DATA
概要
『ウルトラマンブレーザー』第16話「恐怖は地底より」にて初登場した怪獣。
モグラのような顔付きと、長い爪の生えた巨大な両腕が特徴の地底怪獣。
頭部には、赤から白のグラデーションが掛かったトサカのようなものが大量に生えている。
一見どこかユーモラスで可愛らしい見た目だが、実態は肉食性の凶暴な怪獣で、普段は他の地底怪獣などを捕食しているが、餌が少なくなると地上に出て野生動物や家畜、さらには人間を襲って捕食するばかりか、ブレーザーすらも捕食せんと喰らい付いていた。
能力
掌にあるホシバナモグラの鼻先を思わせる器官から放つ閃光で、人間の脳にある扁桃体を刺激し、自身を対象が最も恐れるものに幻視させる能力を持つ(しかもカメラ越しでも有効)。
この能力を使って巣穴から威嚇したり、パニックで動けなくなった獲物を伸縮自在の長い舌で絡め捕って捕食する。『ウルトラマンアーク』での登場時には、幽霊の体になってもなお飛世ユウマを捕食しようと舌を使っている。
この幻視自体は一時的なもので、パニックになった作業員やテルアキ副隊長、ヤスノブ、アンリのいずれも病院搬送後の状態は安定していた。
ただし後述のエミの場合は、アースガロンに搭乗している状態で周りに看護する人間がその場にいなかった状況や、目の前で幻覚がブレーザーと戦っていた様を見続けたのも相まって、しばらく幻視が続いてしまった。
一方でゲント隊長の場合は、特殊部隊に居た頃、恐らく極限状況下を想定した恐怖心をコントロールする訓練を経験していたために、自力で幻覚を振り払っていた。
また、光を直視さえしなければ問題はなく、SKIPのようにサングラスなどの光を遮る物で目を覆って対応するなど、対策のしようはある。
さらに、幻視効果はモグージョン自身にも通用するため、光を跳ね返すなどしてモグージョン自身に光を浴びせれば、逆に動きを封じることが可能。
直接戦闘能力もかなり高く、強靭な顎での噛み付きに加え、鋭い爪を持つ腕は伸縮自在かつレインボー光輪を腕に通す形でキャッチし投げ返せる程に器用、頭部のトサカは振動させて電動ノコギリのような武器になる(このトサカで地中を掘り進んでいたと考えられ、『アーク』では実際に地中から飛び出した勢いで真下から攻撃している)など、全身が武器のようになっている。
しかも相手が掌を警戒する様を利用してフェイントを行ったり、目を閉じたことに気付いて忍び足で接近しようとする挙動などから、知能もかなり高い様子。
『アーク』での再登場では、新たに頭部のトサカから赤い光弾を連射する技を披露。さらに地底から両手だけを伸ばして閃光を放ったり、地中へと潜って敵の真下から不意打ちを仕掛ける戦法も披露している。
活躍
9月20日に工事の最中に謎の大穴が発生し、それを覗き込んだ作業員らが発狂、病院に搬送される怪事件が発生。
だが、彼らが穴の奥で見た巨大生物の証言は「デっカい嘴の鳥」「目を光らせ手を伸ばす毛むくじゃらの巨人」「巨大なサソリの尻尾」「タコの吸盤みたいな丸いブヨブヨした塊」と何故かバラバラ。
地中にモグラの巣穴のような地下穴と、その主である巨大生物の存在を察知したSKaRDは、穴に張り込みを決定。
その夜更け…テルアキ副隊長は、被害者がガス中毒で幻覚を見た可能性を調べる最中、謎の光を受けておはぎそっくりの怪生物を目撃して発狂、そのまま病院に運ばれてしまう。
翌日の9月21日に、テルアキ副隊長がおはぎ嫌いだったのを思い出したSKaRDの面々は、謎の地響きを聞き付け穴に向かうが、中から巨大怪獣が謎の光を放ちながら出現。
その姿は虫嫌いのアンリにはタガヌラー、以前ハービーにその身を狙われたヤスノブには巨大カナン星人、そして任務失敗を恐れるゲント隊長には大破したアースガロンとして現れる。
しかし、ゲント隊長が(特殊部隊時代の厳しい訓練経験による)精神力で幻覚を振り切ると…そこには彼らに幻覚を見せるモグージョンの姿があった。ゲント隊長は咄嗟に捕食のために伸ばされた舌から隊員らを庇い、一同を救助する。
基地で待機していたエミの調査で、今回の陥没が発生する2ヶ月前から周辺地域の牧場で謎の陥没と共に家畜が一斉に消える(=捕食されていた)事件が起きていたことが分かり、危険性が判明する。
餌を求めモグージョンは市街地へ侵攻、対処したいがアースガロンに乗れる人物は唯一指揮所に残っていたエミのみ。
そこでアースガロンにAIであるEGOISSを搭載し、単独出撃を決行。
