概要
『ウルトラマンアーク』に登場する、冥府闇将軍獣ヘルナラクが自身の“怪獣幕府”を打ち立てるための眷属として生み出した再生怪獣達。
ヘルナラクが体を左右に分割することで生み出される、死んだ怪獣の魂や残留思念を封じ込めた幽体怪獣の卵が次元の裂け目を通して送り込まれ、それが孵化すると魔の道、魔の時を通って現世に出現し仇を成すという。
ザンギル曰く、「生前の想いに迷う悪霊や鬼に当たる存在」であり、本質的には前作『ウルトラマンブレーザー』第17話に登場した怪獣の幽霊に等しい存在。
所謂幽霊であるため生命反応や質量が存在せず、こちらの通常攻撃は全てすり抜けてしまうという特性を持つ。
体が半透明の初期状態では実体を持たず、幽体怪獣の方の物理攻撃もそのまますり抜けてしまうが、次第に闇のエネルギーが供給されてハッキリとした姿になると相手の攻撃はすり抜ける一方で幽体怪獣側の攻撃は当たるという理不尽な状態と化す。
しかし、ザンギルが刀を叩き付けて鳴らす音には幽体と実体の境界を揺るがす力があり、ユピーがその音の波動を録音、SKIPが解析したことで幽体怪獣の実体化に成功している。
幽体怪獣の卵は中身を問わず全て同じ見た目であり、黄色い光を放つ楕円形の白いクリスタル状の本体に、昆虫の卵を連想させる茶色い皮膜で覆われた生々しいデザインをしている。
ヘルナラクによって無限に生み出されるため、全ての卵が一斉に孵化すればまさに脅威でしかないが、一方でこの卵は現世に送り込まれてすぐに孵化するわけではない模様(実際、最終決戦では孵化前の卵が大量に現世に残されたままとなっていた)。
ザンギルの刀の音(を搭載したソニッター)で孵化を抑制したり、ミサイルなどの兵器で破壊することはできるため、卵が孵化するまでのタイムラグの間に対処すれば、幽体怪獣の出現を阻止することは可能である。
劇中では前作『ウルトラマンブレーザー』初出の怪獣達のみが登場しているが、ザンギルによればヘルナラクの侵攻を食い止めているのはウルトラマンブレーザーらしく、主に『ブレーザー』世界で死亡した怪獣達の魂を利用している模様。
上述した質の悪い理不尽な特性に加え、モグージョンの掌からの閃光など、一部の幽体怪獣は生前有していた厄介な特殊能力も普通に使える上、その効果までしっかり発揮される。
タガヌラーに至っては成長前の幼体はおろか孵化する前に撃破された個体の魂も含まれているのか、ザンギルやアークと戦った時は数え切れない程の大群で、しかもその全てが巨大な成体の姿となって襲来している。
バザンガは『アーク』の世界で撃破された後、『ブレーザー』の世界で卵から再出現しているが、出現して撃破された元のバザンガが1体だけだったことを考えると、これは言わば「再々生怪獣」で同一個体の魂を使い回した節もある。
いずれにせよ、ザンギルの協力が無ければ『アーク』世界は有効な対抗策を見つけられずに滅ぼされていた可能性が高く、まさに“現世に仇を為す最悪の軍団”と言えるだろう。
一覧
- 幻視怪獣モグージョン
第16話に登場。
最初の刺客として『アーク』世界に送り込まれ、キャンプ場の人々に閃光を浴びせて発狂させる騒動を起こした。
- 深海怪獣ゲードス
第17話に登場。
タガヌラーと共に『アーク』世界に出現するが、SKIPの活躍で実体化させられた末にアークによって撃破された。
- 甲虫怪獣タガヌラー
第17話、第18話に登場。
最初に1体だけがゲードスと共に『アーク』世界に出現するが、その後雑兵の如く無数の大群となって襲来。
大群が駆逐された後も、ヘルナラクの戦術により10日間に渡って少数ずつが『アーク』世界に送り込まれていた。
- 宇宙甲殻怪獣バザンガ
第18話、第19話に登場。
1度目の出現時には『アーク』世界にて次元の裂け目を閉じようとするアークとSKIPの作戦を妨害するため、2度目の出現時にはヘルナラクが『ブレーザー』世界から撤退するための足止め役と、どちらも妨害要員として召喚された。
例外
- 宇宙侍ザンギル
第16話、第17話に登場。
同じくヘルナラクによって蘇ったがその支配を逃れ、逆にヘルナラクの野望を阻止するために行動する。
余談
- 同じ『ブレーザー』の登場怪獣でも、ヘルナラクは何故ニジカガチやブルードゲバルガ、ヴァラロンのようなボスクラスの強豪怪獣を復活させなかったのかは不明(ボス格以外でも、実体化後も液状化能力で優位に立てそうなレヴィーラや、タガヌラーと同じく大量の個体が存在して使い勝手の良さそうなズグガンなども何故か見当たらない)。尤も、ヘルナラクが侵攻を開始した終盤に生み出された卵を放置していれば復活していた可能性や、『アーク』の世界に現れなかっただけで既にブレーザーとは戦っていた可能性も考えられる。