※本記事は『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』本編のネタバレを含みます!
DATA
概要
映画『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』に登場する、本作オリジナルの怪獣。
ネクロマス社が開発した不老不死を実現できるナノマシン「ダムドキシン」が、ダムノー星人によるハッキングを受けて乗っ取られた防衛軍のミサイルの直撃により漏れ出し、ネクロマス社の神倉研究所に保管されていた怪獣達の細胞や遺伝子のサンプルと融合して誕生した。
命名者はダムノー星人だが、妙に子供じみたネーミングセンスを感じさせ……?
容姿
鼻のない狛犬かシーサーを思わせる顔付きで、顔の横から赤い角を生やし、額には人間の髑髏のような意匠がある。
直立二足歩行のオーソドックスな体型の怪獣だが、後頭部にはアーチ状の突起が、背中からはピンク色のトゲが複数生えている。
体内には大量の怪獣の細胞を取り込んでいるらしく、腹部は逆さになった怪獣の顔のようになっており、所謂「キメラ」や「合体怪獣」の類に近いと思われる。
後述する経緯により第2形態へと変化した後は、頭の両端からツーテールのように2本の長い触角が、肩から翼のようなものが、膝からは殻のような突起が生えている。
背中のトゲも数が増えただけでなく、甲殻類の鋏や昆虫怪獣の手足のような禍々しい形状になっている。
戦闘能力
予告では「最強最悪の敵」「不死身の大怪獣」と大々的に謳われていたゴンギルガン。
そんな仰々しい前評判を背負った状態で銀幕を飾ったゴンギルガンだったが、肝心のその実力はというと……
強い。
……もう一度言おう、シンプルに滅茶苦茶強い。
実際のところ、宣伝されていたその異名に違わぬと言える、非常に高いスペックを誇る。
頭部の触角をムチのように振り回したり、触手のように相手を拘束したりする攻撃や、紫色の電撃など多種多様な能力を持っているが、特筆すべきは驚異的な速さの再生能力と、背鰭を発光させながら口と腹から発射する破壊光線。
前者に関しては、たとえ腕を切断されても、数分も経たない内に即座に再生が可能。
これは体内に存在するダムドキシンによるものであり、阻止するにはダムドキシンを唯一破壊できる「アンチダムドキシン」で活性を抑制する他ない。
また、状況に応じて下半身に生えている突起を腕に装着し、剣や鎌、巨大な爪に変化させ、近接武器として扱う事もできる。
後者に関しては、口からの光線でアースガロンの腕を損傷させており、腹からの光線に至ってはウルトラマンブレーザーの攻撃で相殺しても尚ブレーザーを吹っ飛ばす程の勢いを持つ。
また、オーラのような形で全身からエネルギーを一斉放出し、周囲の敵を纏めて吹き飛ばす事もできる。
パワーも凄まじく、激しい格闘でブレーザーやアースガロンを幾度となくダウンさせている。
また飛行能力も持っており、空に飛んで距離を取ろうとしたアースガロンに突進してそのままビルに叩き付けた。
子供の嘘泣きのような仕草で騙し討ちを仕掛けるなど、どこか知性を感じさせる行動も見せている。
防御力も、アースガロンの攻撃でも決定打にならない程の頑強さを誇るが、頭の触角は脳のコアから直接伸びたものであり、その付け根の部分だけは脆い。
しかし触角を引っこ抜かれようとした際には、放電による反撃で妨害している。
総じて攻守共にほとんど隙がなく、アンチダムドキシンがなければ対処は困難を極める難敵と言える。
TV本編のラスボスであるヴァラロンと比較すると、攻撃の威力とスケールに関してはあちらに分がある反面、こちらは前述の通り優れた再生能力を持っている点で勝る(ヴァラロンの場合、尻尾を欠損すると有機爆弾による攻撃を封じられ、再生もしていなかった)。
また、どちらもブレーザーとアースガロンの両最強形態を相手取った点は同じだが、ヴァラロンは戦ったブレーザー達が満身創痍だったのに対し、ゴンギルガンは両者がほぼ全快の状態でありながら圧倒しており、客観的に見ても後者の方が分かりやすく強敵として映った視聴者は多い。
勿論、一概にどちらの強さの方が上かは断定できるものではないが、少なくとも現段階での評価としては、ヴァラロンと同等、最低でもそれには劣らない強さを持っていると見て良いだろう。
余談
- ソフビ人形は、通常サイズのウルトラ怪獣シリーズで第2形態の状態で商品化。ズグガン(成体ver.)と共に同日発売された。
- デザインを担当したのは、TV本編でニジカガチをデザインした武藤聖馬氏。モチーフは死神で、額の髑髏の意匠や首のアーチはフードを被った死神をイメージしたものとなっている。デザインコンセプトは、タイラントやデストルドスといった従来の合体怪獣のような、具体的に怪獣のパーツがくっついて集合ではなく、「怪獣らしさの構成要素を散りばめながら、“地獄の釜”で雑炊を作る」イメージで作られている。
関連タグ
- ザイゴーグ、デアボリック:田口清隆監督が担当した映画作品のボス怪獣繋がり。
- デストルドス:複数の怪獣の細胞や遺伝子を取り込んで誕生した合体怪獣繋がり。田口監督がメインを務めた作品出身なのも共通している。
- ダークメフィスト:こちらも同じくデザインモチーフが「死神」繋がり。
- ナイトファング、グリムド、メツオーガ/メツオロチ:令和シリーズに登場した、別名に「魔獣」の名を持つウルトラ怪獣達。ただし、ゴンギルガンは過去作の各個体と違って地球生まれである他、後述する理由かられっきとした生物ですらない。
ギガロガイザ/ゾルギガロガイザ → ゴンギルガン → ???