ビルに取り残された人々を今まさに捕食しようとするモグージョンに対し、果敢にタックルで吹き飛ばして阻止するも、直後にエミまでモグージョンの光を受けてしまい、相手が巨大化した自分の姿に見え、まともに戦えなくなってしまう。
そこにゲント隊長がブレーザーへと変身して駆け付けるも、モグージョンの格闘能力の前に押され、更に直視してはいけない掌への警戒心から思うように戦えない。
しかし、SKaRDの面々とEGOISSの声で正気を取り戻したエミからの援護射撃で状況は逆転、さらにブレーザーは敢えて敵前で目を閉じて気配に集中、エミのアシストもあり見事にカウンターを決めて追い詰める。
トドメとばかりにチルソナイトソードの激しい斬撃からのライデンズフィニッシュを受け、モグージョンは爆散。
全てが終わった後、発端となった大穴も埋められ、一連の事件は幕を閉じたのであった。
その後、防衛隊からの調査情報を得た新聞報道にて、モグージョンの巣からモグージョンに捕食されたと思しき無数の怪獣の白骨死体が発見されており、その中にはマグラーらしき骨も発見されている。
特別総集編「ブレーザー電脳絵巻」では、この怪獣を元にしたキャラクター「もぐ〜じょんちゃん」(CV:小原好美)が登場している。
モンタージュ想像図(仮)
上記の被害者達のバラバラな証言を、無理矢理辻褄合わせて描かれた合体怪獣のような姿の想像図。
意外と纏まってはいるが、当初テルアキ副隊長には失笑され、後にゲント隊長はテルアキ副隊長のおはぎ発言を受けて「コレ、また少し変わるな…」と呟いていた。
『ウルトラマンアーク』
第16話「恐れの光」に登場。
第15話のラストにて、ザディーメが原因で発生した次元の亀裂のある場所でモグージョンのものらしき咆吼が響き渡っていたが、続く第16話で実際に出現。
今回現れたのはヘルナラクにより生み出された怪獣の幽霊とも呼ぶべき存在で、生命反応や質量が存在せず、こちら側の攻撃が通用しない。
初期段階ではモグージョン側も実体を持たず、体が半透明で攻撃がすり抜けていたが、2度目の出現ではこちらの攻撃がすり抜ける一方で、モグージョンの攻撃は当たるようになるという理不尽の塊と化した。
エレマガンの攻撃もすり抜けたが、一方でソニッターの光やザンギルの発する音には拒否反応を示していたことから、視覚と聴覚はある模様。
次元の亀裂から産み落とされた卵から出現し、掌の光により空嶋キャンプ場にいた大量の人間を発狂させる事件を発生させた(その時の様子を動画に撮っていた通報者は、その後好奇心から怪獣を探した際に自身も光を浴びてしまい、何故か湯豆腐に対して恐怖を抱いていた)。
ユウマ、シュウ、ユピーがこれの調査に向かうと、腕だけを地上に出した状態で彼らに光を浴びせる。この光をシュウが直視してしまった結果、シュウは巨大なユウマの姿や、真っ暗な中に自分にスポットライトが当たるような空間でユウマやSKIPメンバーから冷たく別れを告げられ、周りをぐるぐると回られる幻影を見てしまう。ユウマも伸ばした舌に襲われるも、この時点のモグージョンは実体を持っていなかったためにモグージョンの攻撃も通ることはなく、事なきを得た。
そして近くにいた謎のフードの人物が手から金属音のような高い音を鳴らした瞬間、モグージョンは咆吼を上げながら霞のようにその場から消滅した。
その後、次元の亀裂から響くヘルナラクの声に呼応するように再び出現すると、今度は星元市市街地を襲撃。ヘルナラクの力を受けてか姿がハッキリと視認できるようになり、ビルを襲い舌を窓に突き刺すなどモグージョンの攻撃が通るようになるが、あらゆるバイタルサインやサーモグラフィーに反応しないなど実体を持たないのは変わらず、防衛隊のミサイル攻撃がすり抜けた上、しかもその先のマンションに当たって被害を出してしまった。
SKIPが各々光対策(ユウマ=サングラス、シュウ=フルフェイスのバイク用ヘルメット、リン=日傘、ユピー=遮光シート、伴所長=溶接工のフェイスシールド)をして避難誘導をしている中で、ユウマはアークに変身するが、アークの攻撃もそのままでは当然すり抜けてしまう上に、モグージョンの熾烈な攻撃は当たるという状況に防戦一方の苦戦を強いられる。
しかしそこへ、ヘルナラクの脅威を追ってやってきた謎のフードの人物=ザンギルが参戦し、アークアイソードに力を分け与えて霊体も斬れる剣としたことで形勢逆転。ようやくアークの攻撃が通るようになり、ザンギルと共にモグージョンと互角の戦いを繰り広げる。
