データ
別名 | 爆撃雷獣 |
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身長 | 60m |
体重 | 7万2千t |
出身地 | 宇宙(落下地点及び地上初出現地点は山梨県) |
概要
外見は『ウルトラマンR/B』に登場したグルジオキングに酷似しているが、目の色は青で、体は黒っぽく、表面には血管のような青く細長い発光器官が這っている。
実際に採取された表皮にも配線やネジ等のパーツが組み込まれていた他、遺伝子操作が行われた形跡があった事から、その正体は何者かによって作り出された生物兵器と推測される。
ちなみに採取された表皮は腐敗が進んでいた為か相当ひどい臭いらしく、ちょっと訳ありなヘビクラでさえも顔をしかめていた…が、何故か普通の地球人であるはずのユカだけは平気そうにしていた。
なお、地球上の生物と比べると染色体の数が異常な程多いらしく、人間と同じくXXの染色体が存在していた事から、ユカから雌の怪獣だったと推測されている。
10年前に冬眠状態で地球に飛来し、そのまま地球防衛軍により隔離・研究されていた。実は、ストレイジの対怪獣ロボット・特空機はこのグルジオライデンのデータを基に開発されたものだった。
しかし突如覚醒し暴れ始めた為、ストレイジが対処する事になる。この怪獣による被害拡大は、管理研究していた防衛軍及びこの怪獣の技術を基にした特空機の信用問題に関わる為か、クリヤマ長官はグルジオライデンにゼットが下され、ストレイジが満足に出撃出来る状態ではない中で「キングジョーで殺すんだ!」と普段はあまり見られない過激な命令を指示したほどであった。
尤も、(諸事情により心理的に満足に戦える状態になかったとはいえ)ゼットを退けたほどの存在であるため、その脅威の排除になりふり構っていられなかったのかもしれない。事実、後述のようにキングジョーSCがライデンの討伐に成功した際、「地球防衛軍の各国支部から特空機に対する問い合わせが殺到している」との発言があるため、ライデンがゼットに土を付け、それをキングジョーSCが退治したという事実は国外に置いても注目されていた模様。またこの時に抱いた「ウルトラマンという未知の存在に人類の未来を託せられるのか?」という疑念を拭いきれなかった事が、ある兵器の存在に対し首を縦に振らざるを得なかった理由なのかもしれない。
鉄材やプラスチック材が主なエネルギー源で、口から吐き出す青色の超高熱の火炎「ライデンブレスター」に加え、背中に備わった大口径の大砲から発射する光線「ライデンデストロイキャノン」が最大の戦力であり、発射前のチャージ時には体から青白い稲妻を発生させる。しかしエネルギーの消費量が高い為、グルジオキングと違い連続して発射できず、チャージ中は身動きが取れないために完全に無防備になってしまうという欠点を持つ。耐久力も決して低い訳ではないが流石にキングよりは劣るらしく、アルファエッジ相手には殆ど防戦一方を強いられていた。
背中の大砲の付け根に有る青いコアが弱点。
活躍
物語開始早々に、突如地中から目覚めて行動を開始。
キングジョーSCが先の戦いでの修復中で動けない中、セブンガーやウインダムを同時に相手に取って優位に立ち、持久戦に持ち込んでセブンガーを戦闘不能に追い込み、セブンガーを放棄したナツカワ・ハルキの変身したゼット・ガンマフューチャーと激突する。
M78流・竜巻閃光斬で怯んだところをゼスティウム光線で止めを刺されそうになるも、先の戦いで心に深い傷を負っていたハルキが躊躇った為に光線は不発。
隙をついてライデンデストロイキャノンを見舞うと、そのまま地中へ逃亡した。
その後、休眠状態を経て廃材を食べながらエネルギーを補給し、再び地上に現れる。
しかし、セパレートモードに移行したキングジョーSCを駆るナカシマ・ヨウコの牽制攻撃によって市街地から遠く離れた山中に運搬される。
再びデストロイキャノンを放つが、キングジョーSC・タンクモードのペダニウム粒子砲によって相殺された隙に、ハルキが乗るウインダムによってワイヤーペグで拘束される。
ロボットモードに移行したキングジョーSCによってコアを狙われるが、馬鹿力でワイヤーを引き抜き、ライデンブレスターで二機にダメージを与えて機能停止に追い込むと、更にウインダムに馬乗りになり、腹部を破壊して抉り出した内部構造に喰らいついてエネルギーを吸収してしまう。