以下、映画本編に関するさらなる重大なネタバレ注意!
誕生後、ネクロマス社本社ビルに向けて進撃を開始。
ゲント達SKaRDやネクロマス社CEOのマブセは「(自身にとって弱点である)アンチダムドキシンが狙いでは?」と推測するが、求めていたのはアンチダムドキシンではなく人間の感情。
ナノマシンが作った脳には喜怒哀楽といった感情=魂が存在せず、明確な「生物」とは言えなかった。
そのため、ダムドキシンは「生命そのものへの進化」を目的にダムノー星人……否、マブセ・ユウキの魂を求める事に。
ネクロマス社本社ビル到達後、ユウキを頭部の中へと取り込むと、ゴンギルガンは第2形態へと変貌。
ユウキの精神と同調し、彼にとっての憎悪の対象である「汚い大人達」の中心地たる国会議事堂がある永田町・霞ヶ関へと進撃した。
なおこの時、防衛隊は大した抵抗もできず侵入を許してしまったが、これは直前のユウキのハッキングの影響でシステムが麻痺し、即座に復旧ができなかったためと思われる。
また、アースガロンも先のタガヌラー&ズグガン討伐戦後から修理が完了しておらず、すぐには出撃できなかった。
その後、SKaRDはアースガロンの復旧完了と、アンチダムドキシンを元にした「AD特殊弾」の完成を機に、ユウキの救出作戦を立案(防衛隊上層部はユウキの命と国家を天秤に掛けた上で、1時間以内に救出できなければサーモバリック弾頭による排除作戦へと移行する事を通達)、実行に移す。
SKaRDの作戦により、アースガロンMod.4と応戦している隙に、ゲントによって熱放出を行うための気孔から体内への侵入、及びユウキの救出を許してしまったが、それでも尚ゴンギルガンは自らを進化させ、遂にはユウキの感情と声をコピーし、彼から得た破壊衝動の赴くままアースガロンに大ダメージを与えて退ける(ヤスノブも「攻撃に全振りしている」と評する程)と、そのまま進撃を続けた。
そこにウルトラマンブレーザーが登場。
両者一進一退の猛攻を繰り広げたが、自身の光線とファードランアーマーによるチルソファードランサーの攻撃の相殺による余波で、ブレーザーを議事堂前まで吹き飛ばし、そのままファードランアーマーが解除されるまで、議事堂本殿を破壊しながら痛め付けた。
さらに戦線復帰したアースガロンに妨害されて2対1の対決となるも、自身の数的劣勢を意にも介さず、逆に2体を圧倒する驚異的な強さを見せ付けた。
だが、一瞬の隙を突かれてスパイラルバレードとアースガロンの噛み付きにより触角を引き千切られ、そこにAD弾をエミによって撃ち込まれた事で、肉体維持が不可能となる。
それでも最後の悪足掻きとして光線を撃とうとするも、最期はフルパワーのアースファイアとブレーザー光線を喰らい、遂に爆散した。
しかし、事態収束後もその脅威は完全には消え去ってはおらず……。
真の余談
- 田口監督曰く、第2形態で現れた触手は素材となった怪獣達の怨念や、ユウキの溜まっていた負の感情が涙となったものが形となったものであり、撮影現場では触手ではなく「涙パーツ」と呼ばれていた。
- ユウキの声を怪獣の声に混ぜて加工して入れる事も早い段階から決めており、生物的に小さい子供や赤ちゃんの泣き声は気になってしまうという性質を利用した上で、今の子供達が大人の社会に対して抱いている想いを態度や癇癪で叫んでもらうという狙いがあって演出されている。
- 脚本の中野貴雄氏は、「子供の邪悪な部分や負の感情を増幅した存在がゴンギルガンなのではないか」と解釈している。
- 進撃の途中でゴンギルガンが壊した3つのビルは、映像の奥から文部科学省、財務省、通産省である事がオーディオコメンタリーにて明かされた。
真の関連タグ
円谷関連作品
- キングオブモンス:人間の子供の負の感情が起因して誕生した、劇場版登場の合体怪獣繋がり。取り込んだ怪獣を現出させるという共通点もある。
- スネークダークネス:1人の人間の負の感情が原因で誕生した、劇場版登場のウルトラ怪獣繋がり。こちらは生みの親である人間が直接変身しており、ウルトラマンによって倒された後に生還した。
- スペースビースト:人間の感情の一つである「恐怖心」を糧に進化成長する怪獣群。最初の個体もゴンギルガンと同様、撃破後も散らばった細胞から派生した怪獣達を生み出し、最終的に合体形態を披露した。
- ホー:合体怪獣ではないものの、こちらも人間の負の感情(失恋のショック)が原因で生まれた怪獣。初登場以降も、離別の寂しさや未来に対する絶望などの負の感情から誕生している。
- 怪獣(グリッドマンユニバース):近年の円谷作品にて、鳴き声が俳優の声を加工して作られた存在繋がり。
他作品