DATA
概要
『ウルトラマンブレーザー』第11話「エスケープ」、第12話「いくぞブレーザー!」に登場する宇宙怪獣。
バザンガに続いて出現した、本作2体目の宇宙怪獣である。
ヒトデが二足歩行になったような容姿で、シルエットはペジネラや円盤生物にも似ている。
背面の表皮は青色で岩石のようにゴツゴツしているが、腹部は黄色か金色でどこか電子基板や、地上絵のような模様をしており、胴体中央(からやや左に位置する)部分にある突起状の器官(口吻に当たるらしい)を囲むように焦点の合わない3つの丸い目が不規則に並んでいるほか、腹部と背面の境目には大量の牙が生えており、全身が巨大な顎や口のようにも見える。
また、四肢には長い2本の爪が生え、頭頂部にある口のような部分からは光が怪しく点滅している他、太股から脹脛に渡って(まるで剥き出しになった静脈と動脈のように)赤と青の2色に染まった外皮で覆われている。
動きはどこかユラユラと体を揺らすような挙動不審なもので、ルックスも含めて奇怪かつ不気味な印象を与える。
鳴き声も機械的な電子音に酷似しており、バザンガやガラモン以上に生物感に欠ける。
ちなみに、第19話で判明した事実から、この個体は子孫繁栄のために地球に来訪していたのだと考えられている。尚、この事態から「性別は雌だったのではないか?」とする見方もあるが、雌雄同体で単為生殖が可能な生物である可能性もあるため、真相は不明。
更に、第23話ではゲバルガはなんと第3話の時点で既に地球へ向かっていた経緯が発覚し、その時にタガヌラーは地球に迫りつつあったゲバルガへ向けてビームを射ち込んで迎撃を試みていたと判明している(タガヌラーが世界各地の液化ティーテリウムの貯蔵施設を襲撃していたのは、迎撃のために必要なエネルギーを蓄えるためであった)。
能力
戦闘の際は、四肢を折り畳んで丸まった球状形態で高速移動したり、ブレーザーを軽々と持ち上げる程の怪力を用いて、顎のような頭頂部と両手で噛み付くように掴みかかるだけでなく、両手を合わせて突進するなど、どこか知性を感じさせる動きも見せる。それでも、ブレーザーよりもパワーがあるアースガロン相手にはほぼ互角であるが、後述の能力でアースガロンにとっては不利な相手となる。
劇中では球状形態で宇宙空間を飛行し、隕石のようになって地球に飛来した。
最大の能力として、別名の「宇宙電磁怪獣」の通り、3万度を超える強度の電磁エネルギーを体内に備蓄し、電磁波の励起・放出が可能。頭部の牙や手の爪から空中放電をしたり、相手に覆い被さって直接電流を流し込んで攻撃する。
胴体中央にある突起状の口吻が開くと、周囲一帯を飲み込む程のドーム状の電磁場(EMP=電磁パルス)を発生させ、これに捕まると誘導兵器を含むあらゆる電子機器が機能不全に陥る。
しかも通信施設に取り憑いて大規模なEMPを発生させれば、意図的に “ネットを介してクラッキングし” 、深刻なネットワーク汚染を引き起こすなど、明らかに自然下の生物らしからぬ生態から「天然のコンピュータウイルス」と例えられた。
その上、身体を丸めてあらゆる攻撃を寄せ付けない電磁バリアを展開し、そのままリアクティブアーマーの如く放電して反撃したり、バリアを放電で押し出しながら突進するなどの芸当も行えるため、現代兵器による撃破はまず不可能。
尚、ゲバルガから放出される電磁波は黄色と緑色の2種類があり、黄色は電磁バリアや通常攻撃、緑色は電磁パルスとなっている。
ただし、上記の口吻らしき器官のほぼ真後ろに電磁波を発生させる「EMP発生器官」が存在し、これを攻撃されるとEMPの出力が大幅に低下してしまうのを弱点とする。
単なるバリア自慢の怪獣かと思いきや自前の防御力もかなり高く、岩石状の外皮部分には生半可な攻撃は通用せず、上記の電磁バリアも展開するとミサイルはおろか、スパイラルバレードをも難なく防ぎ切る程。故に、この難攻不落の防御(特に電磁パルスとバリア)を突破しない限り勝ち目はない。
総じて強靭なフィジカルと電磁波による攻防一体の隙のなさを持った怪獣と評価でき、かつて「神」とも称される力でブレーザーを一度撤退に追いやったニジカガチ、圧倒的な防御力でブレーザーの攻撃を悉く跳ね返したガラモンとは別ベクトルでの強さを持つ。
この強力な能力は撃破後にGGFに解析され、対宇宙怪獣用の電磁波攻撃用兵器として運用されていった(ただ、21話で兵器の運用実験を行った際に、海中に潜伏していたデルタンダルBを目覚めさせる失態を犯してしまった)。
活躍
第11話
8月18日、隕石のような挙動で地球に向けて落下。
