DATA
概要
『ウルトラマンブレーザー』にて初登場した怪獣。
黄土色の外骨格を持つ昆虫型の怪獣で、先に針を持つゾウの鼻のような口吻を持ち、両腕には巨大な鎌を備え、頭頂部にはカブトムシのような角状の突起を持つなど、タガメと甲虫の合いの子のような特徴を持つ。
通常の昆虫と同様、合計6本の手足を持ち、尻尾に見える部分は腹部である(なお、節足動物系怪獣にしては珍しく前脚が短く、中脚が長大で器用に動かせるようになっている)。
目は眼柄の先にあり、イカのような黒い横長の偽瞳孔がある(それ故、どことなくユーモラスな顔付きにも見えることも)。
能力・生態
水陸両棲の怪獣で、地中を掘り進んで移動するだけでなく、水中での活動や、甲虫のような羽で空を飛行することも可能。
化学燃料等の高エネルギー物質を常食としており、次世代クリーンエネルギー「液化ティーテリウム」を狙い、各国のエネルギー貯蔵施設を襲撃していた。捕食の際は、吻を対象に突き刺してエネルギーを吸収する。
吸収した高化学エネルギーを体内で熱エネルギーに変換、貯蔵し、これが臨界に達するまで食い続け、迂闊に火力攻撃を加えるとエネルギー融合を起こして数十km四方を更地にする程の大爆発を起こす危険性を秘めた、「生きる爆薬庫」と化してしまう。
この時、体内温度は数千~数万℃に達し、体表面はウルトラマンブレーザーですらも「アチッ‼︎アッチィッ‼︎‼︎」と悶絶し、アースガロンも接触した両腕が赤熱化して溶けかかり、機内温度が危険なレベルまで上昇する程の超高熱を発するようになる。
また、溜め込んだ熱エネルギーは全身の至る所から放出して外敵を吹き飛ばす武器にもなる。臨界に達すると、角の先にある孔から熱光線として発射することで排熱を図るが、これを利用して外敵を排除しようとする習性も持つという。
虫故に痛覚は持っていないらしく、鎌や腕が千切れてしまっても平気で腕を振り回して攻撃している(後ろから光線を撃たれて怒っていたため、衝撃は感じることができると思われるが)。さらに、個体によっては千切れた個所から赤く発光する触手のようなものを発生させて相手を攻撃することも可能。
前回のゲードス同様に食糧を求めて現れた怪獣だが、ゲードスと比べて攻撃を受けても積極的に反撃はせず、相手を追い払うとすぐに液化ティーテリウムの吸収を再開しており、異様とも言える程の執着を見せている。
これに関しては後に判明した目的を考えると、ただ食欲のためだけに行動していたわけでもない可能性が浮上している。
活躍
『ウルトラマンブレーザー』
第3話「その名はアースガロン」
4月29日にドイツ、5月4日にフランス、5月10日にイギリス、そしてアメリカ・テキサス州のエネルギー貯蔵施設を襲撃しており、体サイズを増大させながら日本へと向かっていた(前回・前々回の事後処理により、GGF司令部は海外まで手を回せなかった)。
そして5月13日、遂に茨城県沓波(くつば)市にある研究所及びエネルギー貯蔵施設を襲撃。この時点で、今まで蓄えたエネルギーが臨界に達しており、迂闊に火力攻撃を加えると大爆発を起こす恐れがあった。しかしGGFはそれを把握していなかったため、航空隊による空爆で応戦してしまい、逆に刺激して事態を悪化させてしまう。
そのためSKaRDは、23式特殊戦術機甲獣・アースガロンの出撃を決断。ゲントとアンリが搭乗したアースガロンと交戦する(アースガロンが割り込んだことで、同士討ちを恐れたゲントの説得もあって航空隊は攻撃を中断、少しだけ大爆発のリスクが減った)。
硬い外皮と3000℃もの超高熱で優位に立ち、ゲントの機転によるアースファイアで右の鎌を溶断されるも全く怯まず、全身から高熱の衝撃波を放ってアースガロンを吹き飛ばし、左腕を破壊すると同時に機能停止に追い込んでしまう。その後はアースガロンに目もくれず、悠々と食事を再開する。
その後ブレーザーが現れるも、その際には体内温度が優に1万℃を超えており、迂闊に触れられないのを良いことに散々痛め付ける。取っ組み合いの末に頭部の温度が遂に100万℃を突破するが、角の穴から熱エネルギーを熱光線として遥か上空に放射したため、大爆発と大火傷の危険が無くなり、形勢が逆転。
最期はそのままスパイラルバレードの直刺しで胸部をブチ抜かれ、爆殺された。
第16話「恐怖は地底より」
モグージョンが、虫嫌いのアンリに見せた幻覚として登場。
