帰宅しているジュンはアラタに秘密基地に連れて行かれ、アラタに促されるままに絵を描いてみる。
ジュンが書いた怪獣、アラタはそれを『ガヴァドン』と名付けるが、工事のおじさんがやって来てしまい、二人は秘密基地から逃走した。
その夜、秘密基地に怪しげな光が当たり、ジュンの書いた怪獣の絵がうねり出した。
久しぶりに休みをもらったゲントだったが、任務で忙し過ぎてサトコから運動会の写真が送られていたことに気づけないでいた。
ゲントは挽回しようと連休を利用して旅行に行かないか誘うがジュンに「無理しなくて良いよ」と返されてしまう。
その時TVで『白いツチノコ』みたいな生き物が目撃されたというニュースが流れ、目撃者の書いた絵はジュンが書いた怪獣ガヴァドンの絵そっくりだった。
驚いて秘密基地へ向かったジュン。アラタもそのニュースを見て秘密基地に来ていた。
絵は消えており、その生き物を探して捕まえる事が出来たが、アラタの妹ツムギに見つかってしまう。
その頃、ゲントは自宅でSKaRDからカミクラ宇宙線研究所が昨夜から『未知の宇宙線』を観測した事の報告を受けるが、リモートワークを切りそこねて『休日のゲント』が映されて、慌てて切る。
ツムギとアラタ、ジュンは秘密基地でガヴァドンの事を秘密にする事を話してからガヴァドンと過ごすが、ガヴァドンは夕方になると絵の中に戻ってしまった。
ガヴァドンをもっと大きくしようと三人は絵を大きく描いた。
するとその夜、再び絵が動き出した。
翌朝、ジュンが出かけたあと、サトコはジュンがテストに落書きをしていた事に『大人の事を気にしがち』で心配していた事から安心感を持っていた事をゲントに話す。
秘密基地で案の定、大きくなったガヴァドンがおり、ジュン達は一緒に過ごしていたが、工事のおじさんに見つかって秘密基地を逃げ出す。だが、ツムギがネットに自慢したせいで他の子どもたちもやって来てしまう。幸い、子どもたちのおかげでガヴァドンを隠せた。
アラタはジュンに秘密基地を教えたのはアメリカに引っ越すからだった。すると他の大人を引き連れた工事のおじさんに見つけられる。ギリギリのところで絵に戻ったガヴァドン。
3人はガヴァドンが大人に負けないように更に巨大に書くことにした。河原の広い空き地で走る3人によって巨大なガヴァドンが書かれる。
次の日、巨大なガヴァドンが市街地のど真ん中で寝そべり、SKaRDではカミクラ宇宙線研究所からの報告であの宇宙線は二次元の物を三次元に変えてしまうと分かり、それが大量に降り注いだのがジュン達が遊んでいた美多摩市と判明する。
防衛隊は市民生活に支障をきたすとして攻撃を決定。SKaRDも観測を行うが、避難完了区域にジュン達が入ってガヴァドンに逃げるように叫ぶ。
だが防衛隊は空爆を開始してしまう。投下された誘導弾はガヴァドンの皮膚に弾かれて周辺に落下して爆発。驚いたガヴァドンが暴れ出してしまう。
SKaRD CPでそれを見つけたテルアキは攻撃中止を訴えるが間に合わず、弾かれた誘導弾で破壊されたビルがジュンに倒れ込もうとした。慌ててブレーザー変身したゲント。ビルが倒れ込む前に止める。
ブレーザーはガヴァドンがこれ以上街を暴れ回らないようにチルソナイトソードで電撃を浴びせたり威嚇するが止まらず、格闘戦に持ち込むがやわらかい身体のせいで自由に動かれてしまう。ブレーザーはガヴァドンを市街地から遠ざけようとスパイラルバレードをクレーン状に変化させてガヴァドンを持ち上げる。だが柔らかいガヴァドンはクレーンから滑り落ちてしまう。
夕焼けが差し出す中、ガヴァドンに苦労するブレーザー。
3人はウルトラマンにガヴァドンを攻撃しないでくれと叫び続ける。
ジュン達はガヴァドンを大きく描かなければこんな事にはならなかったと後悔してガヴァドンに謝る。
するとガヴァドンは大人しくなりブレーザーはガヴァドンを星空へと連れて行く。
3人はガヴァドンは星座に変わった事を喜び、アメリカに行ってもお互い、友達で居ようと約束をして二人と別れるジュン。
そこへサトコとゲントが駆け付けた。今回の事を受けてゲントはジュンをまた一緒にどこかに遊びに出かけようと誘う。
帰り際、星空のガヴァドンの目から涙のような光が落ちるのを見たジュンも涙ぐみながらも帰るのだった…
余談
アラタの秘密基地にあった怪獣の絵の中には、ゲードス、タガヌラー、ドルゴ、デマーガ等、これまでに出現した怪獣の絵も確認出来る。
秘密基地にいたアラタとジュンを叱っていた工事作業員風の親父は、ウツギ星人やウルトラマンオーブでクレナイ・ガイのお気に入り銭湯『鶴の湯』のおやっさん役で出演したことがある諏訪太朗氏である。
ニュースで小さいガヴァドンを見つけた第一発見者の男性は、なんとウルトラマンの「恐怖の宇宙線」本編にもゲスト出演した「内野惣次郎」氏であり、名前の『内野タカシ』もあちらで演じた少年『タカシ』が由来となっており、バットとグローブを持っていたことからも、当時のタカシ少年を意識していたと思われる。タカハシヒョウリ氏のX(旧Twitter)によれば、内野氏は恐怖の宇宙線の回の監督をつとめた実相寺監督直筆サインが書かれたフィギュアや徳利を保管する等、今もガヴァドンのことをとても大事にしているようで、「ガヴァドンに再会できたんだ。最高に粋な配役をした」と賞賛している。
この回を担当した田口清隆監督曰く、「初期のプロットはかなりシリアスめの内容だった」らしく、「ガヴァドンを描いた少年は事故で既にこの世を去っており、その親友の男の子がガヴァドンを消させないと決意し、様々な行動に出る。それにSKaRDがどう出るのか?」という形で描くつもりだったらしい。
しかし、脚本担当の中野貴雄氏が「原典通り子供たちとガヴァドンの交流を描いていいんじゃないのか?」と提案したことで現在の形に落ち着いた。田口監督曰く、「中野さんの脚本の方が断然面白かった」とのこと。
なおこのサブタイトルは脚本家佐々木守氏による初代ウルトラマンでのNGタイトルで、実相寺監督はこちらのほうが詩的で好きだったが、初代では子供が見る番組とのことで現行のものに変わってしまったことを自著で言及している。