しかし戦いの途中、ザンギルが突如として苦しみ出すと、モグージョンはその隙を突くように光弾の乱射と掌の閃光を駆使してアーク達を攻撃し、ザンギルを撃退してしまう。
それでもアークはアークトリッキーテクニックを発動、アークギガバリヤーを砕いた破片で光弾を防ぎ、さらにモグージョンの光をアークアイソードの刀身で反射させることで、モグージョン自身に光を食らわせることに成功する。
モグージョンは巨大なヘルナラクの幻影を見て怯えている隙にアークアイソードで斬られ、その切れ目にアークファイナライズを受けて爆散・消滅した。
余談
- 名前の由来は恐らく、「モグラ」+「イリュージョン」の組み合わせと思われる。『アーク』でもユピーが「モグラとイリュージョンでモグージョンだ!」と命名している。
- プレミア発表会で先行登場していたが、この時は名前の公開はされていなかった。
- 幻覚の被害を受けた作業員が見たものとして、以下の怪獣が登場している。
- デザインは、登場回を担当した辻本貴則監督自身が担当。辻本監督は『帰ってきたウルトラマン』と『ウルトラマンA』が大のお気に入りであり、モグージョンのデザインや設定もどこか昭和第2期の怪獣っぽさがある。
- また、上記の幻惑で見せた怪獣の内、バラバとタッコングは過去作で辻本監督の担当回に登場した怪獣であり、カナン星人も本作で辻本監督が担当した回に登場している。
- 監督自身のXにて語られたコンセプトは、“いつかどこかで見たウルトラ怪獣”。「ん、どっかで見たことあるな」とか「こいつ帰りマンに居なかったっけ?」などと思っていただければ本望です。掌の器官はホシバナモグラの鼻がモチーフ」と語っている。
- 裏モチーフとして帰りマンのサドラとレッドキラーにあった蛇腹や肌のゴツゴツ感等が取り入れられている。
- 辻本監督は次回作『アーク』のメイン監督を務めており、監督がデザインしたモグージョンの登場はある意味必然だったとも言える。ただし、登場回は別の監督が担当した。
- 視聴者からは、「見た目は『ウルトラマンコスモス』の怪獣っぽいのに、やっていることはスペースビースト並にえげつない」との意見もある。
- また、自然下の怪獣とは思えない兵器じみた身体構造や、不自然にまで高い知性から「モグージョンは超獣ではないか?」と疑う視聴者も。
- テルアキが見たおはぎの幻影に対しても、極一部の視聴者から「脳味噌や臓器が蠢いているみたい」と気味悪がられていた他、「メノーファに見えた」との意見もあるとか。
- 鳴き声は、ピッチを低くしたラドンとアーストロンを組み合わせたもの。
- 『ブレーザー』劇場版の新規OPでは、アースガロンからの映像で登場している。
- 『アーク』での再登場により、ギャラクトロンやバロッサ星人、デスドラゴらの例と同じく、初登場から直近のTVシリーズ作品への2年連続メイン出演となった。『アーク』では今後もブレーザー怪獣の再登場が確定しているが、モグージョンはその第1号と言える。
- また、『ブレーザー』と同じく第16話に登場した。
関連タグ
ウルトラシリーズ
- モングラー、モグネズン、モゲドン、モグルドン:モグラ怪獣の先輩達。人間の身勝手で危険な怪獣になった存在や悪意の無い怪獣がほとんどで、何気に純然たる危険なモグラ怪獣はこのモグージョンが初めてだったりする。
- ザラガス:同じく強烈なフラッシュを武器とする、知能の高い怪獣。初登場回のオマージュと思われるシーンも多い。
- キーラ:こちらも強力なフラッシュを武器とし、尻尾で八つ裂き光輪を受け止める技を披露している。
- サドラ:腕が伸縮し、かつ人間を襲って食らう怪獣の先輩。こちらは体から霧を発生させる。
- グロンケン:電動ノコギリの頭部を持つ先輩怪獣。
- ゲードス:出身作の第2話に登場した、同じく食欲旺盛なブレーザー怪獣。こちらは水棲怪獣で、主に魚介類を捕食している。
- メージヲグ/モルヴァイア、エタルガー:対象が最も恐れる物の幻覚を見せる力を持つ能力を持つ先輩ウルトラ怪獣であり、同じように幻覚として過去作品の怪獣などを見せた。
- ジェロニモン、アルゴン:デザインやシルエットが似ている怪獣。2体ともモグージョンと同じく、普通の怪獣とは比べ物にならない程に強力な能力と高い知能を持っている。
他作品
- イエズ:モンタージュ想像図がコイツに酷似している。