第17話「さすらいのザンギル」
沓波市に以前倒された個体(霊体)が出現。西の方角から飛来して2時間程市街地を歩き回った後、とあるビルによじ登り、そこから下を見下ろすように居座った。
しかし、歩き回ったにもかかわらず何故か周囲に被害は全く無く(目撃者曰く「人や車の上を煙のようにすり抜けた」)、SKaRDが駆け付けてからすぐ後、隣のビルの屋上に現れた謎の男の放った斬撃を受けて消滅した。
第23話「ヴィジター99」
世界各地に出現する怪獣達の一体として再登場。
15~20m級の個体が、液化ティーテリウムを狙って各国に出現。「この程度なら各国で対処できる」とゲントは安堵するが、その矢先に日本の茨城県小洗市とアメリカのネバダ州に60m級の巨大な個体が相次いで出現する。
小洗市出現の個体はアースガロンMod.2が、ネバダ州出現の個体は通信不良を装いCPを抜け出したゲント=ブレーザーが対処に当たる。
小洗市では、アースガロンは市街地への被害を防ぐため、CQCモードでタガヌラーを市街地から遠ざけようと格闘するも、タガヌラーはMod.2による攻撃にも耐え、ひたすらにティーテリウム貯蔵タンクを目指していた(相変わらず痛覚はないらしく、足をレールキャノンで撃ち抜かれて転倒してもすぐに起き上がった)。
一方、ネバダ州でのブレーザーとの戦闘では、チルソナイトソードで右腕を切断されるも、斬られた箇所から赤く光る触手を伸ばしてブレーザーを圧倒する。
しかし戦闘中に、地球に接近中の隕石を分析していたアマチュア天文学者のミッチーから連絡が入る。なんと実は、第3話のタガヌラーが発射した熱光線が、当時飛来中のゲバルガに命中していたと判明。
この事実から、あの時のタガヌラーの熱光線の放射は戦闘の余波で生じた意図しない暴発などではなく、地球という縄張りを守るために宇宙からの外敵を迎撃する性質に起因するものであったことが明らかとなった。
今回も「サード・ウェイブ」となり得る隕石を迎撃しようとしている可能性が浮上したため、SKaRDはタガヌラーへの攻撃を中止し、アースガロンとブレーザーは攻撃対象をGGFのサーモバリック弾に変更し迎撃、2体のタガヌラーは熱光線の発射に成功する。
その結果、見事に熱光線は隕石に命中(何気に地上から月軌道付近にいる、少なくとも38万km以上離れた相手に命中させるというとんでもない命中精度である)。
しかし熱光線はそのまま跳ね返されてしまい、タガヌラー達は役目を終えたかのように跳ね返ってきた熱光線に焼かれて爆散・消滅した。一方で、隕石に付着していた宇宙怪獣はこの熱光線により隕石から剥がされ、月へと不時着していた……。
ちなみにオーストラリアにも出現し、15m級の個体が出現し市街地を逃げ回る個体に発砲許可が下りず、ティーテリウム貯蔵装置を襲撃したが、通り過ぎたドーレというとある男が自らを囮にタガヌラーを山岳地帯にまで誘導し、足元が不安定になったところを谷底に落として撃退している。その行動を見ていたジーヤという女性は彼の行いをたたえ「超人」と評し、防衛軍はドーレ氏の行動に対して感謝状を贈ることが発表されている。
『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』
神倉市の臨海工業地帯に出現した成体ズグガンの鳴き声に引き寄せられる形で、幼体ズグガンと共に人間と同じ大きさの小型の個体が複数出現、ゲント達SKaRDと交戦する。この時、小型の個体は新たに黄色い光弾(?)のようなものを発射する能力を披露していた。
さらに50m級の巨大な個体まで出現し、そのままズグガンと二対一でアースガロンMod.2と交戦するが、ブレーザーの参戦により分断され、アースガロンとの一対一にもつれ込まれる。
最終的に、巨大な個体はアースガロンの全火器一斉射撃を受けて撃破され、小型の個体もエミとアンリの奮闘により殲滅された。
しかしこの戦いでアースガロンは深刻なダメージを負ったようで、戦いが終わると同時に転倒、そのまましばらく修理に入ることとなった。
その後、SKaRDが出現の原因を調べると、周辺にこれまで倒されてきた宇宙怪獣の死骸や細胞を研究する先進化学企業「ネクロマス社」の関連施設があることから事件との関連を疑い、調査を開始。その結果、ネクロマス社で研究中のナノマシン「ダムドキシン」の存在が明らかとなったため、ズグガンやタガヌラーはこれを宇宙怪獣同様の脅威と認識したのかもしれない(途中でダムノー星人が絡んだ件に関しても考慮すると、ダムノー星人がダムドキシンを使っておびき寄せた、もしくはダムドキシンの効力によって蘇ったという考え方も可能)。