ガラモンの一件から地球外からの侵入を警戒していたGGFは、隕石に対しKEM(=運動エネルギー弾)やサーモバリック弾などのミサイルによる迎撃を行うも、電磁バリアや硬い外皮で全て無傷で防ぎ切って大気圏を突破する。
落下地点の神奈川県・津久武湖畔にて待機していたSKaRDはアースガロンMod.2の多目的レーザーで撃ち落とそうとするも、明らかに不自然な挙動で躱し湖面を跳ねて着陸、本格的に活動を始める。
アースガロンと互角の格闘戦を繰り広げるが、不利になり始めると口を開いて溜め続けていた電磁エネルギーを放出し電磁パルスを展開。第三次誘導弾攻撃もろともアースガロンをスパークさせ、全機能を停止させる。
アースガロン撃退後はそのまま津久武湖付近の町へ進行し、そこにブレーザーが登場するも、圧倒的な怪力と他を寄せ付けない防御性能、そして電磁エネルギーを用いた攻撃と防御でブレーザーを翻弄し、最終的に(ブレーザー自身の意志が「敵わない」と判断し、ゲントを救うのに専念したのもあり)撤退に追い込んだ。
第12話
前回のラストにて、最上原市へと進行したゲバルガは午後7時半頃、パラボラアンテナのある通信施設に取り憑き休眠した(※)後、再び大規模な電磁パルスを発生させ、交通、医療などにネットワーク汚染を発生・拡大し、未曾有のインフラ麻痺を引き起こす。
(※)19話では、この時点で卵あるいは種子を地下に残していたものと推測されている。
このままでは日本どころか、世界中のネットワークをゲバルガに掌握されかねない状況だったが、前回の戦闘により体内のEMP発生器官の存在が知られてしまい、GGFは総力を結集した作戦(=ガラモンの破片から回収したチルソナイトから精製したチルソナイトスピアを弾丸に、改修したメガショットによる体内のEMP発生器官の狙撃)を決行。
そして、翌日の8月19日に実行された作戦は功を奏し、口腔からチルソナイトスピアが突き刺さり、体内のEMP発生器官の損傷によって電磁パルスの発生を封じられた。しかし、それ以外の電磁能力は未だ健在だったのもあり、怒り狂ったゲバルガは報復とばかりに怪力と電磁攻撃でアースガロンに猛攻を仕掛けたが、ブレーザーの介入によりターゲットをブレーザーに変更する。
再戦直後は前回同様に追い込んでいたゲバルガだったが、ゲントとブレーザーが和解したのもあって次第に劣勢に追いやられる。尚も激しく抵抗するも、取っ組み合いになった際にブレーザーが偶然にもゲバルガに刺さっていたチルソナイトスピアに触れた際、スピアがチルソナイトソードに変形する想定外の事態が起こり、チルソナイトソードによって自慢の放電攻撃を防がれた上に斬撃を受ける。
それでもゲバルガは前回の勝利の経験からか、電磁バリアを張ってブレーザーの斬撃を防ごうとするが、それすらもイナズマスラッシュで破られ完全に戦力も戦意も喪失。
最後は逃げる間も無く、オーバーロード雷鳴斬で文字通り縦一文字に一刀両断にされ爆散した。
第18話
大気汚染を行うイルーゴのガスを清浄中のアースガロンの目の前で、イルーゴは突如丸まったかと思えば、ゲバルガに似た姿に変貌。
更にもう1体増えたイルーゴと共に、SKaRDとブレーザーを追い詰める。
しかし、チルソナイトソードの性質を利用したEGOISSの作戦(=真空放電によるガスの浄化)で弱体化に追い込まれてしまい、今回もブレーザーに切り裂かれ撃破された。
続く第19話では、実はイルーゴはゲバルガの幼体である事実が判明する。イルーゴの一体が突如ゲバルガに似た姿へと姿を変えたのは、これが一因だと思われる。
そのためか、青いゲバルガに対してこちらは若干黄色かかったカラーリングであり、本編のような電磁パルス攻撃も披露していない。
テレマガネットでは「球体状のイルーゴ」と記載されているため、一応見た目はゲバルガではあるが、この姿でもまだイルーゴとして扱われる模様。
そして同話では、更なるパワーアップを遂げたゲバルガが登場する。
残された謎
ハルノ参謀長はゲバルガ撃破を上層部に報告した際、「“セカンド・ウェイブ”、退けました」と報告していた。
続く第13話「スカードノクターン」では、ヤスノブの口から(知人のアマチュア天文学者曰く)「バザンガとゲバルガは “全く同じ軌道” を通って地球に侵入してきた」と語られていた他、1999年に当時の地球防衛隊が撃墜した隕石も、前述の2体と同様の軌道を辿っていた事実が示唆されていた。
第1話で登場したバザンガとは、同じ宇宙怪獣であり肩書きが似ている点、あちらも海洋生物をモチーフにしている点、バザンガ登場回のタイトル「ファースト・ウェイブ」に対し、ゲバルガが防衛軍上層部から「セカンド・ウェイブ」と呼称されている点、名前が4文字で最後に「ガ」が付く点、両者共に体に赤と青のカラーリングを施している箇所がある点など共通点が多く、設定上でも何らかの繋がりがある可能性が高い。