辛くも脱出したハルキの変身したアルファエッジに吹き飛ばされてゼットライザーの斬撃を喰らい、またもゼスティウム光線を撃たれかけるも、そこでハルキが見たのはまるで涙を流しているかのようなグルジオライデンの姿だった。
これが死を予見した事や痛みによる落涙なのか、ゼットを油断させるための嘘泣きだったのか、それとも単に泣いている様に見えるだけの生理現象に過ぎなかったのかは神のみぞ知る所だが、その姿にトラウマを刺激されたハルキは心の迷いを断ち切れず、とうとうゼットをオリジナルに戻してしまう。
高速でカラータイマーが鳴り響く中で、隙ありと言わんばかりにライデンブレスターを放ってゼットを追い詰めるが、その間にキングジョーSCが再起動。
デストロイキャノンの充填に取り掛かる中、ペダニウム誘導弾で注意を引きつけられ、空中を飛ぶキングジョーSCに向けて発砲するが、下半身分離によって回避される。
最期はそのまま上半身だけになったキングジョーSCに距離を詰められ、ゼロ距離でペダニウム粒子砲をコアに撃ち込まれて爆散、ついに倒された。
この一件により、「怪獣を倒す事が本当に正義なのか?」というハルキの苦悩はますます強くなってしまう事となった。
しかし、後にある人物(?)との関わりとこの直後に起きた事件を経て、ハルキ(および意識を共有しているゼット)の心境に変化が訪れる事となる…。
放送当時の憶測
グルジオ種との関連
これまでほぼルーブジャイロ使用者の専用形態として登場してきたグルジオ種だが、このグルジオライデンは「地球に落下し眠っていた、改造された痕跡のある宇宙怪獣」だとしか紹介されなかった。
『ウルトラマンR/B』前日談においてもグルジオキングやグルジオレギーナのルーブクリスタルは変身者がインナースペース内で生み出した出自が極めて特殊な物で、実際能力等はほとんどグルジオライデンを上回るスペックを誇る。また、ルーブジャイロで変身出来る怪獣にはグランドキングの亜種であるグランドキングメガロスが存在しているのを考慮すると、グルジオライデン(の改造元)がいわゆる原種にあたる存在であり、『R/B』に登場していたグルジオ系列の怪獣達の方が派生個体だった可能性すらあった。
ルーブジャイロで召喚されていた怪獣には魔王獣の野生体であるグエバッサーや超獣、ロボット怪獣なども含まれており、極論を言えばクリスタルとジャイロさえあれば大抵の怪獣は召喚or変身が可能ではある為、惑星O-50が偶然最初にグルジオボーンのクリスタルを授けたというだけでグルジオ種自体は宇宙ではごくありふれた種族だったのでは?という仮説も立っていた。
また、ユカからは何者かが作った生体兵器と推測されていた為、「『R/B』に登場していたグルジオ種の怪獣とは他人の空似で全くの無関係な怪獣」という説や、「元からこの姿への変身能力を与えられる筈だったが、力に適さずに戻れなくなってしまった」「実はこの個体にも変身者が存在していたが、何者かに改造され自我と本来の姿を失ってしまったのでは」という説もあった。
この説を信じるならライデンの弱点である青いコアが剥き出しになっているのはもしライデン側が反旗を翻したとしても即座にその場で処分が可能だからという解釈もでき、仮に後者の説が真実なのだとしたら、大変恐ろしい話である。なお、上述のユカの染色体に関する分析が当たっていたとするならば、元は人間(若しくは人間と限りなく近い姿をした異星人種族)の女性だった可能性も存在するが、XXの染色体は人間を始めとした哺乳類の大半やニジマス、一部の昆虫、植物等にも存在しており、断定にまでは至っていなかった。
なお、『Z』のレギュラーにはO-50の光に選ばれなかったヘビクラ隊長ことジャグラスジャグラーも居るため、闇の深さを感じたというファンも居るとか。
やはりあの輪っかは罪深い…のだろうか。
残された謎
上述の通り他のグルジオ種との関連に不明な点が多いグルジオライデンだが、何気にユカが言及していたライデンを改造した「何者か」については殆どが謎のままである。しかし後付けと思われる背中の大砲に加え配線や弱点が剥き出しになっている点を見るにかなり無理のある改造を施しているのは確かであり、実際グルジオキングの「ギガキングキャノン」が再発射へのインターバルが2.5秒なのに対し、ライデンのライデンデストロイキャノンは一度使用すると長時間連続での発射はできない。
近距離戦もあまり得意とは言えず、特空機二体には流石に勝利しているものの遠距離技が軒並みチャージに時間が掛かるのもあってか手数の多いアルファエッジには圧倒されており、生体兵器としては些か煮詰めきれていない印象を受ける。