『ウルトラマンアーク』
ヘルナラクの尖兵たる幽体怪獣の一角として、ウルトラマンアークの守る世界の地球に出現した。
第17話「斬鬼流星剣」
同じく幽体怪獣であるゲードスと共に『アーク』の世界に出現後、生前の記憶に基づき、餌を求めて燃料プラントに向かっていたところでザンギルと交戦。初めの一対一の戦いではザンギルが優勢だったが、ヘルナラクの送り込んだ卵から無数のタガヌラー(全て成体だが、幼体や孵化前に撃破された個体の魂まで召喚された節がある)が出現し、一斉にザンギルに向かってくる。
ザンギル「武士道とは、散ることと見つけたり…!」
それでもザンギルは怯むことなくタガヌラーに立ち向かっていったが、活動限界が迫り、巨大化が解除されてしまう。しかしそこにギャラクシーアーマーに身を包んだアークが救援に駆け付け、タガヌラー達の相手を引き受ける。
大量のタガヌラーを相手に、アークはソリスアーマーキューブとルーナアーマーキューブからソリスアーマーとルーナアーマーの分身を生成、抜群のコンビネーションや会得した斬鬼流星剣で地上のタガヌラー軍団を殲滅した。
直後に、第二陣として夥しい数のタガヌラー軍団が蝗害の如く飛来してくるが、アークがアークギャラクサーにルーナ、ソリス、ギャラクシーの順にアークキューブを装填し、アークギャラクサーから巨大な弓矢を生成して放たれた「ギャラクサーディフュージョンアロー」で一体残らず撃墜された。
第18話「アーク協力要請」
前回のタガヌラー軍団がアークとザンギルによって全滅させられて以降も、10日間に渡ってほぼ毎日、少数で継続的に送り込まれていた。幸い、地球防衛隊が裂け目周辺に(ザンギルの音をベースにした)実体化させるための音響発生装置を配備したため、幽体化を防いでいた。
冒頭では2体のタガヌラーが出現しており、先にアークと交戦していた個体は、最終的にアークエクサスラッシュにより縦に真っ二つに切断される形で爆散。残ったもう1体は地球防衛隊の音響発生装置によって実体化した後に防衛隊と交戦後、ギャラクシーアーマーとなったアークの放った炎の光輪「ギャラクサースクリューフェザー」によって、こちらは横に真っ二つに切断される形で撃破された。
商品化
ソフビはウルトラ怪獣アドバンスにて発売。
全高約138mmの大型サイズで立体化。
各部の腕が可動する他、特徴的な大型の鎌にボールジョイントを使用し、斬る・掴む・振り回すなど、劇中と同じアクションを再現して楽しめる。
余談
- 「甲虫」とはカブトムシやクワガタムシなど甲虫目に分類される昆虫のことを指すが、怪獣の別名に使われるのは意外に珍しかったりする(他に該当するのは、「甲虫型宇宙怪獣」の別名を持つバグダラス)。また、タガヌラーのモチーフと思われるゾウムシも甲虫の一種である(でも生態的にはタガメの方が近い。何それ……)。
- 劇中に登場した茨城県「沓波(くつば)市」と「小洗市」は、それぞれ実在するつくば市と大洗町をもじった架空の都市である。また、劇場版で出現した「神倉市」は、作中描写から鹿島臨海工業地帯を抱える茨城県神栖市がモチーフと推測できる。何かと茨城に縁がある怪獣である。
- 『ブレーザー』の劇中では詳しい生態こそ判明しているものの、出自については明らかにされておらず、意外と謎の多い怪獣でもある。劇中では『ブレーザー』第3話、第23話共に一貫して「怪獣としての生態」として推測されているが、同時期に複数出現したデルタンダルとは異なり、その行動に協調性や一貫性があり、防衛隊も認知できない遥か遠い宇宙怪獣という脅威に対しての対処など明らかに生物の生態を逸脱しており、地球意思に関連する、もしくはその存在により外敵排除の生態を利用した可能性が示唆されている。
- 『ブレーザー』のオープニングにもタガヌラーの出現を報じるニュース映像が映るシーンがあり、「都心部に出現」という旨のテロップが表示されているが、これは劇場版を含む『ブレーザー』本編に登場したどの個体の出現地点とも一致しない。本編で描写された以外の出現事例の際の映像なのかもしれない。