バザンガは「時限信管のような機能を持ち、対空弾としても使用可能な棘の射出能力」、ゲバルガは「都市機能を麻痺させるEMPの発生や、それに伴うネットワーク汚染とクラッキング能力」などと、文明社会の制圧に特化したかのような能力を持っており、明らかに自然発生した生物とは考え難いとの意見も。しかも、両者共に明確な意思を以て市街地を襲撃していると思われる描写がある。
これらの事実は第13話でも触れられており、ヤスノブが「バザンガとゲバルガは同じ星から来たのでは?」とする巷の噂についてアンリとエミに語っていた。
ヤスノブ自身は「同じ星出身とした場合、生態が違い過ぎる」と評しているが、エミは「地球でもライオンとイルカじゃ全然生態違うし」と返しており、最近になって宇宙怪獣の襲撃が急増したのも相まって、アンリは「何か作為めいたものを感じる」と述べている。
また、両者には赤と青のカラーリングが全身のどこかに必ず施されている共通点があり、ゲバルガに至っては両足に血管のように絡み合うような形で赤と青のラインが引かれている。
これはウルトラマンブレーザーの体のラインとも共通する特徴であり、ブレーザーとも何かしら関わりのある怪獣である可能性も考えられている(ただし、放送終了後の現在も公式ではこれらの宇宙怪獣とブレーザーの関係性については言及されていないため、たまたま似通った特徴を持っていただけの可能性が高い)。
更に、上述した特性とは別の謎が第17話「さすらいのザンギル」にて浮上した。
この回では今までブレーザー達が撃破した怪獣の亡霊達が出現しているのだが、何故かゲバルガの姿が一切映らなかったのである。ゲバルガ以外にもガラモン、カナン星人、モグージョンも姿が一切映らなかった。
ただ単に既にザンギルに祓われていたという可能性もあるが。
メタ的に言うと既にスーツが改造されていたためと思われる。
そして第19話の予告では、「第二の脅威は終わっていなかった」のナレーションが流れた要素も合わさり「ゲバルガは完全に死んでおらず、それ故亡霊となって出現しなかったのではないか?」との見方が強まり、遂に第19話で解明された。
商品化
ソフビは『ウルトラ怪獣DX』規格で発売。
ブレーザー怪獣では初のラインナップ入りとなる。
余談
- デザインは漫画家の川石テツヤ氏が担当している。
- 『ウルトラマンブレーザー』プレミア発表会や直前スペシャルでは存在が明かされておらず、放送開始後に初めて存在と容姿が判明したブレーザー怪獣である。
- ただしOPでは、爆撃機の照準器越しに頭上を捉えたと思しきシーンが映っていた。しかし、真上からの姿形だけ、かつモノクロなので殆どの視聴者は正体が分からなかった模様。ニコニコ動画のコメントでは、ゲバルガの存在が明らかになるまではアースガロンだと勘違いしていた者もいた。
- 助監督の内田氏によると、当初回転攻撃は操演で動かす予定だったが、スーツアクターを務めた高橋氏が想像以上に転がった事で、操演部による仕掛けなしで撮ったと語っている。尚、高橋氏が転がった時スタッフからは驚きの声がたくさんあったと語っている。
関連項目
ウルトラシリーズ
ペスター(パワードペスター)、マリキュラ、アンチマター:ヒトデが怪獣化したような容姿が共通する怪獣。マリキュラに関しては身体の色味や丸くなる点が、アンチマターは形態変化する点が共通している。
デモス:円盤生物の1体。腹部にある顔のようなものが酷似。
スフィアザウルス:前作に登場した、電磁パルス攻撃を行う怪獣。スーツアクターも同じ。
ギマイラ、グルジオライデン、トリガーダーク、スフィアネオメガス:令和ウルトラマンで前半戦のボス(所謂中ボス)を務めた怪獣達。またグルジオライデンは、メイン監督が同じ作品との共通点もある。
ツルギデマーガ、グア・スペクター、マガオロチ:田口清隆監督がメインを務めた作品で中ボスを務めた怪獣。グルジオライデンもここに含まれる。なおマガオロチもゲバルガと同じく面倒なものを産み落としている。
ケルビム:こちらも最初の出現時に卵を産み落としており、それが後に出現した。また、親個体の生態もゲバルガと似ている。
ウルトラシリーズ以外
ステルガン:『電光超人グリッドマン』の登場怪獣。色彩や体の構造が近似している他、飛行で投げ技を回避する、透明化で撹乱するなどの能力で、グリッドマンの攻撃を封殺して、一時は追い詰めた程の強さを持つ。後に翔直人を演じた小尾昌也氏が、講談社出版の書籍のインタビュー記事にて「最強の怪獣」と絶賛している。
オルガ:ネットワークに対して大規模なハッキングを行った宇宙怪獣。