もしかしたら単なる試作品で、後継機にノウハウを活かすべく敢えて作りが雑だった可能性も否定できない。
また、「何者かが人為的に送り込んだ」とすれば、少なくとも送り込まれてから10年近く放置されていた事にもなり、劇中で急に覚醒した理由についても不明。
これもまた第1話のゲネガーグが地球に襲来した影響によるものとする説、もしくはデビルスプリンターによる影響ではないかという説も挙がっているが、改造した張本人の製作者がグルジオライデンの覚醒後も特に『Z』世界の地球にコンタクトを取っていない事も含め、あくまで地球に到着したのは単なる偶然に過ぎず改造した製作者にすら見捨てられる形で不法投棄されていたという可能性も考えられていた。
もしくはかつて何らかの形で強大な敵と戦わされた後にダメージを回復するため長い間休眠状態となって宇宙を彷徨っていたという説や、人類にわざと怪獣に対抗する術を研究させる為に送り込まれた説も。
このように様々な憶測が飛び交っていたグルジオライデンだったが…。
謎の解明の一端
第24話にて、寄生生命体セレブロが、地球の戦力を意図的に増強し、自分たちで開発した兵器で文明を滅ぼす者達の末路を楽しむ「文明自滅ゲーム」を開催していた事が判明。その発言の際、休眠状態のグルジオライデンが回想に一瞬だけ登場している。
そもそもグルジオライデンは「何者かが地球に送り込んだ」という裏設定があったのだが、このシーンで送り込んだ「何者か」はセレブロだった事が示唆されたのである。後日談的要素を含む総集編「リ・ストレイジ」では調査が進んだのか、上記の因果関係については確定事項として語られている。
セレブロがライデンを送り込んだ目的だが、一定レベルのテクノロジーを提供する事で、ゲームのラスボスへと至る兵器の開発を促す為だったとされる。事実、この怪獣は特空機開発に利用され、ウルトロイドゼロを生み出した遠因になったと言える。結論としては「怪獣への対抗手段を与える為」という説が一番近いものとなったが、そこに隠されていたのはセレブロの悪辣極まりない意図だったのだ。
そして…。
出自(超全集のネタバレ注意!)
性別が明確に判明していたりと不穏な部分の多いライデンだったが、『Z』超全集収録の小説「ジャの道は蛇」にて、多くの情報が開示される事となった。
その正体は、O-50宇宙の出身の女性スナイパーであるサジタリという人物の変身態。
星間連盟の特殊部隊に所属していた彼女らは任務中に星間連盟内の内部抗争に巻き込まれた結果、チームはサジタリを残してほぼ全滅という悲惨な末路を辿っており、サジタリは自分達を見捨てた連盟に根深い怨みを抱くと同時に、戦友を守れなかった後悔から「より強い力」を渇望していく事になる。
復讐の為に頂上に到達した者に光の力を授けるという「戦士の頂」に挑戦し、命からがら頂上に辿り着いたサジタリだったが、あまりに歪んだその精神の影響で大いなる力が変質し、彼女は光の戦士ではなく怪獣グルジオへの変身能力を身に付けてしまう。
グルジオとなった彼女は武器商人のファラリスと手を組み、連盟への復讐活動を続けていたが、セレブロにより〈いのちの種〉を授けられたファラリスの思想はより一層過激派への道を進む事になり、サジタリを機械化改造。これで誕生した怪獣がグルジオライデンである。全身を隈無く改造された彼女の脳は、敵を全て殲滅する事しか考えない戦闘マシーンにも等しい操り人形と化してしまった。
ファラリスがジャグラーとの戦いの中で死亡するとより制御が効かないただの怪物と化し、イムバット連邦の首都であるバホメットを壊滅にまで追い込んだ。やがて力を全て使い果たしたライデンは更なる星を求めて隕石化、ワープの準備を進めていく。しかし、ある一人の男がライデンに張り付いていた…。
「グルジオライデン、いやサジタリよ」
「可哀そうだがお前はもう以前のお前じゃない」
「新しい星でしばらくはゆっくり眠らせてやる」
「もし戦う事になっても、遠慮はしねぇぜ」
なお、サジタリが変身するグルジオライデンはサキと違いルーブジャイロを使わずに変身しており、顔に血管が浮かび上がった後に全身が黒いオーラで包まれていく事で完了している。これは基本的に何かしらのアイテムを使用する事で安定した能力を発揮できるO-50形ウルトラマンの性質とは大きく異なるものであり、ファラリスの手で機械化したのも見方を変えれば「サジタリが独力では能力を昇華できなかったから」とも取る事ができ、サキが到達して見せたグルジオキングやグルジオレギーナなどの強化形態を獲得できなかった可能性もある(前述したようにここまで身を捨てて肉体を改造したライデンがグルジオキングにあらゆる意味で能力が劣っているのが悲しい所だが…)。