- タガヌラーが初登場する『ブレーザー』第3話には、声優の関智一氏が研究員・大川役でゲスト出演している。ガルト星人、グレンファイヤー、イカルス星人など、これまでもウルトラシリーズで宇宙人キャラクターの声などを度々演じてきた関氏だが、純粋な地球人の一般市民役で登場するのは今回が初となっている。
- 同話には、かつて『ウルトラマンギンガS』第12話で丹葉ことメトロン星人ジェイスを演じたしおつかこうへい氏も、航空部隊指揮官役で声のみだが出演している。しかも、あちらの監督も本エピソードと同じ田口清隆氏という繋がりもある。また、しおつか氏は第23話でも再出演している。
- 初登場回では、冒頭でのアメリカテキサス州のエネルギープラントに出現・襲撃するシーンから始まっているが、これとほぼ同じシチュエーションから始まっている『劇場版マジンガーZ/INFINITY』を思い出し、重ね合わせる視聴者もいるとか。
- 『ブレーザー』初出の怪獣の中では割と早くから詳細を明かされただけでなく、本作のTVシリーズでは(幻影・亡霊含めて)計4回もの登場を果たし、さらに劇場版にも出演が決まったことから、『ブレーザー』を代表する怪獣の一体として出番にも恵まれている。さらに次回作の『アーク』での登場も決まり、初登場から直近のTVシリーズへの2年連続出演も成し遂げた。
- 『ブレーザー』第3話で仮にタガヌラーの熱光線がゲバルガに当たっていなかった場合、本編よりももっと早い段階(少なくとも第9話までの段階)でゲバルガが地球に飛来していた可能性があった。つまり、チルソナイトスピアもといチルソナイトソードがない初期状態で戦うことをブレーザー側が強いられ、下手をしたら詰んでいた可能性すらあった。そのため、視聴者からは「影のヒーロー」「益虫」「本作のMVP説」「地球防衛軍よりも地球防衛している」などと称賛されており、一部からは「ブレーザーくん」に倣って「タガヌラーくん」という愛称まで頂戴している(あくまで縄張りを守ろうとしただけのタガヌラー本人としては、そんなつもりなど毛頭ないのかもしれないが…)。
- 『アーク』第17話で飛んでいるタガヌラーの軍団はリペイントしたソフビが使用されており、『大怪獣首都激突』で使われたものが2つと、第17話を担当した越監督自ら塗り直したものの計3つが使われている。
関連イラスト
関連タグ
ウルトラシリーズ
- サタンビートル、バグバズン:モチーフが甲虫繋がりのウルトラ怪獣。
- ジョバリエ:別名に「甲」の字が付く昆虫型怪獣。体色も似ている。
- シルドロン︰こちらも昆虫怪獣であり、液状の新エネルギーを食糧にする点が共通している。
- マジャバ:昆虫を思わせるフォルムや6本の手足、鎌を持つ腕が類似している点、田口監督にとって思い入れのある怪獣である点(田口監督は元々『ウルトラマンX』でマジャバを登場させたかったが断念し、その後『ウルトラマンZ』でデストルドスの一部として間接的に登場させたという逸話がある)などから、コアなファンからは「セルフオマージュではないか」との噂が立っている。
- ドラコ、パワードドラコ、シルドバン:両腕が鎌で、昆虫モチーフ繋がり(ドラコはカマキリ……ではなくオニヤンマがモチーフ)のウルトラ怪獣。
- ヒッポリト星人:一部のファンから、「ゾウみたいな顔が似ている」と評されている(目付きはスーパーヒッポリト星人に近い)。
- ガスゲゴン、メダン、ボガールモンス:同じく食糧として体内に蓄えた膨大なエネルギーが原因で、迂闊に倒すと大爆発を起こす危険性を孕んだ怪獣(超獣)。
- ザンボラー、パワードザンボラー:高熱を発するウルトラ怪獣。
- ソドム、ザランガ:同じく体温が高過ぎて、触っただけでウルトラマンがダメージを受けた怪獣。
- ゾンネル:同じく地球に接近する宇宙怪獣を地上から射撃し、その後別個体が地球の危機を救うために出現した地球怪獣。ただし、こちらは自らの意志ではなく、あくまで他者に利用されただけではあるが。
- ホムガー:次回作に登場した怪獣で、タガヌラー同様にエネルギーを吸収して高熱を発し、最終的に大爆発を起こす怪獣。ただし、こちらの目的は出産のためである。
他作品
- テラガイヤー:名前の響きが似ていなくもない、別シリーズの昆虫型怪獣。
- 5000℃のクラスニーゴ:戦隊怪人だが、同じくゾウムシモチーフで高熱を発する共通点がある。
- ジュアッグ:似ていなくもない……?