『ジャの道は蛇』において戦士の頂がサジタリに対して特に何のミッションも与えていないという点や強化形態及び変身アイテムを持っていない点を考慮すると、O-50としても比較的初期から既にサジタリを見限っていたとも取れるが、単にサジタリがサキやアサヒと比べてグルジオの真価を充分に発揮できなかっただけという可能性もあるので、この辺りの描写は読み手によって感じた意見は様々だろう。
女性キャラクターである点や同種の怪獣形態を持つ点、大切な者を守れなかった後悔に苛まれている点など様々な部分でサキと共通点が浮かぶサジタリだが、多くの不幸が重なりながらも打倒ルーゴサイトのために使命を全うしようとしたサキと比べ、サジタリは怪獣の力を手に入れた後にすぐさまファラリスの手下として破壊工作を行っていた。
また、使命と自らの私情で板挟みとなりつつ、最終的には大切な者に後を託して笑顔で散っていったサキに対し、サジタリの場合は全く別の惑星で研究に使われた末に自らの技術の末裔とも言える特空機に引導を渡されるという末路となった。結果だけで言えば、戦友を失くす切っ掛けにもなった連盟への復讐心すらファラリス、そしてセレブロに良いように利用される形で捨て駒にされた救いのない人物だったと言えるだろう。
余談
着ぐるみはグルジオキングの改造。その後、『ウルトラマンデッカー』のネオメガス、スフィアネオメガスに改造された。当初はグルジオレギーナの着ぐるみが改造される予定だった。
この回でヨウコが「見逃した怪獣が暴れる危険性」について言及しているが、ストレイジの上層組織である防衛軍が休眠状態のグルジオライデンを処分せずに隔離し続けていた為に今回の怪獣災害が発生しており、皮肉にも怪獣から人々を守るべきはずの組織が逆に災害のきっかけを作る形になってしまった(無論、特空機二体はおろか一応ウルトラ戦士ですら苦戦した相手であるため、例え休眠状態でも防衛軍の技術力で対処できたかは甚だ怪しいところであるが)。
だが逆に、この怪獣を倒さず研究を続けていたからこそ、特空機が誕生し怪獣から人々の安全と命を守れるようになったとも言える為、そう言った意味でも皮肉な存在である。
後のD4で起きた惨状も考慮も合わせて、人々の平和を守るハズの防衛軍やその力が逆に怪獣の暴れる原因を作り出しているという意味でも本作の闇を表していると言えよう。
ちなみに、ライデンの初登場回である第12話「叫ぶ命」は『R/B』のメイン監督を務めた武居正能氏が担当しており、奇しくも「グルジオ」とは深い繋がりがある組み合わせである。
他のグルジオ系と違い、ウルトラ怪獣シリーズでのソフビは未発売。
劇中で食べていた廃材には、ガンプラのパーツとランナーが使われている。形状から判断して、SDのシナンジュと推測される。
キングジョーと戦う事から、メカ怪獣のような要素があるグルジオが選ばれ、キングジョー対ゾイドのような画を狙っている。セブンガーが開発された背景として、50m級の怪獣が落ちてきてそれに合わせたサイズという設定となった。
関連タグ
テラノイド/ゼルガノイド:防衛チームの過失で敵となってしまった戦力という点が共通する。
KAIJU:体の色味が似ている。
アダム:『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する使徒。その作品に登場するほぼ全てのロボット兵器の元になった点が共通する。
ジャミラ:元は人間だったが怪獣になってしまった者繫がり。しかもウルトラヒーローズEXPO2021ニューイヤーフェスティバルのバトルステージで描かれたシナリオでは、『Z』の本編後に地球に帰ってきたゼットとハルキの前にウルトラダークキラーがけしかけて来る形で登場して襲い掛かる。しかもその際ダークキラーが「元は人間だったのが怪獣になった」と出自を明かしてハルキの心に揺さ振りをかけ、トラウマを再発させるという陰湿な手段も使われており、終盤までハルキとゼットは普段通りの力が発揮できなかった。
スフィアネオメガス:スーツの改造後の改造後。第12話に登場し、前話から登場している防衛チームのロボットに倒されたという共通点がある。
同族(派生種)